ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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オヤスミナサイ…
日時: 2009/11/05 18:14
名前: もゆ ◆XSUxMbBDok (ID: lm8tIa56)

初めまして!

怖く書けるかどうか解りませんが、よろしくお願いします!

◆登場人物◆

凛 rin
銀髪の少女。 無口で冷血。

ベア
凛の手先のぬいぐるみ。 

笹原 奏 kana sasahara
凛に妹を殺される。 復讐の時を狙っている。

神埼 龍弥 ryuya kanzaki
奏の幼馴染。 奏の事が好き。

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Re: オヤスミナサイ… ( No.6 )
日時: 2009/11/08 12:55
名前: もゆ ◆XSUxMbBDok (ID: lm8tIa56)

04

檻の中の女の子は、息絶えた後、床に空いた穴の中に落とされた。

穴の中には、何がある…?

少女は無表情のまま、食事を終えた。
そして、少しだけ微笑んだ。

「次は1週間後…、誰を食べようかしら」

彼女が静かにフォークを置いた途端、強い風。
ろうそくが、吹き消された。

カーテンの中、閉ざされた闇。

靴音が響いて、遠のいていった。

一瞬だけ、静かになった。

「……」
「オネエ…」
「…オネエチャン…!」

それはまさしく、詩音の声。
その声は、奏には届かない。

死者はざわめく。

泣き喚く、小さな子供を、どうすればいい?

そうだ…、手伝ってあげればいい。



「オマエノノゾミハ、ナニ?」
何人もの声が混じって、不協和音が響く。

それでも女の子は、顔を上げた。

「アノネ…アタシハネ、」

Re: オヤスミナサイ… ( No.7 )
日時: 2009/11/08 12:57
名前: もゆ ◆XSUxMbBDok (ID: lm8tIa56)

>咲さん

来てくれてありがとう♪
そーですね、チューイです(笑

Re: 虐出纏 ( No.8 )
日時: 2009/11/09 18:47
名前: もゆ ◆XSUxMbBDok (ID: lm8tIa56)

05

「ねえ、ベア?」

銀髪の少女、凛は、ゆっくりと手に抱えているぬいぐるみを目の高さまで持ち上げた。

「手を残して来たのは貴方の不手際よね?」

場所は、多分彼女の物だと思われるアンティークのベッドの上。

ほんのりと透ける天蓋の中、ベアと呼ばれたぬいぐるみはうつむいたままだ。

「…なんとか言いなさいよ。ずたずたに裂くわよ?」
「!…ハイ、ワタクシノセイデス」
「この借りは返して。もっとたくさん食べさせて」
「ハイ、承知イタシマシタ」

ぎゅ、とベアの首の辺りを強く凛は握った。

「どうやって?」
「デ…デハ、『学校』トイウ所ニ行カレテハ?」

少し凛は考えて、それから怪訝そうな表情になった。

「ガッコウ? 人間の子供の行く所?」
「エエ。人間ハ単純デスカラ、友達ニナッタフリヲシテ近ヅケバ簡単デショウ」
「そう。そこに行けば手の記憶も消せる」

凛は、恐ろしいほど美しい笑みを浮かべ、うなずいた。

「そうするわ」

Re: オヤスミナサイ… ( No.9 )
日時: 2009/11/09 18:53
名前: もゆ ◆XSUxMbBDok (ID: lm8tIa56)

06

ふと目が覚めると、夜だった。
奏は、自分が自分のベッドに入っている事に気づいて、驚いた。

気を失って、その後は…?

気を失う寸前に見た、あのおぞましい景色。
あれは夢だったのだろうか。

…とても確かめる気にはなれない。

奏の部屋は、2階にある。
階段を下っていくと、話し声が聞こえた。

玄関の方だ。

「ええ、それで…」

コートを着た男の人が2人、玄関に立っているのがちらりと見えた。
お母さんと、いつの間に帰って来たのだろうか、お父さんが、「事情聴取」されていた。

これは、事件なんだ。

奏は逃げるようにリビングの方に駆け出した。


きっと見つからない。
詩音はきっと。

奏の中に確信のような何かがあった。
でも、それを認める訳には行かなかった。

認めれば、詩音は死んでいると認めることになる。


またあの景色が奏の脳裏にゆらめく。
真っ赤な部屋。

つい昨日までは、いたのに。

死んでしまったの?

Re: オヤスミナサイ… ( No.10 )
日時: 2009/12/27 19:53
名前: もゆ ◆XSUxMbBDok (ID: xlzTc90W)

07

奏は泣きそうになって、それでもぐっとこらえた。

—駄目だ、泣いちゃ駄目。

詩音は、自分が探しだす。
奏はそう決めた。

強くなる。

詩音は必ず、見つけて見せる。

と、その時、低い唸るような音が聞こえ、奏はとっさに身構えた。

ヴルルル…

よく聞くと、それは聞き覚えのある車の音。
となりの車だ。

龍弥が、帰ってきた。
「…龍弥」

急に安心感に包まれて、奏は、少しだけ落ち着いた。
でも、詩音は消えたまま。

その現実は、奏には重すぎた。

目を閉じて、奏はよく分からない感情を整理しようとしていた。

妹は消えた。
龍弥は帰ってきた。

ひきかえ…?

隣の家から、楽しそうな笑い声。
今日帰ってきた龍弥の、笑い声…


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