ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 魔女の血を受け継ぐ者
- 日時: 2009/12/30 23:52
- 名前: 白魔女 (ID: iH8DsO3F)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=12408
こんにちはー。はじめての人ははじめましてー。
ファンタジー大好きの白魔女です。
まだ書き途中の小説があるのですが、
それがあまりにもファンタジーで、グロが全くないのでほしいな、と思い。
この小説が出来ました……(汗
出来ればそのグロの全くない「時の魔術師」ってのも、読んでほしいです(ちゃっかり宣伝w
で、さっきも書いたように、
グロメインです……!
と言うわけで、無理な人は、どうぞ戻るのボタンを押す事をお勧めいたします。
まだまだ未熟ですが、どうぞ(読める人は)読んでいってください♪
- Re: 魔女の血を受け継ぐ者 ( No.18 )
- 日時: 2010/01/05 12:23
- 名前: 白魔女 (ID: GEbzXJEw)
——三章——
次の日、私はまた、あの赤い悪夢をみた。
でも、今までとは違って、部屋が違う。和室だ。でも、その少女が行っている作業は、変わらず、転がっている死体にさらに傷をどんどん付け足し、返り血を浴び、笑っている。
そして、私は目を覚ました。
下が妙に騒がしい。
降りてみると、パトカーが祖母の家の近くにある家に止まっていた。その様子を見ていたおばあちゃんに、何があったか聞くと、祖母は顔を真っ青にさせ、
「近所の佐藤さん家のおじいちゃんが、殺されたのよ
。無残に、体を切り刻まれて……」
私は全身の毛が逆立った気がした。
お姉ちゃんだ、お姉ちゃんが殺したんだ!
私は一刻もその場から離れたくなり、部屋に戻り、また震え始めた。
次の日、私はまた、あの悪夢をみた。昨日とはまた違った家だ。そこの若い女性を少女が襲っている。
もうやめて!そう叫ぼうと思ったとき、私は目を覚ました。
——嫌な予感がする——。
私は一階に降り、玄関を出る。やっぱり、想像通り、パトカーがそこにいた。
「また、殺されたそうよ……体を切り刻まれて……」
誰かがそう言っているのを聞いたが、私はそのパトカーの位置を見て、ゾッとした。
昨日より、殺された人の家の位置が、私の家より近くなっている!
——気づいたときには遅かった。
毎夜毎夜、それが続いた。
どんどん、近くなってゆく。
お姉ちゃんは、私を狙っているのだ!
- Re: 魔女の血を受け継ぐ者 ( No.19 )
- 日時: 2010/01/05 12:32
- 名前: 白魔女 (ID: GEbzXJEw)
——四章——
ついに悪夢は、私の足元まで及んできた。
今日見た悪夢は、小さな死体だった。子供か?そう思ったが、それを知ることは出来なかった。顔も、体も、すべてが真っ赤に染まっていたからである。
私は起きたが、まだ夜明け近くで、おばあちゃんも起きてはいなかった。
トイレに行こうと、一階に下りたが、何かいつもと様子が違う。
奥の居間へ行くと、そこはまた、真っ赤に染まっていた。
私はうっと、吐きそうになり、口を押さえたが、ゆっくりとその場へ近づいた。
殺されていたのは、おばあちゃんの飼っていたミケだった。
頭と胴体が切り離されて、腹からねっちょりとした赤いものが外に出ている。頭は顔さえどこにあるのかわからないくらい、おぞましい形になっていた。
甲高い悲鳴を上げ、私はおばあちゃんの部屋に走った。
「殺されるっ……殺されるっ……」
うわごとのように、私は呟きながらおばあちゃんの元へ行った。
- Re: 魔女の血を受け継ぐ者 ( No.20 )
- 日時: 2010/01/05 12:39
- 名前: 白魔女 (ID: GEbzXJEw)
——五章——
「おばあちゃん……今日、一緒に寝ていい?」
死体の片づけを終えた私は、おばあちゃんに聞いた。
次の殺されるとすれば、おばあちゃんだからだ。
「……いいわよ」
おばあちゃんは、私の気持ちがわかったのか、そう言ってくれた。
おばあちゃんの部屋で、私は布団を二つ敷いた。
そして、消灯。
今日は寝まい、と思っていたが、いつの間にか眠っていたらしく、私はまたあの悪夢の中にいた。
見ると、またいつものように、少女は死体を荒らしていた。そして、その死体は、私にやさしく接してくれていたおばあちゃんのものだった。
おばあちゃん——!
私は少女に飛び掛った。そいつはきっと、姉だと思っていた。が、私はその少女の顔を見て、悲鳴をあげた。
——少女は、私だった——。
- Re: 魔女の血を受け継ぐ者 ( No.21 )
- 日時: 2010/01/05 12:48
- 名前: 白魔女 (ID: GEbzXJEw)
——六章——
「わた……し……?」
そう私が呟くと、ふっと意識がとんだ。そして、気がついた時には、私が包丁を持って、おばあちゃんを切り刻んでいた。
「やっぱり……ヒカリね……」
お姉ちゃんの声がした。ハッとして振り向く。
「お、お姉ちゃんっ……」
私は気づいた。これは夢などではない……!
「お姉ちゃん、、これは一体何なの!
お姉ちゃんが殺してたんでしょう!?
お姉ちゃんが、なんの関係もない人を殺してきたのよ!
そして、お父さんと、お母さんも……」
私は言葉を切った。
「お父さんとお母さんも、あんたが殺したのよ!!」
そう、叫んだときだ。私は平手で叩かれた。
「勘違いもいい加減にしなさい!」
そしてお姉ちゃんは、私を無理やり立たすと、怒鳴った。
「あんたが!今まで!ずっと、人を!殺してきたのよっ!!」
その瞬間、時間が止まった。いや、止まってしまえばいいと思った。
「嘘も休み休みいいなさい!ヒカリ!あなたがお父さんとお母さんも殺して、罪のない人々を殺してきたのよ!」
- Re: 魔女の血を受け継ぐ者 ( No.22 )
- 日時: 2010/01/05 13:08
- 名前: 白魔女 (ID: GEbzXJEw)
——最終章——
「嘘よ……嘘だっ!」
私はお姉ちゃんの手を振り払った。
「お姉ちゃんが殺してきたのよ、だって、私、夢の中でずっと、見てたんだから……」
「あんたが言っているその“悪夢”っていうのは、夢でもなんでもないわ!現実よ!あんたが人を殺してきたのに、あんたはそれを自分に都合のいいように、客観的に見てるって暗示を掛けていたのよ!」
そんな……。
私は今まで見てきたあの少女を思い出した。
人殺しを楽しみ、返り血を浴びて喜んでいた少女が、私だというの?
「どうして……どうして……こんなことに……」
「私達は、魔女なのよ」
思ってもみなかった言葉を、姉に言われた。
「魔女?」
お姉ちゃんは、小さくうなずいた。
「私達の祖先は魔女。人殺しを生業としていた魔女。あなたは教えられなかったけどね、私は小さい頃にお母さんから聞いたわ。
いつか、その魔女の血が騒ぎ出して、人を殺し始めるかもしれないってね」
「嘘……」
「嘘じゃあないっ!!」
姉はびっくりするほど大きな声で言った。
「あたしだって……嘘なら……それだけいいことか……」
「お姉ちゃん……」
そのときだった。鼓動が激しくなる。
「ヒカリ?ヒカリ!?」
私は胸を押さえて倒れたが、すぐに立ち上がった。
その時、もう私は“私”ではなくなっていた。
「ヒカリ……」
私は持っていた包丁を振り上げた。
「きゃあっ」
姉はかろうじて逃げる。
これが、魔女の血……。
私にはわかった。体が、血をほしがっていると。
『やめて……やめて……!!』
心の中で叫んだが、体は言う事を聞かなかった。姉に向かって、刃物をぎらつかせる。
『お姉ちゃんを、助けなきゃ……』
「ヒカリ……!ヒカリ……!」
お姉ちゃんが、私を呼んだ。お姉ちゃんは、ハッキリとした口調で、言った。
「あたしを殺して。それで、あなたの欲がおさまるなら、それでいい」
それは、私に対してでも、私の中にいる魔女に対してでもあった。
自分の身を省みず、私のためを思う姉を、私は決して殺さない、とその時私は思った。
でも、魔女は強く、容赦なく姉を襲った。
私は、全精力を使って、魔女の動きをかろうじて封じ、口を開いた。
「おねえ……ちゃん……にげ……てぇ……!」
その時、私の瞳から赤い涙がこぼれた。
私は包丁を握りなおした。お姉ちゃんが、身構えるが、その包丁は私のほうに向けた。
「ヒカリ……!?何をするつもり!?」
私は最後にその言葉を聞いて、自分ののどにその包丁をつき立てた。
目の前が、真っ赤になった。
——ごめんね、お姉ちゃん……これしか方法はなかったの……——
「ヒカリ—————————!!!!!!」
「魔女の血を受け継ぐ者」 完
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