コメディ・ライト小説(新)

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とある日常生活 
日時: 2025/05/24 15:40
名前: 小説好きな医師 (ID: lCrzzWFh)

こんにちは、小説好きな医師と申します。

今回は「とある」と呼んでいる小説を中学3年生の頃に書いたので、公開していきたいと思います。

急遽、荒らし行為対策のため再び転送させていただきました。

ゆっくり投稿していきますので、「いや今日投稿されてねえじゃん!!」とか思ってても我慢してください。作者は何かと現実世界の別のことで忙しいのです。

閲覧回数が20回を突破しました!(2025年5月4日)

閲覧回数が40回を突破しました!(2025年5月5日)

TellerNovelに公開しました!(2025年5月6日)

閲覧回数が60回を突破しました!(2025年5月7日)

閲覧回数が80回を突破しました!(2025年5月10日)

閲覧回数が100回を突破しました!(2025年5月13日)

閲覧回数が120回を突破しました!(2025年5月18日)

閲覧回数が140回を突破しました!(2025年5月24日)

TellerNovelでお読みの皆様へ重要な報告

アカウントを間違えて削除してしまったため第6話以降は更新されません。
本当に申し訳ございません。

・俪杏編
>>1王朝
>>2杏仁豆腐
>>3お願い
>>4チャイナドレス
>>5徳州扒鶏
>>6友達
・美月編
>>7日常

王朝 ( No.1 )
日時: 2025/05/04 06:52
名前: 小説好きな医師 (ID: THBfOZma)

1636年、中国は清朝と呼ばれていた統一王朝に、国号を改名され「清」と名付けられた。



「徳州扒鶏(とくしゅうはっけい)を作りたいから鶏肉を買ってきて」


赤い満州服を着た9歳くらいの女の子、俪杏(リーシー)は母親にそう言われてしまい、しぶしぶ街を歩いていた。


赤い提灯が並べられた街並みには、中華料理店やカフェのような店がずらりと並んでいる。

また街の中心部には大きな橋があり、その下に流れる水流は、いつも通りゆるやかだ。


ん? クンクンッ……!

その時、俪杏の方に何やら独特な匂いが漂ってきた。

この甘酸っぱいような匂いは……間違いないっ、杏仁豆腐だ!

俪杏は買い物のこと何かそっちのけにして、匂いのある方へ辿っていった。



そして、ようやく着いた……。

ここだ、ここから甘酸っぱい匂いがする……!


そこは「好吃菜館(ハオチーサイカン)」と看板が立てられた1階建ての中華料理店だった。

垂れ下がる赤い提灯に瓦の付いた特徴的な屋根。

もう入るしかないっ!

中に入ろうとしたところで、俪杏は手に持っている荷物を見て思い出した。

そうだ、買い物をしていたんだった。


しかし、杏仁豆腐の甘い誘惑には勝てっこない。

それに……。

俪杏は荷物から銅幣10枚を手に出した。

これだけあれば、余裕でしょ。

悪だくみをするような笑みを浮かべたまま、銅幣を荷物に戻し店内へと入る。


「いらっしゃいませ! こちらのお席へどうぞ!」

20代くらいの若い女性が明るく出迎えてくれた。

俪杏は誘導されるがままに席に座る。

席は丸いテーブルに何人も座れるような椅子の数々。

ここを一人で使うには何だかもったいない気がした。



さて、メニュー表なんて見る必要もない。

既に頼むものは決まっているのだから。


「何に……」

俪杏が席に座ったのを確認し、店員は口を開ける。

「杏仁豆腐くださいっ!!」

俪杏は店員の口を挟むように大声で口に出す。

幸い、まだ開店したばかりらしく周囲に客は居ない。


「わ、わかりました……では、ほかに何か……」

「やっぱ杏仁豆腐、もう一つくださいっ!!」

俪杏は再び店員の口を挟むように大声で口に出す。


「え、あ、はい……」

(杏仁豆腐以外でって意味なんだけどなあ……うう、やりにくいなあ……)


俪杏は下をうつむき、もじもじとしている。

「あの、やっぱ杏仁豆腐もうひと……」

「もうやめてくださいっ!!」

店員の方も必死だ。

「……ごめんなさい、2つでいいです」

「それでは、杏仁豆腐2つでよろしいですね?」

「はい……」

店員に口止めされたかのように、俪杏は返事をするしかなかった。


「しばらくお待ちください」

店員はそう言って、店の奥へと入っていった。


(んー、杏仁豆腐3つはダメなのかなあ……でも、もっと食べたいしなあ……)

俪杏は杏仁豆腐のことが頭から離れなかった。

なんで3つ以上がダメだったのか俪杏には分からない。

けど、店員に口止めをされてしまったからには、気長に待つしかない。

杏仁豆腐 ( No.2 )
日時: 2025/05/04 06:51
名前: 小説好きな医師 (ID: THBfOZma)

「店長っ! 杏仁豆腐2つ!!」

「えっ!? まだ隅中ぐうちゅうだぞっ!!」

店長は突然の言葉に驚いていた。

「いいから早くっ!!」

「よーしっ!!」


(なんだか慌ただしいな……)


5分後、ついに店員が真っ白な皿を持ってきた。

その皿の上には、スライムのように揺れ動く見事な杏仁豆腐が2つ付いている。

その杏仁豆腐に俪杏は、ぱあああと明るくなる。

朝ごはんはあまり食べてこなかったから、より嬉しさがある。


店員は、その皿をこちらに置き、「失礼します」と言って立ち去った。


さてさて、真っ白なミルクに、ちょこんと乗った赤い杏仁。

もう我慢できない。

俪杏はカップのすぐ傍にあった散蓮華ちりれんげを手に持ち、さっそく杏仁豆腐を掬い上げた。


やはり何度見ても見事だ。

こういう中華料理店には一度も行ったことが無かったから、めちゃくちゃ嬉しい。


「いっただっきまーす!!」

そして、掬い上げた杏仁豆腐を口の中へ入れた。

その瞬間、ほんのり甘い味が口いっぱいに広がった。

しばらくすると、さっぱりとした後味がした。


なんて美味しいんだろう。こんなに美味しい杏仁豆腐は生まれて初めてだあ……!!


その後も俪杏は、手を休むことなく、残った杏仁豆腐もどんどん口に入れていった。


「あの子、なんで、あんなに食べられるのかしら……」

柱の陰でこっそり見ていた店員は、ぼそっと呟く。

あのスピードで杏仁豆腐を食べられれるのは、ある意味、異次元だ。

「さあな……」

その光景には、料理人でさえも驚くほどだった。


食べ始めてから、わずか10秒で2つの杏仁豆腐は俪杏の中へ入っていった。


「ごちそうさまっ!!」

俪杏は、そのまま中華料理店を出ようとした。


「ちょっと待った!! お会計をっ!!」

「あっ、そうでしたっ」

急ぐ店員に俪杏はてへっとする。



「えーと、お会計は、銅幣4枚ですね」


これと……これと……。

「はいっ!!」

俪杏は銅幣4枚を店員に渡す。

店員はそれを確認し、茶色く小さな袋に入れた。

「ありがとうございました!」



俪杏はスキップをしながら家へと向かう。

「杏仁豆腐、美味しかったなあーっ!!」


あれっ? でも、何か忘れてるような……。

俪杏は、ゆっくりと足を止める。

はっ!!

「そうだっ! 買い物を頼まれてたんだったっ!!」

気づいた頃には、もう家の前まで来ていた。


ああ、振り出しに戻ってしまったんだ。


……仕方ないね。

俪杏は再び、徳州扒鶏を買いに出かけたのだった。


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