ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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彼女の望む理想郷
日時: 2010/04/14 14:45
名前: 時雨 ◆Un/8Xno9rI (ID: LUfIn2Ky)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=EBK3h-fjDZo

僕はきっと、幸せだった。

あいさつ!
おはこんばちは。近頃段々夜更かしの多くなってきた気がするでもそんなこと気にしない時雨で(いいのか)。
ファンタジーです。所謂魔王側から見たRPG的なお話。でもちょっと違うかも。
あ、一つ言うなら完全なる自己満小説。なのでこれないだろ、って設定まで出て来ます。そこはご了承を。
そんな訳で、終わりの見えないこの小説ですが(え)、どうぞ完結までよろしくお願いします!

目次

序 >>1
1 。 >>2
第一章
「ハジマリ」 >>5
一話 >>
二話 >>
多分3章とかその位続くかと。


スペシャルサンクス!

題名協力 名塚@846様

参照はイメージソング「Black in truth」
(※PS用ゲーム「BAROQUE〜歪んだ妄想〜テーマソング)

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1。  ( No.2 )
日時: 2010/03/30 16:10
名前: 時雨 ◆fpcvJMKcxg (ID: LUfIn2Ky)

(それでは、ぼくの名は……)


「…行け。我が「嫉妬」よ」
魔王は自らの座る椅子の隣にいた影に行き先を示すと、大きな椅子に身を沈めた。
影—「嫉妬」と呼ばれた大蛇は示された方向に体を動かした。
蛇が闇に消えた数秒後、聴こえる恐怖を含んだ断末魔。
「は…はは…あっははははははははは!」
それを聞いた少女は狂ったように笑う。
——嗚呼、人間の悲鳴の何と美しいこと!
私の世界で消えた者の事などどうでもいい。私は全てを壊すために生まれたモノだから、その通りに壊してゆけばいいだけなのだから。
「くく……さあ、ここはもう終わった。外界にでも行くか。「召使」」
「……はい」
彼女が呼んだ「名前」に、隣にいた影が答えた。
まだどこか幼い、でも、少女と言うには少し低い、少年の声。
僕は彼女の鏡写しだから。彼女と対等の存在になろうとは思わない。でも……
ただ、君がそこにいてくれればいいんだ。
そうして、主と同じ姿の召使は今日も光を求めてさ迷う。
その先に見えたのは、闇か、絶望か……
それは、遠い昔か、遥かな未来か。はたまた現在の事なのか。
それを知る者は、この世界にはいない。それでは、この物語は何と呼ぶべきなのか。

*


「どうして、変わってしまったの?」
そんなのは知らない。気が付いたらこうなっていたんだ。
仮令それが一番大嫌いな「偽善」と呼ばれるものでも、君を守っていたかったんだ。
だけど、その先に見えたのは———

「……お前も、そうなのか」
自分自身の黒い血と、自分を殺した少年の紅い瞳だった。
「……さよなら。偽善者」
崩れ落ちたヒトの身体を何も感じなくなった瞳で見下ろした。
僕が彼女の半身として隣に立ったのはどのくらい前だったか。もう覚えていない。
覚えているのは、僕が僕としていられるのはあの人がいるから、ということ。それだけ。
だけど僕がいくらあの人に光を届けたくても、あの人に光は似合わないんだ。暗い、何も見えない闇があの人には一番似合うから。
ああ、一つ言い忘れていた。
「僕のこと、誰にも言うなよ」
噂が広まったら、ここには来れなくなってしまう。仮令噂が広まったのが死者でも。 


(嗚呼、思い出した)

(ぼくの名は、「召使」)

 

彼女の望む理想郷 ( No.3 )
日時: 2010/03/20 13:05
名前: 雷螺 (ID: ipnnhD3i)

はじめまして!

雷螺と言います!
とっても面白いですっ
どうやったらこんなのが思いつくんですか!?

応援してますので頑張ってください
今度私のトコロにも遊びにきてください^^

Re: 彼女の望む理想郷 ( No.4 )
日時: 2010/03/29 11:17
名前: 時雨 ◆fpcvJMKcxg (ID: LUfIn2Ky)

>>雷螺様
コメントありがとうございます!
面白い……ですと!?……いやいや、頭の中の色んなイメージを外に吐き出してるだけです。
はい。頑張ります!
分かりました。見に行ってみますね^^

第1章・「ハジマリ」 ( No.5 )
日時: 2010/04/14 14:52
名前: 音 ◆BbBCzwKYiA (ID: LUfIn2Ky)

それは例えるなら、精巧な人形に似ていた。
恐らく、世界の全てを見つくしても、これほど綺麗な人形は存在しないだろう。……そう思わせるほど、その少女は美しかった。
しかし、人間離れした美しさがあるその顔に在るのは、優しい色ではなく、まるでこの世に存在する全てのモノを否定しているような、そんな色だった。それに気付くと同時に、その色が良く見知った何かに似ている事にも気付く。
———そうだ。冷たい闇の色。
「アイオニキス」と呼ばれるこの世界の「神」を示す聖書の話に依れば、それは破壊と死を表す闇そのものだった。
——そうか、だから。
あの人は、僕にあの人形のような少女を殺すことを命じたのか。
闇は邪悪なるもの。それはどこの国にも存在する定義だが、「アイオニキス」なるこの国の聖書にはその色が特に強かった。少しでも闇を持つものは殺せ、闇は人々を地獄へと陥れる魔物だと、そう伝えられているのだ。これは親が子供に言う一種の脅しにも似ていた。それは要するに、闇を持っていれば殺される。そう言う脅しも含めていたのだ。
誰もがそれを絶対だと崇める。神の啓示と呼び敬う。否、そうしなければ死んでしまうのだ。それを「闇」と呼ぶ「光の騎士」達によって。
——そんなの、ただの独裁じゃないか。
そう思う者は多かったのではないか。しかし、それを言ったものは全て殺された。「光」の名を騙る騎士団の手で。だから、殺されることを恐れて皆信じてもいない聖書の言葉に従う。今、「闇」と対峙している彼も、そんな嘘吐きの一人だった。
その中で、何故か一人だけ「教皇」を名乗る独裁者によって選ばれ、彼らの言う「巨大なる闇」をこの世界から消し去ることを命じた。——用は、その「闇」の統領を殺せ、という事なのだが。まだ成人してもいない自分にその任務は重すぎる。それを彼の独裁者に言っても、ささやかな拒否は受け入れてもらえなかった。
「この世界の勇者達は皆、お前程の歳で世界を救っているのだ。お前もそうなればいい」
それでは答えになっていない。そう言おうとしたのだが、半ば無理矢理王都を追い出され、ろくに準備もしないまま旅をする格好になってしまった。
そうして、大きな怪物を倒したり、暗い洞窟を探検したりして、やたらと下手な冒険物語の道筋を辿って行った結果、僕はここにいる。
やがて、何秒だったのか何分だったのか何時間だったのか解らない時間を経て、その少女が唇を開いた。
その容姿に良く似合う、凛とした美しい声だった。
「……お前も、偽善者か」
死を告げる言葉を予想していただけあって、この言葉には嘘吐きの僕にしては珍しく、正直に驚いた。
驚いた理由は、その「偽善者」という言葉が見事なまでに僕に当てはまっていたこともある。
そのまま黙っていた僕を見て、肯定と見做したらしく、彼女は無表情のまま「……そうか」と小さく呟くと、何処からか現れた暗い闇に消えた。
そして、彼女が消えた所を暫くそのまま見上げていると、何故か何も考えられなくなり、僕はその場で倒れた——らしい。本当のところはよくわからない。気が付いたらすっかり灰と化した村の真中にいたのだ。視界が暗転した後、どうなったのかは知らない。当然だ。何もないし、誰もいなかったのだから。
———ああ、そうか。
———村が、燃やされたんだ。
ヒトが沢山死んだ場所に居るというのに、僕は自分でも怖くなるくらいに冷めていた。
そして、いつの間にやら荒野と化した地平線へと歩き出す。
「時間制限まで、あと少し」
そんな声が、聴こえた気がした。

〜〜〜
勇者さん視点。

第1話 ( No.6 )
日時: 2010/04/14 16:33
名前: 時雨 ◆BbBCzwKYiA (ID: LUfIn2Ky)

「勇者」と名乗る奴らの事は勿論大嫌いだし、自分が今壊そうとしているこの世界の事も愛してなどいなかった。では彼女に愛するものは無かったのか。そう問われればそれは違うと、少なくとも僕はそう思った。何故かは知らないのだが、彼女は時々、どこか悲しげに月を見ることがあったから。それが愛するものを想ってのことなのかと言われれば確実とは言えないが、僕はあれが彼女がこの世界で言われる「愛」を月に見ているのは僕だけが知っていた。何故?彼女自身が、こう呟いたのを聞いたから。
「……魔王が人を愛しては、いけないのか?」
勿論、それはただの疑問かもしれない。彼女が「愛」と呼ばれる感情を持っていたという証拠にはならない。それでも……。
僕が、その時にやり場のない悲しみを覚えたのは、どうしてだったんだ?
僕は彼女の半身で。だからいつか彼女とひとつにならなければいけない事は知っている。だけど、僕が彼女に抱くのは俗に言う恋愛とかそういうものでは断じてなくて、……否、あってはならなくて。彼女を愛しているのか、と問われれば即答できるが、それは恋愛感情ではない。恐らくそれは、「失いたくないモノ」への愛情だろう。彼女を失いたくないが故に、彼女を愛している。それが僕の彼女への愛情の正体。そうでなくてはいけないのだ。半身が本体へ抱く恋心など、存在を否定されてもおかしくはないのだから。
……嗚呼、でも。
それなら、あの勇者は、絶望を知る為に旅をしているようなものだ。彼女を殺せば、どちらにせよ彼の正義は崩れる事になるのだから。

(保留)


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