ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- Fate of Chains
- 日時: 2009/12/01 18:44
- 名前: 某さん ◆PHKOj6t3P2 (ID: YpJH/4Jm)
- 参照: http://noberu.dee.cc/noveljunia/keijiban/black/read.cgi?no=119
※カキコだと3000字以内などという規制や、小説自体にも色々描写不足や誤植があったので、一旦ノベルで整理してからもう一回来ます。
というわけで少しの間ロックします。整理できたらリメイク版をこちらに立てます。
〆御挨拶
どうもこんにちは。某さんです。名前に関しては以下省略ry
何故か俺の立てた「Fate of Chains(フェイト・オブ・チェーンズ)」が無くなっていました、何故か。
まあ初めからの書き直しになるんですが、宜しくお願いします。
今作は「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」をモチーフとしたハイ・ファンタジー+ダークファンタジーです。
※荒らし退散。
※どっかの某漫画と似てね?って方。作者自覚してるんで、どうか心の奥に仕舞っておいて下さい。
※アドバイス歓迎です。俺駄文なので。
※フランス語の使い方がめちゃくちゃ。「de」なんて場合によって余裕で付けない作者。いや、殆ど付けないかもしれない。
〆目次
Episode00 Secret-始まりの時- >>1
Episode01 Temptation-ウサギの誘い- >>2
Episode02 Rabbit Hole-悪戯ウサギの通り穴- >>3
Episode03 Black and Black-黒服の二人- >>5
Episode04 Parallel World-異世界と少年- >>7
Episode05 Craig-黒狼(ルー・ノワール)- >>8
Episode06 Discussion-支部長命令- >>9
Episode07 Alice of the Game-少女の退屈しのぎ- >>10
〆訪問者様
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- Re: Fate of Chains ( No.6 )
- 日時: 2009/11/19 15:45
- 名前: 某さん ◆PHKOj6t3P2 (ID: YpJH/4Jm)
……なんか三話異様に長くなったな。もう少し短くていいか……。
ていうか文字数足りね・ω・;
- Re: Fate of Chains ( No.7 )
- 日時: 2009/11/19 17:26
- 名前: 某さん ◆PHKOj6t3P2 (ID: YpJH/4Jm)
Episode04
Parallel World-異世界と少年-
*
——ん? 僕、寝てたのか……。
セシルはある屋敷の一室のベットで目を覚ました。起き上がって窓の外を見てみるが、そこに広がっているのは家や店などの街。さっきフランに連れて来られた場所でもないが、自分の知っている場所でもなかった。
——そういえば、さっきの小柄な女の子と黒髪の男の子は?
そう思って部屋を見渡すが、部屋にいるのは自分一人だけだった。
段々何が何だか分からなくなってきたセシルの耳に、コンコンとドアをノックする音が入ってきた。
「あ、はい……どうぞ」
セシルがそう言うと、ドアから入ってきたのはさっき見た金髪の少女と黒髪の少年。そして更に見覚えの無い灰色の髪の長身の男と、銀髪に透き通った蒼い瞳を持つ少女もいた。
目の前の人達が誰なのかも気になるが、それよりも先に確かめるべき事は此処がどこなのかだ。セシルはおずおずと黒髪の少年に尋ねた。
「あの……えっと、此処は……?」
「此処はレーヴの西部に位置する、ウエストという街だ。そしてこの王国の城みたいな屋敷は、レーヴ治安維持機関『トランプ』のウエスト支部の本拠地」
黒髪の少年が返答する前に、長身の男がセシルの疑問に答えた。
だがそんな事よりも、セシルが気になったのはこの場所の事だ。”レーヴ”に”ウエスト”それから治安維持機関と言う”トランプ”……、どれもセシルが聞いた事のない地名や名称だ。
「すいません……。『レーヴ』ってどこの国ですか……?」
男は一回答えるのを途惑ったが、その口から答えを紡ぎ出した。
「……突然こんな事を言われ驚くかもしれないが、此処は君の知っている世界ではないんだよ……。つまりは”パラレルワールド”という奴だ。レーヴもウエストも、君の世界には無い場所なんだ」
——え?
セシルは今、自分が何か聞き間違えたのかと思った。突如自分がパラレルワールドという異世界に来たという事も、そもそも男の話が信じられなかった。が、外の街は自分の西洋の世界とは似ているが、自分の知っている世界ではない。
それに思い出してみると、自分を何処かへと連れて行こうとした青年フランは、自分を人間では無いと言った。そしてさっき通ったトンネルも、どう考えても普通じゃない。
あまりにも男に告げられた事が衝撃的過ぎて、呆然となるセシル。男はセシルがこうなる事を予測して、話す事を途惑っていたのだろう。それでも男は——いや、男達はこの事実を”話す必要”があったのだ。
「君は白兎——つまりはフラン=ベイクウェルに、何かしらの理由で狙われているんだ。だから白兎を拘束すると一緒に、君を此処に保護した。白兎を拘束できなかったから、何故君が狙われているかは分からず仕舞いだけどね……」
言葉は聞こえるが、頭に入ってこない。理解ができない——それが今のセシルの状況だった。
——もしかして僕は、もうロッティやメリッサには会えないのかな……。
セシルの脳裏に浮かぶ姉の顔や友の顔。でも、もし帰る事ができなければ、永遠にその人達とは会えない——。セシルの頬に涙が伝う。
「……落ち着いたらまた来るよ。暫く此処にいるといい」
そうセシルの身を案じながら男が言うと、少女や男は出て行った。
ガチャリとドアが閉まる。部屋の中にはセシル一人。
——見えている筈なのに、真っ暗だ。
自分以外いない部屋の中、自分だけが世界から切り離されたような、そんなふうにセシルは感じた。
そこに突然コンコン、とドアを叩く音。
「はっ、はい。どうぞ」
ビクッと肩を震わせながら返事をする。入ってきたのは——。
- Re: Fate of Chains ( No.8 )
- 日時: 2009/11/19 18:37
- 名前: 某さん ◆PHKOj6t3P2 (ID: YpJH/4Jm)
Episode05
Craig-黒狼(ルー・ノワール)-
「ん、オレだけど」
入ってきたのはさっきの黒髪の少年、クレイグだった。静かにセシルのベットへと近づいていく。
「あ、あの、えと——」
「いや、さっき泣いてたから心配になってな。支部長には、落ち着くまで部屋に入るなって言われたんだけどさ」
そう言って近くにあった椅子を持ってきて、腰をかけるクレイグ。突然の来訪に何を話していいのか分からないセシルは、とりあえずクレイグをまじまじと見つめる。すると、先刻フランと対決していた時に使っていた銃が目に入る。
「……なんだよ」
「その銃、本物?」
セシルの視線が、自分へと向いていた事に気づくクレイグ。もっとも、視線の先はクレイグではなく、クレイグが身に着けているガンベルトの装飾銃だったが。
クレイグはガンベルトから装飾銃を取り出し、セシルに見せてみる。
「本物だよ。さっき白兎から助けてやった時に弾、撃ってただろ? オレの愛用している銃で『ジョット』って言う」
クレイグはそう言うと、ジョットをガンベルトに仕舞った。
——僕より少し歳が上くらいなだけなのに、銃なんて使っているのか……。凄いなあ。
セシルはさっきまで孤独感に包まれていたのも忘れ、すっかりクレイグの話に夢中になっている。
セシルの目か輝いているのを見て、クレイグはふっと優しく微笑んだ。
「……笑ってるな」
「え……?」
「そういう顔もできるんだな、お前」
——あれ、この人……。
あまり笑顔を見せず大人びた感じのクレイグに対して、クールな印象が根強いていたセシルだが、初めて優しい笑みを見せたクレイグに何か違う印象が芽生えてきた。
セシルはハッとする。今度はクレイグがセシルをじいっと見つめている。
「えっと、何ですか……?」
「お前、何歳?」
何を聞かれるかと思ったら、年齢というごく普通な事を聞かれ、逆にセシルは途惑った。
「14歳、です……」
「へえ、見た目の割には意外とそれなりに年いってるんだな。俺16歳。酒も飲んでるし、煙草吸ってるけどな」
——え? これで16歳……?
またクレイグをまじまじと見つめる。顔は多少幼い感じがしなくもないが、言動がどこか大人っぽいクレイグは16歳には見えない。おまけに煙草に酒も飲んでるというのも16歳には思えない。いや、16歳では駄目だろう。
——ちょっと待って? 16歳って言った?
一つ疑問に思ったセシルは、思い切って尋ねて見る事にした。
「クレイグさん……16歳で国の治安維持機関に?」
「さん付けはやめろ、気持ち悪いから。まあ色々と理由があってな、此処に入る為に銃の使い方を覚えたわけ」
ジョットを空中て回転させ、落ちてくる銃を片手で受け止めるクレイグ。
——本当に、僕より2歳しか歳が変わらないなんて思えないな。
銃をガンベルトに仕舞うクレイグを見ながら、そう思った。
——クレイグが一緒なら、やれるかもしれない。
「クレイグ——」
「なんだ」
セシルは決意した目で、衝撃的な発言をした。
「僕、トランプに入りたい」
「——は?」
- Re: Fate of Chains ( No.9 )
- 日時: 2009/11/19 21:19
- 名前: 某さん ◆PHKOj6t3P2 (ID: YpJH/4Jm)
Episode06
Discussion-支部長命令-
*
「クレイグ……貴様、本気で言っておるのか?」
「いや、別にオレが言ったわけじゃないんすけど。セシルの奴、目が本気でしたよ。レイシーさん」
支部長室と書いてある書斎のような広い部屋で、4人の人間が集まって話し合いをいていた。先程セシルの元へ行った長身の男、レイシーと呼ばれる銀髪の少女、クレイグ、それから金髪の少女——ルチア。
話し合いと言うのは、セシルがトランプに入りたいという事だ。此処に来たばかりの少年が、いきなり知らない世界の治安維持機関に入りたいと言い出すなど、さすがに男やレイシーは驚いた。——ルチアは表情一つ変えずそれを聞いていたが。
「ルイス……どうするつもりだ? まさか、あの少年を我々の組織に入れるなど——」
「うん、それなんだけどね……」
長身の男——ルイスもまた、衝撃的な発言をした。
「彼にトランプに入る為の、面接試験を受けさせてもいいと思う」
瞬間、レイシーはルイスの懐に入り込んで胸倉を掴み、怒鳴り付けた。彼女はルチアよりも小さく、その綺麗な銀髪に美しい外見、それとは対に独特な喋り方から妖艶な魔女のようにも見える。が、今のレイシーは顔を歪め、鬼のような迫力があった。
ルイスは困ったように笑うが、目は笑っていなかった。鋭い光を宿している。
「レイシーちゃん……手、離して貰える? これでも僕、結構本気だよ? それともレイシーちゃ、ゴブウッ!!」
ルイスの頬にレイシーの強烈なビンタの一撃がヒットした。だが、それだけでは終わらない。
「貴様はあっ! 本当に癪に障る奴だ! 妾に”ちゃん”付けをするなと、何度も言っておろうが!」
レイシーはビンタで弾幕を張りつつ、持っていた杖で更に追い討ちをかける。
——やっぱレイシーさん怖えな……。逆らわないようにした方がいいか。
クレイグはレイシーと距離を離しながら、そう思った。無論、こんな事を口に出したら自分がどんな目に遭うかくらい、目先の出来事を見たら分かりきった事なので黙っておく事にした。
——実に下らないです。支部長も副支部長も。
ルチアはどこからかお茶を取り出し、それを啜りながらルイスに対してのレイシーの一方的攻撃を見ていた。二人の争いなどどうでも良いらしく、止める事なく遠くから見ている。
ようやくレイシーのビンタラッシュが終わり、ルイスはヒリヒリと腫れた頬をさすりながら苦笑する。
「ははは……っ。やっぱレイシーちゃんは怖いなあ……。でもこれは決定事項なんだよ、支部長権限って奴?」
ルイスはそう言ってレイシーに笑いかけた。
ルイスは支部長、レイシーは副支部長。年齢は実を言うとレイシーの方が上なのだが、役職としては僅かながらもルイスの方が上。上に意見はできても、命令には逆らう事はできない。レイシーは悔しそうに顔を歪める。
「くっ……分かった。いいだろう」
レイシーは不本意ながらも頷いた。
「じゃあ僕はちょっと”あの人”のところに行って来るから。また後でねみんな」
ルイスはそう皆に笑いかけると、椅子にかけてあったコートを羽織り、部屋を出て行った。
——まったく、正気か奴は。
はあ、とレイシーは溜め息を零した。
*
「なあ、ルチア」
「何ですか」
レイシーも出て行った支部長室で、クレイグが沈黙を破りルチアに話しかけた。ルチアはクレイグを見る事なく、武器であるナイフの手入れをしている。
「今更気づいた」
「……」
脳裏にセシルと話した光景を浮かべながら、言った。
「近距離に近づくまで分からなかった……あいつに”魔力”が宿っていることにさ」
- Re: Fate of Chains ( No.10 )
- 日時: 2009/11/21 14:25
- 名前: 某さん ◆PHKOj6t3P2 (ID: YpJH/4Jm)
Episode07
Alice of the Game-少女の退屈しのぎ-
*
「フラン、帰ってきた。どこ、行ってた。説明しろ」
そうフランに詰め寄ってきた一人の少女。どうやら先程まで部屋で人形遊びなどをしていたらしく、ぜんまい仕掛けの人形や、オルゴールなどが散らかっている。その部屋は、まるで玩具箱のような。だが部屋の主である少女も、黒いドレスを着ていて目は虚ろ、腰まで伸びている栗色髪。少女もまた、人形のような風貌をしていた。
フランはにこりと少女に笑いかけながら、散らかっている人形を片付ける。
「うん、ちょっとね。君が知らなくても良い事だよ」
何も喋ろうとしないフランに、少女はそれ以上問い詰めようとはしなかった。それはフランに言われたからではなく、ただもう”興味が無い”というような、そんな感じだった。
少女はすくっと立ち上がると、フランが片付けたばかりの玩具箱から、チェス盤を取り出した。
「フラン、暇。チェス、やる」
そう言って、感情の篭っていない虚ろな目でフランを見る。それに対し、フランはいつも通りにこにこ笑って返答する。
「うん、いいよ。やろうか」
テーブルの上にチェス盤を置くと、二人も椅子に座って駒を並べ始めた。少女は自分で誘っておきながら、顔には嬉しそうな表情も楽しそうな表情もなく、只虚ろな目で黒い駒をチェス盤に並べていった。
ゲームを始めると、少女はチェスをやりながらも話し始めた。
「また、潰した。トランプの兵隊、また潰した」
「そうか、それは良かったね」
”トランプの兵隊”とは、おそらくセシルたちのいる治安維持機関”トランプ”の事を指しているのだろう。少女は無表情だったが、どこか嬉しそうな顔をしていた。
少女の話をフランは楽しそうに聞く。潰した——つまりは「殺した」と言う意味だという事を、フランは分かっていた。それでもフランは、トランプ——人間などどうでもよさそうに、楽しそうに聞くのだ。
「トランプ、私のゲームを邪魔する。私の作る”再生の日”(リバース・デイ)の邪魔する。だから、潰す」
少女はそう言いながら、フランの駒を次々と蹴散らしていく。まるで、少女が人間を扱う時のように。
「でも、これはきっとゲームの一つなのかもしれない。最早此処でゲームを楽しんでいる私達も、盤に並べられた駒の一つなのかもしれない。それも面白い……運命の中で縛られ、足掻く人間共と一緒に、一緒に遊んであげる事にした」
「……それが君の新しいゲームなんだね、アリス」
フランはふっと、少しだけ笑った。
チェス盤に並べられた駒——ニンゲンを使って、アリスは今日も愉しそうに遊ぶ。とても残酷で、狂気にかられた、愉しい愉しいゲームを——。
*
トランプウエスト支部支部長、ルイス=スプリングフィールドは、ある屋敷の前に立っていた。トランプの巨大な屋敷くらいはある、大貴族が住んでいるようなお屋敷。
ギイイ……という古めかしい音がして、巨大な門が開く。そこに立っていたのは、黒髪の一人の少女。
「お待ちしておりました。ルイス=スプリングフィールド様」
「やあ、久しぶりだねエステル。君の主の下に、案内して貰えるかな?」
すると少女はくるりと後ろを振り返り、屋敷の方へと歩き始めた。ルイスもそれについて行く。
屋敷の扉が開き、待っていたのは薄紫の髪にケープを纏い、シルクハットを深く被った、子供のような外見をしている人だった。顔がよく見えない為、男か女かは分からないが。
「ご苦労エステル。そして相変わらずそうだね、ルイス君」
「そちらこそまったくお変わりないようで、ワーズワース公」
お互い挨拶を交わす。話しぶりからどうやら昔からの知り合いのようだ。ワーズワース公はルイスの言葉に、シルクハットを深く被っているため目元は見えないが、口元から笑っている事は分かった。
「まあ、こんなところで立ち話をしているのもあれだ。エステル、案内を頼むよ」
「はい、アシュレイ様」
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