ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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されど兎は染まらない【01うp】
日時: 2010/01/30 21:58
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: X5qqmbM.)
参照: よいこのイントネーションは芸人のよゐこさんと同じだったりー

あー何かカキコの改装なんてどうでも良いからさっさとエラーで見れない小説ちゃん達をささっと直してほしいどうも宵子です。
何か小説がエラーってて見れないんでとりあえず別ネタで書き進めようと思ってスレ建設。
ほんと泣きたい気分なんですけどね、履歴かられっつらごーしても無理だったし。
とまぁ雑談云々はここまでにして。

題名:されど兎は染まらない
ジャンル:シリアス・ダーク

つらつらと書いて行こうと思います(・ω・)

story-00【されど彼女は記さない】>>2
story-01【されど説明は上手くない】>>4

Page:1 2 3



Re: されど兎は染まらない【01うp】 ( No.7 )
日時: 2010/02/01 22:07
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: FEOD1KUJ)
参照: よいこのイントネーションは芸人のよゐこさんと同じだったりー

story-02【されど少女は怯まない】

 
 ————いないよ、いない。
 ————何でいないのかな、なんで。

 実験都市(シミュレーションシティ)東エリア。
 午後9時。メインストリート裏通りにて。
 
 すっかり日———まぁ、所詮擬似太陽として作ったただの大きな蛍光灯まがいのものだけど———も暮れ、辺りは静寂と墨で塗りつぶしたような闇が広がっている。まだ微かに店の灯がちらついているが、殆どの店はすでに閉店している。
 しかし街灯の光と人の多さは、昼間とはあまり変わらない。治安の悪い東エリアだからこそだろうか。
 ただ一つ言えることは、昼間の人々とは明らかにかけ離れた人間が、夜になって増えたということ。昼間だと子連れで歩いている人も多かったが、夜間だと、明らかに犯罪に手を染めていそうな人間が増えている。
 
 —————そんな、人影がまばらな裏路地で。
 場に相応しくないであろう、一つの人影が、路地にあるゴミ袋を漁っていた。
 
 「いない……いないよぉ……」
 
 泣きそうな声をしながら、ゴミ袋に手を突っ込んでいるのは———およそ小学生低学年程度の、苺の髪飾りをした少女。忙しく視線を彷徨わせているその瞳は、何があったのか、うるうると涙で潤み始めていた。
 
 「どこなの……どこ……」

 手が薄黒く汚れていくことも厭わずに、少女は何かを探し続けている。ゴミ袋にその小柄な体を入れ込むようにしているせいか、着ているワンピースも薄っすらと埃が付きまとっていた。
 
 「よぉ、お嬢ちゃん」

 さて次のを探そうと、少女が2つ目のゴミ袋に手を触れた時に、少女の背後から声をかける者が現れた。
 少女はその声に作業を止めると、突然話しかけられたことに動揺したのだろう、びくびくと体を震わせながら振り向く。

 「は……はい」
 「何でこんなとこで袋漁ってンの」

 無防備な少女の背後に立っていたのは———目がちかちかするような真っ赤な髪をした、明らかにチンピラな風体な5人組。
 少女に話しかけた1人は、口元に湛えた笑みをそのままにしつつ、優しげに問いかける。

 「あの……探してるものが、ない……んです」
 「へー、そうなんだ。で、さ。そのお嬢ちゃんの後ろにあるビル、誰のか知ってる?」

 あくまで陽気に話すチンピラの男。
 少女はその赤い髪に畏怖しながらも、必死に言葉を紡ぐ。

 「あ……知りま……」
 「じゃあ、そのゴミ袋は?」

 ———何故自分はこんな質問をされているのだろうか?
 そんな疑問を抱えながら、少女は首を傾げて口を開いた。

 「あ、それも知りませ……」
 「ふーん? じゃあさー……」

 少女の答えを聞いたチンピラの男は———刹那、少女の顔の横————思いきり、ビルの壁を蹴った。

 ————轟音。

 そして、少女の時が止まる。いや、止まったのでは無い。急に与えられた恐怖によって、体が思うように動かないだけだ。
 
 「……う……あ……」

 言葉にならない掠れた悲鳴。
 あまりの怖さに身がすくんだ少女は、ただちろりと真横にある男の右足を見ることしか出来なかった。
 固まってしまった少女の様子など気にもとめず、チンピラの男は、先程の姿とは打って変わった様子で—————自分の怒りを吐露し始める。

 「ったくよお!! 俺らが東エリアの最強グループ『東銀丸』だと知ってんのかあ!? ああ!?」
 「……しっ、知りませんっ!……」
 「はあっ!? なめてんのかあ!?」

 明らかに怯えている少女に対して、高圧的な態度をとる、自称『東銀丸』のメンバーの男たち。
 威圧された少女の眼からは、ぼろぼろと惜しみなく大量の雫が溢れ出す。
 だかその涙さえも、ヤンキーの男は鬱陶しく感じたらしい。
 少し考え込んだ様子だったが、やがてにたりと口元を歪ませて笑った。

 「このガキ、闇市で売りさばいてやらぁ」
 「……っ、やあっ!?……」

 少女の汚れた片手を嫌そうに掴むと、後手に回り、少女の動きと口を塞ぐ男たち。
 しかし幼いせいか、そこまで人数は要らなかったらしい、残りの3人はにやにやと下卑た笑いをして少女の泣く表情を見ている。

 「……汚くてあんま顔見てなかったけどよぉ、結構可愛い顔してんじゃん?」
 「ちょっ、ヨッちんオメーロリコンだべ? ちょーウケるんっスけど」
 「うっせ、違うっつーの。ヨッちんはすっげー可愛い彼女いるんだぜえ?」
 「おい、でもこいつどーすんの? 俺今縄系持ってない系でやばい系」
 「はあー? そんなガキ1人捕まえられねーのかよテメー」

 思い思いに自分の言葉を交わしていく5人のチンピラたち。
 そんな、今や恐怖の対象としか見れない彼らを見て————少女は、もごもごと口篭っているだけ。

 (————誰か! 誰か助けてっ……)

 ちらり、とまだ光が明るいメインストリートを見やるが、通行人はこちらを見ると、慌てたように視線を逸らす。
 その行動の答えは———自分には関わりたくないとの意思表示だと、少女は直感で感じ取った。
 そして、悟った。
 少女のことを助けてくれる『ヒーロー』は、現れてくれないのだと。

 (……い、やだよ……! お父さん、お母さん、お姉ちゃん、さーちゃん……)

 その時、少女の脳裏に浮かぶのは———少女の愛すべき家族と、友達。
 そんな甘い妄想を振り切るかのように、少女は閉じていた目を開く。
 そして視界に映るのは———バチバチと閃光を放つ、スタンガンと呼ばれる凶器。それを自分に使おうとしているのは……あまりにも明白過ぎて、少女は諦めたように目をまた瞑った。

 「んじゃま、コレで気ぃー失わせて、それでアジトへ帰るべ?」
 「そーそー」

 視界全体が、チンピラたちで埋め尽くされ、真っ黒になる。
 そんな中、スタンガンの光だけがいやに光っていた。
 バチバチ、と。
 そして、青く閃く光が、彼女の眼前に迫る。
 
 (————もう、無理、なのかな……)

 ぎゅっ、と。
 少女は更に目を強く瞑る。
 
 (た……助けて……!)

 少女はぎゅっと目を強く瞑っている。
 強く、瞑る。
 やがて迫り来る恐怖と痛みに備えて。
 
 だが、しかし—————

 (————あ、あ…れ?)

 恐怖が、来ない。
 痛みも、来ない。

 そんな現実に気が付いた少女は、薄っすらと目を開けた。
 そして————目を開けた少女は、眼前の現実に、ただ驚く。

 「……え?」

 「うわっ、手前っ!?」
 「何しやがんだ!」

 視界が開けた少女の目の前にある光景は————チンピラたち5人が、各顔を醜悪に歪ませて、自分たちの前にいる

Re: されど兎は染まらない【01うp】 ( No.8 )
日時: 2010/02/02 23:16
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: nGuu1StL)
参照: よいこのイントネーションは芸人のよゐこさんと同じだったりー

story-02【されど少女は怯まない】

 ————いないよ、いない。
 ————何でいないのかな、なんで。

 実験都市(シミュレーションシティ)東エリア。
 午後9時。メインストリート裏通りにて。
 
 すっかり日———まぁ、所詮擬似太陽として作ったただの大きな蛍光灯まがいのものだけど———も暮れ、辺りは静寂と墨で塗りつぶしたような闇が広がっている。まだ微かに店の灯がちらついているが、殆どの店はすでに閉店している。
 しかし街灯の光と人の多さは、昼間とはあまり変わらない。治安の悪い東エリアだからこそだろうか。
 ただ一つ言えることは、昼間の人々とは明らかにかけ離れた人間が、夜になって増えたということ。昼間だと子連れで歩いている人も多かったが、夜間だと、明らかに犯罪に手を染めていそうな人間が増えている。
 
 —————そんな、人影がまばらな裏路地で。
 場に相応しくないであろう、一つの人影が、路地にあるゴミ袋を漁っていた。
 
 「いない……いないよぉ……」
 
 泣きそうな声をしながら、ゴミ袋に手を突っ込んでいるのは———およそ小学生低学年程度の、苺の髪飾りをした少女。忙しく視線を彷徨わせているその瞳は、何があったのか、うるうると涙で潤み始めていた。
 
 「どこなの……どこ……」

 手が薄黒く汚れていくことも厭わずに、少女は何かを探し続けている。ゴミ袋にその小柄な体を入れ込むようにしているせいか、着ているワンピースも薄っすらと埃が付きまとっていた。
 
 「よぉ、お嬢ちゃん」

 さて次のを探そうと、少女が2つ目のゴミ袋に手を触れた時に、少女の背後から声をかける者が現れた。
 少女はその声に作業を止めると、突然話しかけられたことに動揺したのだろう、びくびくと体を震わせながら振り向く。

 「は……はい」
 「何でこんなとこで袋漁ってンの」

 無防備な少女の背後に立っていたのは———目がちかちかするような真っ赤な髪をした、明らかにチンピラな風体な5人組。
 少女に話しかけた1人は、口元に湛えた笑みをそのままにしつつ、優しげに問いかける。

 「あの……探してるものが、ない……んです」
 「へー、そうなんだ。で、さ。そのお嬢ちゃんの後ろにあるビル、誰のか知ってる?」

 あくまで陽気に話すチンピラの男。
 少女はその赤い髪に畏怖しながらも、必死に言葉を紡ぐ。

 「あ……知りま……」
 「じゃあ、そのゴミ袋は?」

 ———何故自分はこんな質問をされているのだろうか?
 そんな疑問を抱えながら、少女は首を傾げて口を開いた。

 「あ、それも知りませ……」
 「ふーん? じゃあさー……」

 少女の答えを聞いたチンピラの男は———刹那、少女の顔の横————思いきり、ビルの壁を蹴った。

 ————轟音。

 そして、少女の時が止まる。いや、止まったのでは無い。急に与えられた恐怖によって、体が思うように動かないだけだ。
 
 「……う……あ……」

 言葉にならない掠れた悲鳴。
 あまりの怖さに身がすくんだ少女は、ただちろりと真横にある男の右足を見ることしか出来なかった。
 固まってしまった少女の様子など気にもとめず、チンピラの男は、先程の姿とは打って変わった様子で—————自分の怒りを吐露し始める。

 「ったくよお!! 俺らが東エリアの最強グループ『東銀丸』だと知ってんのかあ!? ああ!?」
 「……しっ、知りませんっ!……」
 「はあっ!? なめてんのかあ!?」

 明らかに怯えている少女に対して、高圧的な態度をとる、自称『東銀丸』のメンバーの男たち。
 威圧された少女の眼からは、ぼろぼろと惜しみなく大量の雫が溢れ出す。
 だかその涙さえも、ヤンキーの男は鬱陶しく感じたらしい。
 少し考え込んだ様子だったが、やがてにたりと口元を歪ませて笑った。

 「このガキ、闇市で売りさばいてやらぁ」
 「……っ、やあっ!?……」

 少女の汚れた片手を嫌そうに掴むと、後手に回り、少女の動きと口を塞ぐ男たち。
 しかし幼いせいか、そこまで人数は要らなかったらしい、残りの3人はにやにやと下卑た笑いをして少女の泣く表情を見ている。

 「……汚くてあんま顔見てなかったけどよぉ、結構可愛い顔してんじゃん?」
 「ちょっ、ヨッちんオメーロリコンだべ? ちょーウケるんっスけど」
 「うっせ、違うっつーの。ヨッちんはすっげー可愛い彼女いるんだぜえ?」
 「おい、でもこいつどーすんの? 俺今縄系持ってない系でやばい系」
 「はあー? そんなガキ1人捕まえられねーのかよテメー」

 思い思いに自分の言葉を交わしていく5人のチンピラたち。
 そんな、今や恐怖の対象としか見れない彼らを見て————少女は、もごもごと口篭っているだけ。

 (————誰か! 誰か助けてっ……)

 ちらり、とまだ光が明るいメインストリートを見やるが、通行人はこちらを見ると、慌てたように視線を逸らす。
 その行動の答えは———自分には関わりたくないとの意思表示だと、少女は直感で感じ取った。
 そして、悟った。
 少女のことを助けてくれる『ヒーロー』は、現れてくれないのだと。

 (……い、やだよ……! お父さん、お母さん、お姉ちゃん、さーちゃん……)

 その時、少女の脳裏に浮かぶのは———少女の愛すべき家族と、友達。
 そんな甘い妄想を振り切るかのように、少女は閉じていた目を開く。
 そして視界に映るのは———バチバチと閃光を放つ、スタンガンと呼ばれる凶器。それを自分に使おうとしているのは……あまりにも明白過ぎて、少女は諦めたように目をまた瞑った。

 「んじゃま、コレで気ぃー失わせて、それでアジトへ帰るべ?」
 「そーそー」

 視界全体が、チンピラたちで埋め尽くされ、真っ黒になる。
 そんな中、スタンガンの光だけがいやに光っていた。バチバチ。
 そして、青く閃く光が、彼女の眼前に迫る。
 
 (————もう、無理、なのかな……)

 ぎゅっ、と。少女は更に目を強く瞑る。
 
 (た……助けて……!)

 少女はぎゅっと目を強く瞑っている。強く、瞑る。
 やがて迫り来る恐怖と痛みに備えて。
 
 だが、しかし—————

 (————あ、あ…れ?)

 恐怖が、来ない。痛みも、来ない。

 そんな現実に気が付いた少女は、薄っすらと目を開けた。
 そして————目を開けた少女は、眼前の現実に、ただ驚く。

Re: されど兎は染まらない【01うp】 ( No.9 )
日時: 2010/02/02 23:18
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: nGuu1StL)
参照: よいこのイントネーションは芸人のよゐこさんと同じだったりー

story-03【されど悪役は怯まない】


 「……え?」

 「うわっ、手前っ!?」
 「何しやがんだ!」

 視界が開けた少女の目の前にある光景は————チンピラたち5人が、各顔を醜悪に歪ませて、自分に向かって脅えている姿。
 いや、違う。自分に脅えているのではない。

 「……だ……誰……?」

 そこで少女は眼前の事実を理解する。

 「……て、てめー……」

 呆気にとられていたチンピラの一人が、ようやく脅えつつも眼前の敵を睨みつける。勿論、その眼光も自分に向かってじゃない。

 正しくは—————自分の前に突然現れた、青年を睨みつけていた。

 「……可愛い女の子を襲う怪人を倒しに来てみたけど……こりゃ酷いな。酷いって何が? お前らの顔が」

 1人で自問自答する青年。余裕しゃくしゃくという風に口元に笑みの形を象っている。
 ……あれ、青年? ……はて、何時の間に青年は、自分の前に居たのだろうか。
 あまりにも不自然に現れた青年。少女はその青年をじっくりと見つめた。

 まず視界に飛び込んでくるのは、真っ赤なジャージだった。暗くて見辛かったが、よく見ると胸のところには何かの紋章が描かれている。
 それにプラスして、前髪の1束だけ赤くメッシュを入れた頭髪。肩の辺りまで適当に伸ばされたらしい髪を、くしゃくしゃと掻き乱していた。
 そして何より異様だと思えたのは————首元に止めてある、黒いゴーグル。
 ゴーグルと言っても、水泳用なんてちゃちな物ではない。明らかに武装する時に使用するものだった。

 ……青年の変わった姿を見て、何を勘違いしたのか———チンピラの中の2人は、嘲笑うかのようにして、青年に近づき始める。

 「おいおい、何だァ何だァ? どこぞのヒーロー気取りですかァ? 殺っちゃうよ?」
 「ちょっとマジない系、チョー変系じゃね? てかありえねー系。 てか殺る系」

 日本語とは思えない言葉を聞き流す青年。
 その態度にかちんと来たのか、チンピラ2人は表情を強張らせ———実力行使に出た。

 「っ、テメー、チョーシこいてんじゃ……ねえーよっっ!!」

 飄々としている青年に向かって———そんな時、男の1人は、頬にパンチを繰り出す。

 「……はっはー」

 しかし青年は、ニヒルな笑みを浮かべつつ———その拳を軽く、右手で受け流した。
 あっさりと受け流された衝撃と、自身が放った力とは割に合わず……チンピラの1人は、そのままふらふらと地面に突っ込む形となってしまった。

 「…………ひっ!?」

 突然地面と仲良くなってしまった仲間を見て、もう1人は硬直する。
 だがそんな中、青年は————1人、夜空を見上げて、叫んだ。

 「分かった! 何でお前らがこんな悪役みたいなことすんのか…………今ようやく分かったところだ!」
 「……はぁ?」

 ————コイツ、気でも狂ってやがんのか?
 ふとそうチンピラの1人が思った瞬時————そのチンピラは宙ろ舞った。

 「……! ふぐぅ……!?」

 違う、飛ばされたのだ。青年の、威力がある———素手の拳によって。
 どしゃりと、先程の男と同じように、2人目のチンピラが意識を失った。
 その男が最後に聞いたのは————自分を殴り飛ばした、青年の叫び。
 
 「なぜなら俺という『ヒーロー』がいないからだ! じゃあ教えておこう、俺の『ヒーロー』としての名を! 俺の名は『ヒーロー』遊馬っ! テメーらみてーな悪を滅ぼす『ヒーロー』だっ! 覚えとけよ、末代までなっ!』

Re: されど兎は染まらない【01うp】 ( No.10 )
日時: 2010/02/06 09:17
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: oeBTzWxb)
参照: よいこのイントネーションは芸人のよゐこさんと同じだったりー

story-04【されどメイドは開かない】


 *

 ————同時刻、西エリア隠間通りにて


 「本当に鬱陶しいよねえ、しがぽんはさー?」
 「……それはこっちの台詞、ってことを理解して言ってんのか?」

 西エリア。
 東との抗争が勃発しているエリアでは、まさしく今、戦いの火蓋が切られようとしていた。
 ……だが、戦いの渦の中にいるのは————メイド姿の女と、真っ赤な髪色の男だったのだが。

 「勿論分かってるって! てゆーか、しがぽんを怒らせる為に、わざと言ってたりっ」

 と、語尾に星マークが付きそうな程、明るく言葉を発すメイド女。端整な顔立ちのせいか、そのおちゃらけた言葉は浮いて聞こえる。

 「……ッッ! ……相変わらず、その減らず口は変わらねえなぁ……『白桃レン』よっ」

 赤毛の男は憎憎しげにメイド女の名を呼ぶと———そのまま、その長身に見合う長い足を大きく“振りかぶった”。
 
 「うわっ……あっぶなー……ちょっとおー? すっごい危ないって! てか人間の蹴りじゃないっ……っておほあわっ!?」
 「ぐだぐだ……抜かすなカ.ス情報屋があっ!!」

 メイド女——白桃レンは、赤毛の男の強烈な蹴りをステップを踏むと同時にひらりとかわした。そして行き場が無くなったその威力は、近くの電柱にめり込むと同時に受け止められる。
 電柱に突っ込んだ足を抜く相手の姿を見て————レンはぶるりと細身の体を恐怖で震わせた。
 
 「……え、人が話してるのに無視して強キック? 何それ? 放置プレ」
 「黙れ愚情報屋」
 「……あちゃっぱー」

 保留

Re: されど兎は染まらない【01うp】 ( No.11 )
日時: 2010/02/08 19:21
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: rUpk0CSp)
参照: よいこのイントネーションは芸人のよゐこさんと同じだったりー

story-04【されどメイドは開かない】


 *

 ————同時刻、西エリア隠間通りにて


 「本当に鬱陶しいよねえ、しがぽんはさー?」
 「……それはこっちの台詞、ってことを理解して言ってんのか?」

 西エリア。
 東との抗争が勃発しているエリアでは、まさしく今、戦いの火蓋が切られようとしていた。
 ……だが、戦いを始めようとしているのは————メイド姿の女と、真っ赤な髪色の男なのだが。

 「勿論分かってるって! てゆーか、しがぽんを怒らせる為に、わざと言ってたりっ」

 と、語尾に星マークが付きそうな程、明るく言葉を発すメイド女。端整な顔立ちのせいか、そのおちゃらけた言葉は浮いて聞こえる。

 「……ッッ! ……相変わらず、その減らず口は変わらねえなぁ……『白桃レン』よっ」

 赤毛の男は憎憎しげにメイド女の名を呼ぶと———そのまま、その長身に見合う長い足を大きく“振りかぶった”。
 そのキックと同時に、2人の会話を静聴していた野次馬からは、感嘆の声があがる。
 
 「うわっ……あっぶなー……ちょっとおー? すっごい危ないって! てか人間の蹴りじゃないっ……っておほあわっ!?」
 「ぐだぐだ……抜かすなカ.ス情報屋があっ!!」

 メイド女——白桃レン(はくとう れん)は、赤毛の男の強烈な蹴りをステップを踏むと同時にひらりとかわした。そして行き場が無くなったその威力は、近くの電柱にめり込むと同時に受け止められる。
 電柱に突っ込んだ足を抜く相手の姿を見て————レンはぶるりと細身の体を恐怖で震わせた。
 
 「……え、人が話してるのに無視して強キック? 何それ? 放置プレ」
 「黙れ愚情報屋」
 「……あちゃっぱー」

 明らかな殺意を放つ赤毛の男とは対照的に、まだ遊んでいるのかのように微笑むレン。
 しかし、相手の表情を見て———その笑顔もやがて、冷たい笑みへと変わっていく。

 「……しっかしさー。しがぽん。……いや、“西の正義屋”————悪張 志賀人(あくばり しがと)と呼んだ方が合ってるかな? ねぇ、しがぽん」
 「黙れ。そのぺらぺらうるせー舌を三枚卸にしてやろうか」
 「うーん、残念だけど……そのお誘いは丁重にお断りさせてもらうね? ……だってホラ、女の子に手を出すなんて、しがぽんの正義に反するし?」
 
 きゅるん、と効果音が出そうなほど上目遣いに志賀人を見る。挑発のつもりだろう、肩まである栗色の髪をさらりと艶やかに揺らした。
 でしょ? とレンが小首を傾げた瞬時————志賀人の方から、ぶちりと何かが切れる音がした。
 そして————
 
 「…………何言ってやがんだ……」

 溢れ出る殺意と怒りを押し殺しつつ、志賀人はひくひくと口角を吊り上げ————叫んだ。

 「てめえは『男』だろうがあああああああっ!!」
 「その通り。さすがしがぽん。色仕掛けには惑わされない、ってか」

 志賀人の咆哮に物怖じもせず、面白そうに感想を述べるレンに———志賀人は、大きく跳躍した。無論レンの上空へ。

 「ってめえ! ざけんなこのオカマ情報屋がああっ!」
 「うるさいな、差別用語だよしがぽんっ!」

 
 西エリアに————また新たな戦闘の声が響いた。


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