ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- Blood Lily
- 日時: 2009/12/25 20:27
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
消されたんで、作りました。
■登場人物■
ノエル…17歳 今は途絶えた「修羅」の生き残り。明るく、ムードメイカー。5年前、ある事件を起こし3年間監禁された。
リリー…15歳 最強の死神ディオネアスに酷似した鎌を持つ。 その為、「危険人物」として幼い頃から監禁されていた。 シンシアの子供。
トト…16歳 リリーを尊敬し、彼女にだけは敬語を使う。実年齢より少し幼い言動。 名前は偽名で、本名を呼ばれると発狂する。
ラズ…17歳 無口で無表情。 トトとは仲が良い。5人の中で一番常識がある。
シヴァ…18歳 死神の中では最年長。 短気で、主にノエルを叱っている。
フィーロ…26歳 司令官。 死神を道具ではなく、人間と見ている数少ない人間。 皆から信頼されている。
シャーネット…?歳 反政府組織側についた死神「キラー」の一人。 外見年齢は15歳ほどだが、実力は死神より上だった。
ジーモ…17歳 シャーネットの鎌で彼女の世話係。唯一、人間で武器化できる存在。シャーネットとは異界を共存してある。
アルド…25歳 ノエルの実兄で修羅の生き残り。キラーの一人で鎌を召喚せず『鎖羽』などの修羅特有の禁術を扱う。
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- Re: Blood Lily ( No.1 )
- 日時: 2009/12/25 08:59
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
用語集
<ディスカニア>
永遠に夜が明けず、朝が来ない世界。
物語の舞台となっている。
<死神育成機関>
政府が設けた、「処刑場」。ここで死神たちは暮らしている。別名は「孤児院」。一般人は近づけない。
<死神>
政府の下で働く「処刑道具」。
生まれつき異界を発動させ、殺傷衝動が起こり親など親しい人間を殺す。 物心がつくと鎌を操れるようになる。 彼らを「人間」として思っている奴は少ない。 一生子供の姿で、ある程度生きると異界の力に犯され、消滅する。
<ディオネアス>
至上最強で最悪の死神。 ディスカニア教典の神話に登場する。 その魂はまだ、この世界に存在すると言われている。 リリーの持つ鎌が非常に彼の鎌に似ている。
<修羅>
今は滅びたノエルの血縁者。 反政府側にも政府側にもつかず、彼らだけで行動しクーデターを起こそうとしていた。 が、政府側の死神らに抹殺される。 ノエルはその生き残りだが、彼に実兄がいるという事で、他にもう一人、その生き残りがいる。
<反政府組織>
ファーザーという男が従える、独裁社会を目指す集団。 アンデットを作り出し、刻々と政府を追い詰める。
<キラー>
反政府組織側についた死神。 「キラー」(殺し屋)と呼ばれている。 ファーザーという男に従い、彼の命令や独自の判断で行動している。
<アンデット>
魂を完全に食われ、異形の化け物と化した人間。
嫉妬・憎悪・絶望を心に宿しているとファーザーの手によって作られる。
貧富の差が激しく、貧しい下級都市でよくアンデットが出没する。
<シンシア>
リリーの母親。 何故か彼女だけが、誰かの子供を身ごもり、出産してもなお、行き続けた死神。
容姿は20歳ぐらいだが、実年齢は30代。 唯一、死神の中で長寿な死神。 暗闇と孤独を好み、地下での監禁生活を望んでいる。 リリーを娘としてみたことはなく、名前で呼んだ事もない。
- Re: Blood Lily ( No.2 )
- 日時: 2009/12/25 09:08
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
……回想シーン……
死神・リリーとノエルがアンデット退治を追え、死神育成機関に帰宅した直後。
長期任務で3ヶ月間帰ってこなかったシヴァと再開。
フィーロから言い渡された任務は、「反政府組織撲滅計画」。
無期限の任務で、近頃行動が活発化している反政府を撲滅しろというものだった。
さっそく、反政府のアジトがあると噂されるとある町の倉庫を訊ねたリリーとシヴァ。
身長が伸びた事に気づかず、すっかり気まずい雰囲気になった二人だが、倉庫内の惨劇を見て息を呑む。
そこにいたのは、キラーであるシャーネットと、その鎌であるジーモ。
人間は玩具だと、魂を侮辱する発言に珍しく感情を高ぶらせたリリーが、不利な戦闘にも関わらず、彼女らを処刑し、遺体を連行することを決める。
しかし、シャーネットによって傷を負ったシヴァとリリー。
さらにジーモによって斬られそうになったリリーをシヴァが庇い、致命傷を負ってしまう。
リリーも刺され、気を失っている間にシャーネットは逃走。
連絡が途絶えた二人を心配し、ノエルが倉庫に向かうと案の定、二人が倒れていた。
政府が管理している病院で目を覚ましたリリーに、ノエルは「何故撤退しなかった」と問いただす。
あくまで「間違った事はしていない」と言い張るリリーに苛立ち、気まずい雰囲気で別れてしまったが?
- Re: Blood Lily ( No.3 )
- 日時: 2009/12/25 09:23
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
第4夜
ハート・ボイス
「大丈夫かい?」
優しい声が聞こえ、リリーが振り向く。
「フィーロさん」 「シヴァは安心して。 大丈夫だから」
ベッドの横にあるパイプ椅子に腰掛け、悲しげな顔でリリーを見つめる。
「ごめんね」 「はい?」 「いつも僕は、キミらに指令を下す事しかできないから・・・・・・」
申し訳なさそうに、唇を噛む。 俯き、うな垂れる。
「・・・・・・別に、今更そう言われても困ります。 私たちの存在価値は、人間を殺してナンボですから」
人間ではなく、死神としてのその発言にフィーロがさらに悲しげな表情になる。
リリーはそれに気づいていたが、何も言わずに窓の外を見た。
「キミは、本当に凄い子だね」
「そうでしょうか。 私はただ、任務をまっとうするだけです。 今回は、シャーネットたる人物を処刑する事ができませんでした。 反政府の重要人物になると思ったのに・・・・・・すみません」
「謝らなくていいよ。 それより、何よりも自分の事を大事にしなよ」
視線を窓の外から、フィーロに移す。
「どうしてですか?」
「え?」
「どうして、私が私の心配をしなきゃいけないんですか? 私は、しんでも平気です」
淡々と自分の存在価値を言い、上半身に走った痛みで少しだけ眉をしかめる。
「でも、僕はリリーがしんだら悲しいよ」
心が波打つ。
もどかしい。
フィーロは笑っていた。
優しく悲しげに、笑っていた。
「きっと、ノエルだってそう思ってるよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「キミが思っているよりはるかに、皆キミが大切なんだよ」
かすかに、肩がびくりと動く。
大切? たいせつ? タイセツ?
言葉が木霊して、脳内に響く。 傷をつける。
どうして、こんなに動揺するのかわからないけど、
「・・・・・・・・・・私は、皆を大切だなんて思ってません」
努めて、平静を装う。
拳を固く握る。 シーツを掴み、そのしわが増える。
「悲しいね、キミは」
フィーロが、そっとリリーの頭を撫でる。
「じゃあ、キミは一人でも生きていけるのかい?」
「生きてみせます」
生きれます、ではなく、みせます。
真っ直ぐにフィーロを見つめる目は、決意も何も含まれて居なかった。
ただ、絶望と孤独が入り混じった、不安定な目をしていただけだった。
「・・・・・・・・・・・・・・それでも僕は、僕たちはキミが好きなんだけどね」
「・・・・・・・・・・・・・・・そうですか」
頭から手を離し、椅子から立ち上がる。
「そろそろ行かなきゃ。 トトたちにも新しい任務があるっていうしね」
「・・・・・・・・・・・・・さようなら」
「さようなら、リリー」
軽く手を振り、病室から出て行く。
心をしっかりと保ちながら、
「スキって、どういう事なのかしら・・・・・・」
一人病室で呟いた。
- Re: Blood Lily ( No.4 )
- 日時: 2009/12/25 11:58
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
「煙草は、未成年は禁止だよ。 ラズくん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
病院内の長いすで、堂々と煙草をふかしているラズが、フィーロに見つかって気まずそうな顔をした。
灰皿に先端を押し付け、火を消す。
「・・・・・・・・リリー、は?」
「うん、大丈夫だった」
「さっき、ノエルが怒ってたけど」
「・・・・・・・・リリーは、自分一人で生きてると思ってるんだよ」
ラズがフィーロを見る。 続きを待つ。
「彼女一人で生きる事なんて、出来やしないのに」
「・・・・・・・・・・・・・・・・リリーが、言ったの?」
「ああ。 あの子はシンシアさんに囚われすぎてるんだよ。 しかも幼いうちに地獄を見て、そりゃ感情も歪んでくるに決まってる」
「あいつは、ちゃんとあるよ。 心」
自分の胸を抑える。
きちんと、鼓動が規則正しく伝わってくる。
フィーロが軽く微笑んだ。 ラズは無表情だった。
「ただ、あいつがそれを認めようとしないだけ」
「・・・・・・・・・・・・・・・っ、ラズくん任務を伝えに来たんだよ」
話題を強引に変えたが、ラズは何も言わなかった。
書類を捲りながら、フィーロが任務を伝える。
「トトと一緒に、反政府組織のアジトを探り出して欲しい。 きっと、長期間の任務になる。 他のメンバーにも言い渡すつもりだ」
「戦争に、なる?」
子供のように、不安そうな口調で尋ねた。
死神ではなく、まだほんの子供。
「・・・・・・・・なるだろうね」
告知するフィーロも苦しそうだった。 その気持ちを充分に理解しているラズは、そのまま何も言わずに病院から出て行った。
トトがマフラーを首に巻き、黒いブーツで雪を踏む。
「凄い、足跡がついてるよっ。 凄いねー」
「トト、あまりはしゃがないで」
保護者のようにラズが手を繋ぐ。 遠足に行くように満面の笑顔でトトがスキップ。
「リリーさん、どうだった? シヴァも重症って聞いたけど」
「二人とも、大丈夫」
「よかったー」
話しながら、雪化粧に染まった道を歩いていく。
トトが、吐く息が白い事に喜び、はしゃいでいるのを見つめながら、ラズが自分たちの未来を漠然と考えていた。
(もし、俺らが死神じゃなかったら・・・・・・)
「ラズ、ここ雪すっげーよ」
「あー、そうだね」
トトが無邪気に跳ねる。 手を繋いでるため、右手が上がったり下がったりする。
(・・・・・・・ガキか、こいつは)
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