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Vampire Tear-孤独の君主-【オリキャラ募集中!】
日時: 2010/03/05 19:33
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

暗闇に独り、立ち尽くす。それはいにしえからの咎人とがびと
老いし人は問う。貴方は何故 罪を犯すのか。
の人は答える。それは、己の存在そのものが罪だから。
若かれし人は問う。貴方は何故、人を殺めるのか。
彼の人は答える。それは、そうすることでしか生きられないから。
無知な幼子おさなごは問う。どうして涙を流すのか。
彼の人は首を振る。それは、誰にも明かせない秘密。

行動することに、理由が必要でしょうか。生きることに、意味が必要でしょうか。
失われゆく命に涙することに、正誤せいごが必要でしょうか。

時の流れに身を委ね、咎人は何処いずこへ流れゆく。
抗うことなど露知らず、ただただ虚無にぜていく。
もし流れに足掻いたなら、セピアの世界は変わるでしょうか。
ならば私は流れに刃向かい、世界に願い、世界を呪いましょう。
願いは他者に、呪いは己に託しましょう。
流れに逆らい、進むことを、世界は、許してくれるでしょうか。


Episode1 >>1
Episode2 >>2
Episode3 >>3
Episode4 >>4
Episode5 >>5
Episode6 >>6
Episode7 >>7
Episode8 >>9
Episode9 >>16←龍さんのオリキャラ登場です!
Episode10>>21←rightさんのオリキャラ登場です!
Episode11>>27←ららァさんのオリキャラ登場です!
Episode12>>28←恢羅さんのオリキャラ登場です!
Episode13>>




オリキャラ用紙 >>10

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Re: Vampire Tear−孤独の君主− ( No.1 )
日時: 2010/02/02 00:17
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)

Episode1‐漆黒塗れし王の誕生‐


戦歴20XX年。
世界は二つに分断され、日々争いに追われていた。
その理由は、人間と同等の知能を持つ<新種>の出現。
人間とは異なる存在ながらも、人間とよく似た外見をしている、高度な戦闘力を持つ生物。
人々は、その生物を<混血種>と呼んだ。
人間と、獣の血が混ざっていることからということと、
これ以上ない、皮肉を込めての言葉だった。
そんな世界を統べるのは、幼き女帝陛下。
だが、最近になって混血種にも、混血種を統べる王が出現した。
限りなく外見が人間に似ていて、驚異の戦闘能力を誇る者、<Blood King>。
両者に許された選択は二つ。
生きるか、死ぬか。
己の種族を守り、生きるために、両者は戦う。
果たして、世界はどちらに軍配を上げるのか・・・。


「なぁなぁキング。もうそろそろ動いてもええんちゃうの?」
暗闇で動く、三つの存在。
「私も同感だ。
 これ以上、人間に好き勝手にさせておくのはどうかと思うが・・・」
二つの声は、ある一つの存在に集められる。
「・・・焦るな。これは、我が同胞達の命を賭けた戦いになる。
 慎重に事を進めなければ、思いもよらぬところで足元を掬われることになるぞ」
絶対的な威厳をもち、有無を言わさぬ視線を浴びせる。
「了解!キングに従うんがウチラの使命やからね。キングがそう言うんやったら、もう少し様子見しよか」
そう言って、一つ、そこから姿を消す。
「私も今の役目に戻るとするよ。我がキングの御命令どおりに・・・」
また、一つの存在が姿を消し、その場には一つの存在だけが残った。
「・・・そう、これは全てを賭けた戦い。生きるか死ぬか、それ以外の選択は無い」
スッと前を見据える。
「我が<Blood King>の名に懸けて、必ず我が手に勝利を掴む」
そうして、王は姿を消す。
その場に残ったのは、虚無と閑静、世界に誓った誓約だけだった。

Re: Vampire Tear−孤独の君主− ( No.2 )
日時: 2010/02/02 18:20
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)

Episode2‐必然的に廻り始めた運命‐


「皇帝陛下、自分に何か御用があると伺いましたが・・・」
豪華と言える謁見の間に、一人の青年が立っていた。
「ふふ、そんなに畏まらないでくださいな、お兄様。久しぶりに御喋りがしたかっただけなんです」
ごめんなさい、と軽く頭を下げる少女。
「全く、何かと思えばそんなことか。何か問題でも起きたのかと思ったよ」
青年は、緊張していた顔を緩めて笑う。
「だってお兄様、私が普通に呼んでも来ては下さらないでしょう?」
お兄様意地悪だから、と頬を膨らませる。
「はいはい。・・・で?俺を呼んだのは、本当にただ話がしたいだけじゃないんだろう?」
「・・・はい、早急にお伝えしたいことがあるんです」
その場の雰囲気が一瞬で冷たくなる。
「昨夜、EUの中央地域に配置された我が軍から連絡がありました」
「?定時連絡か?それなら俺の所にも入ってきたが・・・」
「いえ、定時連絡のその後にも、連絡が入ってきたのです」
少女は真剣な顔をして言った。
「・・・EUの東地区が、混血種によって殲滅されたそうです」
「?!そんな、たった一日で!?あそこは人口も多かった筈だ!一体どれだけの数で・・・」
「話によれば、敵は・・・約数名だったそうです」
「数名?!有り得ない・・・。一体どうなっているんだ!」
青年は声を荒げる。少女はそれを静かに聞き、思いを言の葉に込める。
「私もそれを知りたいのです。ですので、貴方には今からEUに行っていただきたいのです」
「・・・それが、御命令なら」
青年は少女の前に跪く。
「我が騎士、ジャック。頼みましたよ」
「イエス・マイロード。我がエリーゼ陛下の為に」
青年、ジャックは頭を上げて立ち上がる。
「では、御気を付けて下さいね、お兄様?」
「ああ、無事に帰ってくるよ」
ジャックは謁見の間を足早に駆けて行った。


「皆、混血種について何か情報はないのか?」
ジャックは早速混血種についての作戦を練っていた。
「いえ、こちらには何の情報も来ていません」
EU中央地域の派遣員達は口々にそう言う。
「あ、でも・・・」
「?でも何だ?」
一人の派遣員が声を上げる。
「東地区の外れにある森で、人影の目撃情報が上がってきていますが・・・」
「人影・・・?」
「はい。何でも、人間の女らしいのですが・・・」
地区の外れの、しかも森に人が・・・?
怪しい・・・。とジャックは考えた。
「よし、俺はその森に行く。何人かは俺に着いてきてくれ」
「了解しました。では我々A班が御供を」
数人を引き連れて、ジャックは森へ向かった。


「・・・ここが、その森か・・・?」
「はい、そう聞いていますが・・・・」
どう見たって、人が住めるような森ではないだろう。
陽の光が差し込まない暗い、暗い森。
荒れ放題なその森に、足を一歩踏み入れようとした。
そのとき。
「・・・その森に何か用ですか」
後ろから、ソプラノのような透き通った声が響いた。
「、あ、えっと・・・」
その少女の容貌に目を奪われる。
神話に出てくる美神ヴィーナスのようだ。
「こら君!ここは一般人立ち入り禁止区域だぞ!!さっさと自分の地区に帰りなさい!!」
派遣員の一人が声を上げる。
少女は一瞬顔を顰め、改めて声を出す。
「私の家は、森の奥にあるんです。立ち入り禁止か何かは知りませんけど、通してくれませんか?」
疑問符がついているが、明らかに命令している。
「・・・じゃあ、君がここに住んでいるのか?」
「そうですって、さっきから言っているんですけど・・・」
少女は呆れたような顔をして溜め息を吐く。
「ここは危険なんだ。君も知っているだろう?東の地区が混血種に殲滅されたんだ。
 まだ近くをうろついているかもしれない、だから避難所の方に移動してくれないか?」
ジャックは少女にそう言う。
しかし、少女は首を振る。
「・・・人がいっぱいいるところは嫌い。誰かも分からないのに、信用なんて出来ない」
切なそうな顔をする。
「ど、どうしますか、ジャック様。事情があるようですし、無理に連れていくのもどうかと・・・」
「そうだな・・・。取り敢えず、本国に連れて行こう」
「あ、アリエスタ本国にですか?!」
派遣員達はどよめく。
それもそうだ。世界で一番の大国、アリエスタに見知らぬ女を連れて行くのだから。
「ああ。皇帝には俺から話をつけておく」
「な、何故そこまで・・・?」
「・・・おかしいと思わないか?あんなに若い女が一人で森に住んでいるんだぞ?」
「う・・・確かに・・・」
「・・・何か裏がある気がするんだ・・・」
少女をちらりと見るジャック。
どこか、不思議な感じのする少女。
「よし、決まりだ。君を今から本国へ連れて行く。そこで色々と聞きたいことがある。
 ・・・着いてきてはもらえないだろうか」
ジャックは少女に問いかける。
少女は少し考えるような仕草をし、そして頷く。
「・・・わかりました。どうせYes以外の答えなんて用意されていないのでしょうから」
諦めたように言う少女にジャックは眉を寄せる。
「ところで、君の名前は?」
少女はジャックを睨みつけながら答える。
「・・・私の名前は、<リザ>」
このとき、運命が廻り始めたことに気づける者は誰も居なかった。

Re: Vampire Tear−孤独の君主− ( No.3 )
日時: 2010/02/03 00:03
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)

Episode3‐信じるに値する存在‐


「リザ、後数十分で到着する。着陸準備に入ってくれないか?」
「・・・わかりました。固定シートを装着すればいいんですよね」
不満そうにするも、リザは着々と準備を進める。
・・・しかし、本当に綺麗な人だと思う。
絹糸のような黒髪は、彼女が動く度にゆらゆらと揺れて、長い睫毛の縁取る群青色の瞳は宝石のようだ。
整いすぎた顔はいっそ気味悪いくらいで、生きているのか疑ってしまう。
じっと彼女を見つめていると、彼女から声がかかった。
「・・・あの、そんなに見られると動きづらいのですが・・・」
御尤もだ。穴があくほど見られて良い思いをする人などあまりいないだろう。
「あ、ああ、すまない・・・。ついつい見とれてしまって・・・」
馬鹿正直に喋ってしまう。俺は本当に馬鹿だと思う。
「・・・正直なんですね、貴方。そこまで真っ直ぐな人初めて見ました。新鮮です」
リザは珍しいものを見るような眼でジャックを見つめる。
「・・・私も、それ位素直になれたらいいんですけど・・・」  「?」
リザの言葉の意味が、うまく理解出来なかった。


「ただいま戻りました。エリーゼ陛下」
「無事に帰還されたことを嬉しく思います、ジャック。・・・ところで、そちらの方は?」
エリーゼがリザに目を向ける。
「東地区の外れの森にて保護をしました。リザです」
「まあ、森で・・・?それはそれは・・・随分お辛い思いをなさったでしょう?」
エリーゼはリザに問いかける。
「・・・貴方が、現皇帝のエリーゼ・カミュ・アリエスタですか?」
「?はい。私がエリーゼですが・・・」
リザはグッと眉間に皺を寄せて、発言する。
「私は、貴方が嫌いです。エリーゼ皇帝陛下」
その一言に周りの兵士達がざわめく。
「何と無礼なことを!!小娘!不敬罪に値するぞ!!」
そんなことを叫ばれても、リザは発言を止めない。
「こんな立派な皇宮で、豪華な生活を送られているのでしょう?そんな貴方に私達の何がわかるのですか?
 治安の不安定な現状で、それ以上の苦難を強いられている人の何がわかると?
 籠の中の鳥である貴方に、何ができるというのですか」
リザの発言は、責めているようでも、問いただしているようでもない。
・・・まるで、エリーゼを試しているかのような口ぶりだ。
「・・・確かに私は、この皇宮から出たことは一度だってありません。
 貴方の言うように、人並み以上の生活を送っているとも自覚しています。
 ・・・それでも、私はこの国、アリエスタを統べる者として、この国に生きる一国民として・・・。
 出来る限りのことをしています。それでもまだまだ足りません。まだまだ私には出来ることがあります。
 あるはずなんです。・・・ここから出ることは、貴方の言うとおり、きっと出来ないでしょう。
 けれど、<世界>を見ることは出来るのです。<皆>が幸せになれる世界を、造れるんです。
 ・・・こんな小さな存在の私ですが、信じてはもらえないでしょうか・・・」
エリーゼはそっと手を伸ばす。
その手を、リザは値踏みをするように凝視する。
「・・・貴方を、信じる価値はあるのですか」
「少なくとも、誰も信じないよりは価値はあると思っています」
エリーゼの、リザを射抜くような視線。
リザはエリーゼの手を握った。
「貴方を、私は信じるに値する存在だと認めます。先程の非礼、お許しください」
リザは頭を垂れる。それを見て、エリーゼは微笑みを湛える。
「御顔を上げてください、リザさん」
「イエス・マイロード」
二人の視線が混ざりあうのが分かった。
「私と共に、闘ってはいただけませんか?」
「・・・それが貴方の望みなら」
リザはエリーゼの手の甲に忠誠の証を記す。
「わかりました。リザ。貴方を私の騎士に任命いたします」
「有難き御言葉。感慨至極に存じます」
その光景を、ジャックは静かに見守っていた。
・・・歪な運命が廻っていることに気づかないで。

 

Re: Vampire Tear−孤独の君主− ( No.4 )
日時: 2010/02/03 16:03
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)

Episode4‐最強の騎士‐


「ではお兄様。リザさんに騎士服と何か装着品を差し上げてください。
 リザさんはそのままお兄様と一緒にEU中央地域に派遣させていただきます」
「「イエス・マイロード」」
ジャックとリザは掛け声を上げ、その場を去る。
「・・・・・」 「?俺の顔に何か付いているか?」
「貴方、皇帝陛下の兄なんですか?」 「ああ、まあな」
「・・・じゃあ貴方がジャック・ウォン・アリエスタ・・・?」 「ああ。・・・まさか知らなかったのか?」
リザは一瞬キョトンとして、言葉を続ける。
「いえ、ただ陛下とあまりにも似てないと思ったものですから」 「・・・よく言われるよ」
似ていると言える所は確かに少ない。
エリーゼの髪の色は金色、俺は栗色で。向こうは癖っ毛なのに、こっちはストレートで。
唯一同じなのは、翡翠のような瞳を持っているということだけだろうか。
「・・・でも、その髪の色は似合っていると思いますよ」 「!そ、そうか?」
ジャックは照れたように頬を掻く。
「ええ。貴方が金色の髪をしていても気持ち悪いと思うので」 「・・・お前は充分正直だと思うぞ」
などと言っているうちに、目的の場所に着いたようだ。
「じゃあリザ。これに着替えてきてくれ。装備品は後で渡すから」
「・・・覗かないでくださいね」 「!!ばっ、だ、誰が覗くか!!」
それだけ言うとリザは部屋に入って行った。

−それから数十分後−

「・・・・着替え終わりましたよ」 「遅かった・・・な・・・」
出てきたリザに目を奪われた。
自分の純白に金のラインの入り混じる騎士服とは違い、漆黒を主としたソレは彼女によく映えた。
彼女の瞳と同じ群青色のラインが、彼女の体のラインを際立たせている。
「?何ジロジロ見てるんですか」 「い、いや。ほら、次!装着品取りに行くぞ!」 「?はぁ・・・」
武器庫の中に入り、色々と見回る。
「女性の使えるような物は少ないんだが・・・」
ジャックがリザに話しかけるが、リザからの返事は返ってこない。
「?リザ?」 「・・・・・・・・」
リザは武器庫の奥の一本の剣の前に立っていた。
金色の鞘に収まった、美しさを醸し出す剣。
「その剣、誰にも抜けないんだよ。鞘の中で剣が錆びついているんじゃないかって言われているんだ」
ジャックがそういうが、リザは構わず手に取る。
「・・・・・・」
リザが柄を掴み、力を込める。
「!!」 「・・・・・・・・・・」
剣は、いとも簡単に抜けた。
その刃には、錆など微塵も見られず、光を反射してきらめいていた。
「・・・私、これがいいです」 「それか?まあ、お前が言うんなら多分大丈夫だろうが・・・」
ジャックは、自分の鼓動が大きくなるのがわかった。
リザの、剣を携えた姿に、畏怖しているのだ。・・・自分が。
『やっぱり、何かあるな・・・』
最強の騎士の誕生に、ジャックは密やかな確信を持ちつつあった。


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