ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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呪術少女の奥義書-グリモワール-オリキャラ募集中
日時: 2010/01/06 16:48
名前: 更紗@某さん ◆h6PkENFbA. (ID: YpJH/4Jm)
参照: http://noberu.dee.cc/novel/bbs/black/read.cgi?no=119

※オリキャラ募集 >>6

御挨拶〆
どうもこんにちは、更紗@某さんという者です。
死神少女の方とかはどうしたって? あれはですね、そうアレですry
今回の小説は今まで執筆してきた中で、多分一番魔法要素が強いんじゃないかと思います。魔術師を始め錬金術師、魔女、死神、祓魔師や聖人などまだ言い切れないぐらい魔法要素でまくりです。ある限りの魔法要素を出しまくっちゃいます。
グリモワールとは奥義書、つまり魔法書や魔導書のことを指します。なのでタイトルの奥義書は- -内の通り「グリモワール」と読んで下さいまし。
面白い小説に出来るよう頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします。

※魔術などオカルト要素が苦手な人は戻るをクリック。
※荒らし等はお断り
※アドバイス大歓迎です。
※わけの分からない用語がありましたら、作者に聞いてみて下さい。

Index〆
Prologue >>1
1ページ目 呪術少女の召喚儀式 >>2
2ページ目 喚起されし風の精霊 >>3
3ページ目 錬金術と爆発 >>4
4ページ目 支配された儀式場 >>5
5ページ目 四角い爆弾 >>7
6ページ目 “亡霊殺しの剣”(カールスナウト) >>8

オリキャラ
ジー・タイムリー >>9 みちる君殿
ジグ=グランデ >>13 六殿 

訪問者様〆(ノベル・カキコ両方含む)
(( `o*架凛殿 インク切れのボールペン殿 ぺギン殿 みちる君殿

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Re: 呪術少女の奥義書-グリモワール- ( No.1 )
日時: 2010/01/04 12:13
名前: 更紗@某さん ◆h6PkENFbA. (ID: YpJH/4Jm)

Prologue 

 現実世界とはまた別の異世界——魔術が支配する国、トラオム。東西南北それぞれの国家が支配する地のうち、北には王立ノルデン魔導学院と呼ばれる魔術を教える為の学院があった。王国の城と間違えるくらい巨大で、歴史ある学院だ。
 学院のある一室、老女の重々しい声が響く。

「ではこの魔術を……エリズ=クロイゼル。やってみなさい」

 老女に指示され、席を立ち教卓へと向かう長い黒髪に赤目の少女。彼女の名はエリズ=クロイゼル、ノルデンの中でも名門と言われるクロイゼル伯爵家の一人娘だ。
 少女の名が呼ばれると、周りの生徒はクスクスと笑い始める。「ムリムリ」「エリズに出来るわけないって」「教室ぶっ壊す気かよ」と、様々な言葉が飛び交う。その言葉に共通しているものといえば、これから魔術を行う少女に何も期待していない事だった。
 そんなからかいも少女がキッと睨むだけで、すぐにざわめきは収まる。
 教卓の前に立つと、少女は目を瞑って呪文を唱え始める。

「“水よ、敵を突き刺す刃と化せ”」

 少女の胸のあたりで水の球体が生まれる。続けて少女は口を動かす。

「”刃よ、竜となりて宙をうねれ”」

 少女が唱え終わると水の球体は柱と化し、更に竜へと形を変える。これで魔術が成功したと思ってはいけない。いや、この部屋にいる人間は全員、魔術が“成功する”ことなど最初から想像していなかった。まるで少女が魔術を失敗することが当たり前のように。
 周りの人間の予想通り、竜へと形を変えた水は暴走を始める。勢い良く部屋の壁や床などいたる場所にぶつかり、破壊する。
 
「やっぱこうなった! 早く教室の外へ出ねえと、俺達まで巻き込まれちまう!」

 水の魔術が暴走する中、周りの“生徒”達は廊下へと避難する。
 避難してすぐ、暴走した水の竜は形を崩しその場で弾けた。水のしぶきが教室へと飛び散る。術者である少女もあちこちが水で濡れてしまった。
 魔術の暴走が収まると、避難した生徒達が教室内へと入って来る。入ってくるやいなや、少女と教室の様子を順番に見てゲラゲラと笑う。
 
「奥義書も神器も所有しているのに、何故こうなるのか……」

 金髪に翠眼の少女がふう、と溜め息をつく。

「エリズに出来るわけないって! 教室穴だらけじゃん。攻撃力だけは凄まじいよな、エリズに似て!」
「黙れ愚民が!」

 瞬間、少女は自分をからかった少年の顎を思い切り蹴り上げる。華奢で可愛らしい外見とは裏腹にキックの威力は凄まじく、少年の顎が赤く染まる。
 呆れながらその状況を見ていた老女が、パンパンと手を叩いて生徒に次の指示をする。

「次の時間は錬金ですが、教室が壊れてしまった為別の教室で授業をします。——それとエリズ=クロイゼル」

 老女の声に、少女は老女の方を振り返る。

「貴方は教室に飛び散った水を拭き取りなさい」

 少女はしぶしぶ頷く。生徒達はクスクスと笑いながら、次の授業の為移動していった。
 少女一人しかいない穴だらけの教室の中、少女はチッと舌打ちをすると呪文を唱え始めるのだった。

 ——この少女を中心に、魔術世界の物語は始まる。

Re: 呪術少女の奥義書-グリモワール- ( No.2 )
日時: 2010/01/04 12:13
名前: 更紗@某さん ◆h6PkENFbA. (ID: YpJH/4Jm)

1ページ目 呪術少女の召喚儀式 

 少女——エリズ=クロイゼルはその日の授業終了の後、学生寮にて苛立っていた。魔術“水竜”(ドラゴン=ロー)は暴走するし、錬金も大爆発を起こすし、ペナルティとして教室の居残り掃除。エリズが苛立つのも無理はない。
 といってもこれくらい日常茶飯事なのだが、その事がエリズにとっては大きなコンプレックスだった。名家の娘で奥義書も所有し、神の力を宿す武器——神器さえも所有しているのに、どうやっても魔術が上手く使えない。
 エリズは魔術はまったくできないが、伯爵家の娘という事で特別豪華な部屋だった。だがそれが、逆に皮肉のようにエリズは感じる。

「まったくどいつもこいつも、私を嘲笑う。こうなれば仕方無い……」

 エリズは本を読まない主義だ。だがたった一つだけ読むものあった——奥義書。奥義書とは天使や精霊を呼び出す為の手段や、魔術や呪術に関する知識などが記されている書物。魔導書、魔法書などと言った方が分かりやすいだろう。
 何とか魔術を上達させようと、エリズはいくつか奥義書を持っていた。その中の一つ『アルマデル奥義書』を本が殆ど入っていない棚から取り出す。アルマデル奥義書は天使、悪魔、精霊などを召喚する為の術が記されている、いわば儀式魔術用の魔導書だ。
 エリズはアルマデル奥義書を抱えると、部屋の扉を開けた。

「天使を召喚して、奴らを見返してやる!」

 彼女は天使を召喚する為、アルマデル奥義書を抱えて学院の儀式場へと向かう。学生寮から儀式場はそう遠くない。エリズは走って数分で儀式場へと辿り着いた。
 儀式場は他の教室のどことも違う、独特の雰囲気が漂っていた。銀色の円柱で支えられており、中心部は儀式魔術で魔法円などを描く為の場所として他の床とは別の石で作られている。
 召喚魔術用に用意してきた杖で魔法円を描き、更にルーン文字を刻んでいく。召喚魔術の準備が出来ると、エリズはすっと目を瞑り、呪文を唱える。
 すると魔法円が突如光を放ち、風が辺りに巻き起こる。

「……ッ」

 天使の召喚とは此処までの凄さなのかと、エリズ自身が唖然とする。
 やがて風が止み、光の柱が消える。銀髪に翠眼の容姿をした、どこか幻想的な雰囲気を漂わせる少女がそこにいた。
 少女は唖然としたままのエリズを見ると、口を開く。

『疑問、我を呼び出したのは貴方か』

 小柄な美少女の容姿に合った、幼く淡い声。風を纏ったその少女は“まるで”天使のようだった。
 
「……どういう事だ? 私は大天使ラファエルを召喚した筈だ。——お前はラファエルなのか?」
『否定、貴方が召喚したのは“神の癒し”ではない。我は風の精霊“シルフィード”』

 純白の翼を持たぬ少女は大天使ラファエルではなく、風を司りし精霊“シルフィード”だった。

Re: 呪術少女の奥義書-グリモワール- ( No.3 )
日時: 2010/01/04 12:13
名前: 更紗@某さん ◆h6PkENFbA. (ID: YpJH/4Jm)

2ページ目 喚起されし風の精霊

 精霊シルフィードは静かにエリズへと歩み寄り、エリズの真正面へと立つ。

『今一度問う。我を呼び出したのは貴方か』

 特に表情を変えず、只真っ直ぐとエリズの目を見るシルフィード。エリズはまた魔術が失敗した事を悔やみながら、精霊の問いに答える。

「そうだ、お前を召喚したのは私だ」
『訂正、正確に言えば我は精霊故に“召喚”ではなく“喚起”が正しいだろう』

 いちいち細かい事を言うシルフィードに、エリズはうんざりとして溜め息をついた。“召喚”とは神々や天使が対象で、それに対し“喚起”は精霊や悪魔などが対象となる。だがエリズはいちいち分けるのが面倒臭いので、どちらも“召喚”と言っていた。
 そんなエリズの様子など気にせず、シルフィードは己の右手の甲を差し出してくる。召喚、もしくは喚起し呼び寄せた霊とは契約し、身体のどこかに契約の証としてペンタクルと呼ばれる五芒星形の魔法円を刻むのが、この世界トラオムでの契約方法だった。
 つまり言うとシルフィードは契約を求めているのだ。エリズはしぶしぶ先程魔法円を描いた杖を取り出し、シルフィードの右手の甲に魔法円を刻む。

「一つ聞くぞ」
『何だ』
「お前、そんなに契約したいのか? 自ら進んで契約してくる霊など珍しいぞ」

 エリズの問いに、シルフィードは即座に答える。

『解答、我はこの世界でやらねばならない事がある。その為に我は契約をする』

 エリズにはシルフィードがやりたい事など分からなかったし、知る必要もなかった。それよりも、自分が大天使ラファエルの召喚の失敗した事に腹が立っている。天使の力を使えば魔術を上手く使えるようになり、他の生徒達を見返せると何とも単純で浅はかな考えだったが、それでもエリズには希望だった。
 ペンタクルを刻み終えると、エリズ達は儀式場から出て行った。

 ***

 翌日、エリズは自分の使い魔——精霊シルフィードを連れて教室に入ると、一斉にクラスの人間がエリズの方へと向く。正確に言えば、視線の先はエリズというよりはシルフィードだった。
 昨日顎にエリズの強烈な蹴りを喰らった少年が、シルフィードを見ながらもエリズに言う。

「おいエリズ! 何だよそのヘンテコ使い魔! 喚起魔術にも失敗したか?」
『否定、少年、我はヘンテコ使い魔ではない。我の名はシルフィードだ』

 シルフィードという名を聞いた瞬間、突如クラスの生徒達がざわめき始める。エリズは何事かと辺りを見回す。

「シルフィード? 今シルフィードって言ったか?」
「シルフィードって言ったら四大精霊のうち、風を司る精霊じゃねえか……。どうしてそんな凄えもんエリズが……」
「大方何か別の喚起儀式で間違えて喚起したんじゃねえか? としても……」
「そもそもあのちっこいのが風の精霊シルフィード?」

 色々な言葉が教室内を飛び交う。当の噂の本人であるシルフィードは、多数の生徒に囲まれながら状況が理解できず小首を傾げる。

「エリズ、あの少女は一体どうしたのですか?」

 エリズの元に長い金髪に翠眼の少女がやってくる。名はアニェーゼ=テスタロッサ。学院での成績が悪いエリズとは反対に成績良好の美少女。それでもエリズの少ない理解者の一人だ。
 アニェーゼに事情を尋ねられると、エリズは真顔で

「大天使ラファエルを召喚しようと思ったら、間違えて精霊シルフィードを召喚してしまった。何だ、シルフィードってそんなに凄いものなのか?」

 最早開き直っているのだろうか、口調が妙に落ち着いている。

「……凄いも何も、偶然にしては出来すぎです。そういえば最初は錬金の授業だそうですよ」
「何故それを言う……私への嫌がらせか……」

Re: 呪術少女の奥義書-グリモワール- ( No.4 )
日時: 2010/01/04 12:13
名前: 更紗@某さん ◆h6PkENFbA. (ID: YpJH/4Jm)

3ページ目 錬金術と爆発

 別の違う教室内で、エリズのクラスが錬金術の授業を行っていた。錬金術とは卑金属を貴金属に、簡単に言えば鉛を主に金などに変える術の事だ。
 エリズは元々魔術が下手だが、錬金術は特にそうだった。毎回錬金術の授業の時は憂鬱になるエリズだったが、今回は錬金術のテスト。エリズはいつもより一層鬱な気分になっているのだった。

「“錬金”」

 順番に錬金のテストを行いその場で合否を判断するのだが、エリズの一つ前——つまり今錬金のテストをやっているのはアニェーゼだ。エリズにとってアニェーゼが傍に居る程心強い事はないが、テストなどの場合は逆だった。
 何故なら

「おお! アニェーゼが鉛を純金に変えた!」
「わあ……アニェーゼちゃん凄い!」

 周りにいた生徒がアニェーゼの結果に口々に歓声をあげる。親友の結果に、エリズは喜びながらも半分舌打ちをしていた。アニェーゼの次にテストを受けるのかと思うと、気分がどんどん鬱になっていく。
 
「流石ですね、アニェーゼ=テスタロッサ。では次はエリズ=クロイゼル、貴方の番です」

 先生に呼ばれ、エリズは小さく溜め息をつく。周りの生徒が慌てて教室の外へと逃げ出すのを見て、シルフィードは不思議そうに小首を傾げる。
 状況が理解出来ていないシルフィードに、一人の男子生徒が呼びかける。

「おい、そこの銀髪女! 危ないぞ、早く出ろ!」
『疑問、何故外に出ねばならない』
「いいから早く!」

 男子生徒の顔は酷く慌てている。シルフィードはもう一度小首を傾げると廊下へと出て行った。
 生徒全員が廊下へと避難すると、エリズはパンと手を合わせて錬金術を行う。

「“錬金”!」

 次の瞬間、鉛は大爆発を起こし粉々に吹き飛んだ。この状況を見て、シルフィードはようやく逃げなければいけない理由を納得したようだ。うむうむと頷きながら爆発した後の惨状を見る。
 煙が晴れるとぷすぷすと身体から煙をあげた少女、つまりエリズがそこに立っていた。先生は魔術か何かを使ったのかは知らないが無事なようだが、周りには文字通り粉々になった鉛が散乱していた。

「エリズ=クロイゼル」
「……はい」

 次に先生が何を告げるか、エリズには容易に予想出来る。

「錬金術のテストは不合格、今すぐ散らばった鉛を片付けなさい。——それと貴方は数日後に再テストです」
「はい」

 エリズは返事をするとこっそり舌打ちをしたが、先生に睨まれたので止めにした。掃除を始めるエリズをよそに、他の生徒達が順番に錬金術のテストを続ける。
 慣れているのかエリズは特に不機嫌そうでもない、だが機嫌が良さそうなわけでもない。そんなどっちつかずのエリズの元にシルフィードがやってくる。

『エリズ』
「……何だ、私は今——」
『要求、今すぐ我と共に来い』
「はっ、何で——」

 エリズの答えが出る前に、シルフィードがエリズの手首を掴み教室の外へ出る。エリズは訳の分からないまま、シルフィードに引きずられるように連れて行かれるのだった。


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