ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Crimson World——紅/16,「一本の糸」up
日時: 2010/01/23 17:09
名前: 架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)
参照: [瑠亜]ですよ〜☆

それは、一瞬のことだった。

            目の前で真っ赤な鮮血が飛び散り

   服に新たな模様をつくった

                まごうことなき————紅

今宵、世界は————



           紅く染まる————

+*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::+

 クリックありがとうございますm(_ _)m
 初めまして、架凛(かりん)と申します。
 はい、消えてしまいました……。読んでくださった皆様ご迷惑をおかけしますm(_ _)m
 シリアス・ダークは初めてですが、がんばりたいと思います!!

☆.。.:*・°架凛から°・*:.。.☆

●架凛の更新速度は亀より遅いです……。それでも良いという方だけお読みください。
○荒らし、チェンメはNGです!!
●コメしていただいた方の小説は、見つけたら必ず読ませていただきます☆
○友達募集中です〜(o> <)ノ~

☆.。.:*+°C o n t e n t s°+*:.。.☆
 
 第Ⅰ話 幕開け >>2
 第Ⅱ話 水の国の姫君 >>3
 第Ⅲ話 幼なじみ >>6
 第Ⅳ話 謎の美少女 >>7
 第Ⅴ話 風の丘 >>10
 第Ⅵ話 沈黙の野原 >>24
 第Ⅶ話 衝突 >>41
 第Ⅷ話 魔法陣…発動 >>65
 第Ⅸ話 美しき魔女 >>83
 第Ⅹ話 二重人格 >>101
 第ⅩⅠ話 湖——シェイラ >>113
 第ⅩⅡ話 “竜精の槍” >>121
 第ⅩⅢ話 氷の剣 >>122
 第ⅩⅣ話 風の宝玉“ウィンディ” >>123
 第ⅩⅤ話 撤退 >>124
 第ⅩⅥ話 一本の糸 >>125

☆.。.:*・°お客様°・*:.。.☆
No,1 ΨソラΨ様     
No,2 藍羽様       
No,3 みちる君様     
No,4 *猫+様       
No,5 b'`*) ノ桜姫 °*様☆ミ
No,6 ナガ様☆ミ
No,7 楔様
No,8 美織様
No,9 白魔女様☆ミ
No,10 瑠希様☆ミ
No,11 .*:;゜aoi゜;:*. 様☆ミ
No,12 トム君105様☆ミ
No,13 東真様☆ミ
No,14 更紗@某さん様
No,15 くまごろう様☆ミ
No,16 六様

只今【16】名です。
  *+。.。°Thank you°。.。+*

 *+。.。°オリキャラ°。.。+*
 >>14 [みちる君様]@
 >>20 [*猫+様]@
 >>22 >>[b'`*) ノ桜姫 °*様]@
 >>32 [藍羽様]@
 >>36 [楔様]
 >>43 [美織様]@

 感謝ですm(_ _)m ☆ Thank you ☆

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第十二話 “竜精の槍” ( No.121 )
日時: 2010/01/23 17:03
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

 「今こそ我に力を与え、この手にくだれ_______双竜天!!」

 キラが叫ぶと、突然雷鳴が轟いた。周りにいたものは呆気にとられ、呆けている。
 ハーディも驚き、一瞬目を離したがすぐに視線をキラに戻した。
 そして、キラの手には……

 「これが、僕の“双竜天”さ」

 一本の槍がにぎられていた。竜をかたどった柄、鋭利なきっさき。
 それは、天を突くように高々と上げられ、まばゆい光を放っていた。

 「双竜天……“竜精の槍”……か」

 ハーディは小さく呟く。
 “竜精”その名の通り、竜の精である“キーン”の力を借りて使用する槍。
 その槍を手に入れるには、竜と戦い勝ち、契約を結ばなければならない。
 “竜精の槍”を持っているということは、
 それに相当する力の持ち主だと言うことだ。

 「じゃあ……遠慮なくやらせてもらうよ?」

 キラはにっこりと笑うと、槍をこちらに向け、
 真っ直ぐにハーディを見据えて突進してきた。
 その顔は……笑顔だった。

 「…………!?」

 ハーディには意味がわからなかった。あまりにも直球すぎる。
 こんな正面からの攻撃を。よけれないとでも思っているのだろうか。
 ハーディはタイミングを見計らって、軽く上に跳んだ。
 当然キラの攻撃はよけて__________

 「えへへ。油断しない方が良いっていったのに」

 気が付いた時には既に……キラはハーディの頭上にいた。
 ハーディは驚愕に目を見開き、下を見下ろすと、そこにもキラが……。
 上下からはさまれ、ハーディは身動きがとれない。
 二本の槍が、その体を貫こうと振り上げられ、きっさきがきらりと光った。
 そして________


 バァァァァァァァァァァン!!__________

 凄まじい衝撃音が、大地をふるわせた_________

第十三話 氷の剣 ( No.122 )
日時: 2010/01/23 17:04
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

 「はぁ……はぁ……」

 誰かの荒い息が聞こえる。ハーディは恐る恐る目を開けた。
 そこには、槍を手に呆然としているキラがいた。
 自分は、透明な水でできた球体のような物に包まれ、宙に浮いていた。
 周りを見回すと、マリンがこちらに手をのばし、息をはずませていた。

 「何をしているんですか!!」

 マリンはハーディに向けて叫んだ。ゆっくりと体が地面におろされてゆく。
 (そうか……。これはマリンの“水球デゥ”……)
 “水球”(デゥ)はマリンが防御術の中ではもっとも得意とする魔法だ。
 水を幾重にも重ねて球を作り、そこに魔力を注ぎこんであらゆる攻撃から身を守るのだ。

 「ふ〜ん。さっすがお姫様。やっるね〜」

 キラは子供のように笑って感心したように言った。
 マリンはケンの攻撃ほ必死によけていた。
 先程の感電で体力は落ちたが、それほどではない。
 実際、ハーディの方に目を向けられるほどの力はまだまだある。
 
 「あぁ。今度は油断しないぜ」

 水の球がはじけ、キラキラとはじける水滴の中で、ハーディはかっこつけてそう言った。
 マリンはやれやれと言うように首をふった。
 ハーディは大剣“グレイシャル”を構えた。

 「次はこっちから、いかせてもらうぜ」

 グレイシャルが確かな輝きを放ち始めた。
 ぴきぴきと言う音がして、剣が氷を纏ってゆく。
 ハーディは目指すべき標的へと疾走した。
 キラは余裕な顔で一歩もその場を動かない。
 ハーディはキラに届く……一歩手前で大きく跳躍した。

 「上からね〜」

 キラは上を見上げ、迫りくる敵を見た。  そしてハーディがグレイシャルを振り下ろそうとした時……

 「なにっ……!?」

 ケンと同様、突如姿を消した。ハーディは辺りを見回し警戒する。
 精神を集中させ、瞳を閉じる。
 ハーディの周りだけ、時間が止まったかのような感覚に陥る。
 刹那、僅かに風が動いた。ハーディは瞳をぱっと開き、
 気配を感じた場所に氷の剣を振り下ろした。
 
 「…………ふぅ。あー怖い怖い」

 キラは攻撃を間一髪でよけたようだが服の端が一線、切られていた。

 「うん。まぁまぁ悪くないんじゃない?」
 
 キラはそう言って、笑った。すると、ハーディはにやりと笑った。

 「まだだ……」

 気がつくと切られた線の周りが凍結している。キラは少し驚いて目を見開いた。

 「へぇ〜。その剣、切った所から凍っていくのか……。
  ちょっと、厄介だなぁ……」

 キラは困ったように笑うと、切られた服の部分を勢い良く剥ぎ取った。

第十四話 風の宝玉“ウィンディ” ( No.123 )
日時: 2010/01/23 17:04
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

フィリアが言葉を紡ごうとした。が、それはかなわなかった。
 リーチェがヴァイオリンを奏で始めたのだ。
 それは、曲と呼べるものではなく、まるで言葉のような響きだった。
 激しい抑揚をつけて奏でられる不協和音な人の心をかき乱す。
 フィリアは耳をふさぎながらうずくまる。
 先程まで我が物顔で輝きを放っていた魔法陣も光を失い、消滅した。

 「楽器を用いた魔術……。初めて見ましたわ」

 フィリアの周りを、キラキラとした光の粒が舞う。魔法陣の名残だ。
 その中でうずくまる少女は、苦笑しながら言った。

 「このヴァイオリンは、いにしえよりダークドール家に伝わっているものでな」

 リーチェはヴァイオリンを奏でる手をとめ、憂いを込めた瞳でそれを眺めた。
 よほど思い入れがあるものなのだろう。

 「妾は母からこのヴァイオリンを受け継いだ。
  今は妾がこのヴァイオリンの守護者なのじゃ」

 フィリアはヴァイオリンを見つめるリーチェを見て、ほんのりと柔らかく笑った。

 「母……ね」

 遠くを見るような目をしたフィリアのその言葉には、何かが込められていた。
 それが、悲しみや苦しみという暗いものなのか、
 楽しい、嬉しい、という明るいものなのかはわからない。
 ただ、その全てが混ざり合った何かが、フィリアの声にはあった。

 「なにか言ったか」
 「いいえ。何も」

 フィリアはゆっくりと立ち上がった。
 その顔には、あの妖しい笑みが戻っていた。

 「仕方ないですわね。魔法陣は諦めますわ。
  私は、同じ失敗を二度繰り返すほどばかではありませんので……」

 フィリアが右手を前に差し出した。
 その手を、シュルシュルと光の帯が包み込む。リーチェはそれを静かに見つめていた。
 そしてその光がはじけた時、フィリアの手の平には一本の杖が現れていた。
 複雑な装飾がほどこされ、長さはフィリアの身長を超えている。
 杖の先には飾りがついており、その中心には透き通った水色の玉があった。

 「〈宝玉〉!!その色を見ると、“風のウィンディ”か」
 「その通りですわ」

 リーチェの言った〈宝玉〉とは、このヴァロアに伝わる伝説に出てくるものだ。
 玉には、「水」「炎」「草」「風」「雷」の五つがある。
 それぞれ、その属性を司る精霊が宿っている。
 
 フィリアが持つ玉は“風の玉”風を司る妖精“ウィンディ”が宿っている。

 「なぜそのような物をお前が持っているのじゃ」
 「うっふふ……。それを今お教えすることはできませんわ」

 フィリアは驚愕しているリーチェに、笑いながら応えた。

 「さあ……どこからでもかかっていらっしゃいな」

 杖を手にしたフィリアは、余裕の表情で言葉を放った。

第十五話 撤退 ( No.124 )
日時: 2010/01/23 17:05
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

リーチェがヴァイオリンを構え、奏でようとした。
 その時______________フィリアが動いた。

「風よ、我を守る壁と化せ__________“創風璧”!!」

 杖を振り上げ唱えると、フィリアの周囲を風がぐるぐると取り巻いてゆく。
 そして、フィリアは風を纏うかたちとなった。
 その風に何の効果がわからないリーチェは、取りあえずヴァイオリンを奏で始める。
 二人だけの広場に響く、不協和音と風の音。
 フィリアに変化は訪れない。それを見て、リーチェは焦りの表情をうかべる。
 
「風の壁……魔術を遮断しているのかっ!」
「そう。この“創風壁”は私を守る盾。どんな魔術でも遮断できるのです」

 フィリアはそこで一息つくと、不敵に笑った。

「遮断するだけではないのですよ?」

 杖をもう一振りすると、フィリアを取り巻いていた風の渦がリチェへと向かう。
 リーチェは風が離れたのを見てここぞとばかりにヴァイオリンを奏でる。
 だがそれもつかの間、風はリーチェを包みこんだ。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ_________!!」

 リーチェが甲高い叫び声を上げる。体を切り刻むかのような痛みが彼女を襲う。
 
「この風は私に向けられた魔力を吸収し、倍増させて放出する。
 そんな優れものなのですわ」

 風が消滅し、荒い息をはくリーチェをフィリアは一瞥し、
 どこか遠くを見るような眼差しで言う。

「風はいいです。全てを運び去ってくれる。
 苦しみも、悲しみも、痛みも、過去の記憶さえも……。
 でもそれを完全に消滅させることはできない……」

 リーチェは傷だらけの体でも、ヴァイオリンだけはしっかりと抱えていた。
 玄が一本、その役目を終えてしまったようだが……。

「お前は……一体何者じゃ」
「ただの通りすがり……ですわ」

 フィリアは視線をリーチェに戻すと冷たい笑みを見せた。
 既にぼろぼろになった今のリーチェに、一体何ができるだろう。

「苦しそうですし……これで終わりにしましょう」

 フィリアが杖を振り上げた。その時リーチェは、次に来る自分への攻撃を
 避けられぬことを確信した。それでも魔術を行使しようとする。
 フィリアが最後の言葉を紡ごうとした瞬間__________!!
 その人物は現れた。

「リーチェ!」

 一人の青年が忽然と姿を現した。燃えるような赤毛と朱を灯した瞳。
 そう_______________

「ブルート=ファイアリー! 何故戻ってきたのじゃ……」

 リーチェが呆れたように言う。
 フィリアは唐突な敵の出現に動きを止めた。
 
「リーチェ、撤退だ。引けっ!」

 ブルートの言葉にリーチェは唖然とする。

「何故じゃ」
「ここでこの女と戦っても意味がない。王のご命令だ。
 何か用があるらしい! だから引けっ!」

 リーチェは「ちっ」と舌打ちすると、フィリアの方に顔を向けた。

「この決着はまた今度じゃ」

 フィリアは何も言わずに背を向けた。
 敵を倒すことにそれまでの執念がないと見える。
 リーチェはブルートと共にその姿をくらました。

第十六話 一本の糸 ( No.125 )
日時: 2010/01/23 17:06
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

「逃げられましたね……」

 フィリアはふっと軽くため息をつきながら呟いた。
 胸に抱いたコルアは「クーン」と鳴き、尻尾をゆらゆらと揺らす。
 フィリアはそれを見て微笑んだ。今までとは違う、温かい笑みだ。

「ねえコルア? コルアは今、幸せですか?」

 少女はどこか遠くを見つめるようにぼぅっとする。
 炎に焼かれ、燃えおちた建物、誰とも区別がつかぬ人間の屍、
 血に赤く彩られた大地、そして、穏やかな風。
 
「この国は……もう駄目なのでしょうか。
 あの美しい国エルドラドは、一体どこへ行ってしまったのでしょうか……」

 一人だけの広場に、フィリアのどこかへ問いかける声が響く。
 その声は、とても静かで、悲しみがこもっていた。

 この妙に心地よい風は、この国への弔いか。それとも何かの暗示か。

「まだ人間が残っているはずですわね」

 理由はないが、なぜかそんな気がした。
 いや、そう思わなければ、どうしようもなく不安だった。

「帰りますか……? コルア。私達の場所へ。それとも人を探しますか。
 まあ、帰る所なんてないのかもしれませんが……」

 コルアはどこか寂しそうなフィリアを見てその頬をぺろぺろとなめた。
 暖かい舌のざらざらとした感触が頬に伝わり、フィリアの心を少しずつ温めてゆく。
 コルアは白銀の毛並みを風に揺らしながら一声鳴いた。

「そうですか。では、帰りましょうコルア。[フィリアム]へ……」

 少女はさっと杖を一振りすると、風と共に姿を消した。


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