ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- BloodLily
- 日時: 2009/12/26 11:17
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
またまた消えました((ガビーン
でも諦めませんよ。 絶対に諦めません!!
食いついていきます(笑
- Re: BloodLily ( No.1 )
- 日時: 2010/01/09 12:00
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
†…†…登場人物…†…†
<<死神>>
■ノエル…17歳 今は途絶えた一族・修羅の生き残り。1 2歳の時、ある事件を起こして3年間監禁されてい た。その際、修羅の力を封印された。 アルドとい う兄がいる。 ムードメイカーで、時折おフザケが 過ぎる。
リリーの母親であるシンシアに執着心を持つ。
□リリー…15歳 史上最強最悪の死神・ディオネアスの鎌と酷似している鎌を持つ為、『危険人物』として9歳の頃から監禁されていた。 母親・シンシアの教えで、感情を失くすようにしている。 主にノエルと行動を共にしている。 シンシアを母親と認識した事は無い。
■トト…16歳 トトというのは偽名で、本名を呼ばれると嘔吐し、発狂までするほど深いトラウマがある。リリーを尊敬しており、彼女にだけは敬語を使う。 ラズと主に行動を共にしている。
□ラズ…17歳 無表情で干渉しない性格だが、洞察力が優れている。 トトとは同じ時期に処刑場に狩りだされた為、彼女の『保護者』として一緒にいる。
■シヴァ…18歳 死神の中では最年長。 故に他の死神たちを叱る事もあるが、実は空気読めない・短気で、リリーを少し怒らせた事もある。 ノエルとは兄弟のようで、怒ってばかりいる。
□シンシア…?歳 外見年齢は20歳だが、リリーを生んでいる事もあり、30代だと思われる。 孤独と暗闇を愛し、自ら望んで監禁された。 任務もあまり行っていない。 ノエルを助け、また彼が修羅を発動させたときも止めた。 リリーの実母だが、彼女を名前で呼んだ事は一度もない。 また、リリーの父親も未だに不明。 ベリアム家の子供。
■フロウ・アルファルド……70歳 外見は20代。 死神だが特別許可が下り、政府の重要人物とされている。 わけありで、中央区から離れたルルダムでひっそりと暮らしている。
□シヴィア・イグシル……17歳 金髪碧眼の美少女。フロウの屋敷で護身用として暮らしている死神。 無表情で、フロウとはどう知り合ったのかは謎。
<<キラー>>
■シャーネット…?歳 外見年齢は15歳ほど。 無邪気で残酷。 人間を玩具としか捉えていない。 その実力は本物で、反政府のリーダー・ファーザーから最も溺愛されている。
□ジーモ…17歳 シャーネットの鎌で、世界で唯一武器化できる人間。 その副作用か時折吐血し、そのたびにシャーネットの血を飲んでいる。 シャーネットの『お世話係』で彼女とは異界を共存している。
■アルド…25歳 今は途絶えた修羅一族の生き残り。ノエルの実兄。 昔は仲睦まじかったが、一族を抹殺されて、自分はキラーの道を歩く事に決めた。 鎌を使わず、禁術であり修羅の特権である『鎖羽』などの術を使う事が多い。
□ヴィンス……18歳 常に笑顔を絶やさない笑顔中毒者。 能力は個性的で鎌はなく、人の魂を人形に埋め込むという特殊なやり方をする。 キクリを愛用中。
■キクリ……?歳 赤い着物でおかっぱの人形。 幼い容姿だが殺.戮好き。 ヴィンスの能力に当てられると本物の人間のように動くが人形時は何とも不気味なカラクリ。
<<死神養育期間>>
□フィーロ・ディネガン…28歳 司令官。 死神を『処刑道具』ではなく、『人間』として見ている数少ない人間。 優しく、皆から信頼されている。
■ミリア…27歳 司令官助手。 知的美人で、フィーロとは同期。 完ぺき主義。
- Re: BloodLily ( No.2 )
- 日時: 2009/12/26 11:52
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
□用語集□
ディスカニア帝国
永遠に夜が明けず、朝が来ない帝国。 貧富の差が激しく、中心都市(上級都市)・中級都市・下級都市に分けられる。
ディオネアス
ディスカニア教典に登場する史上最悪最強の死神。
実際に実在した。 死神軍に破れ、その魂は封印される。 現在その魂がどうなったのかは判っていない。
死神養育機関
政府が設けた死神たちの本部。『処刑場』『孤児院』などの名前がある。 ここで罪人は処刑されていく。
死神
生まれつき、自らの異界と鎌を持って生まれた人間。
物心ついてくると、殺.傷能力で飢えと乾きが生まれ、人をころす。 罪人を処刑し、また反政府組織の思惑を止める役割をしている。 一生子供の姿で、ある程度生きると異界の能力に犯され、消滅する。
しかし、シンシアだけは長い間生き、子供を生んでからも直生き続けている。
反政府組織
政府に反発し、独裁社会を創り出そうとしている集団。 ファーザーという男がリーダーらしい。 その活動が活発になっており、政府側も臨時体制を整えている。
キラー
反政府組織側についた死神。 ファーザーに忠実に従い、その命令を実行する。
アンデット
心に潜んでいる絶望・憎悪などで心を蝕まれ、化け物と化した人間。 キラーが従えている。
5年前の惨劇
5年前、ノエルが起こした事件。 何らかの理由で彼の持つ修羅の母性本能が目覚め、囚人約50名が亡くなった。 これを止めるため、シンシア等の滅多に任務に関わらない死神も動いた。
その後、ノエルは3年間監禁され、修羅の力を封印される。
- Re: BloodLily ( No.3 )
- 日時: 2009/12/26 13:42
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
†…†…これまでのお話…†…†
───任務に忠実であれ。
毎日のように行われる処刑にも、文句を言わずに実行する死神たち。
その中のリリーとノエルは、実行された『反政府組織撲滅計画』のため、吹雪の中下級都市に向かう。
大量のアンデットと戦い、勝利に終わったがそんな彼らをキラーであるシャーネットと、その鎌ジーモが見つめていた。
長期任務から帰ってきたシヴァは、身長のことで若干リリーと気まずい雰囲気になるも、反政府を追う為に任務に出る。
彼らのアジトだと噂された倉庫内で見たものは、人間のタヒ体と、シャーネットとジーモだった。
彼らを反政府重要参考人として、連行しようと応戦するが、歯がたたず、しかもリリーを庇ってシヴァが重症を負う。 油断したリリーも傷を負ってしまい、意識を失う。
連絡が途絶えた事を心配したノエルによって、政府が管理する病院で手当てを受けた二人。
シヴァは未だに意識が戻らず、リリーとノエルだけ任務にたつ事にした。
下級都市である港町レントンで、マキアートという人物が裏社会で反政府と手を組み、魂を売買しているという事を聞き、操作に向かう。 そこで二人は賛美歌のように歌われている呪詛を耳にする。
マリアというシンガーの少女を教会内で問いただすが、ノエルの実兄であり、キラーのアルドによって殺.害される。
ノエルの脳裏に蘇った、憎しみ。
アルドと戦うにも、二人はまったく手が出せなくて───、?
- Re: BloodLily ( No.4 )
- 日時: 2009/12/27 15:42
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
第6夜
別れ歩いた兄弟
曇天の下で、二人の修羅の兄弟が寄り添っていた。
どちらも、修羅一族特有の黒髪に、赤い血染めの瞳をしている。
一人はもう、10代の後半ほどで、もう一人はまだ幼い子供だった。
洞窟の中で、雨宿りをしているかのように、身を寄せ合って息を潜めている。
時折聞こえてくる同胞の叫び声にも、必死で耐えながら。
「に、さん……。 母さんたち、無事かな」
弟が、そう小さく訊ねた。
「……大丈夫だよ」
頭の中では、決してもう無事ではないと思っているのだが、弟にその事実を告げないよう、兄は努めた。
「雨……止まない、ね」 「ああ。 もうすぐで止むだろうな」
何の確信もないまま、そう言ってみた。
遠くで、叫び声、怒鳴り声が聞こえてくる。
びくりと、弟の体が震えた。 兄が、そっと弟を後ろから抱きしめる。
「大丈夫だから」
何の根拠もないが、ただ『大丈夫』と呟いた。
「いたぞっ! 修羅の子供だっ!」
やがて、自分らとさほど年の変わらない死神が現れた。 鎌を持ち、こちらを睨んでいる。
「ッ!!」 弟の目が、恐怖で歪んだ。
「二人だけだ!!」 「しとめろッ!!」
「にい、さ……」
震える弟の目を、そっと右手で塞ぐ。 視界から光を封じた。
「兄さん?」 「……ノエル、ほんの少しだけ、目を閉じて、耳を塞いでいろ」
落ち着いた、低い兄の声。
両手でしっかりと耳を塞ぎ、目を固く閉じた。
世界から、光と音が消えた。
兄は弟が光と音を遮断しているのを確認し、死神らを睨んだ。
そして、ゆっくりと左手を突き出す。
「禁術を使う気か!?」 「怯むなッ! 行けッ!」
鎌を振り上げながら、死神らが向かって来る。
『禁術! 鎖羽!!』
手の平から、蒼い火花が飛び散る。
それが次第に大きくなり、炎となった。 炎は死神たちの体を貫き、
「があああああああぁぁぁぁぁぁぁあああッッ!!」
彼らの身体を焦がした。
左手の火傷に、多少顔をしかめながら、
「ノエル、もういいぞ」
弟の耳元で囁く。
目を開ける。 目の前にある、死神のタヒ体を見て、
「…………兄さんが、やったの?」
「ゴメン。 お前を守る為だから」
申し訳なさそうな兄を見て、弟は涙を流した。
「ごめんなさい……ありがとぉ……、にいさっ、」
「泣くな、ノエル。 そろそろ、終わったらしいから」
洞窟から、出てみる。
荒地だった。 沢山の同胞と死神が、落ちていた。
「…………、兄さん」 「………何だ?」
弟はある一点の場所を集中的に見つめる。
「母さんが、か、あさんが」
「ッ!!」
“それ”が目に入り、反射的に兄が弟の目を覆う。
しかし、遅かった。
「ゲホッ!! がはっ、おえっ」
嘔吐する。
母親の変わり果てた姿を見て、弟が胃液を吐き出した。 兄も苦しそうに、顔を歪ませる。
「おのれ……ッ、政府らめ」
「かあ、さ………。 やだ、母さん…、か、さ」
「ノエル、よく聞け」
音の無い世界で、兄の言葉だけが響き渡る。
「俺は……、反政府側に行く」
「………そ、なんだ」
完璧に理性を崩した弟は、何の反応もなくただ肯定した。
「………お前は、連れて行けない」
そして、その言葉で弟は確実に心が壊れる。
兄の、その決意は弟にとって残酷だった。
「……んで? 何で? 何で俺は着いて行っちゃダメなんだよッ!!」
目の前に広がる仲間の無残な姿に、弟が軽くパニックに陥った。
「反政府は、お前にとって危険すぎる」
「何ソレ、意味判んないッ!! 兄さん、置いてかないでよっ! 兄さんッ!」
「すまん、お前は……連れて行けない」
ハッキリと拒絶の言葉を叩きつけられ、弟が勢いよく兄を突き飛ばす。
「んで、なんで、なんでなんでなんで?? 俺、悪い子だから? 悪い子だから、ワルイコ??」
「……そうだ」
信じたくはないけれど。
「お前は……悪い子さ」
確かに、そう兄は言った。 弟の目からは涙も溢れず、ただただじっと兄を見ていた。
兄はそんな人形のような弟の顔を引き寄せ、耳元で囁いた。
「もう、お別れだ」
†
目を開けると、曇天のままだった。 雨は止んでいる。 上半身を起こして見れば、
「………………………」
修羅一族と死神のタヒ体で溢れかえっていた。
そして、兄の姿もなかった。
「ここにいたんだ」
声が聞こえた。 そちらに目を向けると、えらく美人な女性が立っていた。
「探したよ、うん。 探した」
長い黒髪はボサボサで、寝起きみたいだった。 アイスブルーの大きな瞳が、官能的で色めかしい。
「…………誰」
「立てれる? 名前は?」
「…………ノエル」
修羅一族の生き残りである少年が、ノエルと名乗った。
「ノエル、ね。 ラジャ」 「誰」 「私? ……シンシア」
控え目に、女性が名乗る。
その不思議な響きの名前に、ノエルは少しの執着を見せた。
「シンシア?」 「ん」 「シンシア?」 「ん」
何度かそう繰り返す。
シンシアはノエルの手を引っ張りながら、荒地を後にする。
「みんな、タヒんだ?」 「……こんなん、見ない方がいいよ」 「どこ行くわけ」
シンシアは答えなかった。
ただ振り返って、そのキレイでどこか軽く絶望している瞳にノエルを映す。
まだ、あどけない少年。
普通の人間より、確かに多くのタヒを見てきたはずだ。
シンシアは笑わず、ただ無表情で、
「うん、何も思わない事は、良い事だよ」
それだけ言って、また前を向く。
今でも、印象に残っている彼女の言葉。
- Re: BloodLily ( No.5 )
- 日時: 2009/12/27 16:07
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
かつて別れたはずの兄弟が、敵として今対峙している。
「お前に、俺は倒せない」 「言ってろよ!」
怒りと憎しみだけで、本能のままにノエルが鎌を振り上げる。
「リリー! こいつには手ぇ出すなっ」
「でもっ」 「こいつをやるのは、俺だ!!」
鎌を持つ手が、緩む。
「ノエル……っ」 リリーが一瞬だけ、躊躇った。
任務、なのに。
「修羅の力を解放しないのか?」
「っせぇ」
「元は修羅一族の末えいだろーが」
「っせぇッ」
「俺をころしたいんだろ? だったら解放しろ」
「うるせっつてんだよッッ!!」
鎌と鎌がぶうかりあう音。
リリーが耐えかね、背後からアルドに斬りつける。
しかしアルドは素手でその刃を止めた。
「!?」
「ディオネアスの鎌か」
そう呟き、鎌もろともリリーを吹っ飛ばす。
「がっ!!」
「リリー、手ぇ出すなっつってんだろ!!」
怒鳴り散らすノエルに、リリーが少しムッとした表情で、流血している額を抑える。
「ノエル、今は任務中よ。 あなた個人の理由なんて、知ったこっちゃないわ! 感情だけで動くのは止めなさい!!」
「ッ、糞ったれ!!」
ノエルが悪態をつき、いったんアルドから離れる。
「…………任務、ね。 我々を撲滅する、とか?」
「テメーに関係ねぇだろ」
ノエルがアルドを睨みつけながら、いつでも手が出せるように鎌を掴む。
「ファーザーは、そんなにヤワじゃないけどな」
鎌を異界に沈めるようにしてしまい、両手を二人に向けて突き出す。
「? 何だアレ」 修羅であるノエルも判らないらしく、目を細める。
リリーも緊迫しながら様子を伺う。
「秘術」
アルドが赤い目を光らせ、
『阿修羅!!』
「ッ」 「ッ」
赤い光線のようなものを両手から放ち、そしてそれは勢いよく二人の体に命中した。
「かはっ」
吐血しながら、なおも立ち上がる。
「その精神の図太さだけは認めてやる」
「この、糞!!」
肩で息をしながら、鎌で体を支える。
「……発動、させないとね」
「?」
いつもとは少し異なるリリーの口調に、少しだけ怪訝そうにノエルが隣を見る。
「リリー?」
『漆黒の竜、発動!!』
どす黒い闇が、鎌を包み込み現れる。
(……彼女が、『漆黒の断罪者』か)
アルドが目を細めて、その闇を見つめる。 闇は鎌を巨大化させ、さらにドラゴンのように変形した。
禍々しいその姿に、ノエルも唖然としている。
鎌を振り下ろすと、闇の竜が波動となってアルドに襲い掛かる。
「すっげ……」 「いいの?」 「何がだ?」
リリーがノエルを睨む。
「私がお兄さんを始末しても、いいの?」
「ッ、な訳ねーだろ!!」
ノエルも手で口元に付着した血を拭い、
『嬲れ!!』
鎌をアルドに向かって振り下ろした。
この掲示板は過去ログ化されています。