ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 呪われた瞳と愉快な魔女達 放置気味…なんかじゃ…
- 日時: 2010/09/28 22:57
- 名前: 白魔女 (ID: CW87oFat)
(。>ω<。)ノ クリックありがとうございます。
放置気味…というより、ネタ切れに近いでっすね★
どうも、ファンタジー大好き、魔女なんか特に、の白魔女でございます。
↑の通り、魔女大好きなものですから、この物語ももちろん魔女ばかり……設定細かくて、今では自分でも何が何だかの状態ですorz
ほんっとうに無駄に長い物語ですが、どうか温かい目で見守ってください。作者は挫折が早いです(笑
<_NB_><_NB_>コメント!是非是非してください!「あー」だの「うー」でも何でもいいので!←
<_NB_><_NB_>↑は冗談ですが(ノд<。`)<_NB_><_NB_>コメントもらえば小躍りして喜びますorz
**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆<_NB_><_NB_>目次<_NB_><_NB_>☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**
プロローグ<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>1
登場人物<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>2
序章<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>3
______。o*★*o。_____
第一章——紅い瞳の少女——
一話——魔女の朝<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>4
二話——悲しげな少女<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>9
三話——魔女の独り言<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>12
四話——夜の森の悲劇<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>17
五話——少女と紅い瞳の秘密<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>20
______。o*★*o。_____
第二章——魔女の集い——
一話——退屈な日常<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>21
二話——サバト<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>22
三話——いざ、サバトへ<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>30
四話——愉快な魔女達<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>31
五話——魔女会議<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>32
六話——懐かしき思い出。そして深い闇<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>33
七話——様々な魔術<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>34
______。o*★*o。_____
第三章——さらわれた少女と黒魔法陣——
一話——サバトの朝<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>43
二話——魔女の会話<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>44
三話——ルリの疑問<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>45
四話——誘拐されたルリ<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>49
五話——連れ去られた者達<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>50
六話——アリスの謎<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>53
七話——キーツの狙い<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>54
八話——いざ、“魔法陣の館”へ<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>57
九話——危機一髪<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>58
十話——魔法陣の戦闘<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>59
十一話——闇の使者<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>70
十二話——精霊<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>76
十三話——黒魔術師の最後<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>77
十四話——アリスの血<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>80
十四話・裏——忘れ物<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>81<_NB_><_NB_>>>82
短編——ルリの料理<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>85<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>88
短編——アリスの箒<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>91
______。o*★*o。_____
第四章——紅い魔法石の秘密——
一話——ルリの悪夢<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>96<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>97
二話——白猫・グレイ<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>100<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>103
三話——謎の魔法石<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>104<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>110
四話——列車の中<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>111<_NB_><_NB_><_NB_><_NB_>>>112
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- Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 ( No.30 )
- 日時: 2010/01/28 20:15
- 名前: 白魔女 (ID: tPOVEwcZ)
三話——いざ、サバトへ
「すっごーい!やっぱり、アリス、空飛べたんだね!」
「お願いだから、箒の上ではしゃがないで……」
アリスはルリと、クロスを乗せた箒を水平に保ちながら飛んでいた。時刻は11時。人間達は大体寝静まっている時間帯だ。そんな冷たい夜風の中、ルリはずっとはしゃぎまわっていた。
箒は、クロスが一番先に乗っていて、次にルリがアリスの膝に乗るように座っているが、ルリがピョンピョン飛ぶたびに、箒がガクッと揺れる。
「うぅ……重い……この状態保つの、結構魔力が……わっ!」
「サーバートっ!」
ルリがまた飛び跳ねたおかげで、箒が揺れる。
「見えたぞ、小娘。あそこだ」
クロスが静かに言った。
「え?どこどこどこ?あ、あそこね!」
ルリが指したのは、森の奥にある原っぱだった。が、そこだけオレンジ色に輝いていて、騒がしい。
「おい、アリス。見えるか?あそこだ。そろそろ下りよう」
クロスがアリスに催促するが、アリスは苦しそうに呻いた。
「うぅ……もう、だめ……魔力が残ってない……」
「……!?アリス!?」
そして箒は急降下、と言うか、落ちた。
「キャーっ!」
「ニャーっ!」
「うわーっ!」
ドタッドタドタッと、クロス、ルリ、アリスの順に山積みになり、三人はサバトの会場の地面に叩きつけたれた。
「いったぁぁ〜」
アリスもルリも、ムクッと起き上がるが、一番下だったクロスは依然、大の字で転がっていた。
「うわぁ!ここがサバト!?」
クロスの事は全く気にせず、ルリがはしゃぐ。
そこは、まさにパーティ会場のようだった。
木にはランプが引っかかり、会場を照らしているし、テーブルにはおいしそうな七面鳥が並んでいる。空中にロウソクが浮いていると思えば、大きなシャンデリアだって浮いている。そんな明るく照らされた会場では、魔女がたくさん集まって、ワイングラスを片手におしゃべりをしていた。でも、やはり魔女の集会なので、骸骨が飾ってあったり、テーブルクロスには血のようなあとがわざとらしくついている。
「すっごーいっ!」
ルリはそんな光景を、目をランラン輝かせて見つめていた。
「魔女がたくさんいる!あれ、でも男の人もいるよ?あの人も魔女?」
アリスはクスッと笑ってから答えた。
「いや、女の人は全員魔女だが、男の人は、悪魔だよ」
「悪魔?」
「うん。ほら、クロスのように」
アリスが後ろを指し、つられてルリもクロスがいたところを見るが、黒猫の姿はどこにもいない。
「あれ……?クロスは?」
「ここにいるだとろ……」
クロスは不機嫌そうに言ったが、ルリはまだ理解してない。
「え!?あ、この人クロス!?」
ルリはようやく気づいたようで、そこに立っていたクロスを指差した。クロスは黒いコートを着た、アリスと同じくらいの年の少年になっていた。
「そうだよ、ルリ。そいつが本当のクロスの姿」
クロスは照れ臭そうに頬をボリボリとかいた。
元の黒猫の面影と言ったら、その黒いコートと、黒髪から飛び出ている猫の耳だ。
「可愛いーっ!猫耳っ!」
(そこかよ……)
アリスとクロスは二人同時に心の中で突っ込んだ。
「あーっ、久々にこの姿になったから、まだ慣れてないや」
大きく伸びをするクロスに、アリスは言う。
「じゃあ、そこのテーブルんとこ行ったら?お仲間に久々に会いたいでしょ」
「そーさせていただくよ」
クロスが悪魔達が集まっているテーブルに行って、楽しそうに話すのを見届けると、アリスはルリの手首を掴んだ。
「さーて。あたし等も、会場を一回りしようか」
「うん!」
- Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 ( No.31 )
- 日時: 2010/01/28 19:57
- 名前: 白魔女 (ID: tPOVEwcZ)
四話——愉快な魔女達
歩き始めてまだ少しの時、アリスは呼び止められた。
「あ!アリスっ!?」
「ん?あぁ、セレサ!」
アリスが振り返ると、イチゴのショートケーキを食べていたセレサが、ニコニコしながら立っていた。ピンクのフリフリのワンピースを見事なまでに着こなしている。
「どうしてたのよ、今まで、みんな心配してたのよ〜?」
「あはは。ごめんごめん。色々あって……って言ったら嘘になるけど、来るのがめんどくさくてね」
照れ臭そうに、アリスは笑った。
「んもう。いいけどぉ。それより、その子は?紅い……」
ルリがキョトンとする。
「まあまあ、セレサ。それよりさっ……」
アリスはほぼ強引にセレサのセリフをとめた。奥へ連れ込み、ルリに聞こえないよう小声でセレサに言う。
「あとで説明するから……みんなが着たらね」
「みんな?ああ、わかったわよぅ」
そうこう話しているうちに、アリスを含めて三人目の魔女と、四人目の魔女がきた。
「アリスじゃないの。一体今までどうしてたのよ!」
現れてすぐ怒鳴り散らすのはリンだ。赤いチャイナ服がかなり目立つ。
「ちょっと、リンったら。久々にあったんだから、もうちょっと他の言葉かけてあげなよ」
後ろではソラが、リンをなだめていた。一番魔女らしい服を着ているのは、ソラではないだろうか。
「リンとソラか。懐かしいな」
「懐かしいなじゃないわよっ!あんたがいつもサバト来ないから……」
アリスがぼやくと、すぐにリンが噛み付いたが、アリスのそばで立っているルリを見て、言葉を切らす。
「アリス。この子って——」
ソラがアリスに言い掛けたが、すぐさまアリスが切った。
「説明はあとで。あとの二人はどうしたの」
「え?セシルとメイサならぁ、あそこで……」
セレサが後ろを指差すと、今まで気づかなかったが、人だかりが出来ていた。
「まーた、あの二人はやってんのかね。呆れた」
リンがため息をつく。アリスがその場で駆け寄ってみると、セシルとメイサが喧嘩をしていた。まぁ、喧嘩なんて小さなものではないが。
「メイサ!またあたしのワイン盗んだだろう!」
「盗んだ……?違うね……毒を入れようと借りてただけ……」
フードを目の辺りまで下げたメイサが、クスッと笑うのを見ると、セシルがさらに剣を振り回す。
「貴様ぁっ!」
セシルが剣を振り下ろす。見事にテーブルが真っ二つに割れるが、メイサはひょいっと避けてしまう。
「今度こそっ!」
とセシルがまた剣を振り回すが、ねらいのメイサには全く当たらず、まわりの関係ない魔女や悪魔に当たる。
「まだ、仲悪かったんだ……」
ため息交じりでアリスがぼやく。隣ではソラが、
「だって、“光”と“闇”だもん。どうやっても仲良くなんかならないさ」
と言った。セシルは光の魔法剣士。メイサは闇の呪術士なのだ。
「この前だって、セシルは辛党だから、料理を激辛にしたら、メイサがそれを食べちゃって……メイサは甘党だからね。それで、メイサが呪いをかけようとしたら、セシルにバレて、そりゃもう大変で……」
「私は結構、仲良いと思うけどなーっ?」
ソラの言葉を遮ったのはセレラだ。その考えにも一理ある……かもしれない。
「けど、サバトで暴れられるのは、困ったものよね?」
リンが言うと、アリスが仕方ない、という風に言った。
「あたしが止めてくるよ」
アリスが前に出るのを見て、みんなが慌てふためく。
「ちょっ、ちょっとぉ、危ないわよ!」
「戻ってきなよ!アリス」
無視してアリスはセシルとメイサの真ん中に立った。
セシルは構わず剣を振り下ろし、メイサは紫色の短刀を構えている。
「アリス——っ!!」
ルリが、そしてみんながアリスは木っ端微塵になる、と思ったが、アリスは無事だった。二人が持っていた武器は、アリスの手の中にある。
「あ、お前アリスか!」
剣を返してもらったセシルは、さっきの鬼のような形相はどこへやら、アリスの肩をポンっと叩いた。
「心配していたんだぞ。無事で何よりだ」
お前が言うセリフかよ……なんて思いつつ、アリスは笑みを返した。周りはホっと、胸をなでおろす。
「メイサは——」
アリスが振り返るが、メイサの姿は、アリスが持っていたはずの短刀とともに消えていた。いつもの事だ、とアリスはセシルのほうを向き直る。
「わぁーん、アリス、死ぬかと思ったぁ〜」
一番最初にアリスに駆け寄ったのは、魔女の誰でもなく、ルリだった。
「ん?アリス、子供が出来たのか?」
「んなわけねぇだろっ!」
セシルの見事なボケっぷりに、きっちりとアリスは突っ込みを入れる。
「子供ではないとして——その子の瞳は……」
「今から説明するから」
きっぱりと、アリスは言った。
- Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 ( No.32 )
- 日時: 2010/01/28 20:03
- 名前: 白魔女 (ID: tPOVEwcZ)
五話——魔女会議
アリスは、集まった5人——メイサは近くにいるとして——をあいたテーブルに呼んだ。そして、セレサに頼みごとをする。
「ちょっと、セレサ。あの子に幻術見せて、少しあしらわせて」
「はいはーい」
セレサはルリに妖術をかけた。ルリはボーっとし、見えないはずのおもちゃで遊びだす。これでルリはもうあっちの住人だ。
「さぁて。話すよ。この子——ルリって言うんだけどね。ルリについてなんだけど……」
「ルリちゃん、紅い瞳よね?」
話し始めてすぐ、セレサがアリスに質問する。
「……そうだよ。紅い瞳」
アリスが答えると、みんながえーっと騒ぎ出した。
「あんな小さな子がか?」
「そう。あたしも最初は信じらんなかったけどね」
可哀相に、とセシルが呟く。次にリンがまた質問した。
「あなたがこの子を見つけたの?」
「いや。この子からきた。理由は知らんが、弟子にしてくれってね」
「えーっ!弟子っ!?」
それはまるで、女子学生が「○○君が好きなの」って言ったときのリアクションのようだった。
「アリスに弟子なんて、おかしいわよ」
リンがそういいながらワインを揺らす。
(それってある意味侮辱してないか……?)
アリスはリンを睨んだ。
「まあまあ。アリスは一応、すごい魔女なんだし」
「一応ってなに……」
ソラがアリスをかばおうとしたが、逆に怒らせてしまった。
「それはどうでもよい。なぜ、弟子などに?」
「さあ。あたしが聞きたいね。でも、紅い瞳のおかげであの子一回狙われたし、これからも狙われるかもしれないから、今は一応そばにおいてるってところ」
ふぅん……と魔女達は相づちを打った。
「それにしても……なんであんな小さな子が。あの魔女も何を考えているのかわからないわ」
リンが横目でルリを見た。
「全くだよぅ……あの“紅い魔女”ったら、何を考えている事やら——」
その瞬間、周りの魔女や悪魔がざわついた。
「セレサ!その名を言ってはダメって、いつも言っているでしょう!?」
リンが慌ててセレサの口をふさぐ。
「んぐっ……ご、ごめん」
アリスは小さくため息をついた。
「とにかく、ルリが“紅い瞳”を持っている以上、狙われ続けるのよ。魔女からも、人間からも、そして“アイツ”からも……」
アリスがそう言うと、そのテーブルは暗い雰囲気が漂った。沈黙を破ったのは、テーブルの近くの木の枝に座って話を聞いていたメイサだった。
「で、その話とあたしらが何の関係があるって言うんだい?」
「貴様、いつの間に……」
セシルが剣を握るのを、ソラがすばやくとめた。
「落ち着いて。セシル。メイサの言う通りよ。それで、その子はどうするの?」
「え?あ、あぁ。あたしの家に今は住んでもらってるけど、いつ誰が狙ってくるかもわからないし、あたしだけじゃ危ないから、日替わりでみんなに一人ずつ来てもらいたいと思って……」
「えーっ!それってぇすごくいいじゃん!」
最初にセレサがはしゃいだ。
「うん。私もルリちゃんのためにはそれが一番だと思うな」
ソラもニッコリ笑う。
「まあ、よかろう。小さな命のためだ」
聞き分けのよいセシルも、うなずいたが、問題はリンとメイサだった。
「あたしは嫌よ。子供は苦手」
髪をいじりながら、口を尖らせてリンが言う。
「僕も無理……僕が来たところで、小さな子は大体怖がるし……僕からもお断りだしね……」
メイサらしい答えだ。だがやっぱり一人はそれを受け入れられないらしい。
「アリスが困っておるのだぞ!?小さな子が、悪党共に狙われている。貴様は助けようなどと思わないのか!?」
「思わない……ね」
セシルの顔が真っ赤になってゆく。ソラとセレサがまた落ち着かせる。
こうなる事は予想できたのだが、とアリスはその様子を見ていた。
リンも相変わらず爪をいじっている。
(仕方ない……三人だけに手伝ってもらうか)
アリスがそう思ったときだ。セレサの魔術にかかっていたはずのルリが、よたよたとリンに歩み寄り、小さな小さな花をリンに渡す。
「お姉ちゃんにあげる」
そして天使の微笑み。
「え、あ、ありがとう……」
リンは戸惑いながら花をもらい、みんなの方へ向き直る。その様子を、みんなが冷たい目で見た。誰もが「こんな可愛い子を見捨てるの?」という顔でリンを見る。
「……わかったわよ!手伝えばいいんでしょ」
リンがそう言いながらプイッとそっぽ向く。
「リンもいいところがあるじゃないか」
セシルが褒めるつもりで言うが、リンはまた怒ってしまった。
「その言い方だと、あたしが悪いヤツみたいじゃないの!」
まあ、これで四人になった。残りはメイサだ。
「貴様はどうするのだ、メイサ?貴様だけだぞ」
「だけ……?僕とあと一人、いるだろう?“あの魔女団”のうち」
「……」
みんなが黙りこくる。誰もが頭にある人物を浮かべていた。
だが事情を知らないルリだけは違った。
「ね〜、ね〜。“あの魔女団”って何?」
誰も答えるわけがなかった。ルリは、木の枝に座っているメイサを見上げ、話しかけた。
「ねぇ?おねえちゃんわかるでしょ?」
そして、ルリはその紅い瞳をメイサに向ける。
その紅い瞳は、血のように赤く、薔薇のように美しい色だった。誰もが魅せられてしまう、紅い、瞳。
その紅い瞳はメイサの心を惑わした。
「ふん……小娘が。僕に催眠術をかけようとしただろう……?」
「え?」
ルリはさっぱりわからなかったようだ。
「あぁ!ゴメン、メイサ。きっと赤い瞳のせいで、間違えて魔術をかけちゃったんだよ……!」
アリスが弁護したが、そんなことわかっている、という風にメイサは鼻で笑った。
「仕方ないな……」
「え?それって、いいって、いうこと?」
アリスが思わず言う。
「ふん……僕だけ仲間はずれじゃあ、おかしいだろ」
メイサがそう言うが、横でセレサが呟いた。
「あ、ありがとう!メイサ。大丈夫、仲間はずれになんかしないから」
アリスがいうが、またしてもセレサが余計な事をい呟いた。
「仲間はずれ……ティアルも……」
はっとしたソラがその口をふさぐ。
「まあ、何はともあれ、これでルリちゃんも安全だね!」
ソラが明るくいい、ルリを抱き上げる。ルリは嬉しそうにソラの膝に乗った。
「うん、みんなありがとう!じゃ、明日から、暇な人でいいから、あたしの家に着てね」
- Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 ( No.33 )
- 日時: 2010/01/28 20:08
- 名前: 白魔女 (ID: tPOVEwcZ)
六話——懐かしき思い出。そして深い闇
そしてその会議は終わった。
メイサはまたいつものように、いつの間にか消え、セシルもまた、修行と言ってどこかへいってしまった。リンはルリと居るのが耐えられなくなったのか別のテーブルへ行き、セレサはまたスイーツを食べに行くと、どこかへ行ってしまった。
ようするに、残ったのはアリスとルリと、あの魔女達の中で一番普通のソラだった。
「懐かしかったなぁ。あの六人で一緒に居たのは」
ソラが、独り言のように呟いた。
「え、今までのサバトでも、会わなかったの?」
「うん。メイサが出てくることはほとんどなかったし、セシルもこの前まで山で修行してて。あの六人で集まったのは、久々だったよ」
「そうだったの……」
ソラはグラスの中にあった飲み物を一口飲んだ。
「でも、今日アリスがみんなを集めてくれて、よかったよ」
ソラがニコッとアリスに笑いかけるが、アリスはため息をついた。
「本当はこのまま、みんなを合わせないほうがよかったのかもしれない……みんな、“あの魔女団”のこと、思い出しちゃって……」
「あぁ……『トンガリ帽子』のこと」
ソラがそっけなく言うが、アリスが慌てた。
「ソラ!そのことは他の魔女や悪魔には、言っちゃ——」
「わかってるよ。わかってるけどさ。なんで、こんなビクビクしなくちゃならないの……かなって思って……」
ソラが言う事にも一理ある。が、アリスは首を横に振った。
「でも、それでもバレちゃいけないことなんだよ」
「うん……でも、セレサが言いそびれてたことがあるじゃん?ティアル……」
「あぁ……ティアル……」
二人はどこか遠くを眺めるように、その名を呼んだ。
「次は……いつ帰ってくるのかな」
ソラがまた、独り言のように呟く。
「それにしても、なんでルリちゃんが赤い瞳になんか?」
「さあ。あたしが知ってるはずないじゃないか。そういえば……」
アリスはポケットから、あの魔法石を取り出した。黒光りした、小さな石。
「……!?魔法石!?なんでそんなもの、アリスが」
「ルリを狙っていた盗賊が、持っていた。盗賊は、森を歩いていたヤツから盗んだと言っていたがな」
「そんな!魔法石は魔女や悪魔しか持っていないはず。それに、これを人間が長時間盛っていたら、人間は魔法石に食われてしまうはず」
「そうなんだよね。でも、確かにこれは今、あたしの手の中にある。もしかしたら、闇市で出回っているのかも……」
「闇市で!」
ソラは顔を真っ青にさせた。そんな事があったら、恐ろしい事になる。
「それか……盗賊が盗んだって言うその人間が、もしくは——」
「魔女?わざと、盗賊に渡したの?」
「考えられなくもない。そして、これは一番考えたくないが——」
アリスは言おうか迷ったが、ソラに話した。
「その魔女の狙いはあたしだ」
「そんなっ!!」
ソラが、まさかというように飛びのく。
「意図的にその魔女が盗賊に魔法石を渡したんなら、理由がない。あるとすれば、あたしを狙ってるって事。あの盗賊は元々あたしの家の近くの森に居座っていたから、その魔女があたしの家を知ってるんなら、この魔法石があたしの元へ届く事も、予想できたかもしれない。現に、魔法石は私の元へ来た」
「でも、なんでアリスが……。一体そいつは誰……」
言った後に、ソラがはっとした。
「ルリちゃんの件と言い、まさか……」
「ああ。たぶん、そのまさかだ」
ソラの顔は、恐ろしいといわんばかりに顔を青ざめた。
「——“紅い魔女”が、動き始めた——」
- Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 ( No.34 )
- 日時: 2010/01/28 20:18
- 名前: 白魔女 (ID: tPOVEwcZ)
七話——様々な魔術
「アリスー!ソラー!んで、ルリちゃーん!」
元気な声がしたと思って、アリスが振り向くと、両手にケーキの乗った皿やクレープ、パフェを持ったセレサがいた。
「ほらぁ。三人のぶんも持ってきたから、一緒に食べよう!」
さっきまでしんみりとした空気だったテーブルを、一瞬で明るくしてしまう。これはセレサの特技だが、言い換えればKYでもある。
「わぁーい、ケーキだ、ケーキ!」
ルリも喜んでいるし、今回はセレサの出現をありがたく思う二人だった。
四人でおいしく食べていると、ルリがセレサに聞いた。
「ねー、ねー。お姉ちゃんも、魔女なの?」
「そうだよぅ。華の妖術使いのセレサ。よろしくっ!」
セレサが、ニヤッと魔女っぽく笑う。
「花の〜?」
「そう、花の。見ててね」
そう言うとセレサは、どこからか出した杖を横に振った。キラキラと輝くように、花が舞い散る。
「うわぁ〜、すごーい、おばさん!」
「おばさん……?」
途端にセレサが顔をしかめる。
「お、お姉さんだよね、ルリ」
アリスが慌てて訂正した。
「そうだね、お姉さん!もっと見せて!」
「よろしい」
いつもみんなに甘えてばかりのセレサが、ルリの前だとお姉さんっぽくしているのを見て、アリスはプッと噴き出した。
セレサの魔法は、女の子などには一番好かれる魔法かもしれない。女の子が好きそうな花などを見せるからだ。でも、そうやって相手を惑わしているすきに敵を殺す、というのが本来の使い道だ。
「ねぇねぇ!ソラおおねえちゃんは、何が出来るの?」
セレサの妖術を見終わったルリは、ソラの元へ駆け寄った。途端、ソラがその好奇心に満ち溢れた紅い瞳から目をそらす。
「え、えぇ〜。私は、その……」
ソラの魔術は、こういうときにやっかいだ。すぐにパッと使えるものではないからだ。
「こ、今度見せてあげるよ」
ぎこちなくルリに笑ってみせるソラ。運よくルリはそれで諦めてくれた。
そして、ルリはついにアリスのところへやってきた。
「ずっと気になってたんだけど……アリスはどんな魔法が使えるの?アリスが魔法を使ってるところ、少し見たけど、セレサおねえちゃんみたいな魔法は出来ないの?」
(なぜに……あたしだけ呼び捨て?)
心の中でつぶやく。
「あたしの魔法は、いつか見せてあげるから、その時までおあずけ」
「えーっ。つまんなーい」
プクーっとルリはふてくされ、どこかへ走ってしまう。
「アリス、まだあの魔法を使うつもりはないの?」
ソラがルリが消えるのを待ってから言った。
「ない。あの魔術はもう、封印したんだ」
「そう……」
ソラが、寂しそうに言った。
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