コメディ・ライト小説(新)
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- 桜はすぐに散るから
- 日時: 2024/03/05 23:21
- 名前: 黒百合 (ID: SGjK60el)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13867
⬆️作家プロフィール
※製作中です。7日目までは読めます。
しばらく失踪します!
「私は桜と一緒に散るんだ」
桜のような見た目をした・春川紗倉。
桜の木の下で出会った彼女と過ごす10日間だけの青春の日々。
【設定】
花崎晴斗(15)
・主人公
・茶色のセンターパート
・楽しいことがしたい
・少しだけ怖がり
・170cm
春川紗倉(15)
・ヒロイン
・桜色のボブヘア
・大人しい?
・ミステリアス
・163cm
花崎美晴(19)
・花崎晴斗の姉
・茶色のセミロング
・明るい
・172cm
1日目 桜の木の下で >>1
2日目 初めてのデート >>2
3日目 海と赤い頬 >>3
4日目 景色と風 >>4
5日目 公園と嫉妬 >>5
6日目 動物と嫉妬 >>6
7日目 君の言葉 >>7
8日目>>8
9日目>>9
10日目>>10
- Re: 桜はすぐに散るから ( No.3 )
- 日時: 2024/01/04 22:47
- 名前: 黒百合 (ID: tuakPBCn)
朝、起きるとなぜか、俺がベッドの上にいる。そして春川がいない。春川を探すために俺は、家の中を歩き回る。出ていったんじゃないよな。もし、そうだとすれば、俺の何がいけなかったんだ。そんなことを考えていると、1階から音が聞こえる。見に行くと、春川が料理していた。
「あ、花崎、来てくれたんだ。花崎が起きてくれないから、呼びに行こうとしてたんだよね」
時計を見ると11時だった。こんな時間まで寝てたのか。
「なんで、俺がベッドの上にいたのか分かる?」
疑問に思ったことを聞いてみる。
「私が起きたあと、花崎をベッドの上に投げておいたから」
ベッドの上に投げておいた!?春川が力持ちすぎて怖くなる。
「朝ごはんも出来たし、食べようか」
春川が俺をじっと見ている。
「どうしたの?」
なぜ俺を見ているのか聞いてみる。
「花崎ってよく見るとカッコいいなって思っただけ」
ドキドキして心が焦げたように熱くなった。
「春川も可愛いよ」
つい口が滑った。こんなこと言ってしまって良いのだろうか。
「えっ、ありがとう」
春川の顔が赤くなっている……可愛い。俺たちは恥ずかしがって、目を合わせられなくなっている。沈黙が続いている。俺たちは、目を合わせず食事をする。
「ねぇ、今日どこ行く?」
春川が聞いてきた。今日は考えておいた。
「季節外れかもしれないけど……海、行こう!」
俺は昨日、寝る前にずっと考えていた。
「海ねぇ……」
あれ、もしかして海嫌い?
「行きたい!けど、水着ないよ」
春川が喜んでいるが水着がないそうだ。正直、春川の水着姿が見たかったということは、置いておこう。
「水着なくても、砂浜までなら行けるよ」
そう言ったら、春川は微笑んだ。早速、海へ行こうか。今日も電車やバスを乗り継いで行く。車窓を眺めていたら、海に着いた。
「わぁ~、海だ~!」
無邪気に笑う、春川に見惚れていた。久しぶりに海に来たな。
「ねぇ、足だけなら入れてもいいよね?それなら服も濡れないから」
俺たちは、海に足を入れて手を繋ぐ。海風が少し吹いている。穏やかな波を見つめる。
「海ってどこまでも広くていいよね。私もどこまでも行きたいな……」
春川の目から涙が流れる。俺は指で顔を撫でるように、涙を拭いてあげる。
「春川、泣かないで。俺がついているから」
カッコつけた台詞を言ってしまい、恥ずかしくなる。
「顔、赤くなってるよ」
さっきまで泣いていたとは思えないぐらいに春川は笑う。
「夕焼けのせいだよ」
顔が赤いことを夕焼けのせいにする。
「違うでしょ。頬だけが赤いよ、恥ずかしがってるの?」
春川はさっきよりも笑顔になる。この愛しい笑顔を守れたならいいな。
「そう言ってる春川も顔が赤いけどね」
春川のが俺より赤くなってる気がする。
「うるさい……私も夕焼けのせいだから!」
照れている春川が可愛い。春川も夕焼けのせいにするんだ。
「俺たち、似ているかもな」
俺らは似た者同士。そう思った。
「フフッ、そうだね」
二人の笑い声が海風に乗っていく。幸せな時間がずっと続けばいいのに。それからも海風を浴びながら、波を見つめていた。
「よし、帰ろう!」
春川がそう言い、俺たちは自分たちの住む町へ帰る。
「やっぱり海って良いよね。時間を忘れられるから……」
確かに海にいると時間を忘れられる気がする。
「本当に時間を忘れられたらいいのに……」
春川は、本当に時間を忘れたいよな。だって時間さえなければ、春川はずっと生きていられるんだから。今日も春川の家に行き、前回と同じように寝る。
__また、幼い頃の夢を見た。
「あれ?この前の人だ!」
少女は俺に声をかける。
「桜、見に来たの?」
少女に問われて、そうだと言う。
「もう3日経ったけど、まだ綺麗だね」
俺は呟く。綺麗なものは、いつまでも綺麗だ。
- Re: 桜はすぐに散るから ( No.4 )
- 日時: 2024/03/20 16:21
- 名前: 黒百合 (ID: SGjK60el)
目を開けると、目の前に春川がいた。床で寝ていて俺の横にいる。
「おはよう」
春川に言われ、俺も同じ言葉を言う。
「ねぇ、何やってんの?」
気になりすぎるので聞いてみる。
「驚かせようとしたんだけど、驚かなかったね」
驚かせたかったらしい。どうしても春川の性格がよくわからない。
「今日は、どこ行くの?」
春川に問う。
「ちょっと悪いことしよ……」
悪いこと!?どういうことだろうか。
「春休みの夜の学校に忍び込もうよ」
何をどうして、こんなことが思い付いたのだろうか。でも面白そうだから、やってみるか。
「分かった。じゃあ、夜まで何する?」
春川が少し考えている。
「橋の上にでも行かない?」
橋……吊り橋効果?
「どこの橋、行くの?」
うーん、と春川は考える。
「近くの橋!」
おい、近くの橋かよ。
「近くの橋なんかでやることある?」
「景色を見に行こう。たぶん綺麗だよ」
言われてみれば、あの橋から景色を見たことないかも。
「行こうか」
近くの橋……秋茜橋(※創作の地名)に着いた。
「なんで秋茜橋って言うか知ってる?」
春川に問われ、知らないと言う。
「単純な理由でね、赤いからだよ」
春川がそんなことも分からないの?とでも言いたそうな顔で見ている。その目でずっと見つめられたいと思ってしまった俺は変態だろうか。
「それじゃ、景色見るかぁ」
俺は景色を見る。
「うわぁ~、綺麗だね」
俺たちは景色に感動している。やることがなくてもこの景色を見れるだけでいいのかもしれない。遠くに見えるビルや住宅街、その中に見える木や川、自然と人工。その景色に見惚れていたら、夕方になっていた。
「じゃあ、家に帰って学校に侵入する計画を考えよう」
作戦を考えるため春川の家に帰る。
「どうやって入るの?」
とりあえず聞いてみる。
「柵を越えて、校門から入ってみよう!」
そのやり方で行けるのか問う。
「大丈夫、今日は先生いないし、セキュリティはハッキング済み」
春川が本当にヤバイやつな気がしてきた。
「よし、行こうか!」
夜の学校に入る。暗くて怖い。
「あれ?花崎、怖がってる?」
春川にからかわれて恥ずかしくなる。
「怖くない」
俺は怖くないと強がる。背筋に違和感を感じ発狂する。
「ん?私が触ったんだけど……怖かった?怖いなら、私の腕に掴まっていいよ」
結局、春川の腕に掴まることにした。
「そういえば、学校に何しに来たの?」
理由もなく、学校に来るとは考えられないので聞いてみる。
「遊びに来た」
俺は思わず、は?という。
「遊びに来ただけだよ」
春川の考えがよくわからない。
「とりあえず屋上行こうか」
何を考えているか読めないが、それも魅力なのかもしれない。屋上に着いた。さっきも思ったが、高いところから見る景色は良い。
「いいね、屋上。普段、来れない場所だからかな?」
そうかもな。してはいけないことをしたくなるのが人間なのかも。夜風が心地良い。春川の髪が風で揺れ、良い匂いがする。そうしていると時間が遅くなったので、家に帰ることにした。帰りも校門から出ていくことにした。春川の家に着き、俺たちはすぐに寝た。今日は二人でベッドで寝る。
- Re: 桜はすぐに散るから ( No.5 )
- 日時: 2024/03/18 05:19
- 名前: 黒百合 (ID: SGjK60el)
昨日は疲れたからだろうか。春川は、まだ寝ている。寝相が悪く、布団から出ていたので、布団を掛け直す。頭を優しく撫でて、俺は部屋から出る。今日は久々に公園の桜が見たくなったから。春川と出会った思い出の場所の桜。支度をして、俺は公園に向かう。誰も座っていなかったので、ベンチに座る。小学校低学年ぐらいの子供達が遊んでいる。サッカーをしたり、鬼ごっこをしたり、ドッジボールをしたり、楽しそうでいいなとか、そんなことを思って見ている。後ろから肩に手を置かれる。
「ねぇ、花崎……私のこと置いていって、こんなところで何してるの?私がいなくて、楽しい?……私のこと嫌いになったんだね……」
耳元で囁かれて、後ろを見ると春川がいた。春川がヤンデレ化してしまった。
「久々に、この公園に来たくて来たんだよ」
すぐに納得してくれた。ヤンデレ化しても、すぐに直ることが判明した。春川が俺の隣に座る。
「この公園って結構、人多いよね。私たちがなんかしてもバレなそう」
小学生が蹴ったボールが春川の頭の辺りに飛んでくる。俺が手でボールを打ち落とす。思ったよりボールが痛かった。
「あ、ありがとう」
春川が頬を赤くして照れながら、お礼を言ってくる。ボールを蹴った小学生が近づいてくる。
「ごめんなさい。お二人がイチャイチャしている所に、水を差すようなことをしてしまって……」
こいつ、本当に小学生か?
「でも、お兄さん。彼女、守れて良かったでしょ?」
小さな声で笑いながら俺に言ってくる。この小学生、人の心の中まで読んでくる。もう一人、小学生が近づいてきた。
「ねぇ、二人はいつから付き合ってんの?どこまでした?」
おい!さっきの小学生とは、違った理由でヤバい奴来たんだが。
「ちょっと、その質問には答えられないね……」
俺はとりあえず、そう答える。
「へぇ~。つまんないの」
つまんないとか言わないでくれよ。聞いてきたの、お前だろ!
「ごめんね。私たちは、付き合っているってことしか言えないかな」
やっと小学生は納得してくれた。小学生達が帰っていく。
「あ!晴斗、こんなとこで何やってんの?」
よりによって、一番見つかりたくない人に見つかる。それは俺の姉の花崎美晴だ。
「誰……お前?」
また春川がヤンデレ化した。
「この子、彼女?」
美晴に聞かれる?
「ねぇ、あんた何者?花崎は私のもの!」
春川が、いつもより低い声で言う。春川の目の光が消えている。
「ずいぶんと嫉妬深い子だね」
美晴が微笑んで言う。
「黙れよ。あんたは、花崎の何なの?」
春川のヤンデレ化が悪化していく。公園なので、周りに人がいる。
「ねぇ見て!」
「あ、修羅場かな?」
周りの人から、色々と言われているからやめてくれ。
「春川、落ち着いて。こいつ、俺の姉だから」
理解してない顔で春川が見てくる。
「どういうこと?」
理解できてないのか。
「だから!こいつは俺の姉で、春川は人の姉に嫉妬していたってこと」
あ、どうしよう?と言いたそうな顔で春川が見てくる。
「私、何やってんだろ……」
絶望的な表情をしている。
「まぁ、元気出しなよ。春川ちゃん!」
そう言って、美晴が春川に近寄る。美晴が春川の耳元で何かを呟き、春川の顔が赤くなる。
「じゃあね!私、帰るから。お二人は楽しんで!」
美晴が帰っていく。じゃあ、俺たちも帰るかな。そして、俺らは家に帰った。今日も夢を見ずに眠った。
- Re: 桜はすぐに散るから ( No.6 )
- 日時: 2024/03/18 05:21
- 名前: 黒百合 (ID: SGjK60el)
着信音で飛び起きた。美晴からだった。
「おはよう、晴斗!」
朝から何だよ。心の中ではキレている。
「昨日の子とはどういう関係なの?教えて!」
面倒くさいやつ、ここにもいた。
「彼女だよ!」
耳元で春川が言う。いつの間にか、春川が起きていた。
「あ、春川ちゃんだ。ねぇ!婚約届け書いてあげようか?」
是非とも書いてほしい。だけど春川は……。
「書いてほしいんだけどね……」
春川が事情を全て説明する。
「そ、そうなんだね。春川ちゃん……」
美晴が涙を流しているのが電話越しでも分かる。美晴が泣くのは珍しい。
「泣かないで、美晴さん!私は花崎と居るだけで幸せだから!」
春川が必死に言う。
「ごめんね。私は何もできなくて……私に出来ることがあったら何でもするよ」
そう言われて、すぐに春川は答える。
「デートスポット教えて!」
それでいいのか?でも何でもするって言っていたから、間違いではないのか。
「動物園とかどうかな?」
美晴に言われて、春川が少し考える。
「行きたいよね!」
春川がキラキラした目で俺を見る。春川って動物好きなのかも。
「行こうか」
動物園に行く事になり、春川が喜んでいる。
「お金は私が出すから、行ってらっしゃい!」
美晴がそう言って、電話を切る。俺らは動物園に向かう。最初に見たのはパンダだ。
「あ~、パンダ可愛い~」
春川がパンダに見惚れている。その姿に俺は見惚れていた。
「次はライオン、見に行こう!」
さっきまでパンダに見惚れていたのに、もう次の動物を見に行くなんて、意外と目移りする人なのかもしれない。
「ライオン、カッコよくて可愛いよね。ずっと見ていたい」
俺に共感を求めて聞いてくる。ここは、ちょっとふざけて答えようか。
「ライオンよりもカッコよくて可愛い、俺がいるだろ☆」
周りの人から冷たい目で見られる。
「は?何、言ってんの?」
春川にも冷たい目で見られる。
「ごめんね」
俺は即座に謝る。
「さっきの冗談だよ。本当は、キュンってした!」
キュンってしたという表現が気になったが、俺は人生で初めて女子をキュンキュンさせたことが嬉しかった。
「次は、ペンギン見に行こうよ」
俺が言うと、春川は元気な声で賛成と言った。
「ペンギン、可愛い」
実は俺、ペンギンが好きなのである。ペンギンをずっと見ていると、横から殺意を感じるぐらい強い視線を感じる。
「私、可愛い?」
まるで、口裂け女の私、綺麗?という台詞のように怖かった。
「春川も可愛いよ」
とりあえず、このように言えば良いと思ったらダメだった。
「私とペンギン、どっちが可愛い?」
俺は少し悩んでから、春川と答える。
「すぐに、春川(私)って言わなかったの、なんでかな?もしかして、私のこと嫌いなの?」
あぁ。またヤンデレ化させてしまった。俺はとりあえず、春川を置いていって、その場から逃げる。美晴に電話をかける。
「ねぇ、助けて……」
春川がヤンデレ化したことを説明する。
「可愛いって、言い続ければ直るよ!」
そう言われて、電話を切られる。春川のもとに戻ると、いない!?
「私、春川さん、今、あなたの後ろにいるの」
後ろから、そう言われる。今度は、メリーさんのような台詞を言ってきた。
「大丈夫だよ。私、怒ってないから。私も可愛いよね?」
可愛いと言い続けてあげた。
「好き!」
春川に大きな声で言われ、恥ずかしかったが嬉しかった。その後も色々な動物を見て周り、家に帰った。明日も楽しい日だと良いなと思いながら、眠りについた。
- Re: 桜はすぐに散るから ( No.7 )
- 日時: 2024/03/18 05:26
- 名前: 黒百合 (ID: SGjK60el)
「カフェ行こうよ!」
春川に体を揺さぶられて起こされる。
「なんでカフェ行きたいの?」
急にカフェ行きたいとか言ってきた理由が知りたかった。
「デートといえばカフェだと思うからカフェ行きたいって思ったんだよね」
それが理由なのか。でもカフェに行きたいという気持ちはわかる。
「じゃあ、行こう!」
まだ俺は返事をしていない。それなのに、俺が行きたいという気持ちを見透かしたのだろうか。
「ちょっと待て!今、何時か知ってる?」
俺は春川に問う。
「知らない」
なんと今は3時なのだ。それなのに、こいつは起こしてきてカフェに行こうと言ってきた。
「時計見て!3時だから……こんな時間にカフェやってないよね」
春川が時計を見て驚いている。
「え?本当だ。起きていていい?」
こんな時間だということに気づいてくれたことはいい。しかし、春川は起きていようとしている。
「寝てくれ!」
俺は寝不足だと吐き気に襲われやすい。
「え~。寝ない」
結局、春川は寝てくれた。俺が寝れていない……いや、寝れない。春川が俺の腕を枕にして寝ている。その顔が可愛くて、何か良い匂いがして、寝れないのだ。
「おはよう!」
春川の声が頭に響く。朝7時か……。寝不足で吐き気がする。
「早く出掛けようよ!」
朝からなんでこんなに元気なんだろうか。俺は身支度を整え外に出る。太陽が眩しい。
「ここのカフェ来てみたかったんだよね」
早速、店内に入る。俺たちは一番奥のテーブル席に座り注文する。カフェラテ2つとケーキを2つ。注文をしたらすぐに来た。
「うわ、美味しそう!」
春川が目を輝かせている。確かに美味しそうだ。カフェラテのほろ苦さとケーキの甘さのバランスが良い。俺たちはカフェで1時間ぐらい過ごす。
「よし家に帰るか!」
そう言いながら席から立ち上がる。会計は勿論、春川が払う。外に出て、周りの景色を見る。この場所は、ビルが建ち並ぶ都市の中にそっとあるんだな。改めてこのカフェの周りを見て思った。
「そういえば私たち、恋人なのに恋人繋ぎしてないよね……」
確かに、と共感する。春川が俺と生きる時間は、もう4分の3終わってしまっているけど。そう考えると切なくなる。俺は春川の手を握りしめる。生きてる温もりがする。
「温かい……」
春川が呟く。春川と俺は、同じことを考えていると思いながら家に帰った。春川は、疲れたのか、すぐに寝てしまった。俺もすぐに寝ないとな……そう考えながら、春川の寝顔を見る。明日も春川が楽しく生きられますように……と願いながら寝る。
__また幼い頃の夢を見た。
知らない少女が今日も話しかけてくる。
「今日も桜、見に来たの?」
少女の目を見て俺は頷いた。
「桜、好きなんだね」
少女に言われる。俺はまた頷く。
「好きなものを好きって言えるのは良いことだよ」
この少女の言葉が今も俺の心には残っている。
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