コメディ・ライト小説(新)
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- 猫に九生 人に一生
- 日時: 2024/08/05 17:19
- 名前: 日影@hikage (ID: X4YiGJ8J)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode
猫は意外と身近にいて意外と遠くで生きている。
人のためではなく自分のために生きるのが猫だ。
不定期更新。
イッキ読み>>01-
一話 >>01 噂
二話 >>02"ひ" と "と"
三話 >>03 初めの第一生
四話 >>04 これからの生き方
五話 >>05 新しい生活
六話 >>06 前の人生
七話 >>07 気持ち
- Re: 猫に九生 人に一生 ( No.3 )
- 日時: 2023/09/29 19:24
- 名前: 日影@hikage (ID: viErlMEE)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode
死んだ。気が付いたら死んでいた。記憶にある限り僕は寝ていた。寝ていて、それから、気づいて時計を見ようとすると、あたりは暗い空間だった。
これは初めてだったけれど、なんとなく慣れていた。前に同じことがあったかのように。手には傷がついていた。それが「3」と書かれているような気がしたが今はそんなことどうでもいいと思った。
しばらく時間が過ぎた後、自分から見て右側に人の絵が、左側に猫の絵が描かれていた。
何かはよくわからない、が、どちらかに飛び込む必要があるように見えた。これも、前に起きたことがあるかもしれない。
上に数字のルーレットみたいなものが出て、トゥトゥトゥとスロットが回っている。
そして後ろから壁が迫ってきた。どこからか声が聞こえる。
「5,4,3,2,1,」
- Re: 猫に九生 人に一生 ( No.4 )
- 日時: 2024/01/20 21:38
- 名前: 日影@hikage (ID: F7nC67Td)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode
僕は、〇に飛び込んだ。
あたりは、きれいな夕焼けが水面に映り、ギラギラとなびいていた。ここは見覚えがあった。でも、
「ここは、どこ…」
と言ってしまった。果てしない水平線の先に助けを求めているかのように。
新しい一生のスタートだ。前の自分は返ってこない。そのことが何故か分かった。前、どこかで、体験したのかのように。でも今は新しい自分なのだから、そう悩むことはない。
自分は砂浜に立っていた。一人ぽつんと。かといって、そこにはたくさんの人がいた。そこはすぐ近くにハウスがあり、アイスクリームを売っていた。
そこへ誰かがしゃべってきた。
「君は分かっているか、分かっていないかは知らないが、前に二つの命を使ってきた。流石に早すぎてこっちも疲れるよ。猫を選んでよかった。君がすぐ見つけられるからね。ふぅー。ハハハハ。面白いや。言葉が通じるなんて。僕が天才じゃなかったら君はいない。感謝するんだよ」
僕は気が付いたら威嚇の姿勢になっていた。爪と言う刃を傾けて、目をギラギラさせ、顔をやや下に向け、目を上にやって、相手をにらみつけた。
「おいで。君。そんな事したって此処じゃ生きることができないだろ。流石に猫だと言ったって、頭は人間だ。賢い頭を使え」
言いなりになるのは嫌だった。だから、ついていった。いつか、この変な奴をやっつけるために。
- Re: 猫に九生 人に一生 [連載復帰] ( No.5 )
- 日時: 2024/04/08 12:55
- 名前: 日影@hikage (ID: X4YiGJ8J)
ご飯を貰う。毎日同じってことがないから、美味しい。
最近は暇なことがない。"あの人"にショッピングモールに連れ出されたり、旅行をしたり、もちろんバッグの中に入ってだけれども。楽しみがあって、前とは大違いだ。その"前"とはとても違う生活をしていた。
三時のおやつもあり、暇があれば飼い主を殴っている。(猫パンチだからとても弱いのだけれど)
身に危険が訪れることはほぼない。あるとしたら、ムカついて脱走したときや、予防接種の時の注射くらいだ。
ただ、あの人たちに会えない事だけが欠けていた。初めて、友達になってくれた人たちだ。
前世は猫だった事、最初言葉も分からない僕を助けてくれた人の事、初めて遊んでくれた人の事、すべて覚えている。
その人たちにいきなり行方の分からなくなった僕を見つけてほしい。猫なのだからわからなくても、顔を合わせてほしい。
それだけが望みだ。
- Re: 猫に九生 人に一生 [連載復帰] ( No.6 )
- 日時: 2024/04/19 21:57
- 名前: 日影@hikage (ID: X4YiGJ8J)
雨が嫌いな人でもあかりに照らされる雫はとてもきれいに見える。それと同じで、人もライトで照らされたら、何処かきれいに見える。
前の人生で楽しくしてくれた友達に会いたい。それを伝えるには…。
"あの人"が新聞を読んでいる。
あっ!日本地図!これで指させば…!
伝わるか…。
「どうしたのか。遊びたいのか。」
違う。そうじゃない。なんでそうなるんだよ。
僕は大きく首を横に振った。
「ここは、広島だよ。どうしたの?」
くそ…。試行錯誤を繰り返して何度も考えた。その時、新聞をあの人がめくった。そのページに書かれていたgo to travelに目をつけ、一瞬のすきに肉球で新聞を指さした。
「広島…。旅行…。広島に旅行に行きたい、ってことか!それもいいな…」
大きくうなずいた。
「お金がたまったらね。でも猫だったら宿泊料かからないか。でもなんで…」
やった。目的は果たせた。すっと終わった。なんであんなに悩んでいたんだろう。
「広島のどこ行きたいの?広島市?」
また大きくうなずいた。
「今、五月だから。七月の休暇入ったらいいよ、それにしても広島か…広島焼食べたいなぁ」
「…」
僕が家から沖に飛ばされた時、人でいた時の月日は五月六日の夜。猫の状態で初めて時計を見たのが夕方の方。一日に飛ばされていることが分かった。新たな情報だ。一晩、だいたい20時間くらいで飛ばされていたのか…。
- Re: 猫に九生 人に一生 ( No.7 )
- 日時: 2024/08/05 17:20
- 名前: 日影@hikage (ID: X4YiGJ8J)
猫として生きて、いい所はたくさんある。
まず、何をしなくても生活ができる事。自由気ままに生きていても、仕事も作業もしなくていい事だ。"あの人"が世話をしてくれる。ご飯をくれて、掃除をしてくれて、なんにも縛られない生活っていうのは悪くない。
また、可愛がられる。"あの人"がいないときに散歩をするのだが、登下校中の子供や老人が愛想らしく接してくれる。とてもいい気分になる。一番うれしいのは女子高k…、この先は言わないことにしよう。
でも、それだけではなく、悪い所もある。
1つは、動きずらいし、体が制御することが難しく、普段の行動が難しい事だ。
2つ目はとにかく暇すぎる事だ。仕事がない事は嬉しい事だけれど逆に暇すぎる。暇つぶしもなければ寝ていることしかできない。暇すぎる。ゲームも漫画も本も折り紙もない。唯一"あの人"が遊んでくれることくらいだ。
でもなぜか、"あの人"がいる時に「暇だな」と思うと、なぜか"あの人"が遊んでくれる。もっと何かあったらいいのに。
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