コメディ・ライト小説(新)

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__今、染まってしまえば、本当に成れそうで【改訂版】
日時: 2020/12/05 17:42
名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)

クリック有難うございます!そしてお久しぶり&初めまして、真朱ましゅと言います(ちょっとクセ強い名前(꒪꒳꒪))。初めての小説投稿から何ヶ月か立ちましたが、多忙でいろいろと休んでおりました…。また小説を追加していくのもごちゃ付いちゃうな〜と思ったので、新たにスレッドを立ててリニューアルバージョン(?)として書き直す事に致しました!前よりは国語力上がっている…はずなので、どうか最後まで見守って下され〜。

【スレッド設立日】
2020/11/27

【あらすじ】
櫻庭おうば家の養子として育てられてきた紅優こう。櫻庭家の次女として育てられてきた紅虹べに。境遇は違えど、それぞれ悩むのは変わらない。2人の少女の間で起こる笑いあり、悲しさあり、3年間の物語…。

#登場人物>>01

#一気に読みたい方向け>>01-11

【4月】
4月編を一気に読みたい方向け>>02-11
#1>>02 #2>>03 #3>>04 #4>>05 #5>>08
#6>>07 #7>>08 #8>>09 #9>>10 #10>>11
#11>>12 #12>>13 #13>>14 #14>>15 #15>>16

Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで ( No.2 )
日時: 2020/11/29 19:08
名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)

#1 「私は霊媒師になるよ」


「あたしさ、櫻庭家継いで『霊媒師』なりたいんだよね。」

「…は?」


_______ガシャン!

紅虹べにの何も考えていないような爆弾発言に耳は驚き、目は開き…しまいには手からガラスのコップを落としてしまった。

落としてしまった所には___炭酸飲料が。着色料が付いているので色水を零したようになっており、その中で動く泡が少し美しい。

だが、そのせいで床はびしょびしょ。しかし、ここが自分の部屋だったのは幸いだ。もし、ここが紅虹の部屋だったら_______。そして、物音を聞いて駆けつけてきたのだろうか、髪を結った女性の使用人の1人が塵取りといくつかの白い雑巾を手に持って部屋に入って行き、すぐさま儚く光るガラスの破片を片付けた。

「はは…すいません。」

「いいえ、お嬢様。こちらにどうぞお任せ下さい。」

そう申し訳無さそうに私が会釈えしゃくすると、使用人は一礼して静かに戻っていった。


バタン。

ドアが閉まる音が部屋に響いた。




「お嬢様____ねぇ。」

「“お嬢様”、がどうかしたの?」

紅虹は楽天的な顔でこちらを覗いてくる。
彼女は片手に炭酸飲料を軽く持っており、いかにも楽の象徴と言った風貌でこちらを見ていた。

「いや…本当の娘でも無いのにそう呼ばれるなんてやっぱり違和感があると言うかさ。お嬢様って呼ばれるのは紅虹だけでいいと思うし。」

軽く溜息をつく。
溜息をつくと幸運が逃げると言うが、そんなのは迷信に決まっている。もし仮にそれが本当ならば、とっくのとうに不幸になっているはずだ。

「えええ、そんな事?確かに紅優こうは血は繋がってない訳だけど、一応書類上ではウチの娘だし!ほらっ、もっともっと櫻庭の女として胸張りな!」

彼女は私の肩をポンポンと叩く。



…そう。
私は実の娘では無い。

いつだろうか…。私が幼い頃、両親____すなわち私の実母と実父は交通事故で亡くなったらしい。私もその時一緒に居たらしいが、運良く私だけ掠り傷と痣程度の軽症で済んだらしい。そしてその後、私は櫻庭家に引き取られた。

ここ、櫻庭家は、霊媒師の名家であり、数多くの支配人がここで務めている。やはり名家らしく、屋敷は広く、私の部屋でも普通の家のリビングルームほどあるのだ。

_________…私の両親は一体どんな人なんだろう。



「でさー、話の続きなんだけど…ちょっと、紅優聞いてる?」

「…あ。ごめん。で、話の続きだっけ?」


…何でこんな所で私は両親の事を考えてしまったのだろう。

私は使用人によって新しく替えられたガラスのコップを握った。

Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで ( No.3 )
日時: 2020/11/29 11:55
名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)


#2 「話の続き」


「…で、続きなんだけどあたしは霊媒師になりたい訳よ。」

彼女は胸を張る。
ピンと通った背筋からは、『この思いは本当だ』なんて事が垣間見える。

「何で今更霊媒師だなんて。いつもの紅虹らしくないよ。ほらっ、いつも『あたしはあたしの道を行くんだぁ!』なんて言ってたまに使用人に呆れられてるでしょ?それなのに、…何か変な食べ物でも食べた?」

こんな事を楽天家が言うなんて…逆に心配になる。なんだったて、昔から紅虹は流れに身を任せるタイプであったからだ。彼女の口癖は『何とかなるさ』で、テストで赤点を取ろうが、中学生最後の体育祭で負けようが、いつもいつもその一言を口にしていた。

「ちょっとちょっと、あたしはそんなにおかしい人間じゃないんだからさ!変なもの食べようが食べなかろうが、あたしはこの信念を曲げないもんね!」

「…と言うか、何がきっかけでそこまでになったの?」

僅かなきっかけで、そこまでなるのだろうか。
もしかしたら…もしかしたら、この意志は誰かに吹き込まれたのかもしれない。元々、紅新は流されやすい__言い方は悪いが、薄っぺらい性格でもある。

「えーっと、ほのかに後押しされたんだよ。」

「ほのか、に?」

『ほのか』と言うのは、従兄妹の『夏越 ほのか』の事である。同い年で、今は九州の方へ住んでいると言う事だ。

「ほら、あたしは櫻庭家の次女じゃん?紅優には迷惑をかける訳にはいかないし…あたしが霊媒師になればそれでいいじゃんさ!ほのかにも「あんたには霊媒師が天職」言われたし。だからあたしには才能があると思うし。そう、思わない?」

「さあ…。」

言葉が詰まる。切羽詰まる。
この言葉で、今の心情は表せない。まるで口に含んでいた炭酸飲料が、地の底から溢れ出てくるようだ。

「義母さんには、言ったの?」

「まだ。…まずは紅優に言いたかったんだよ。何年間も一緒にいた仲、全て分かち合うのが仲良し言うもん。それにほのかが応援してくれっなら、紅優も応援してくれるかな…って思って。」


「まぁ、私も応援するけど。…本当にそれでいいの?」

「…うん。いいんだよ、それで。」

彼女は無邪気な笑顔をを私に見せた。
紅新のその明るい笑みに、私は何か隠されているかもしれない。

Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで ( No.4 )
日時: 2020/11/29 19:17
名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)

#3 「突然の電話」


3月31日。高校入学まで、残り1週間。
どうやら、中学生で居られるのは今日が最後みたいだ。

何だか心がざわつき、下のリビングへ降りてみるが…誰も居ない。姉さんは夢を追いかけて海外へ、紅虹は友達と出かけ、義父さんは亡くなっており、義母さんは霊媒師として世界中を飛び回っている…。本当にこの家は人が居ない。

そもそも、義母さんは非常に忙しく、私が8歳の頃から顔を合わせていない。彼女は腕利きの霊媒師と呼ばれ、世界中のあらゆる所から依頼が飛んでくると言う。そんな訳で彼女は家におらず、今まで私達の世話は全て使用人がしていた。

また、義姉さんの方は海外に留学しており、今は家にいない。確か…前に言っていたのだが、ファッションデザイナーを目指すために最高峰のデザイナー専門学校に在学しているらしい。

すっからかんとしたリビングで、私は溜息を付いた。



_____________♪プルル♪


電話。
突然何だろうか。

スマホを手に取ると、画面上には『ほのか』と書いてあった。

『もしもし?私だけど。』

相変わらずお気楽な声だ。
…そんな事はいいか。私はそれに応えるように、スマホにむけて口を開いた。

「ほのか?こんな急にどうしたの。」

『ん?いやぁ、この前さ、紅虹が急に『家継ごうかな』って電話で言ってきたんよ。いきなり過ぎてびっくりしたんけど…。あれって本当なん?』

「ああ…あれね。うん、本当になりたいって言ってた。珍しく。」

やはり、彼女も珍しい事だからか、驚いていたようだ。だって、あの紅虹があんな事言うなんて…あまり現実とは考え難い。

『ほぉ、そっか。…いきなりあんな事言うからさぁ。逆に心配なんだわ。』




_______…いきなり、か。


確かにいきなりあんな事言うなんて。

何だかよく分からないが、心の中にモヤモヤが残るばかりだった。

Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで【改訂版】 ( No.5 )
日時: 2020/11/29 19:48
名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)


#4 「深夜の灯に」


「眠れない…」

ただ単に、眠れなかった。
目が冴えて、白い天井を意味も無く見つめていただけ。虚しい光景が、静かに広がっていた。

溜息を付きながら、カレンダーの方へ視線を向けると…見事に明日の欄に赤丸が付けられている。

『入学式』

「…なんで明日なんだろ。」

明日高校に入学するとなると、一気に緊張の波が押し寄せてくる。そりゃあ…今まで中学生だったもの。今まで中学生だった者がいきなり一段落上に行く。簡単に言うと、『何処かの子供』から、『青春真っ只中の少年少女』に移り変わると言うものだ。

単に肩書きが変わるだけじゃないか、なんてきっと誰しも思うだろう。ただ、高校生と言うのはそれだけでは無い。

元々この近くには偏高校がいくつもある。同じ偏差値の高校が複数ある訳なので、より高みを目指す学生達でもはだいたいそこで別れてしまう。そんな訳で、同じ高校に進学する同級生はみるみる減り、残念ながら共に高校生活を送る友人は、陽和…9年来の親友の『辻野 陽和』しかいない。

だが霊媒師目線から見ると、新学期と言う物はよく霊が溜まりやすい季節。就職先や学校での不安や、1つ上の学年に上がった事による下級生からのプレッシャー、見知らぬ人が職場や学校に入ってくる緊張…。こうした精神の不調に霊は入り込みやすい。霊媒師としては少し依頼が増えるのである。

ドタン

私はベットに力を入れた。
…そんな中でも、ただ私は、春の陽気に満たされながら明日を待ちわびていた。

Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで【改訂版】 ( No.6 )
日時: 2020/11/30 16:56
名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)


#5 「目を擦ればセーラー服」


今日は入学式___なのに、眠い。まぶたが重い。
原因は恐らく、昨日はそこまで眠れなかったからだ。何だか足元が少しふらつく。

服装は既に着替えており、いつでも家を出発できる程だ。…ワイシャツは漂白剤に漬けたようなぐらい真っ白。そして紺色のスカートとブレザー。おまけに紅色のネクタイ。ネクタイには、謎のかっこいい紋章が刺繍されている。

「おはよ_______」


少し趣のある階段を降りていき、リビングへ足を運ぶと、セーラー服姿の紅新____だけ。使用人達はまだ寝ているようだ。

「今日、義母さん帰ってくるんじゃなかったっけ。」

やる気の無さそうな声で少しばかり聞くが、「あー…。何か急に依頼が来て帰れなくなったってー。」とぼやけた返事しか帰ってこなかった。




________…今日は入学式なのに。



これが子供の願いである。
どんな時間でさえも、やっぱり一緒に居て欲しい。そう言うものだ。それでもしょうがない。義母さんはとにかく忙しい。義父さん____彼女の夫を亡くして間もない頃だって、悲しみを隠し霊媒師として生きてきた。そこにはもはや、感謝しかない。

この前も言ったが、義母さんは腕の良い霊媒師だ。毎日依頼が殺到し、商売の目で見れば『超黒字』である。だから、いきなり依頼が入るのも日常茶飯事なのだ。

食卓に目を向けると、使用人達が作った豪華な食事。味噌汁、米、ベーコンエッグ、野菜炒め、食後のゼリー_____。何故ここまで朝食を用意するのか…。とりあえずそこは気にせず、私は気怠く頬張った。



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