ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 。○*失われた皇女*○。 改訂版!!パートⅠ参照1000突破
- 日時: 2010/02/22 19:24
- 名前: Kリン (ID: ovGM7bao)
こんにちは!!!
結構前にかいたことのある失われた皇女ですが,
パートⅠが消え,パートⅡは続きとして書いてもわかりにくかったので,一から書き始めたいと思います。
今まで見ていてくれた方,本当に申し訳ありませんでした。今回はきちんと書いていきます。
初めて読む方も気軽に見ていって下さい!
皇女や皇帝一家はロシアの皇族をモデルにしています。
それでは....
- Re: 。○*失われた皇女*○。 改訂版!!パートⅠ参照1000突破 ( No.7 )
- 日時: 2010/03/06 16:28
- 名前: Kリン (ID: ovGM7bao)
まもなく大司祭が入場した。
やがて招待者たちは静かになった。会場は暗くなった。蝋燭が消されていく。大司祭のあとからは何人かの司祭が聖水や光り輝くクリスタルを抱えていた。
大司祭は会場の奥の聖命用の小高い所に立つと胸元にかけている青いクリスタル—ブルー・クリスタルと呼ばれている—を掲げた。
会場の者達はいっせいに祈りの姿となった。父さんも僕の横で祈りの姿になった。
僕もあわてて祈りの形をとった。
横目でナターリアを見た。ナターリアも静かに瞳を閉じて祈っているようだった。
まもなく白いモスリンのドレスで腰に青いシルクのリボンを巻きつけたアリアナが現れた。
周りの貴族達のように豪華絢爛なドレスではなかった。聖命を受ける者は質素な白い着物と決まっていた。
いつもとちがって,威厳があるアリアナだった。
そして,銀髪を光らせていた。
アリアナは大司祭の下にひざまずくと,皆と同じ祈りの形となった。司祭たちも瞳を閉じていた。
大司祭は聖水をアリアナに少しふりまいた。
アリアナの銀髪がまた光った。
振り終わると大司祭は真っ白に輝く真珠小さな冠をアリアナにのせた。
アリアナはそっと立った。
大司祭は光のように煌くクリスタルの首飾りをアリアナの首にかけた。
大司祭は呟いた。
「我等の国,アレスのためにこれからもつくすと誓うか?」
アリアナは迷いなく答えた。
「はい。この命つきるまで」
「皇女として?」
「皇女として。民として」
アリアナのいう皇女には色んな意味があるのだろう。
とても威厳に満ちた声だった。とても10歳を目の前にした少女に見えなかった。
まるですでに国を統べている女帝のようだった。
胸元のクリスタルが光り輝く。
彼女の透明感をひきたてるようだった。それくらい,彼女は美しかった。
- Re: 。○*失われた皇女*○。 改訂版!!パートⅠ参照1000突破 ( No.8 )
- 日時: 2010/03/06 20:03
- 名前: Kリン (ID: ovGM7bao)
まもなく人々は瞳を開けた。
『我等アレスと皇帝,そして第七皇女に永遠の祝福と栄光あれ。末永く国を統べるように....』
人々も口をそろえて,
「永遠の祝福と栄光を...そして平穏を」
という言葉が響き渡る。
アリアナはモスリンのドレスをひるがえすと従者をしたがえて退場した。同時に歓声が上がる。
「皇女殿下万歳!!」
「皇帝一家万歳!!」
そして,われるような拍手の中でいつまでもこだましていた....。
*
ある日,アリアナは不機嫌だった。
西の宮殿,グラノトリンで頬をふくらませて床を蹴っていた。その横顔が聖命式と違ってすごく幼く見えたので僕はいささか驚いた。
僕はもってきていたお菓子を一個あげた。
アリアナはそれを見ると喜んで受け取ったが,食べずにお菓子を二つに割ってしまった。
ビックリしている僕にその一つをわたすと口に含んだ。僕も呆気にとられてカケラを飲み込んだ。
「ハルトからもらったのに,あたしだけなんてイヤよ」
「そうかなぁ?」
「そうよ」
アリアナはき然と言い放った。
そして僕が不機嫌な理由を訊ねると,少し顔を赤らめて黙ってしまった。
しばらく沈黙が続いたあと,
「だって,誕生日までチョコレートやキャンディはダメだって言われたの....今のはビスケットだったから良かったんだけど....」
いかにもアリアナらしかった。
僕は思わず笑ってしまった。
「なぜ??」
「だってェ,あたしの歯は虫歯になりやすいって...
母さまがいうんだもの....誕生日の儀で虫歯の皇女なんて見せられないって....」
「それは皇后様が正しいでしょ」
アリアナは立ち止まって僕を見つめる。
「どうして?」
「だって,誕生日に虫歯なんて君に似つかわしくない....そんなに綺麗なのに」
アリアナはその言葉を聞くと嬉しいのかそうでないのかわからないあいまいな表情をした。
- Re: 。○*失われた皇女*○。 改訂版!!パートⅠ参照1000突破 ( No.9 )
- 日時: 2010/03/06 21:29
- 名前: 嵐猫 (ID: ZSo5ARTM)
こんにちは!
パートⅠから、ずっと読んでいました。
復活して、とても嬉しい気持ちです!!
頑張って下さい!
- Re: 。○*失われた皇女*○。 改訂版!!パートⅠ参照1000突破 ( No.10 )
- 日時: 2010/03/07 09:34
- 名前: Kリン (ID: ovGM7bao)
コメントありがとうございます!
本当にすみませんでした。
パートⅡもかいていたんですが,分からない人もいるだろうと,最初からかきました(^_^;)
これからもお願いしますっ
- Re: 。○*失われた皇女*○。 改訂版!!パートⅠ参照1000突破 ( No.11 )
- 日時: 2010/03/07 09:50
- 名前: Kリン (ID: ovGM7bao)
「そっかなぁ?」
「そうだって!」
アリアナは恥ずかしそうに僕を見つめて,それから微笑んだ。
「じゃあ...我慢してみよっかな」
「あと一ヶ月がきったんだろ?もう少しじゃん」
「うん...!!」
そのとき,後ろで声がした。
威厳に満ちた声だった。
「アリアナ,誕生日の儀の練習ではなかったの?」
振り返ると,皇后アルセリーナだった。
アルセリーナは優しそうに微笑んでたたずんでいた。アリアナはそくざに思い出したような顔をして,
「いっけない!忘れてた!!!」
「クリストフ先生が待っていたわ。早くお行きなさい」
「はい!母様」
アリアナは僕の手を少しにぎったあと,走っていった。たまに振り返って僕に微笑みかけた。僕は手を振った。
彼女の姿が見えなくなると,アルセリーナは僕にすまなさそうな顔をした。
僕は敬礼した。
「いつもすみませんね。アリアナがあなたに迷惑をかけてしまって...」
僕は慌てて顔を上げた。
「そんな!僕から宮廷に赴いているんです」
「いいえ。あの子も毎日のようにあなたを待っているのですよ。
この前もスキを見て宮廷を抜け出そうとしてるのを姉のエリーザベトがつかまえたんだから。」
「......!!!」
アルセリーナは僕を見つめてそして髪に触れた。
僕はドキッとしていたが,その手が僕の母さんに似ていてなんだかほっとした。
「いつまでもあの子のそばにいてほしいわ」
そういい残すと,静かに歩き出した。
僕はその後姿にゆっくりとお辞儀をして,うなずいた。
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