ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- Cross Wing 執筆再開
- 日時: 2010/12/04 17:25
- 名前: スペード ◆DpeXsA0SaE (ID: S8b9wYSL)
- 参照: スペード⇔雅 同一人物ですw
どうも、こんばんは。クリックご感謝いたしますb
改めまして、スペードまたは雅と申します。
久しぶりに執筆再開ですw
以前募集していたオリキャラも出したいと思いますので、よろしくお願いします^^
Cross=交差する Wing=翼
目次*
キャスト>>2
前書き>>1
辞書>>15
-第1章-
一話『一人の少年』>>3
二話『祓魔師と悪魔』>>4
三話『黒』>>5 >>6
四話『絶望と始まり』>>11
五話『列車』>>16
六話『不穏な者』>>18
- Re: Cross Wing −契約者− ( No.3 )
- 日時: 2010/04/11 20:56
- 名前: スペード ◆lLTUeKKhVg (ID: YAjKlDB6)
一話『一人の少年』
————パシャッ…
真夜中の街の路地裏。街中を水で濡らし、道には大きな水たまりができるほどの雨が降った後のその場所で、銀髪の一人の少年は、負傷している右腕と脚を引きずりながら歩いていた。その少年の息は乱れ、立っているのもままならない様子だ。…少年は、この三日間“ある集団”から逃げ回っていたせいで、一切の食事も睡眠もとれずにさ迷っていた。そのせいで、疲労もたまり、そして、そろそろ体力も尽きかけていた。
「…く…っ…、ここで…終わるのか…?僕はまだ…終わる訳には……」
しかし、その言葉と裏腹に少年はその場で崩れる様に倒れた。もう、歩く体力も残ってないや…。ここで終わり、か…。
「——“エリィ”…もう一度だけでも…君に会いたかった…」
その少年は一言、ある少女の名前を言ってゆっくりと瞳を閉じた。…あの時僕が“悪魔”に『引きずり込まれたり』しなかったら、今も君の傍にいる事ができたのに。でも、僕はあの時“永遠の闇”を見てしまったから…もう普通に戻る事は出来ない。“悪魔”の“契約者”にされたばっかりに、悪魔の“イレモノ”にされたばかりに…、僕は————…。そして、少年の意識はそこで途切れてしまった。…冷たい風が、少年の身も心も凍てつくすかのようだった。皮肉にも夜空で、綺麗な星が嘲笑うかのように瞬いていた。
「———あーあ…残念。せっかくあそこから生きて帰れたというのに」
少年が意識を失った後、少年に誰かが歩み寄ってきた。顔はよく見えないが、すらっとした女の人だ。
「勿体無いわね…。彼方自身が宿した“力”にさえ気がつけば、“祓魔師”でも簡単に殺せちゃうのに…」
その女の人は少年に対してそう呟くと、目を細めて小さなため息をついた。そして、首にさげていた“藍色の結晶でできたペンダント”を彼の首にそっとかけると、
「これで、彼方が宿した力は祓魔師に見つからなくなったわよ。——じゃあ、二つの翼を宿す咎人さん…、残念だけどこれから大事な用があるから…行くわね。いずれまた会いましょ」
そう言い残し、彼女は名残惜しそうに少年を見つめ、さっきまで背中に無かった真黒な翼を広げて飛び去って行った。
そして、その彼女と入れ替わるようにして次は、金髪の青年がそこに現れた。
「———くっ…、ここら辺からさっきまで悪魔の気配を感じていたが…どうやら逃げられたか」
そう言ながら舌打ちをすると、その青年は目の前で倒れている少年の傍に歩み寄った。
「悪魔にやられたのか?…酷く衰弱しているな、それに腕の出血が酷い…。このままでは死んでしまうぞ…」
彼は少年に息があるのを確かめると、その少年を負んぶした。
「やはり体が冷え切っている…、早く手当てしないと」
その青年は、「もう大丈夫だ」と背中の青年に呟くと、何処かに向かって歩き出した。…その時、青年の白い上着の胸元に付いている十字架が彫られたバッジが、微かに街の街灯の明かりで輝いていていた。
*
「…?」
あれから何時間たっただろう、銀色の髪をした青年は何処かのベッドの上で意識を取り戻した。
まだ頭はボーッとしている様子だが、少年は確かに…生きていた。
『…僕は死んでない…のか?』
少年は半信半疑にそう思いながら、ゆっくり体を起こした。しかしその時、負傷していた右腕に激痛が走った。
「ッ!?」
少年が反射的に左手でその腕を抑えると、ある事に気が付いた。
『手当て…してある…?』
自分の腕に巻いてあった包帯に触れて、初めてその事に気が付いた。しかも、手当てされてあるのは腕だけではなく脚や頭など、いたるところが手当てされ、包帯で巻かれてあった。後、頬にはシップも。そして最後に、自分の首に見覚えのないペンダントがかかっているのに気が付いた。
「これは一体…?」
僕はそう呟くと、そのペンダントにそっと触れた。…綺麗な藍をした結晶のペンダント。そういえばあの時…誰かにこれをかけられたような…?——どんな人だった?うーん…思い出せないな…。
「———それにしても、ここは一体…?」
僕は首にかけているペンダントから目を離すと、ざっと辺りを見渡した。部屋は綺麗に整理されてあり、側にある椅子には無造作に白い上着が掛けてあった。そして、さらに椅子の側にある机には僕の服が置いてある。
『…待て待て!僕の服!?という事は…』
僕はすぐさま自分の恰好を確かめた。見た事のない服だが、ちゃんと服を着ていた。焦った、一瞬まさか…と思った…。しかし、一体誰が僕の手当てしてくれたんだろう?部屋とか、かけてある白い服を見ていると、男の人っぽいけど…
「———目が覚めたか?」
するとその時、男の人が部屋の扉を開けて目のあった僕にそう言った。…この人が僕を運んできてくれた人…?
「気分はどうだ?痛む所とかあれば言ってくれ」
「あ…、えっと大丈夫です。…——貴方が僕を…?」
僕は彼に尋ねた。すると彼は側にあった椅子に座りながら、
「あぁ、酷い怪我をしていたからな。…勝手ながら俺の家に運ばせてもらった。服は雨で濡れていたから洗濯しておいた」
彼は僕が尋ねずとも、聞きたかった事を淡々と話してくれた。
「———そうだったんですか…、危ない所を助けていただいてありがとうございます。えっと…」
僕が彼をどう呼べばいいか迷っていると、彼は優しそうに微笑み、
「俺はリオン、リオン・レイジェクトだ。好きなように呼んでくれ。…お前は?」
そう僕に言った。それを聞き、僕も慌てて口を開く。
「僕はヴァン・レオナルドです。…怪我の手当てまでしていただいて本当にありがとうございます。それに、ベッドまで…」
「いや、気にするな。…それに、怪我人を固い床に寝かせる訳にもいかないしな」
そう言うと彼は「疲れているみたいだから、ゆっくり休め」と僕に言った。…なんだか久しぶりだな、優しくしてもらえるのは。エリィにも、こうやって優しくしてもらったっけ…。
「…どうした?やはり何処か痛むのか?」
すると、喋らない僕にたいして彼は心配そうにそう言った。僕はとっさに首を横振った。違うんだ、何処も痛くない。ただ———昔の事を思い出しただけ…。
「…大丈夫です、少し眠れないだけですから…」
「そうか、それならいいが…無理はするなよ?」
彼は僕にそう言うと、スッと立ち上がった。
「眠れないなら何か飲むといい、お前はコーヒー飲めるか?」
「あ、ミルクコーヒーでお願いします」
僕が慌ててそう言うと、彼はフッと笑った。笑われた事に対し思わず赤面になる僕は、何故かこの時…温かいものを感じていた。
- Re: Cross Wing −契約者− ( No.4 )
- 日時: 2010/12/04 17:07
- 名前: スペード ◆lLTUeKKhVg (ID: S8b9wYSL)
二話『祓魔師と悪魔』
「…ところでお前、何故あんな所にいたんだ?」
あの後、リオンはコーヒー、僕はミルクコ—ヒーを飲みながら適当な話をした。すると、突然リオンは僕にそんな事を尋ねてきた。僕は手に持っていたカップを見つめながら、
「…、それはちょっと答えずらいですね…」
と言って軽く俯いた。言えない。言えるわけがない。だって、僕は…————
「…じゃあ質問を変えよう。お前、“悪魔”に襲われなかったか?」
リオンは腕組みをしながら、僕にまた質問をしてきた。
————“悪魔”とは…、僕たちの住む世界とは違う世界の“永遠の闇”という所から生まれる存在の事を言う。悪魔はこちらの世界の様々な動物と“契約”を結びこの世界に干渉してくる。その目的は、悪魔の力の源ともいえる“魂”を奪うためだ。特に、人間は感情を多く持っている生物なので、魂はどの動物よりも強くて大きく、そして悪魔に狙われやすい。
しかし、“悪魔自体”がこの世界に存在する事は許されない。それは、住む“世界”が違うからだ。…故に悪魔は“契約”を交わす。そして、悪魔はその契約を交わした動物の意思を乗っ取ることができるのだ。なので自我も動きも何もかも…その契約した動物の全てを奪う事ができる。そしてより強い魂を求め、悪魔はその動物を使って、人を、動物を殺める。欲のままに、何人も、何体も…契約した生物の体が壊れるまで永遠に、ね。
「——悪魔、ですか?」
僕は、その事を知っている故に…その質問をしてくる彼に疑問を抱いた。普通の人間は、悪魔に関ろうとはしない。無論、命を狙われるからだ。そう、悪魔はこの世界にとって拒むべき存在だから…。
「そうだ、俺の役柄的にどうしても関ってくる存在だからな」
…リオンの役柄…?どうしても関る?僕は首を傾げた。関る必要があるという事?それとも、関らなくてはいけないという事?…その時僕は、ハッとした。
「リオンさん…、もしかして貴方は—————」
僕は気付いてしまった。いや、気付かない人はいない。なんせ彼は、人にとってはまさに“救世士”ともいえる存在なのだから。
「もしかして貴方は————祓魔師(エクソシスト…!!?」
…———祓魔師、悪魔をこの世界から滅殺できる唯一の存在。人間の希望であり、人を救う全て。
「…まぁな」
彼は僕の言葉に涼しい顔でそう答える。…けど、僕は知っている。そう、皆が知らないだけ、…本当の祓魔師を。
…祓魔師は、『悪魔を滅する事は出来ない』。だから、その悪魔の契約者…、いや、悪魔の“イレモノ”を壊すんだ。つまり悪魔に取りつかれた動物を“殺す”という事———。
…でも、それは仕方がない事なのだ。もはや悪魔に意思を乗っ取られた動物は、悪魔から解放される事は無い。それは、どんなに強い動物も、人間も例外ではない。死ぬまで、また、殺されるまで悪魔にイレモノとして使われ、魂を刈り続けなければならないののだ。
「…そう、だったんですか…」
僕は声が出なかった。知っているから、祓魔師の本当の姿を知っているから。———本々僕も…‘祓魔師だったから’。
「…お前は、何故そんな悲しい顔をするんだ?」
僕の顔を見たリオンは、彼もまた悲しそうな顔で僕に尋ねてきた。…そんな顔しないで、君が悪いわけじゃないから。ただ、頭から祓魔師の事と、そして…その祓魔師だった彼女の…僕の“大切な人”の顔が離れないだけなんだ。
僕は俯いたまま黙り込んでしまった。どう言えばいいか分からない。何て言えばいいか分からない…。
すると、そんな僕の様子を見たリオンは次の瞬間、信じられない事を言った。
「…、それは“エリィ”の事なのか?」
———…一瞬、時間がとまった気がした。
「え…」
僕はただ本当に唖然とした。何故…リオンが、会ったばかりの彼がその事を知っているんだ…!?
「————悪い。…お前が眠っていた時にその名前を何度も言っていたものでな…」
すると、彼は目を伏せて、本当に悪い事をした、と、顔を俯せそう言った。
「…僕が、言っていたんですか…?」
まさかとは一瞬思ったけど…僕が彼女の名前を…?
『…ふ』
僕は虚しく、そして悲しく笑った。何故僕はそんな事を思ったんだろう。どんなに想っても、どんなに会いたいと願っても、僕と彼女…、エリィは会う事ができない定めであるのに。
…祓魔師の彼女と、悪魔に蝕まれた僕が一緒にいる事なんてできる筈なんてないのにね—————————
「…仕方ないよ、会いたくてももう会えないんだ。僕は、光を無くしたんだ…」
僕は一番高い所から、一番低い所に堕落した。光に一番近かった僕は、一切の光も届かない闇へと堕とされてしまった咎人なんだから…。
- Re: Cross Wing −契約者− ( No.5 )
- 日時: 2010/04/15 06:43
- 名前: スペード ◆lLTUeKKhVg (ID: YAjKlDB6)
三話『黒』
「…リオンさん、ミルクコーヒーありがとうございました」
僕はリオンにそう言って、僕は空のティーカップを渡した。しかし、何故かリオンの反応がない。
「…リオンさん?」
僕はそんなリオンに、少し話しかけてみる。すると彼は僕の声に、はっとした表情を浮かべた。
「———あぁ…、悪い。少し考え事をしていてな…」
そう言うと彼は僕からティーカップを受け取り、そして彼の分のカップも持って部屋から出て行った。
静けさが、部屋を包んだ。さて…、ここにいても彼に悪いしそろそろ出て行くかな。“奴等”がそろそろ僕に追いついて来た筈だから…。——腕はまだ痛むけど、移動には差し支えない筈。
「…ありがとうございました、リオンさん。コーヒー美味しかったです」
そして僕は、自分の上着を手に取って、誰もいない部屋に向かってそう言った。リオンが部屋に帰ってこないうちに、僕は部屋の窓から外へと出て行った。
*
「…どうやら、だいぶ寝たみたいだね…」
空を見上げると、もう太陽が空に昇り街はぼちぼち賑わっていた。ふと街の時計を見てみると、もう朝の八時過ぎだった。しかし僕は、…さて、これから移動するぞという時に、僕は暗い路地に入って行った。
コツ…
すると、僕の後を誰かが付いて来た。足音で分かる。…まぁ、その事を分かっててこんな人目の付かない所に来た訳なんだけど。
「——貴方は誰ですか?」
僕は、念のためにその人に尋ねた。だが、見当はついている。恐らくこの人は…
「———…“咎人”…、闇に堕ちタ…人間の臭い…。その魂…俺にヨコセ…!!!」
ズズズズズ…ッ…
その瞬間、目の前の人は狂ったようにそう叫び、突然僕に襲いかかってきた。その人のズボンから漆黒とも言える黒い得体の知れない“尻尾”が見え隠れし、頭にはねじ曲がった…いかにも攻撃的な“角”が二本、不気味な音を立てながら突然現れた。
「———やっぱりね」
僕は呟いた。街に出てきた時から、獲物を見つけた飢えた獣のような鋭い視線を感じていた。おまけに、殺気がむき出しで、全く隠せていない。そして何より、あの容姿…“黒の尻尾と二本の角”…。
———あれは紛れもない“悪魔”の証だ。
契約を結ばれた、悪魔の“イレモノ”にされた動物に必ず現れるという特徴的なモノ、それが尻尾と角。だが、普段悪魔はイレモノの中に身を潜めているので、その尻尾と角は現れない。尻尾と角が出るのは、悪魔が興奮状態…又、魂を奪い取るその瞬間…尻尾と角がこうして現れる。
- Re: Cross Wing −契約者− ( No.6 )
- 日時: 2010/12/04 17:48
- 名前: スペード ◆lLTUeKKhVg (ID: S8b9wYSL)
僕は胸の前で手を合わせた。そして、滑らせるようにして手を離してゆと、その手から光の帯が現れる。すると、段々それは形を成し、光の“剣”と形成された。…これは、“祓魔師”が悪魔を裁く為に、己の“精神”と“魂”の一部を使い、具現化…、そして武器として形成してできる武器だ。祓魔師は、武器の具現化ができないとなることができない。というのも、精神が強ければ悪魔に契約されにくいからだ。そして、武器の強さ、頑丈さ、威力はその“精神”と“魂”が強ければ、それらもより強くなる。そして、その武器の光の色は白。悪魔の“黒”と正反対で、白色には“希望”の意味が込められている。…その武器の事を、祓魔師や一般的には“ジャッジメント”と呼ばれている。
———しかし、僕の武器は違った。
「…ギ…ッ、お前“祓魔師”カ!だけど何ダ、そのジャッジメントの“黒”ハ…!」
…そう、僕のジャッジメントの色は“黒”…。黒は呪われた、咎の象徴…。“悪魔”の禍々しい色だ。
「…僕は貴方が言った通り、闇へ堕ちた咎人です…。だからね、普通のジャッジメントとは少し違うよ」
僕はそう言った瞬間、悪魔に向かって走り出した。そして、僕は容赦なく素早く悪魔に剣を振るう。
「…!」
しかし、悪魔は瞬間的に後ろに後退し、攻撃を回避した。そして、その悪魔は驚いていた。
「祓魔師は“イレモノ”ヲ壊すのにためらいを持つガ…、お前はためらいモ遠慮モ無シか…!!」
悪魔はククク…と笑いながら僕にそう言う。
「流石ハ“咎人”。闇に落チて、人ヲ殺めるノモ、最早何も感ジないノカ—————」
「貴方は何を言ってるんですか?」
僕は悪魔の言葉を遮りながらそう言った。そして僕はまた、剣を振るう。
ザシュ…ッ…!
すると、その剣の先が逃げ遅れた悪魔の胸を引き裂いた。
「ギッ!?」
悪魔は苦しそうに声を上げ、胸の辺りを押える。しかしその時、悪魔はその光景に驚愕した。
「何故ダ…!?何故、斬られタのに斬れてイナイ!?」
この剣で斬り裂いた部分は、血が出るどころか、服さえ斬れていなかった。
「———言ったでしょ、僕のジャッジメントは普通じゃないんだ」
すると、僕はそう言いながらジリジリと悪魔との距離をつめる。
「ジャッジメントは、イレモノを壊す為に存在してイル筈ダ!!…なのに何故俺ガ、俺自身ニしかその攻撃が当たらナいんダ!?何故イレモノが壊れなイ!!?」
すると悪魔は、斬れていない筈の胸のあたりを苦しそうに押え、僕にそう叫んだ。
「——僕は“永遠の闇”を見て、魂が…、“僕自身が”悪魔になったに等しくなった」
僕はポツリと呟いた。
「魂の一部で構築され形成されるこのジャッジメントはその影響を受け、咎の武器となった。…そしてそれは、‘もの’に触れるのを“この世界”から拒まれた」
僕は剣を握る力を強くし、その言葉を自分に言い聞かせるかのようにそう言う。
「僕は本々人間で、この世界に生まれてきた生物だ。でも、ジャッジメントというのはその人の精神と魂で創られる。闇に堕ちた僕の魂は悪魔に近いものとなってしまったけど、体自体はこの世界で生まれたから…僕はジャッジメントみたいに、人に触れれないとか物に触れれないというの事はない」
———そのまで僕が言うと、悪魔は全ての事情を把握した。
「クソ…ッ!そう言う事カァァァァッ!!」
悪魔は悔しそうに、そして僕のジャッジメントに恐れるかのようにそう言った。
…そう、悪魔に近い僕の魂で創られたジャッジメントは、悪魔とほぼ同じなのだ。悪魔は自身でこの世界に存在する事、この世界のものに触れる事は出来ない。しかし、本々僕は人間で、この世界に存在する事を許されている魂なので、その魂で創られるジャッジメントはこの世界に存在する事は許されている。しかしその反面、僕の魂は半分悪魔に近い魂となってしまったので、その魂で創られたジャッジメントはこの世界のものに触れる事は出来ない。…ただし、悪魔は悪魔同士でふれる事ができる。同じ闇の世界で生まれたもの同士だからだ。…そして僕のジャッジメントも同じ。言ってしまえば僕のジャッジメントは悪魔の魂で創られているので、悪魔に触れる事ができる。でも、この世界の‘もの’であるイレモノは触れる事ができない。
———つまリ、僕のジャッジメントは悪魔しか攻撃できない武器なのだ。
「…ッ!クソ祓魔師もどきがァァァァァァァァァア!!!」
僕のジャッジメントの特性を察した悪魔は、気が動転したのかそう叫びながら真正面から僕に向かって突進してきた。しかし、僕はその突進をひらりと避けて、
——ズクッ…!
そのまま悪魔の背後に回り込んで、心臓を狙って思いっきり剣を突き刺した。
「ガ…ァ………!?ア…ガアアアアアアアアアアアッ」
悪魔はそのジャッジメントの攻撃を受け、苦しそうに轟音にも近い悲鳴を上げた。思わず僕は一、二歩後退する。
「こ…んな餓鬼ニこの俺ガ!?…もっとダ、もっと強い魂があればこんな下種…!!———クソォォォォォォ!!」
そして悪魔は、僕にそう吐き捨てるかのようにそう言い、悪魔の呪縛から解けたその契約者は、全身の力が抜け、崩れる様に倒れた。
*
「…この黒を見てると本当に…—————皮肉だよな」
僕は戦いが終わった後の路地裏で、自分が手に持っている禍々しい色の武器を見つめて、そうポツリと呟いた。本当に…この黒は悪魔みたいだ。…悪魔に魂が蝕まれて、全てがマイナスになった訳じゃない。こうして、悪魔の契約者にされた人達を傷つけずに助ける事ができる。だけど、それでも僕はこの世界にとって“咎”でしかない。…今では“祓魔師”のお尋ね者となってしまったくらいだ。
「————でも、そう言えば何で…リオンさんは僕の事知らなかったんだろう?」
僕は唯一それを疑問に思いながらも、祓魔師から逃げる為とりあえず駅に向かって歩き出したのだった。
- Re: Cross Wing −契約者− オリキャラ募集 ( No.7 )
- 日時: 2010/04/17 20:22
- 名前: スペード ◆lLTUeKKhVg (ID: YAjKlDB6)
オリキャラ募集します^^
登場はだいぶ後になると思いまずが、必ず登場させるつもりです。
“注意”
1、募集するキャラは“魔導師”です。最初は主人公の敵として登場します。
2、細かい設定等(他のキャラとの関係等)は書かないでください。大まかで十分OKです^^
3、オリキャラの使う魔法で、ほぼ無敵の魔法は避けてください。例えば、相手の攻撃が当たらない魔法や、一撃で悪魔を倒す魔法、等。
4、使い回しのキャラはできるだけ避けてください。(他のスレで使った同姓同名のキャラ)
5、↑守らなくてもいいです。私の勝手なお願いですので((
以上です、気楽に書いてみてください^^*
*オリキャラ用紙*
名前/読み(/)
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一人称/二人称(/)
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性格()
備考()
魔法()
ありがとうございました!
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