ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ライトストーリー
- 日時: 2009/09/12 09:25
- 名前: ピエロ ◆Cn5TjroUCc (ID: 8FNZsxHa)
- 参照: http://noberu.dee.cc/noberu/ori/read.cgi?no=398
小説書くのをずっとさぼってたピエロが小説書くよー。
なんかおかしいとこあったら指摘してほしい
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- Re: ライトストーリー ( No.2 )
- 日時: 2009/09/03 12:38
- 名前: ピエロ ◆Cn5TjroUCc (ID: DNQP6awF)
黒い魂なんて初めて見た。普通の人は魂自体を見ることはないのだけれどね。僕は見える。
幽霊は存在するんだ。
幽霊、と言ってもホラー映画みたいな悪霊は滅多にいない。しかも肉体は見えないんだ。手で包み込めるくらいの大きさの小さい霧があるだけ。普通は青くて、たまに黄色。そして、僕の飼い猫のミケが赤い魂をしている。赤、青、黄、まるで信号だ。
ミケも最初は——死んだばかりの頃は魂が青かった。でも、一週間ほど前からだろうか。僕が学校から帰るなり小屋に見に行くとミケの魂は赤くなっていた。ミケに、どうしたんだ、と訊いてみても、何も応えない。いきなり、なにも話さなくなってしまった。
そのまま何事もなく過ごしていると、例の黒い魂だ。その時ちょうど庭の墓に行くところだった。いきなり黒い魂が現れ、途端にミケは消えてしまった。僕が言葉を失っている間に去ろうとする黒い魂。
「待って」
僕は声をかける。黒い魂は少し振り向いたが(そのように感じた)、自分のことではないと思ったか、そのまま進む。
「だから待てって!」
走って黒い魂の前に先回りし黒い魂に向き直った。
——俺に言っているのか
魂はやっと声をかけてきた。耳で聞こえるのではなく感じる。
「そうだ。おまえはなんだ。ミケをどこへやった」
きつい口調で言う。視線を感じて振り向くと通りかかった五十代ほどのおばさんがこっちを見ていた。一人で喋っている僕に対して哀れな目を向けている。
「す、すいません。……演劇の練習をしてたんです」
咄嗟に思いついた嘘を言う。悪くないかな。
おばさんは僕の話を聞いて「そう、頑張ってね」とにっこりしながら言い、歩いていった。
- Re: ライトストーリー ( No.3 )
- 日時: 2009/09/03 21:31
- 名前: 紫 ◆2hCQ1EL5cc (ID: 6fRH7Ess)
おおっ、ピエロさんだ! とものすごい勢いで反応してやって来ました、紫です。お久しぶりでござい。
>>2にちょうど書き方で悩んでいたところがあったので参考にさせていただきました。いや、本当に助かったです。ありがとうございました。
おばさんは僕の話を聞いて「そう、頑張ってね」とにっこりしながら言い、歩いていった。
↑こんな感じの、〜〜「〜〜」〜〜。
ピエロさんも頑張ってください! それでは
- Re: ライトストーリー ( No.4 )
- 日時: 2009/09/04 17:19
- 名前: ピエロ ◆Cn5TjroUCc (ID: 4vtppfc1)
>>3
お久しぶりです・ω・
あぁ、僕もその描き方迷いましてね。
小説のページをペラペラめくってたらあったので使いました。
小説更新のスピードはおそいと思いますが、
更新のたびにチェックしてくれると嬉しいです。
- Re: ライトストーリー ( No.5 )
- 日時: 2009/09/12 09:24
- 名前: ピエロ ◆Cn5TjroUCc (ID: 8FNZsxHa)
——ミケというのはさっきの猫か
黒い魂がいきなり声をかけてきた。
そうだ、と言い僕は続ける。
「ここだと話しづらいから、僕の部屋で話そう。ついてきて」
僕は玄関に入り、階段を駆け足でのぼる。黒い魂は言う通りについてきてくれた。部屋に入ると、何人かの霊が遊びに来ていた。僕が部屋に入ってきたのに気づいたらしい。でも、その幽霊たちにかまっている時間はないだろう。
「ごめん、また明日来てくれるかな。今日は少し忙しいんだ」
申し訳なさそうに僕は言う。幽霊たちは面白くなさそうに部屋から出ていった。
みんながいなくなったのを確認した後、黒い魂に言った。
「ミケはなんで消えたんだ」
黒い魂が応えないので訊き方を変えた。
「ミケが消えたことにおまえは関係しているのか」
——ある。決まっていたことだ。仕方ない。
「決まっていたこと? ミケの魂が赤くなったのと何か関係があるのか?」
気になっていた事を聞いてみた。正直、軽い気持ちで訊ねたのだけれど、予想以上に黒い魂は動揺していた。
- Re: ライトストーリー ( No.6 )
- 日時: 2009/09/13 11:45
- 名前: ピエロ ◆Cn5TjroUCc (ID: /NvYW5tc)
——驚いた。
不意に語りかけてきたので、少し驚く。「なにに驚いたんだ」
——おまえ、色とはなにか知ってるか。
いきなり何を訊くんだと思ったが僕は応える。
「光だったはず」美術の時間に習ったから間違いないと思う。
そうだ、と黒い魂は続ける。
——物質に反射した光だ。そこでおまえに訊くが、霊は物質だと思うか。
返答に困り、言葉が詰まる。ずいぶん物理的な幽霊だな。
——違うだろう。霊は本来、この世で『認識できるが存在しないもの』なんだ。気づいたり、感じたりする者は何度も会ったことがあるが、見える者に会ったことはない。脳内で勝手にイメージしたものを視界に現し、見る者はいるがな。だが、目で見えるはずがないんだ。脳で認識できても、目から視神経を通って認識できるはずがない。なのに、私たちにしかわからない『光』をおまえは認識した。おまえは一体なんなんだ?
長い説明しといて最後は疑問を投げかけるのか。
「なに、って言われてもな。……よくわかんないけど、幽霊たちの世界(?)にも光はあるんだ?」
覚えている最後の方の疑問にだけ返事をする。
——普通の霊たちにはない。だが基本的にこの世の光は認識できる。目はないが、認識できるんだ。霊の色を認識できるのは私たち、死に神だけだ。
死に神、名前は聞いたことはあるけど、本当にいるとは思わなかった。
幽霊、死に神、そのような言葉を聞いても驚かない。変わってるのかな。それとも、僕の気が狂ってるのかな。
ふと、思い出した。そうだ、ミケはどうなったんだろう。この死に神が成仏させたのか。もちろん、成仏という言葉は知っていたのだが、本当に起こるとは思わなかった。
「死に神だって言ったよな。おまえがミケを消したのか? 成仏したのか」とりあえず訊ねてみる。「天国にでもいったのか」
——あの猫の魂を消したのは俺だ。だが、消えた魂がどうなるかは知らない。俺は役割の通りに動いているだけ。
そうなのか。気持ちが沈んだ。
ミケは僕が生まれる二年ほど前から飼い始めた猫らしい。僕が五歳の頃に亡くなってしまったけど、霊となっても僕の家に住みついた。僕の家族に飼われることを選んだ。小学校に通っている時いじめられていた僕は霊たちだけが友達だった。もちろんミケも。ミケがいなくなるというのは悲しい。目の前に黒い魂——いや、死に神がいるから我慢しているだけで、本当は泣きたい。ミケを返せと罵倒したい。だが、死に神にそんなことを言えるはずがない。
下手に動いたら僕の魂も消されるかも——。
「さっきも訊いたけど、ミケの魂が赤くなったことと関係あるのかな」
なるべく慎重に訊く。
ある、と死に神は言った。
——霊は死んでから百年間たつまで、霊は自由にこの世にいることができる。初期段階の魂は青い、まだ青い魂の段階で消すことは死に神のなかで禁止されている。青い魂の間、霊は転生することも可能だ。だが、己の記憶が無くなってしまうので転生をするものは少ない。霊の状態で、百年以上たつと、黄色い魂になる。この状態だと、転生することは不可能。ただ、私たちに消されるだけの存在となる。そして、おまえの言っていた猫は赤い魂をしていた。赤い魂の状態は前触れもなくいきなりやってくる。死んでから、たった一年で赤い魂になるものもいる。ただし、永遠に赤くならない魂もいる。赤い魂は死に神がもっとも優先して消さなくてはならない。なぜなら、赤い魂になって十三日間ほうっておくと、魂は黒くなってしまう。すなわち……。
一呼吸置いて(呼吸はしていないが)、死に神は続けた。
——死に神になってしまうのだ。
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