ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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ぢんせいのプリズム。
日時: 2010/03/15 16:40
名前: アキラ (ID: BLbMqcR3)

          
            .
コウノ  トオヤ
河野 十夜──年齢は知らない。 たぶん二十代。 変な店で働いてる。 不思議な人。

キサラギ アカネ
如月 朱音──17歳 私 なにもない人。 一人暮らし。 どうでもいい。

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Re: ぢんせいのプリズム。 ( No.5 )
日時: 2010/03/15 16:40
名前: アキラ (ID: BLbMqcR3)



                       ・



喫茶店から出る。  空は夕暮れ。
あの中にいると、時間が早く経つ気がする。

ついさっきまで、昼だったのに。

キラキラ、キラキラ。
夕日がガラスに反射する。


──人の死に、慣れないでくださいね。


「慣れるか、バーカ」

興味ないんだし。

あまりに眩しくて、夕日を手で遮る。
道行く人、人、人。

ほらね。  身近に人が死んだって、こうやって時間は流れて行って、数年たてばちっぽけなものになる。

それって、慣れるって意味だよね。

「…………何が言いたいんだか」

Re: ぢんせいのプリズム。 ( No.6 )
日時: 2010/03/15 17:08
名前: 白兎 (ID: hTgX0rwQ)

こんにちゎV(●´U`●v)
この話おもしろいですね!
何か話がきらきらしてる・・・?(意味分かんなかったらすいません;)
続き気になるので応援してます♪

Re: ぢんせいのプリズム。 ( No.7 )
日時: 2010/03/15 17:17
名前: アキラ (ID: BLbMqcR3)

白兎様 <<そう言って頂けて嬉しいです(ⅴ)
     きらきらしてるですか……。
     素直に嬉しいです。

Re: ぢんせいのプリズム。 ( No.8 )
日時: 2010/03/15 17:33
名前: アキラ (ID: BLbMqcR3)


                             ・

      
          第2章
         七色フワフワ



 .     友達に彼氏を盗られた。
 .   かなりショックだったけど、だけど、
・   友達が亡くなったっていう方が、ショック。


           
           ⅴ



狭いアパートの部屋の隅っこで、密かに育てているサボテンをつついてみる。
普通に痛い。

こういう 『普通』 の事って、なんだかみんな当たり前だろって思ってるけど、かなり凄いって思う。

こんな小さな植物が、デカイ人間を 「痛い」 って感じさせられる事ができるんだからさぁ。
サボテン、あっぱれだよ。

テレビを点けると、ニュースでうちの学校が映っていた。
いつの間に撮ったんだか、生徒たちのインタビューまである。

殺された坂東 ミナの顔写真が映る。 たぶん、第一印象はヤンキーだと思うけど。
殺した伊佐坂 リコは匿名だった。

いまだに杏奈がどの子か分からない。
そんな奴居たような居なかったような。

「どーでもいいんだけどさ」





何事もなく、いつも通り朝を迎える。
これも、普通の事なんだよねえ。 突然夜が明けなくなったら人間パニックだよ。

朝飯を食べながら、のんびりとテレビをガン見。
昨日に引き続き、朝のニュースでも速報として伝えられている。
リコは容疑を認めたらしい。

電話が鳴って、ボリュームを落とす。

「はい、如月ですけど」  我ながら、派手な名字だとは思うけど。
「あ、えっと………同じクラスの美嚢です」
「はあ」

居たっけ。 顔が全く思い浮かばない。

「きょ、今日ね……学校休み。 ほら、えっと昨日あんな事あったから……だから、休み。 連絡網で、杉田さんに伝えてもらってもいいかな……?」

「あー、ゴメン。 私その杉田っていう奴が誰なのかも知らね」
「あ、あ、そうなの? じゃあ、私が掛けとくよ」
「どうも」

切った。
どうやら美嚢さんは女の子らしい。 気弱そう。

てか、どうしよう。  学校ナシになったら暇じゃん。
「…………………」
あいにくバイトもする気ないし、てかしてないし。

「…………………」
金は、知らない親戚が入れてくれるみたいだけど。
まぁ……顔ぐらいは知ってるけど。

「征服のまま、あそこ行こうかな」

アイツも暇だろうし。

Re: ぢんせいのプリズム。 ( No.9 )
日時: 2010/03/16 16:48
名前: アキラ (ID: BLbMqcR3)

               .



「また来たんですか」  「なんで開いてるの」

この店は本当に24時間営業じゃないのか?
なんでいつも開いてるんだ。

「開店時間ですから」  「………いつもじゃん」

いつも、ここに来たらホッとするような優しい顔で迎え入れてくれる。
言えば私のもう一つの家のみたいだ。

「おなかすいた」

そう言えば、簡単に何か作ってくれる。
いい主夫になれるよ、コイツ。

「おひとりで生活なさってるのに、料理のひとつも作れなくて困りませんか?」
「コンビニで食ってるし、そんなに食べないし……ってあれ?」

気づいた。

「私、一人暮らしだって言った?」
「………はい」  言った覚えないんだけど。 名前ぐらいしか私の事、話してない気がする。

「もしかして、昨日の事件で休みになったとか?」
「ビンゴ」
「そうでしたか。 ………珈琲は?」

無言でうなづくと、暖かくて苦い珈琲が出てくる。
なんて便利な世の中。 ウハウハ。

「なにも、殺さなくてもいいのにね」
「………昨日の事ですか?」
「そう。 恋愛のイザコザで人を殺しちゃうなんて、人間も可愛そうな生き物になったよ」

そういう私も人間なんだけど。

「人間ってさ、自分が好き勝手に生きてるじゃん。 どんな善人にもどっかに悪意はあるわけで。 それってさ、人間はやっぱどんな時にでも危ない生き物って事じゃん」

人間はさ、少し自分たちの事を偉いって思いすぎ。
思いあがるな、ニンゲン。 ちょっと地球の動かし方を学んだくらいで。

「少し驚きです」 「なにが?」 「あなたは、人間でさえもどうでもいいという考えなのかと思ってましたから」

失礼な奴だなーコイツ。  私が何も考えずにいると思ってるのかね。 

「私だって少しは考える。 ぢんせーとか」
「…………私には理解できませんね」

なにか、野菜を炒める音とニンニクの匂いが体をくすぐったく敏感にさせる。
おなか鳴りそう。


「………原因となった人は、どう感じているんでしょうか」
「……………杏奈のこと?」

十夜がうなづく。  杏奈、ねぇ。
ぶっちゃけ誰だか知らないけど。

「それなりに罪悪感は感じてるんじゃない?」
「………それが新たな事件にならないといいんですけど」
「…………何それ」  「いえ、なんでも」

出されたのはスパゲティ。  それを食べている間、コイツも私もお互いに口を利かなかった。


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