ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 逢屋−アワセヤ−
- 日時: 2009/11/14 19:08
- 名前: 歪-Hizumi- (ID: kjkAYU9X)
いらっしゃいませ。
貴方にも逢いたい方がいらっしゃるようですね。
ここは逢屋
探している命、亡くなった命……
貴方が本気で逢いたいと望むのならば
私は貴方の望みを叶えて差し上げます。
しかし
貴方の望みが叶ったその時、
私は貴方の一番幸せな“記憶”をいただきます。
それでもよろしいとおっしゃるのですか?
……いいでしょう。
お望みをお伺いします。
でもその前に……
貴方と同じ私に望みを託した
お客様のお話を聞いていきませんか?
■■■■■■新規お客様■■■■■■
・ヒミツ様・朝崎疾風様・架凛様
■■■■−逢屋−お客様名簿■■■■
Opening >>4
№1 >>05
№2 >>08
№3 >>10
№4 >>13
№5
■■■■■■■■■■■■■■■■■
え?
気が変わりましたか……。
逢いたい方は自分でお探しになるのが一番ですよ。
大切なモノを何も失わずに済みますから……
もう夜になってしまいましたね。
帰り道にはお気をつけてください。
……闇には危険なモノが潜んでいますから——
- Re: 逢屋−アワセヤ− ( No.7 )
- 日時: 2009/11/03 20:29
- 名前: 歪-Hizumi- (ID: sj9OXI0G)
第二夜 スーパースペシャルジャンボパフェ
学校へ到着した威玖達はそれぞれの校舎へ向かった。
二人の通うこの白銀第一高校は中央校舎、東校舎、西校舎、そして文化校舎、体育校舎の五つに分かれている。
それぞれ東校舎が三年、西校舎が二年、中央校舎が一年となっていた。
私服自由のこの学校では先生と生徒の見分けがつかない事も多々ある。
西校舎三階の廊下を威玖は深いため息を漏らしながら進んでいた。
廊下を歩く彼に同じクラスの男子が野次を飛ばす。
「今日も相変わらず可愛いねー。威玖ちゃん」
「うっせ」
威玖は手をひらひらと振りながらそう答えた。
二年六組と書かれた教室のドアを開け、彼は自分の席へついた。
そしてそのまま机に顔を伏せた。
「あー……電車通学やめよっかなー」
顔を伏せたまま呟く彼の声は夜勤帰りの父親のような声だった。
一時間目から四時間目と時間は進み、疲れ気味の威玖はこの約四時間ほぼ何もせずに終わっていた。
そして今、この昼休みもいつもならクラスメートと騒いで昼食を食べているのだが机に伏せたままぼけーっとしていた。
「威玖君」
不意に名前を呼ばれ威玖は不機嫌そうな顔を上げた。
「何だよ、俺は今お疲れなんです……ってあれ?」
目の前にいたのはクラスメートではなく、三年生の生徒であるはずの旺だった。
「火神……旺……先輩?」
まだ回転していない頭を整理している威玖を旺はひょいっと持ち上げた。
「な、何すんですか!! ちょっ降ろして下さいって」
クラスメートの視線が一気に威玖達に向く。
「あー。ちょっと威玖君借りてくねー」
旺の明るい声が教室内に響いた。
*
威玖が連れて来られた場所は学校の中央校舎内にある食堂だった。
良い匂いが鼻を突く。
威玖を椅子に座らせ、旺は食堂のおばちゃんを呼ぶ。
「朝のお詫びって事で、好きなモン頼みな」
そう言って満開の笑顔を威玖へ向けた。
「いや、でも一応先輩ですし……。てか、朝助けてもらったのはコッチですし?」
「あ、違う違う。あれだよ、女に間違えちゃったこと」
なるほど、と威玖は頷いた。
「じゃ、お言葉に甘えて」
その時威玖の目が微かに怪しく光ったのを旺は目撃してしまった。
ドンと机に置かれたのは学食で有名なスーパースペシャルジャンボパフェだった。
お値段二千五百円、旺の財布が寂しくなったのは言うまであるまい。
「あ、そうだ。旺先輩って“逢屋”って知ってます?」
ふと思い出したかのように威玖が問う。
「あー知ってる。あれだろ? 最近結構話題になってるヤツ」
財布を片手に旺は答えた。
続きはまた更新します;;
- Re: 逢屋−アワセヤ− ( No.8 )
- 日時: 2009/11/07 15:47
- 名前: 歪-Hizumi- (ID: O72/xQMk)
第二夜 スーパースペシャルジャンボパフェ
学校へ到着した威玖達はそれぞれの校舎へ向かった。
二人の通うこの白銀第一高校は中央校舎、東校舎、西校舎、そして文化校舎、体育校舎の五つに分かれている。
それぞれ東校舎が三年、西校舎が二年、中央校舎が一年となっていた。
私服自由のこの学校では先生と生徒の見分けがつかない事も多々ある。
西校舎三階の廊下を威玖は深いため息を漏らしながら進んでいた。
廊下を歩く彼に同じクラスの男子が野次を飛ばす。
「今日も相変わらず可愛いねー。威玖ちゃん」
「うっせ」
威玖は手をひらひらと振りながらそう答えた。
二年六組と書かれた教室のドアを開け、彼は自分の席へついた。
そしてそのまま机に顔を伏せた。
「あー……電車通学やめよっかなー」
顔を伏せたまま呟く彼の声は夜勤帰りの父親のような声だった。
一時間目から四時間目と時間は進み、疲れ気味の威玖はこの約四時間ほぼ何もせずに終わっていた。
そして今、この昼休みもいつもならクラスメートと騒いで昼食を食べているのだが机に伏せたままぼけーっとしていた。
「威玖君」
不意に名前を呼ばれ威玖は不機嫌そうな顔を上げた。
「何だよ、俺は今お疲れなんです……ってあれ?」
目の前にいたのはクラスメートではなく、三年生の生徒であるはずの旺だった。
「火神……旺……先輩?」
まだ回転していない頭を整理している威玖を旺はひょいっと持ち上げた。
「な、何すんですか!! ちょっ降ろして下さいって」
クラスメートの視線が一気に威玖達に向く。
「あー。ちょっと威玖君借りてくねー」
旺の明るい声が教室内に響いた。
*
威玖が連れて来られた場所は学校の中央校舎内にある食堂だった。
良い匂いが鼻を突く。
威玖を椅子に座らせ、旺は食堂のおばちゃんを呼ぶ。
「朝のお詫びって事で、好きなモン頼みな」
そう言って満開の笑顔を威玖へ向けた。
「いや、でも一応先輩ですし……。てか、朝助けてもらったのはコッチですし?」
「あ、違う違う。あれだよ、女に間違えちゃったこと」
なるほど、と威玖は頷いた。
「じゃ、お言葉に甘えて」
その時威玖の目が微かに怪しく光ったのを旺は目撃してしまった。
ドンと机に置かれたのは学食で有名なスーパースペシャルジャンボパフェだった。
お値段二千五百円、旺の財布が寂しくなったのは言うまであるまい。
「あ、そうだ。旺先輩って“逢屋”って知ってます?」
ふと思い出したかのように威玖が問う。
「あー知ってる。あれだろ? 最近結構話題になってるヤツ」
財布を片手に旺は答えた。
「じゃあ、旺先輩に逢いたい人っていますか?」
少し真剣そうな顔で威玖が問う。
すると旺はその威玖の顔を見て吹き出した。
「ははははっ、お前あの噂ホントに信じてる訳? あんなの噂好きの中高生が作ったモンだよ」
そう笑いながら言う旺を見て、威玖はムスッと顔を顰めた。
- Re: 逢屋−アワセヤ− ( No.9 )
- 日時: 2009/11/07 15:58
- 名前: 歪-Hizumi- (ID: hLayjJCv)
第三夜 個性の見本
二人がそんな会話をしていると旺の後ろから声がした。
「あるよ、逢屋」
そう言って長身の男子生徒が旺の後ろから抱きついた。
「うおっ!! 驚かせんなよ、帝」
旺はそう言ってその男子生徒の手をどけた。
急な出来事に威玖はただ呆然と手に持っているスプーンをくわえていた。
「おやおや? 珍しい子と一緒にいるね、旺。その子二年の雨宮 威玖君でしょ?」
帝と呼ばれるその生徒は旺の後ろから顔をヒョコリと出した。
「……どなた……ですか?」
威玖はおどおどしながら帝に問う。
するとその会話を遮るかのように、今度は威玖の背後から声がした。
「ダメだよ、帝。威玖君驚いちゃってるじゃん」
女の子のような高めの声、その正体は威玖も知っている人物だった。
続きはまた更新します
- Re: 逢屋−アワセヤ− ( No.10 )
- 日時: 2009/11/09 19:17
- 名前: 歪-Hizumi- (ID: .CNDwTgw)
第三夜 個性の見本
二人がそんな会話をしていると旺の後ろから声がした。
「あるよ、逢屋」
そう言って長身の男子生徒が旺の後ろから抱きついた。
「うおっ!! 驚かせんなよ、帝」
旺はそう言ってその男子生徒の手をどけた。
急な出来事に威玖はただ呆然と手に持っているスプーンをくわえていた。
「おやおや? 珍しい子と一緒にいるね、旺。その子二年の雨宮 威玖君でしょ?」
帝と呼ばれる茶髪にピアスの派手な生徒は旺の後ろから顔をヒョコリと出した。
「……望月 帝(モチヅキ ミカド)先輩……ですか?」
威玖はおどおどしながら帝に問う。
「お? 俺のこと知ってる?」
するとその会話を遮るかのように、今度は威玖の背後から声がした。
「ダメだよ、帝。威玖君驚いちゃってるじゃん」
女の子のような高めの声、その正体は威玖も知っている人物だった。
「貴方は三年生のシエル・バルス先輩?」
「ピンポーン!! 当たりだよ」
名前を聞いて分かるように彼は外国育ちのいわゆるお坊ちゃんである。
金髪に透き通った碧い瞳は何もかもを吸い込んでしまいそうだ。
ここで威玖は自分の置かれている状況に嫌な汗を流した。
「あの……なんでこんなに有名人が集まっちゃってるんですか……」
その言葉に旺達は周りを見渡した。
そしてシエルが呟いた。
「あらー……。これはこれは大変だ」
見ての通りここにいる威玖を含む四人は世に言う学校のアイドル的存在。
その四人が一気に集まったら後は知っての通り騒ぎになる。
気づいたときには既に遅かった。
彼らの周りには大きな人だかりが出来ていた。
「とりあえず、話は後!! 行くぞ」
旺はまだスーパースペシャルジャンボパフェを食している威玖を抱き上げ帝達と共に食堂をあとにした。
*
場所は変わって西校舎にある音楽室。
この時間帯は誰も使っておらず、静まり返っていた。
念願のスーパースペシャルジャンボパフェを食べ切れなかった威玖は機嫌の悪そうな顔をしている。
「ごめんね、威玖ちゃん。今度また奢るから」
そう手を合わせて謝る帝を威玖は止め、こう言った。
「いやいや。帝先輩は悪くないですから!! パフェは今度また旺先輩に奢らせます」
その言葉を聞き、旺はがくんと肩を落とした。
「で、逢屋の話してたんだよね」
シエルがピアノの椅子に腰掛けた。
「はい。でも旺先輩がそんなのないって……」
威玖はキッと旺を睨みつけた。
「そんな怖い顔すんなって。可愛い顔が台無しだぜ?」
旺がなだめる様な口調でそう言う。
するとじゃれ合っている威玖と旺の間に帝が入った。
「んー……。逢屋はあるよね、威玖君……。そして君がその事を一番良く知ってるんじゃない?」
そう笑顔のまま言う帝に威玖はビクッと肩を震わせた。
「え、どういう事……ですか?」
そう返す彼の瞳の焦点は一点に定まらず、辺りを泳いでいる。
旺も今の状況と帝の言葉の意味が分からないのか頭の上にはてなマークを三つ程並べている。
シエルはその様子を何もかも知っているようなその碧く深い瞳て見つめていた。
「ね? 逢屋の二代目主……雨宮 威玖君」
帝の笑顔に似合わない低い声が音楽室に響く。
- Re: 逢屋−アワセヤ− ( No.11 )
- 日時: 2009/11/09 19:31
- 名前: 架凛 ◆V3sV8pUxpk (ID: nujUYaTi)
初めまして。こんばんゎ☆
「逢屋」……ですか。面白いです^^
私も逢いたい人っています。
その人に逢わせてもらえたら、とっても嬉しいと思います☆
続きを楽しみにしてます(^ω^)ノ
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