コメディ・ライト小説(新)
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- ボクノソバデ
- 日時: 2021/01/08 17:27
- 名前: 平松雄大 (ID: 2Ujo/OfH)
「好きなんだ。君のこと。」
そう告げた時は内心、どう反応されるか、不安で不安でしょうがなかった。
君は、はにかんだ、ただ、それだけ。
あれは、頭の整理がつかなかったから生じたものか。否、肯定か。ぼくは、悩む。悩む。
考えれば考えるほど深みにはまっていくようだった。そして、彼女に操られるようだった。悔しい。本当だったら男であるぼくが彼女をエスコートしていくはずなのに。
だから、男友達に話すのも気が引けた。ぼくには親友と呼べるであろう人が五人もいるけど、
「お前のくせに、告ったの。」
こんなこと言う奴しかいない。これが親友と言えるのか、どうとも言えないがこれもまた僕たちの性格上、楽しいのである。
煽られて、笑われる。でも、それしか方法がないようにも思えた。告白してから彼女はこっちを見ようとしない。それがまた、ぼくを不快にさせたし、気にならせもした。
学校の授業なんて、てんで頭に入らない。ぼくにとってこれほど重要なことはないのである。だって、人生初のカップルチャンスだ。カップルになったらなったで授業は頭に入らないだろうけど。
「おい、倉山、聞いてんのか。適当なこと考えてんじゃねぇぞ。」
そう、倉山、ぼくの名前だ。そして教師の杉田、あだ名は玄白。ついでに、告り相手の凛、これがぼくを取り巻く環境を作り出した元凶である。(自分で作っただけなのかも)
授業聞いてんか、だなんて、知ったこっちゃねえ。こっちはこっちで忙しいっつうの。
それでも、教師を無視し続けて、6時間フルに考えた結果は親友に話すということだけだった。
その日の帰り道、ぼくは彼らに告白を告発した。あの後も迷いに迷ったけど、だからこそ、気楽に話せる相手が欲しい。そういう考えからだった。
「おい、ちょっと重大発表だ。真剣に聞いてくれると嬉しいが。」
まあ、真剣に話を聞けないのがこいつらだ。だから別に期待なんか込めてない。形だけ、そうしといた方がいいかなって思って。
「はいはい、この前お化け屋敷ん行った時、ちびった。っちゅうことやろ。どうせ、はい正解〜。」
バカが一人いるが、無視するべきかもしれない。
こいつの名前は梶、梶義男。僕たちのグループの中で一番、おちゃらけている。この前だって、授業中にぎゃあぎゃあ叫んで怒られていた気がする。
「はい、不正解。高校生なんだからそんなバカなことせんわ。で、真の正解は、ぼくが告った、でした〜。」
なるべく軽い感じで言ってみた。確かに緊張していたからさっさと終わらせてしまいたいというのがこういう結果になったんだろう。
その後、たっぷり一分くらい無言が続いた。頭のいい小杉でさえも首を傾げて考えにふけっていた。
- Re: ボクノソバデ ( No.3 )
- 日時: 2021/02/21 19:29
- 名前: 幸福な赤い酒猫 (ID: 2Ujo/OfH)
[ 邪魔者=妹]
僕の頭の中ではこんな式が成り立っている。
つまり、妹がいた、ということだ。ヤダーーーーーーー!!!
これじゃ全然まともに考えられないじゃん! どうやってぼくの行く先について考えればいいんだよ!
- Re: ボクノソバデ ( No.4 )
- 日時: 2021/02/28 16:13
- 名前: 幸福な赤い酒猫 (ID: 2Ujo/OfH)
困った。どうにかしてあいつから逃れることはできないだろうか。捕まってしまったらめんどくさすぎる。
妹の名前は好子という。何が「よし」なのか意味不明だが、ぼくが物心つく頃にはもう、「よし」の
ついた名である、好子であった。
なんで、こんなにも僕が妹を嫌ってんのか、今から説明しよう。
- Re: ボクノソバデ ( No.5 )
- 日時: 2021/03/08 21:24
- 名前: 幸福な赤い酒猫 (ID: 2Ujo/OfH)
まず、我が家には、一個の法律がある。
それは「学校で起きたことは全て報告する」というものだ。だから、この告白についても報告しなければならない。
でも、言わなければバレないんじゃないのか。そういう意見も、もちろんあるだろう。
ぼくも一回だけ言わなかったことがある。でも、それ以来は毎回毎回、報告している。
あれは、小学二年の初め頃だった。ぼくは隣の席の子に、セロテープを貸した。そして、その日僕自身も、貸した人も覚えていなかったのだろう。返してもらうことはなかった。
もうこの時点で報告しなければならないことなのだが、ぼくは、「ま、いっか。」って感じで報告を怠った。
後日、新しいセロテープを買ってもらい、学校に行くとまた同じような事件が起こった。(今度は犯人が友達だった)
さすがの小二でもおかしいと思った。
いじめだった。とてもとても陰湿な。一人しかこの行動を起こさなかったらいじめだとわからなかっただろう。別の友達の告げ口によってわかった。
いや、その人はもうその時点で友達ではなかったのかもしれない。ぼくが一方的に友達だと思っていただけで、いじめについての話を知っている彼も加担しようという思いが少しでもあったのかもしれない。たとえ、これがただの「いじわる」だと思って加担しようとしたのだとしても、友達ではなかったのかもしれない。
もちろん、この事件はママ友がたくさんいるお母さんにしっかり伝わった。
そこでお母さんがぼくに対してとった行動は衝撃的だった。
あくまで、ぼくは一方的、勝手にいじめられていたのである。しかし、お母さんはぼくを叱った。いじめた二人に対しては何も言わなかった。
「お前がテープ一回取られた時に言っていれば早く対処できたのに。」
そう言いながら怒る母の目は憐れむようでも、悲しむようにでも、いやただ単純に怒っているようにも見えた。
それから二度と母を悲しませてはいけないのだと、心を決めた。そして、今回、この問題である。
「兄、お帰り!!」
めんどくさい奴が・・・
- Re: ボクノソバデ ( No.6 )
- 日時: 2021/03/30 20:41
- 名前: 幸福な赤い酒猫 (ID: 2Ujo/OfH)
「あー、おかえりしなくても普通でいいって何回言えばわかるんだ?俺はお帰りを求めてないんだよ!それに今日は一人で考えたいことがあるんだよ!」
「彼女さんのこと?それだった・・・」
「あーー、なんでお前がそんなこと知ってるんだよ!やだ俺は・・・って、彼女なんていんわ〜〜!!」
「かのじょいないってww。さすがにわかるよ、いる事くらい。だって兄、めっちゃ顔赤くなってるもん。恥ずかしくなってんの〜〜!兄、オモロイ!」
彼女ができそうだということはバレていてもぼくから告ったっていうことは分かんないみたいだ、良かった。俺が告ったなんて知られたら大変なことになる。
「兄、自分から告ったの!?すごいね!!私なんかブスだから自分から告るなんて絶対無理だよ〜〜!やっぱ兄はすごいんだね。」
言っておくが、ぼくの妹は美人で有名であり、中1現在で告られた回数は5回だ。さすがにこれは上出来すぎるだろ。僕なんて高1の時点で一回、しかもクラスの陰キャに。そういえばあいつ、どうなったんだろ。ま、ぼくの人生には一生関係ないだろうからいいか。
「おい好子、なんで俺が告ったってことになってんだよ。違うかもしんないだろ。」
なんでわかってんだよ〜〜!僕って図星つかれると焦っちまって変なのが表情に出ちゃうタイプ?自分は落ち着いていられる方だと思ってたのに〜〜!ショックな上に、ヤバイって、妹にバレるとかもう地獄じゃん!無理無理無理やっぱ無理、妹が知ってるとぼくが残念な人ってことになって慰められモードになるじゃん。
やだー!恥ずすぎる!!
「恋愛経験がない兄のために相談乗ってあげるからおいでよ。後、慰めも必要でしょ、どうせフラれちゃうから。」
「いやいーよ、とにかく、親にはこれだけは隠しとけよ、マジで頼むぜ。」
「あ、じゃあ相談に乗らせてくんないんだったら親に隠そうとしてたこと言うよ〜。それが嫌だったらおいで〜〜!」
舐めんなよー、クソガキ!!
ぼくは密かに、右手の中指を精一杯立てていた。
- Re: ボクノソバデ ( No.7 )
- 日時: 2021/05/01 13:22
- 名前: 幸福な赤い酒猫 (ID: .xQ.zB/T)
そんな非常にめんどくさい出来事もあって半強制的に僕は妹の部屋に連れてこられた。
すごい、久しぶりに入った気がする。知らぬ間にキラキラした女子の部屋って感じになっていた。ん?あれはなんだ?少しこの部屋に似つかわしくないものがある気がするけど・・・
「やだ、兄!何?女の子がキンプリのポスター貼ってて何か悪い?普通でしょ。ジロジロ見ないでー!やっぱちょっと恥ずかしいことに変わりはないから。」
「何が恥ずかしいんだか。小6にもなって怖いからって俺と寝ようとしたことよりは全然恥ずくないと思うけど!」
そう、去年、妹は僕と一緒におんなじベッドで寝ようとしたのだ。衝撃すぎん??
「それは普通でしょ」
妹はそのことがやっぱり恥ずかしい様で、顔を少し赤らめている。こんな顔してると、男子がどんどんやってくるんだろう。もうこれは同学年男子ホイホイだ。
「そんなことより、兄の恋愛についてでしょ。兄のお相手は何さん?」
「凛だけど。大山凛。ほんとにこれ意味あるの?」
「ふーん、凛さんねー。で、その子はモテる方?」
僕の問いは華麗に無視していくスタイル!
「だいぶね。でもサバサバしてるからあんまりっていう男子もいるけど。可愛いって噂ではあるけどね。」
「そんな子に告るなんて、兄も隅に置けないねー。で、どんな風に告ったの?ここ重要だからしっかり答えてね。」
「どんな風も何も。お前のこと好きなんだって。シンプルイズベストだと思うから。」
「うーん、そうでもいいけどなんかグッと心が掴まれる感じがしないんだよね。ちょっと兄、フラれる可能性が高まってるぞ!あとさー、告った感触聞いてんの。兄がどう言ったかより、これ大事だから!」
「感触って。えーなんかぁ、告ったらニコってして、ね、こんな感じで優しい感じでニコって。そんなお前みたいに怖くねえよ。お前、それコロッケさんだぞ。全然違う。あ、そうそう、そんでニコってしてチャイムなったから、そのまんま流れ解散したの。で、その後もあってないからなー。ちょっとその後のことはわかんない。」
「チェ、なんでその後会わないの。そこで普通○✖︎がつくのにさー。役に立たない兄。で、逃げられたんじゃん。もうこれは確実に線無くなったね。ま、一応五十億回に一回くらいOKもらえるかもだし、明日聞いてきたら。凛さんに。ま、どっちでもいいよ、どうせ無理だし。」
あいつ、こんなことになったからってあんなに投げやりな態度、普通とるか?いやいや、取らない取らない。
イラつくわー人の不幸を嗤ってー。今度あいつに彼氏できそうだったら不幸を願ってやろうと固く誓った。
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