ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 人物語 -1905日間の放課後- 第五晩up オリキャラ募集
- 日時: 2010/06/25 20:41
- 名前: 音暮 ◆KGyV2CsFBI (ID: tVOKPYTM)
ども、はじめまして……な方が多いですね。
随分前にカキコ住民だった者です(軽く一年前カナ
当時の名前はもう覚えてません(アハ
僕、ハムスターと同じ脳ですから☆
てことで、改めて自己紹介。
音暮『オトクレ』といいます。どぞ、よろしく。
えー……。んでっ!! 小説の紹介。
この小説のイメージは【生死・鎖・自分】と、
時々【戦闘】みたいな感じッス。
ん〜分かりづらいので、詳しくは今後小説を読むべしっ!!(殴
では、
人物語 -1905日間の放課後-
お楽しみくださぃ。
◆人物語 Contents...◆
Opening... >>01
第一晩 「終戦」 >>02
第二晩 「雨月」 >>03
第三晩 「笑顔」 >>04
第四晩 「出会い」 >>08
第五晩 「始まり」 >>16
◆お客様◆
花札様、遊太様、煌謎様、金平糖様、その他読者様
◆お知らせ◆
ん? もう飽きたから帰りますって?
残念ですね。
また、来てくださいよ?
では、お気をつけてお戻り下さい。
See You Good Bay...
- Re: 人物語 -1905日間の放課後- ( No.1 )
- 日時: 2010/06/12 00:42
- 名前: 音暮 ◆KGyV2CsFBI (ID: olAAS3wU)
Opening...
“お前は人じゃない、バケモノだ”
そう言われ、冷たい牢獄へ入れられたのは何時だっただろう。
今ではもう思い出す気力すらない。
“お前に自由はない”
手足を鎖で繋がれ自由を奪われた。
決して外れない頑丈な鎖、
もう外そうとする気持ちさえ生まれなくなってしまった。
“ごめんね、***……。私、貴方が怖いの”
涙を零したその女性の姿だけが鮮明に残る。
呼ばれた名さえ、
もう思い出せないのに。
俺は何のために今生きている?
何のために此処にいる?
何のために涙を流す?
分からなくなってしまった、全てが。
取り戻せなくなってしまった、何もかも。
ねぇ、
誰か
誰か
俺をこの苦しみから解放してくれ。
ただ
この鎖を解くだけでいい。
ただ
俺の手を握ってくれればいい。
ただ
ただ
もう忘れてしまった俺の名を
呼んでくれればいい——
それだけで、
俺はきっと自由になれるから
- Re: 人物語 -1905日間の放課後- ( No.2 )
- 日時: 2010/06/12 10:56
- 名前: 音暮 ◆KGyV2CsFBI (ID: olAAS3wU)
第一晩 「終戦」
2610年——
第三次世界大戦が終戦を迎えた年。
第二次世界大戦後に定められた憲法第九条。
日本はその“戦争の放棄”という永久の決まりを破ったのだった。
日本は戦力・策力、共に他の国を圧倒していた。
中国、韓国、朝鮮などのアジアの国を圧制したところでアメリカによって日本は敗戦した。
死亡者、推定三千人
重軽傷者、推定五千人
日本の人口はおよそ一億二千人。
その内の半分以上の人間が死亡、もしくは負傷していた。
アメリカと結び直した平和協定。
日本は完璧に敗戦したのだった。
それから三年の月日が過ぎた。
日本の復興は第二次世界大戦後に劣らずの早さだった。
三年という短い時間の間に戦争前と変わらぬ姿を取り戻したのだった。
笑顔で緑の茂る道を走る子供達
手を繋ぐカップル
噂話に花を咲かせる主婦達
日本は完全に復興したと思われていた。
しかし、
それは表面だけだった。
“戦争機械”
この言葉を聞けば誰しも顔を歪める。
唯一の残った戦争の痕。
それが戦争機械。
それは人間と同じ外見で、
同じ言葉を話して、
同じように笑う。
唯一違うのは戦いにおいてかなりの力を持っているという事。
まるで機械のように、
ただただ人を虐殺する彼らを人々は人間と呼ばれなくなった。
戦争機械、とそう呼ばれるようになった。
彼らは戦後一つの場所に集められ殺された、と新聞には書いてあった。
実際は分からないが——
「戦争機械、ねぇ」
ビルの一室、最上階の部屋から若い青年の声が響いた。
金髪の流れるような髪、それに似合わぬ日本人特有の黒い瞳、
着ているのはスーツなんかじゃなくて、黒地に紅い蝶の描かれたTシャツだった。
「なんスか? そんな単語口に出して……」
高そうな椅子に座る金髪の青年に話しかけたのはこれもまた若い青年。
髪はワックスでくしゃくしゃと立たせている。
綺麗な青い瞳を持った青年だった。
「あぁ、ちょっとな。ホントに戦争機械は壊され、いや、殺されてしまったのかちょっと気になってさ」
金髪青年は手に持っていた少し古めの新聞記事を机の上に乱暴に置いた。
「じゃー調べません? 気になることは調べて解決!! 我が会社のモットーじゃないですか」
そう笑顔で椅子の後ろから顔を出した女が言う。
茶髪の綺麗な髪を高い位置で一つの結い上げていた。
「確かに、そうだな。調べるか」
金髪青年は何か企んだように、
笑みを浮かべてそう呟いたのだった——
- Re: 人物語 -1905日間の放課後- ( No.3 )
- 日時: 2010/06/14 15:14
- 名前: 音暮 ◆KGyV2CsFBI (ID: olAAS3wU)
第二晩 「雨月」
冷たく硬いベッド。
天井から滴る水滴が地面を濡らす。
その音で俺は目を覚ました。
「……朝、か」
体を起こして髪を手で梳く。
目の入るのはいつもと同じ風景。
頑丈な鍵の掛けられたドア、窓には鉄柵、そして自分の手足には重く冷たい鎖。
他から見れば異常そのものだろう。
だが、俺にとってはこれが普通、だった。
ここは“異端者”の集まる施設いや、牢獄だと言われた。
俺は三年前、いきなりここへ連れて来られた。
当時中学二年生だった俺は、いつも通り家路を急いでいた。
しかし家へ向かう途中、いきなり見知らぬ男達に連れ去られ、気付いたときにはこの状態だった。
もちろん理解なんて出来なかったし、ここから抜け出してやると何度も脱獄へ挑戦していた。
しかし今はもう、そんな気力すらなかった。
朝目を覚まして、奴らが持ってくる飯を食べて、そして一日何もせず過ごし、寝る。
これがもう日常になってしまった。
「1027、朝食だ」
そう言ってドアに付いている小さな小窓から朝食を差し出される。
俺はそれを受け取る。
1027、これが俺のここでの呼び名。
おかげで自分の名前が何だったのかすら思い出せなくなってしまった。
俺にはもう、希望も何もない。
そう思いながら朝食を口にする。
そして目を瞑った。
浮かぶのはいつも同じ風景。
この牢の前に女性が立っていて、涙を流し呟く。
“ごめんね”と。
その姿だけが鮮明に記憶に残っていた。
「誰なんだよ……」
考えても分からない。
俺は空っぽになった食器をドア前に置き、再びベッドに寝転がった。
殺風景な天井、毎日眺めているその天井を俺はジッと睨む。
ドンッ
大きな爆発音と共に俺の真上の天井が崩れる。
「はっ!?」
咄嗟に受身を取り、自分の身を守る。
砂埃が充満し、目の前は真っ白。
その奥に人影が見える。
「あー火薬の量が多すぎたな」
久しぶりに聞く他人の声。
いつも飯を置きに来る奴らとは違う声だった。
「……」
俺は目を凝らし、人影を見つめた。
だんだんと晴れていく視界、映るのは眩いほどの金色。
「金髪?」
俺の声に気が付いたのかその金髪をこちらへ目を向けた。
曇りの無い綺麗な、黒い瞳だった。
「……おー。やっぱり生きてんじゃねぇか」
男は一瞬だけ驚いたように動きを止め、その後に嬉しそうに微笑んだ。
人の笑顔を見るのはかなり久しぶりだろう。
「……アンタ、何」
俺は警戒し、そう尋ねる。
「あー俺? 俺は“万屋”だよ。お前は?」
男は人懐こそうに笑って答えた。
その笑顔に裏はなかった。
「俺は……「侵入者だっ!!」
俺が答えに戸惑っていると奴らの声がそれを遮った。
どたどたと走る複数の足音、推定二十か。
「あちゃー。もう来ちゃったか」
男はそう言って頭を掻く。
金髪が風に流れて輝く。
「行くぞっ」
そう言って俺の腕を引く。
鎖がチャラッと音を立て、俺は牢の外へ出た。
まさか、この牢から出られる日が来るとは思わなかった。
こうして人に手を引かれる日が来るとは思わなかった。
無性に泣きたくなった。
「スピード、上げなきゃ追いつかれるぞ」
俺は前を走る金髪男にそう言って自分の足を速めた。
「お前、足速ぇな」
男も劣らずとスピードを上げた。
後ろを追う奴らがどんどんと小さくなっていった。
「撒けたか……って、大丈夫か?」
男がふと後ろを向けばそのにはバテた俺がいた。
「はぁ、はぁ……アンタ、持久力あり過ぎ」
なんでコイツはあれだけ走って息が上がらないんだよ。
それが正直な感想だった。
「んでさ、お前の名前は? さっき聞きそびれたから」
男の問いに俺は戸惑う。
「俺、名前……覚えて、ない……んだよ」
俯きそう呟いた。
「……そっか。じゃ、俺が考えてやるよ。お前の名前」
そう言って俺の頭をポンと軽く叩いた。
嬉しかった。
俺にこんな事を言ってくれる奴、三年間は会っていない。
だから、余計に嬉しくて、涙がまた溢れそうになって、
俺はそれを隠すために男から顔を背けた。
「よし、決めた。お前は“雨月”だ。獅堂 雨月(シドウ アマツキ)。あ、獅堂ってのは俺の苗字な」
雨月——
今日は雨が降りそうだから、んで、お前の目が月みたいに綺麗な金色だから。
男はそう言ってまた笑った。
その笑顔に俺はさっきまでの警戒心を解いていた。
コイツなら、信用できるかもしれない。
そう思ったから——
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