ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 逆転デキマスカ?
- 日時: 2009/12/16 20:10
- 名前: 朝喜 ◆rgd0U75T1. (ID: cRxReSbI)
- Re: 逆転デキマスカ? ( No.6 )
- 日時: 2009/12/16 19:40
- 名前: 朝喜 ◆rgd0U75T1. (ID: cRxReSbI)
5
廊下では……
「はぁ……皆狂ってる……」
少女はうるさいく騒がしい廊下を歩きながら呟いた。その呟きが自分当てであることも気づかぬまま歩いて行く——
校舎の裏では……
「……」
音楽室から飛び降りて感じたものは正体のわからない喪失感だった。幸いにも下が土で、昨日雨が降っていたせいもあってそれ程痛みを感じなかった。殆ど無傷である。
そんな中、ひょっとしたら死ねる事を期待していたのかもしれない、とそんなことが脳裏を過ぎる。
——俺は……死にたい? のか?
教室では……
「クスクスクス、クスクスクスクス……」
「キモ」
「モノは鏡みて言えバア——カ、クスクスクス。死ねッ、タコハゲ。クスクスクス」
前髪の長い少年は必死に笑いを堪えてるつもりなのだろうが不気味な笑みが耐えない。ある種の危険性を感じる者さえいる。そして、それは大方間違ってはいない。
なぜならば——彼には嫌いな人物がいるから——その人物が“これから”不幸になるのが楽しみでしかたなかったから——
- Re: 逆転デキマスカ? ( No.7 )
- 日時: 2009/12/16 19:40
- 名前: 朝喜 ◆rgd0U75T1. (ID: cRxReSbI)
6
図書室とは『本の匂いがする所』なのだ。本の匂いがわからない人が多いらしいが、その少女は確かに知っている。本の匂いを。
「え〜と、ブギーホップ、キノの旅、半分の月がのぼる空、アクセルワールド、撲殺天使ドクロちゃん、狼と香辛料……………!? な、ない!?」
少女——小夏(こなつ)は淡々と目の前の棚に並んでいる本のタイトルを言いながら目当ての本がないことに気づく。
少女が探していたのは『バッカーノ!』という本。
すぐさま図書室にいる先生? に訊き、誰かが借りているのかということを調べる。
「ああ、アレね。あまりに人気だったもんで皆すぐ借りてっちゃうのよね〜」
「で!? その本いつ戻ってくるんですか!?」
少女の目が血走っている。
「もうないよ?」
沈黙。
——え? 落ち着け私。「もうないよ?」ってどういう意味だ?
——落ち着け、どんとうぉーりーだ私。
——えっと「もうないよ?」っていうのは、まるでもうないみたいな事だ。
——つまり、え〜と……
「つまり、人気がありすぎたんだけど、乱暴な人がいて、破けちゃって、で、それで捨てたってこと」
淡々と言う先生? に対し、小夏は……
「馬鹿な!? ……じゃ、じゃあ越佐大橋シリーズの上巻って……ありますか?」
「あるけど——」
「やった!」
- Re: 逆転デキマスカ? ( No.8 )
- 日時: 2009/12/16 19:40
- 名前: 朝喜 ◆rgd0U75T1. (ID: cRxReSbI)
7
——計画通りだ、何もかも。クスクスクスクスクスクス……
「おい永水(ながみな)、お前調子乗ってんじゃねえぞ」
前髪の長い少年——永水柊ニ(ながみなとうじ)は目の前の人物に嫌悪を、殺意を、全身全霊の恨みを込めて笑みをかえす。
「黙れよ、耳障りだ。親切心で言ってやるけど、キミさ、頭に育毛剤でもかけ——」
次の瞬間——柊ニは目の前の人物(柊ニ曰く「ハゲ」)に殴られ、蹴られ、踏み潰された。
——計画通りだ、何もかも。クスクスクスクスクスクス……
- Re: 逆転デキマスカ? ( No.9 )
- 日時: 2009/12/16 19:41
- 名前: 朝喜 ◆rgd0U75T1. (ID: cRxReSbI)
8
——次の日、
「チッ、また来やがったよ」
「死ねし」
「恥知らずめ」
「クスクスクスッ、クスクスクスクッスクスクスクッ……」
柊ニ(とうじ)がいつにもなく不気味だった。それ以外は何も変わらない朝の学活の時間に——
——“それ”は起きた。
- Re: 逆転デキマスカ? ( No.10 )
- 日時: 2009/12/16 20:10
- 名前: 朝喜 ◆rgd0U75T1. (ID: cRxReSbI)
9
朝の学活の時間。
その違和感は、広がりつつあった。
「あれ? 何かセンコーのヤツ遅くね?」
「別にいんじゃね? そんなの」
それは伝染するかの如く広がっていき——
「もう来てるよ、クスクスクスクス……」
一人の少年が呟き、教室の扉が勢いよく開いた。そして、入ってきた者を見るなり皆が絶句する。
入ってきた教師が——血塗れかつ血走った目で生徒たちを睨んでいるのだ。
「な、永水ぁ!! キサマ——」
言い終わる前にその教師は永水と呼んだ生徒の回し蹴りを食らった。その光景は、たんに少年が汚い大人を蹴るだけというものではなく、綺麗な弧を描くようにしてぶつけられた足が教師のバランスを崩し、もう片方の足で黒板にめり込むという無様な光景だった。
すかさず、どこから持って来たのか、ロープのようなもので教師を縛り、少年——永水柊ニ(ながみなとうじ)は不気味な笑みを浮かべ、満足そうに叫んだ。
「いっつぁしょ〜たいむ!」
この掲示板は過去ログ化されています。