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デュスノミアとデメテル
日時: 2009/12/31 13:08
名前: 琴莉 (ID: 9FsoS0Y.)

初めまして 琴莉(ことり)です

今から私が執筆するこの小説は

・多少の残酷・流血シーンが含まれる
・パクリや中傷は一切禁止!

以上のことを心得てくれる方に読んで頂けることを望みます

それではプロローグからどうぞ

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Re: デュスノミアとデメテル ( No.2 )
日時: 2009/12/31 13:13
名前: 琴莉 (ID: 9FsoS0Y.)

 アルディアナファミリーのなかで、組織を大半をボスの次に支えているのはひとりの幹部だった。

 その人物の名は、ガーネット・デ・二コラ。

 マフィア内以外での名前は不知火柘榴(しらぬい ざくろ)という。
 母親に名付けられたのだから、不知火柘榴が本名だろう。だが、死別した父親からはガーネットと呼ばれることが多かったため、どっちを名乗ろうとも、彼女にとってはふたつとも本名のようなものなのだった。
 彼女は日本とイタリアのハーフである。父親がイタリア人————それも、かの有名なアルディアナファミリーの顧問ジルベルト・デ・二コラであるため、彼女はありえない若さでファミリーに入ることができた。

 彼女は至上最年少の構成員であり、至上最年少幹部に昇格した。

 なにせ、現在彼女の年齢は————14歳なのだ。
 前代未聞と言っても決して過言ではない。しかも、彼女は12,3歳のときにアルディアナファミリーへと足を踏み込んだ。————つまりは、たった1,2年で幹部にまでなったということである。

 彼女の主な仕事は暗殺と取引。銃はどんなものでも持てる重さならほぼ使える。それも才能があるのか、半日もあれば初めて手にしたものでもすぐに慣れる。
 年相応でない身体能力と巧妙な取引ができるおかげで、彼女はすぐに幹部へと昇格された。ファミリーの中では、才能を持ち、ボスに気に入られている彼女を嘆称する者もいれば、羨み、妬む者もいたが、彼女は他人に興味がほとんどなかったため、自分がどう思われようと構わなかった。

Re: デュスノミアとデメテル ( No.3 )
日時: 2009/12/31 14:11
名前: 琴莉 (ID: 9FsoS0Y.)

「——————ボス、呼んだか」

 ノックもせずに、重い印象のある扉が開かれる。そこから姿を現したのは、柘榴だった。
 柘榴は誰が見ても美人だと思える容姿をしている。
 無駄なものが一切付いていない細見の身体。若干目つきが鋭いが、整った顔立ちにはまだ十代の幼さが残る。そして一番目を留まらせるものは背中の中間までに伸びた綺麗な金髪だ。そして彼女のタトゥーは刻むのがかなり痛い場所だろう右の鎖骨辺りである。
 絵に描いたような美しさを持つ柘榴だが、その性格は横暴で男勝りなのが残念だ。

 大きくて高級な椅子に座っているボスのロレンツィオ・フォルラーニは柘榴を見ると、部屋に入れと言うように手招きをする。
 ボスは40代くらいの男で、体格が良く、顔もそれなりに良い。その所為で若い頃、女性に人気があったという噂が絶えない。
「何だ?」
 このようにボスに敬語を使わない者はファミリー内には滅多にいない。いるのは柘榴くらいだ。
 柘榴は乱暴に扉を閉めるとボスの前まで来た。
「ガーネット……お前、メモリという女を知っているか?」
「知らない」
 即答だった。
 柘榴はほとんどの仕事を部下に任せることなく自分で行う。そもそも、柘榴は専属の部下を持ったことはない。だが、たまに任せるときは一時的にその部下の名前を覚えるのだが、2日も経てば他人に興味のない柘榴はすぐに人の名前という記号を忘れる。
「————やはりな」
 そう言うと思っていた、とでも言うようにボスは苦笑する。

Re: デュスノミアとデメテル ( No.4 )
日時: 2009/12/31 16:53
名前: 琴莉 (ID: 9FsoS0Y.)

「お前より先にメンバーになり、そして唯一女だった準構成員だ。フルネームはメモリ・シャクナゲ」
「準構成員ならオレが知らなくても無理はないだろう?」
「ああ、そうだろうな。だが、俺は1週間前にメモリを構成員に任命した。彼女はお前ほど銃の扱いに長けているわけではないが、麻薬についての知識が豊富でな。何と調合すれば麻薬と気付かれないか、どうすれば匂いを消せるかなど随分役立つ女だ」
「………………」
 淡々と話すボスを、柘榴は無言で見つめる。
「だが、彼女はマフィア界にいるのがあまりにも不自然なくらい————普通の女性なんだ。性格は温厚で生温い。麻薬の知識がなかったら、それこそ普通の凡人だ」
「そいつ…………日本人か?」
「ああ。生粋の、な。だから本来は構成員にはなれないのだが、俺は特別としてメモリを構成員にした」
「それがオレと何の関係がある? そんな話に付き合わされるため、オレは呼び出されたのか?」
 苛立ちを感じる声で柘榴は訊ねた。
「関係ならある。——————ガーネット、しばらくお前はメモリと行動しろ」
「————……は?」

Re: デュスノミアとデメテル ( No.5 )
日時: 2009/12/31 16:54
名前: 琴莉 (ID: 9FsoS0Y.)

 石楠花芽守(しゃくなげ めもり)は一見どこにでもいそうな女性だった。

 優しそうな印象を持ち、ウェーブのかかった髪と実年齢より若く見える外見は、彼女の性格を表しているようなものだった。
 現在の年齢は23歳。そしてアルディアナファミリーの準構成員になったのは21歳のときだった。
 最初、ファミリーの男たちはこんな女がマフィアに入って何だというのだと大笑いした。だが、彼女の麻薬や理系の知識の豊富さを知るととても驚いた。その後から、芽守を笑う者はかなり減った。
 だが彼女は人殺しの仕事は滅多に受けようとしない。主な仕事は麻薬の密売と密造酒を幹部の下で行っていることだった。
 それでも、正直者で雑用や掃除でも率先して働く彼女は、周りのメンバーからは受けが良い。だが——————。

 何故こんな日本人の女性がアルディアナファミリーに入ることになったのか、知る者は組織内に誰ひとりとしていなかった。

Re: デュスノミアとデメテル ( No.6 )
日時: 2010/01/01 11:27
名前: 琴莉 (ID: 9FsoS0Y.)

「初めまして、わたしが石楠花芽守です。これからよろしくお願いします」

 屈託のない笑顔で挨拶をする芽守を見て、正直柘榴は脱力した。
(ボスが言っていたが、これほどまでとは…………)
 確かにこの女はマフィアに向いていない。
 まるで中世ヨーロッパ風の城に着物を着た日本人形が飾られているような違和感。
「えーっと、お名前は何と呼べばいいですか?」
「……好きにしろ」
 素っ気なく答えた柘榴に対し、芽守はう〜ん、と思案を練っている様子だ。
(馬鹿馬鹿しい)
 柘榴がそう思ったとき、芽守は思いついたようだ。
「じゃあ、柘榴さんでいいですか?」
「…………!?」
 一瞬、柘榴は眉を顰めた。
(何故、オレの本名を知っている? ボスが喋ったのか?)
「ガーネットって、日本で柘榴石って言うらしいですよ。だから柘榴さん。いいですか……?」
 そこで柘榴は納得した。そういうことか。
「……別にいいが」
「はい! 日本語で喋れる方がいて、本当に嬉しいです」
 芽守は笑顔で頷いた。


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