コメディ・ライト小説(新)

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とある日常生活 
日時: 2025/05/24 15:40
名前: 小説好きな医師 (ID: lCrzzWFh)

こんにちは、小説好きな医師と申します。

今回は「とある」と呼んでいる小説を中学3年生の頃に書いたので、公開していきたいと思います。

急遽、荒らし行為対策のため再び転送させていただきました。

ゆっくり投稿していきますので、「いや今日投稿されてねえじゃん!!」とか思ってても我慢してください。作者は何かと現実世界の別のことで忙しいのです。

閲覧回数が20回を突破しました!(2025年5月4日)

閲覧回数が40回を突破しました!(2025年5月5日)

TellerNovelに公開しました!(2025年5月6日)

閲覧回数が60回を突破しました!(2025年5月7日)

閲覧回数が80回を突破しました!(2025年5月10日)

閲覧回数が100回を突破しました!(2025年5月13日)

閲覧回数が120回を突破しました!(2025年5月18日)

閲覧回数が140回を突破しました!(2025年5月24日)

TellerNovelでお読みの皆様へ重要な報告

アカウントを間違えて削除してしまったため第6話以降は更新されません。
本当に申し訳ございません。

・俪杏編
>>1王朝
>>2杏仁豆腐
>>3お願い
>>4チャイナドレス
>>5徳州扒鶏
>>6友達
・美月編
>>7日常

お願い ( No.3 )
日時: 2025/05/04 07:36
名前: 小説好きな医師 (ID: THBfOZma)

ついに俪杏は「徳州扒鶏の店」という所に辿り着く。

「いらっしゃい!」

30代くらいで腕の太い男性が話しかけてきた。

大きい……!!

俪杏が半ばびっくりしていると、その男性は俪杏の心を探るように「徳州扒鶏なら銀幣4枚になるよ」と答えた。


銀幣4枚って、つまり銅幣40枚ってことだよね!?

もしや杏仁豆腐を買ってしまったから!?

いや、ってか元から銅幣そんなに持ってないし!!


「あの……」

「ちょっと待ってくださいねっ!!」


1、2、3、4、5、6……やっぱ6枚しかないっ!?

これは一回、家に戻るべきか……いや、でも二往復はしたくないしなあ……。


「んーーーー!!」


「あの、お嬢さん、何かお困りですかね?」

俪杏は突然声を掛けられ、俯いた顔を上げる。


そこには、少し太った優しそうな男性が居た。


全然気がつかなかった。


……とりあえず、今までのことを話しておこう。

何かしてくれるかもしれない。


「……って訳なんです」

「ほう、つまりお金が欲しいと?」

「です」

男性は「はっはっは」と高笑いしながら手を引っ張る。

「こっちへおいで」

ま、まさかっ!! 誘拐っ!?


「わ、私を連れてどうするつもりですかっ!!確かに私は杏仁豆腐を食べました!!それも2つ食べました!!」

「いや聞いてないから。それより、やってもらいたいことがあるんだ」


「やってもらいたいこと……?」

一体、何だろう。


いつの間にか、2人は暗い裏道に入っていた。


「ここ。さ、入って」

男性はそう言い扉を開ける。


そこは、古びた看板で「衣服屋 芳(イフクヤ ファン)」と書かれた店だった。

芳とは、この人の名前だろうか。


とりあえず中に入ってみよう。

中は広いとは言えないが、造りはしっかりとしていて、様々な種類の満州服が置かれていた。


すごい……。


「ちょっと待っててね」

そう言って、男性は奥の方へと入っていった。


しばらくすると、何かの衣装を持って戻ってきた。


「じゃーん!」

男性は、そう言って自信満々に、その衣装をこちらに見せる。

その衣装は、詰襟で横に深いスリットが入った赤い衣装だった。


「それ、何ですか……?」

初めて見る衣装に、俪杏は不安を覚える。


「初めて見るもんね。……これはねー、中国初の衣装、中華風ドレスだよ!!」


「ドレ……ス……? って、西洋の衣装じゃ……」


「そうだね。まあ、詳しく言えば、西洋のドレスを真似て作ったって感じかな。……それで、お願いがあるんです!! この衣装を着て、宣伝をしていただけませんかっ!!」

男性は、とても必死だった。

「でも……」

ドレス?を着る勇気なんてないし、一人だけ、その服装っていうのも恥ずかしい。


「やっていただけたら、銀幣60枚を差し上げます!!」

「銀幣60枚っ!?」


やってもいいかも。

すぐ終わることだろうし、これをやれば、さっき買えなかった徳州扒鶏も買えるってことだよねっ!

それに、ちょっと着てみたい気持ちもあるから……。

「やりますっ!! いえ、やらせてくださいっ!!」

「本当にっ!? いやー、よかった、君みたいな可愛い子供を探してたんだよ。きっと中国製のドレスは人気が出ること間違いなしだな!!」


少し大げさな気もするが、本当にそうなるのかもしれない。

この清潔感のある服装は、今までの衣装とは違ってきっと人気の出ることだろう。

不安混じりに楽しみでもある俪杏なのだった。

チャイナドレス ( No.4 )
日時: 2025/05/06 08:08
名前: 小説好きな医師 (ID: THBfOZma)

「では、こちらへ」
その服を渡された俪杏は、奥にあった部屋に誘導された。

こんなところがあったんだ……。

そこは、俪杏に渡されたのと同じような服がいっぱいあった。

恐らくこれらは失敗してしまった服だろう。


「じゃ、外で待ってるから」

男性は、そう言うと、ゆっくりと扉を閉める。


え、あ、でも……着替え方わからないんですけど……。




何とか着替え終わった俪杏。

机の上に置いてあった漢鏡で、服装を最終確認する。


これで、いいんだよね……?

ドレスは一度だけ西洋の人が着ていたのを見ただけで、これには全く自信もない。

けど……。

俪杏は、ゆっくりと扉を開ける。


「ど、どう……ですか……?」

初めて着るドレスは、まだ着慣れておらず少し不思議な感じがする。

普段着とは違う俪杏を見た瞬間、男性の顔は、ぱあっと明るくなる。


「すごく可愛いよ!!」

可愛い、その一言が相応しいだろう。

まあ、顔はもともと可愛いけど。


「本当ですかっ!?」

俪杏は顔を上げ、必死に男性に聞く。

「あ、ああ」

「杏仁豆腐より可愛いですかっ!?」

「ん……?」

杏仁豆腐……?比較対象がおかしくなってないか……?

「あ、ああ」

いや、杏仁豆腐の可愛さが分からないんだが……。

「やったー!!」

そう言って無邪気に飛んでいる俪杏を見ると、男性も何だか嬉しくなった。


「じゃ、行こうか」

しばらくして男性は合図をかける。

「でも……」

「大丈夫。……さあ!」

男性はそう言って、俪杏の手を掴み外へ連れていく。

外に出た瞬間、一瞬だけ眩しい光が2人を襲う。


そして、いつの間にか…………街の中心部に来ていた。


街の中心部は特に人が賑わっている。

周囲の人々は、突然出てきた2人に困惑している。

初めて見る服装に、怪しげな目で見てくる人々。

だよな……普通そうなるよな……。


「さて、皆さん、こちら中国製のドレスです!!」

いやいやいや、めっちゃ注目されてるっ!!

こんなのお母さんに見られたら絶対おこられちゃうよっ!!

俪杏は涙目で衣服屋の男性に訴えかけるが、男性は全く気付いてくれなかった。


「あのさあ、一つ質問していい?」

一人の若い男性が俪杏の隣に居た男性に聞く。

「はいっ、どうぞっ!」

「ドレスってなに?」

自信満々な衣服屋の男性に、若者は平然として聞く。

「お、お、おいっ! ドレスを知らないんですかっ!?」

「だってあれって、西洋の服だろ?中国人にドレスはイメージわかないよ」


その時、何者かが奥からやってきた。

先ほどまではザワザワとしていた人々も、急に静まり返る。


「奴らだ……」

「ですな……」

奴ら。それはこの町で一番威張っている悪者。

この町では、いつしかそう呼ばれてきた。

奴らは、いつも通り茶色く大きな馬に乗ってやってきた。

一番前に居た大柄なリーダーを先頭に、周囲からも赤色の戦闘服を着た兵士がゾロゾロと集まる。


リーダーは2人の前で馬を止めさせると、上から目線にニヤリと笑った。

「おいおいおい、なんだその服装は? いいか、本国で許されているのは満州服だけだ! 今すぐ着替えろ!」

金も武器も貧しい街の人が、奴らに勝てるはずはない。

そう分かっていた2人は、奴らに従うしかなかった。


2人は衣服屋に戻る。

「あの、これ、ありがとうございました! 短い時間だったけど、ドレスが着れて嬉しかったです!」

「こちらこそ、ありがとう。ドレスは、まだまだ時代についていけなそうだけど、これでもっと自信がついたよ。これからは、更に凄いドレスを作ろう」

「えっ!? ほんとーっ!?」

俪杏は嬉しそうに答える。

「ああ。……あ、そうそう、銀幣60枚だったね」

そう言って、男性はポケットの中から袋を取り出し、そこから銀幣を60枚数え、こちらに渡す。

俪杏は、銀幣60枚を受け取る。

「わー!! これで杏仁豆腐いくつ買えるかなー!」

「ん? なんか言った?」

「いえ、ひ、貧困な袋から、き、貴重なお金を下さり、あ、ありがとうございます!!」

「なんか若干失礼だけど、まあいいか。……徳州扒鶏、頑張って手に入れるんだよ!!」

「はーい!!」

さ、杏仁豆腐、じゃなかった徳州扒鶏を買いに行くぞー!!


男性の大声を胸に、俪杏は再び徳州扒鶏を買いに出かけた。

徳州扒鶏 ( No.5 )
日時: 2025/05/07 07:25
名前: 小説好きな医師 (ID: THBfOZma)

「徳州扒鶏くーださい!」

俪杏は、「徳州扒鶏の店」の店員に話しかける。

「そうか、それなら銀幣4枚になるよ」

たったの4枚っ!?銀幣残り56枚、銅幣残り6枚になるとして考えると……杏仁豆腐が283個たべられるっ!

はわああああああ!!

喜びに舞い上がる俪杏に、「お嬢ちゃん?」と店員が声をかける。

「これ……ください……」

きめ顔をしながら銀幣4枚をサッと机に置く。

「お、おう……」

店員は同様気味に答え、凍らせてあった鶏肉1kgを俪杏に渡した。

「冷たっ!」

俪杏は、それを持つと冷たさで慌てて手を離しそうになってしまった。

まるで手が冷蔵庫の中に入っているみたいだ。


「だ、大丈夫……?」

俪杏は今にも、それを落としそうだ。

体が前のめりになっている。

「大丈夫……ですっ!」

そう言いながら、俪杏はゆっくりと足を動かす。

それを店員は心配そうに見ていた。

「あっ! あちゃー……」

俪杏は少し歩いたところで足を躓いた。

そのまま前に倒れ、鶏肉のおかげで怪我はしなかったものの、氷は完全に割れてしまったらしい。

その光景に、店員は「やっぱりな」と思う。


「店員さーん!」

氷の割れた鶏肉を地面にそのまま置き、再び店に向かって走り出す。

「いやお願いだから鶏肉そのままにしないで!!」


俪杏も今度は鶏肉をちゃんと持って店へとやってきた。

「うーん、鶏肉の1kgは貴重だからなあ……」

非常に悩む店員。

ここ最近は天候が悪く、鶏肉の供給があまり良くなかった。

残りの鶏肉の数は3つ、どうする自分……!!

「ダメ、ですか……?」

俪杏は必死に店員を見つめた。

目は潤っていて、こちらに優しく訴えかけてくるような、そんな表情だった。


こ、これが子供というものかっ……!

「…………ああ、もう、持ってけい!!」

店員はやけになり、俪杏に再び鶏肉を渡す。

「ありがとうございます!」

俪杏は、無邪気な笑顔をし鶏肉を大事そうに抱えて再び歩き出すのであった。


(今度こそ大丈夫だよな……)

「いてっ!」

「!?」

「店員さーん!」

「もうやめてーっ! 鶏肉置いていかないでーっ!」

店員は思わず涙を流した。

まさか、再びこうなるとは、思ってもいなかったから……。

友達  ( No.6 )
日時: 2025/05/10 07:38
名前: 小説好きな医師 (ID: THBfOZma)

気づいた頃には銀幣残り16枚となっていた。

(だいぶ減っちゃったなあ……)

銀幣が減ってしまったということは、食べられる杏仁豆腐の数も減ってしまったということ。
俪杏は、ため息をつきながら顔を俯ける。

「うわっ!!」

前から歩いてきていた男性とぶつかり、お互い後方に倒れた。

その男性は凄まじい筋肉を持っており、あまり見かけない顔だった。

新しくこの街にやってきたのだろうか。

床に手を付け考察する俪杏に男性は体勢をすぐに立て直し、「このやろ!」と口に出して俪杏の顔に殴りかかった。

もうダメだ……!!

「やめなさい!」
後ろから俪杏と同じくらいの女の子は言った。

女の子を見た男性は俪杏のことをそっちのけでいた。
美月メイユェ様っ!!」
男性が叫ぶ。どうやら女の子の名前は美月と呼ぶようだ。

その女の子は、とてもおしとやかで、満州服とは違った見たことも無い派手な服装をしていた。

「馬車の中で待っているよう伝えたじゃありませんか!」
馬車とは、あれのことだろうか。

ここから数メートル離れたところに、立派な馬車が置いてあった。

「あなたが、また乱暴をふるうからいけないのですよ? さ、早くそこからお退きなさい」
その声は、まるで何処かの妃のようだった。

「しかし、こいつがっ!」

「いいから早くお退きなさい。それとも、わたくしに喧嘩を売るつもりで?」

「……」
しばらくして、男性はその場を退けた。

よく分からないけど、この女の子、私と同じくらいの年齢なのに風格が違う……。

「まったく、大勢の人が居る前で恥ずかしいですわ。さて、怪我はありませんでしたか?」
そう言って美月は俪杏に手を差し伸べる。
その顔は、さっきとは一変していて優しい顔だった。

「だ、大丈夫ですっ……」
ダメだ、眩しすぎて見れない。

俪杏は動揺気味に答えた。
目を逸らす俪杏に、「ところで」と美月は口を開いた。

「この辺に杏仁豆腐というものはありませんか?」

「杏仁豆腐……ですか……?」
俪杏は美月の顔をチラチラと見る。

「ええ、私それが食べたくてここに来ましたの」

「柔らかそう……それに比べて私なんて……」
俪杏は、美月と自分の胸を見比べながらぼそっと声に出す。

「何か言いました?」

「いえ、何でもありませんのよ! おほほほほ!」
わざとらしい笑いを浮かべる俪杏に、美月は怪しげな顔で見つめてきた。

「……まあ、いいですわ。ところで、その杏仁豆腐というのは何処にありますの?」

俪杏は立ち上がり、満州服に付いた汚れを手で落とす。
「案内しましょうか?」

「連れていってくださるのですかっ!?」
美月は嬉しそうに目を輝かせる。
「いいですよね、雨泽ユーゼェァ?」

「もうお好きにどうぞ……」
雨泽と呼ばれたその男性は、ただそう言うしかなかった。
反論したところで、また怒られてしまうからだ。

「ってことですので、ぜひお願いしますわ!」
美月はカーテシーをする。
着用していたスカートからして、きっと西洋から来た者なのだろう。

「こ、こちらこそ、よろしくお願いしますっ!!」
私は深く一礼をした。

まあ、杏仁豆腐は一人より、人数多い方が楽しいしね。

日常 ( No.7 )
日時: 2025/05/13 07:31
名前: 小説好きな医師 (ID: THBfOZma)

「ここです」
俪杏は「好吃菜館(ハオチーサイカン)」と看板が立てられた1階建ての中華料理店の前で立ち止まる。

「あら随分、小さいですのね」

そ、それだけはっ!

美月は思ったことを直ぐ口に出すタイプらしい。
「これなら私の町の方が立派ですわ」と自慢げに話す。

「美月様っ! 流石さすがにそれだけはっ!」
雨泽は止めようとするが、美月は構わず中へと入っていった。



店員は一人で来た子供を不思議と見つめる。

「あっ、ねえねえ、後宮って知ってる?」

「えーっと……」
店員が質問に戸惑っていると雨泽は後から店内に入った。

「こんにちは。……子供2名、大人1名で」

店員は思わず雨泽に見とれる。

そして目線を下にやり、妬ましそうに俪杏を見つめる。
「…………」

「あの、どうかしました?」

「い、いえ! 今、ご案内しますね!」

何やら焦っているようだった。

にしても流石は人気店。
大分、客足が多くなってきた。

「こちらでございます。それでは失礼いたします」

店員は3人を席に座らせ、厨房へ歩いていった。

さて。
メニュー表を見なくたって、もう頼むものは決まっている。

「杏仁豆腐20個くださーい!!」
俪杏は無邪気にも大声で喋る。

「に、に、20個って……!?」
俪杏の言葉に驚く周囲の人々。美月は思わず声を出してしまった。

この子、可愛い顔して恐ろしいことを言うんだな……。

「あれ、足りなかった? じゃあ30個で!!」

「あの……それは流石にちょっと……」
あまり顔に出ないタイプの雨泽だが、流石の雨泽でも、これには引いている。

「少ない? よーし、じゃあ40個っ!! 店員さーん! 杏仁豆腐40個くださーい!!」

「はい!!」
そう言って、店員は駆け足でこちらに来た。

「お時間をいただきますが、宜しいでしょう……」

「はい!!」
俪杏は即答だった。

「はあ……それでは失礼いたします……」
そう言って店員は再び立ち去っていった。


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