コメディ・ライト小説(新)
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- .°*・.夕空〜君の瞳に映るのは〜.・*°.
- 日時: 2023/12/29 03:45
- 名前: KAORI (ID: 7sIm71nw)
・*°:°.Prologue.°:°*・
茜色に輝く夕空の下。
あの日、君の優しい顔。笑った顔。新しい一面を知って‥‥
君に恋をしてるんだなって気づいたーーー。
だけど。
君の瞳に映るのは‥‥
あたしなんかじゃなくて、 別の人だったーーーーーー。
恋なんかしなければよかった。
好きだって‥‥気づかないままだったらよかったーーーーーー。
そしたら。
ずっと、 今のままの関係でいられて‥‥。
こんなに、 涙することなんかなかったのにーーーーーー。
.*・°.夕空〜君の瞳に映るのは〜.°・*.
更新start:2023.1.2
.*・°.目次.°・*.
登場人物紹介>>1
PAGE1:>>2 PAGE2>>3 PAGE3>>4 PAGE4>>5PAGE5>>6PAGE6>>7
- Re: .°*・.夕空〜君の瞳に映るのは〜.・*°. ( No.3 )
- 日時: 2023/01/02 21:58
- 名前: KAORI (ID: XWWipvtL)
.°*・.PAGE2.・*°.〜先輩〜
「ーーーじゃあ、春原さんは部活入ってないんだ」
お互いに駅のホームで自己紹介をした後‥
同じ高校だと知り、駅から高校までの通学路を成り行きで一緒に歩くことになった。
あたしの心臓は‥ドクドクと波打っている。
こんな風に、男の子と一緒に登校することなんて今までなかったから変に緊張してしまう。
「まぁ‥‥あたし、バイトもしてるので部活とか入ったら大変かなーって思って‥‥」
先輩にバレないように必死に平静を保ちながら会話を続ける。
「あっ‥そういえば、先輩は何部なんですか?」
「ん?俺は‥新聞部だよ」
ーーー新聞部か‥。なんか意外だな。
キラキラしてる見た目だし、運動部かと勝手に思っていた。
「今年、全然新入生が入ってこなかったから困ってるんだよね。週に2回ぐらいしか活動してないから春原さん、良かったら見学来ない?」
予想外の先輩の言動にあたしはポカンとしてしまう。
「えっ‥あたし、ですか?」
「うん‥一人で入りにくかったら、友達連れてきても良いから‥」
そこで丁度、高校に着いた。
生物準備室で活動していると、言い残して
先輩は自分の学年の下駄箱へと向かっていった。
あたしも1年の‥自分のクラスの下駄箱へと歩を進める。
すると、背中を思いっきり誰かに叩かれる。
「いった!」
そう言って振り返ると。
「みーずきっ!おはよ〜」
「朱莉、声でけーぞ。‥おはよ、瑞稀」
そこには、見知った顔の二人がいた。
親友の香坂朱莉と‥小さい頃から一緒の幼馴染の‥山下綾人がいた。
「‥おはよ、朱莉。綾人」
そう返すと。二人はお互いに顔を見合わせて口を開く。
「瑞稀‥元気ない?」
「具合わりぃのか?」
ーーーあたしって‥そんなに顔に出るタイプなのかな。
「ちっ‥違うよ!元気だよっ」
そう取り繕い、あたしはそそくさと上履きに履き替えて自分の教室へと向かった。
「あっ‥置いてかないでよ、瑞稀〜」
後ろから朱莉の声がするもあたしは、歩く足を止めることなく歩を進める。
ーーー「なんだよ‥瑞稀のやつ」
背中から聞こえた綾人の声は‥あたしの耳には届かず。
ひたすらに、あたしは‥自分の教室へと足早に向かっていったーーーーーー。
- Re: .°*・.夕空〜君の瞳に映るのは〜.・*°. ( No.4 )
- 日時: 2023/03/30 23:44
- 名前: KAORI (ID: e1WTIp3A)
.°*・.PAGE3.・*°.〜見学〜
「何それ!めっちゃ運命じゃん〜」
お昼休み。
あたしは、毎日屋上で朱莉と綾人の3人でご飯を食べることが多い。
今朝の事を朱莉と綾人に話すと、目をキラキラさせながら朱莉がそんな事を口にしている。その隣で綾人はジトっとした目でお弁当を食べながら聞いている。
「そんな‥‥朱莉。運命って」
「運命だよ〜!だって、気になってたんでしょ〜?」
「まぁ‥確かにそれは否定できないけども」
ーーー毎朝‥見惚れてた事は事実だし。
すると、不意に口を閉じていた綾人の口が開く。
「ーーーそれで‥‥瑞稀はさ‥新聞部にその人がいるから入部するの?」
唐突な質問に。あたしは、一瞬固まってしまった。
「えっ‥まぁ、誘われたし見学は行こうかなって思うけど‥まだ入るかはちょっと分かんない、かな」
「‥‥ふーん」
ーーー気のせい、だろうか。
さっきから綾人が不機嫌な気がする。
「ーーー綾人。 なんか、怒ってる?」
「別に怒ってねぇよ。‥ただ、瑞稀が心配なだけ」
「え??」
言葉の意味が分からず、ぽかんとしていると。
横で朱莉がニヤニヤしながら口を開く。
「綾人はほんとに瑞稀のことになると心配性だよね〜。過保護というか」
「うっせぇよ、朱莉!!それ以上、余計なこと言ったら怒るからな!」
二人のやりとりにぽかんとしていると。
朱莉が口を開く。
「まっ‥見学はわたしも着いていくよ!だから綾人は安心してよ」
「はぁ!?‥そういう問題じゃないんだけど」
「えぇ〜?違うの〜??」
そんなやりとりをしているうちに。
慌ただしくお昼休みは終わっていった。
▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇
そして、放課後。
先輩に教えられた生物準備室の活動場所へと朱莉といっしょに向かう。
「朱莉‥ほんとに着いてきてよかったの?」
「え??なんで??」
「いやっ‥朱莉は、他に入りたい部活があったんじゃなかったのかなーって」
そう言うと。
朱莉は笑いながら返す。
「ないないっ!そもそも、わたし部活入らなくていいやーって思ってたぐらいだし。今日、着いてきたのは瑞稀の気になる人がどんな人か見てみたいっていうのが1番の理由だし」
朱莉は正直だな。
そんな会話をしているうちに生物準備室の目の前まで来ていた。
扉を開けると。
そこには、無愛想な男の人が1人と‥
「あっ‥ほんとに来てくれたんだ〜」
七瀬先輩がいた。
「えっと‥部員って‥」
「あぁ‥俺らの他に2個上の先輩たちがいたんだけど卒業していなくなっちゃって‥実質今は2人で活動してるって感じなんだよね」
ーーーそっか。だから今朝‥
新入生が入らなくて困ってるって言ってたんだ。
「この子達‥涙の知り合い?」
無愛想な先輩が口を開く。
目つきが鋭くて‥きつそうな印象の人だ。
「まぁ‥知り合い、ってことで良いよね?」
ニコッと先輩があたしの方を見て笑いながらそう言う。
不意な笑顔にまた、鼓動が高鳴る。
「は‥はい。‥初めまして。見学に来ました、1年の春原瑞稀です」
「あっ‥わたしは、ただの瑞稀の付き添いに見学に来ました!香坂朱莉です」
緊張しているあたしとは対照的に朱莉はいつもの調子で自己紹介をさらっとしている。
「俺は部長の七瀬涙。それでこっちが部員の桜井颯。愛想はないけど根はいい奴なんだ」
「うっさい、涙」
七瀬先輩にそう言われて、ちょっと照れくさそうにしている桜井先輩。
ちょっと可愛いかも。
それぞれの自己紹介をした後に部活の活動内容など七瀬先輩は丁寧に説明をしてくれた。
基本的には毎月1回の学校新聞の記事を書いて発行している‥という事だった。
テスト前は部員で集まってみんなで勉強会をしたりしていたらしい。
「俺らの先輩で‥すごく勉強できる人がいてさ。テスト前はよくここで対策してたんだよね」
そっと‥開いていた窓から風がそよいで。
準備室のカーテンを揺らす。
ーーー何か‥大切なものを見つめるみたいな目で。七瀬先輩はそう言った。
理由はわからないけど。
先輩のそんな顔を見たら‥
なんでだか‥胸の奥がぎゅっとして‥少しだけ切なくなった。
「だからさっ‥バイトしてても負担になる部活じゃないし、テスト前も助けてあげられるし。入って‥くれない、かな?」
切ない表情から一気に切り替えて。
七瀬先輩はお願いと言うかのように両手を合わせてあたし達に頼み込んでいる。
「わたしは、入っても良いですよ?テスト対策してもらえるのは助かりますし。活動も楽そうだし」
予想外の朱莉の言葉にあたしは驚く。
朱莉につられるかのように。
「じゃあ‥朱莉が入るならあたしも入ります」
そう口走っている‥‥あたしがいた。
- Re: .°*・.夕空〜君の瞳に映るのは〜.・*°. ( No.5 )
- 日時: 2023/05/08 21:34
- 名前: KAORI (ID: rys6jfTw)
.°*・.PAGE4.・*°.〜君の視線の先〜
「はぁ?結局、入部したの?」
朝の電車で偶然鉢合わせた綾人に新聞部に入部した事を話すと明らかに不機嫌そうな声色でそう言った。
「まぁ‥‥部員がいなくて廃部させたくなさそうだったし‥バイトとも両立できそうだし良いかなって」
捲し立てるようにそう返した。
あの時‥
七瀬先輩が‥不意に見せた大切な何かを見つめる様な視線を見たら。
なんとなく、 断れなくなってしまった。
「ーーーその七瀬って先輩のこと‥気になってんの?」
唐突すぎる綾人からの問いに。
あたしの鼓動はドキッとする。
「なっ‥何言ってるの‥そんなわけないし。ほらっ!早く行かないと遅刻するよ」
取り繕う様にそう言って、その場を流す。
あたしはせかせかと歩を進めて綾人の一歩先を歩く。
「っ‥明らかに動揺してんじゃん‥‥」
ボソッと呟いた綾人の言葉は‥
あたしの耳には届いてなかったーーー。
▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇
ーーーキーンコーン‥。
『七瀬って先輩のこと‥気になってんの?』
綾人の今朝の言葉が頭の中で反芻しながらも
1日は過ぎて、あっという間に放課後になった。
活動場所である生物準備室の扉を開けると。
七瀬先輩1人だけが既に来ていた。
だけど‥先輩は机に顔をうずめて
寝息を立てて寝ている。
長いまつ毛。整った顔立ち。
電車の中での横顔も綺麗だけど‥
寝顔も‥とても綺麗で、思わず見惚れてしまう。
準備室の窓は少しだけ空いていて。
春の心地よい風がそっと吹いてカーテンを揺らしている。
どのぐらい経っただろうか。
見惚れていたその時だった。
「‥‥紗奈‥先輩‥」
寝言で‥彼はそう言った。
瞬間。
心臓を鷲掴みにされたみたいに思考が停止した。
はっきりと聞こえたのは‥
年上の‥女の人の名前だった。
本人に聞かなくても‥わかる。
寝言で名前を呼ぶぐらい‥きっと、先輩にとって特別な人だったんだろうと。
そして‥今でもきっと‥大切に想ってる人なんだろうとーーーーーー。
「‥‥っ‥‥」
瞬間。
あたしの頬を涙がつたっていく。
馬鹿だな‥。
こんなタイミングで自分の気持ちに気付くなんてーーー。
気づくと‥窓の外から見える空はオレンジ色に染まっていて。
夕陽の光が差し込んでいた。
この瞬間。
あたしは‥
ーーーーーー別の誰かを想う貴方に恋をした。
- Re: .°*・.夕空〜君の瞳に映るのは〜.・*°. ( No.6 )
- 日時: 2023/12/29 03:06
- 名前: KAORI (ID: 7sIm71nw)
.°*・.PAGE5.・*°.〜それぞれの想い人〜
「へぇ〜…それで結局その日は帰っちゃったの?」
翌日の放課後。
学校近くのカフェで朱莉に昨日の事を話した。
ーーー七瀬先輩が寝言で呟いた紗奈先輩。
ーーーそして…あたしが七瀬先輩に恋をしている事を自覚してしまった事も。
「七瀬先輩はその紗奈先輩って人が好きなだけで別に付き合ったりしてないんでしょ?…だったら、好きになっても何も問題ないんじゃない?」
朱莉がチョコレートケーキをもぐもぐ食べながらそう言った。
「確かに…女の人と一緒にいる所は見た事ないから付き合ったりとかはしてなさそうだけど…」
「けど?」
あたしは、ミルクティーを一口飲んで言葉を続ける。
「好きな人がいて…フラれるって分かってて…好きになってもいいか迷ってる」
「ーーー別にいいんじゃないかな?」
朱莉に止められると思っていたわたしは、予想外の言葉にポカンとする。
朱莉はあっけらかんとした顔で言葉を続ける。
「想ってる人が今は違う人だとしても、人の気持ちって変わったりするし。瑞稀が一途に想ってれば先輩の気持ちもいつかは瑞稀に向く可能性もあるからわたしだったら気にせず、先輩を好きでいるかな」
真っ直ぐに…真剣な瞳で朱莉ははっきりとそう言った。
朱莉の考え方はあたしとはいつも違ってて。
相談する度に毎回的確なアドバイスをくれて。あたしは、そんな朱莉にいつも救われている。
「わたしは、こういう考え方なんだけど。参考になった、かな?」
朱莉がカフェモカを飲みながらあたしの顔を覗き込む。
あたしは小さく頷いて。
「うん‥すごく参考になった。ありがとう」
「それなら良かったよ〜。まぁ、わたしは今の瑞稀の気持ちを1番大切にしてほしいからさっ!またなんかあったら何でも相談してね」
笑顔を見せながら、朱莉はそう言った。
その後は適当な雑談をして朱莉とカフェでの時間を過ごした。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
気づいたら19時近くになっていたため、急いでカフェを出て自宅へと向かう。
「ーーーあれ?瑞稀?」
朱莉と別れて、帰り道を歩いていると背中から声がして振り返る。
「え‥‥綾人」
綾人が小走りでこちらに向かってきて、あたしの隣へと来る。
「帰り‥今日は遅いんだな。朱莉とどっか行ってたのか?」
「うん‥カフェで長話しちゃって気づいたらこんな時間になってた」
そう言うと。綾人はため息を吐いて口を開く。
「そんな事だろうとは思ったけど‥。家まで送る」
「えっ‥いいよ、そこまでしなくて。家、もうすぐだし」
「最近、この辺り物騒だし。瑞稀は女の子だし心配だから送る」
何を言っても送ると言い張りそうだったから、あたしはそれ以上は何も言わず綾人の言う通り家まで送ってもらうことにした。
「ーーー朱莉とカフェで何話したの?」
不意に綾人にそう聞かれる。
あたしは、一瞬口ごもり言葉を返す。
「うーん‥あたしの‥‥恋愛相談、的な」
「瑞稀‥好きな奴、できたの?」
「えっと‥まぁ一応、ね」
綾人には興味のない話題かと思っていたのに、意外と食いついてきて驚いている。
「それってさ‥例のあの先輩、とか?」
「あははっ‥せいかーい。綾人はやっぱ鋭いね。まぁ、その人ね他に好きな人がいそうなんだけどそれでも好きでいることにしたんだ〜」
なるべく明るいトーンでそう言った。
だけど、綾人はじっとあたしを見たままそれ以上は何も言わずただ隣を歩いている。
なんだか‥綾人が不機嫌な気がする。
「綾人?」
「ほらっ‥家着いたぞ。じゃあな」
気がつくとあたしの家の前まで来てきた。
そそくさと走り去る様に綾人は帰って行った。
「なんなの‥‥」
ボソッとあたしは、そう呟き家の中へと入った。
この時のあたしは‥綾人の気持ちになんか何一つ、気づいてなかったーーーーーー。
- Re: .°*・.夕空〜君の瞳に映るのは〜.・*°. ( No.7 )
- 日時: 2024/01/01 23:21
- 名前: KAORI (ID: XWWipvtL)
.°*・.PAGE6.・*°.〜好きな人の好きな人〜
ーーー放課後。
あたし達の学年は、現在高校に入ってから初めての中間テストで部活動は休み期間に入り友達同士で教室や図書室で勉強する姿がやたらと目に映る。
あたしはというと…新聞部に行けば先輩達が残していったテストの過去問がある為、それを参考にしたいがために生物準備室で連日テスト対策をしている…と、いうのは建前で。
ーーー本当は、 七瀬先輩に会いたくて準備室で勉強をしている。
我ながら不純な動機、と思いつつ準備室の扉を開ける。
そこには、桜井先輩が1人問題集を広げて勉強していた。
「あれ……桜井先輩だけですか?七瀬先輩は?」
桜井先輩は、無愛想な表情のまま問題集から目を逸らさずに答える。
「涙は、今日委員会だから遅くなるって言ってた」
「あ…そうなんですね」
あたしは、それ以上は何も言わず桜井先輩の隣に座り鞄から数学の教材を出して広げる。
その様子をじっと、桜井先輩が見つめている。
視線が気になってしまい、あたしは思わず口を開く。
「えっと…どうかしましたか?あたしの顔に何かついてます?」
「ーーー春原さんってさ、 涙の事…好きだったりする?」
あたしの問いかけを遮るかのように…桜井先輩はあたしに向かってそう聞いた。
その問いかけにあたしは、思わず気が動転してしまう。
「なっ…な…そんなわけ、ないじゃないですか」
「誤魔化さなくていいよ。見てて分かるし」
否定したにも関わらず、桜井先輩はそう言いきった。もう、何を言っても誤魔化せない。
そう確信したあたしは、ゆっくりと口を開く。
「ーーー七瀬先輩に…好きな人がいるって事は知ってます。分かってる上で…好きです」
はっきりとそう言うと。
桜井先輩は、目を大きく見開いて言葉を発する。
「ーーーそれ…涙から聞いたの?」
「いえ…前に七瀬先輩が寝言で紗奈先輩って言ってたのを聞いて…」
瞬間。桜井先輩のシャーペンを走らせる手がピタリと止まり
顔を上げてあたしと向き合う。
「なるほど、ね。…知りたい?紗奈先輩の事」
真っ直ぐな真剣な瞳で…桜井先輩はあたしに問いかける。
「話してくれるなら…知りたいです」
知るのは…正直怖かった。
だけど、七瀬先輩の大切な人がどんな人か知りたいと思う気持ちの方が強かった。
桜井先輩は、真剣な表情であたしの目をじっと見つめながら口を開く。
「ーーー春原さんの思ってる通り。紗奈先輩は…涙にとって今でも大切で、 好きな人だよ」
頭を鈍器で殴られたみたいに…衝撃が走る。
分かってはいたけど…改めて聞くと胸が苦しくなる。
この時。
ーーーあたしの好きな人には…他に大切に想う人がいるんだって
知った瞬間だったーーーーー。
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