ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 夕陽
- 日時: 2010/08/07 23:42
- 名前: 水島 結衣 (ID: bP2agIo1)
こんにちは。
はじめまして。
このサイトをながめていたら、自分も小説を書いてみたい!と思いました。
本当に未熟ですが思い切って投稿します。
この話は短編で終わらせるつもりですが、
ぜひ感想などあったらおねがいします^^
主人公の少年は16歳くらいの設定です。
ファンタジー要素あり。
魔法っぽいものが使えるようです。
更新のろのろですが気が向いたら見てやってください;
8月7日 微訂正。
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- Re: 夕陽 ( No.2 )
- 日時: 2010/07/18 22:24
- 名前: 水島 結衣 (ID: FsSzscyg)
空気が動く、黒い影が二つ茂みから現れた。
「覚悟!」
やけに威勢のいい声で影が叫んだ。いや、実際のところ自棄なのかもしれないな。
「俺はまだ死にたくねぇよ」
影が銀色に不自然に輝く筒状のものを懐から取り出した。
へぇ、魔法銃か。なかなか洒落たものを持ってんじゃないか。しかし・・・・・・
影は一瞬の迷いもなく銃をかまえた。後ろからさらに三つの人影が現れ、同じく銃をかまえている。
五本の赤い光線が不敵に笑う青年の額へとまっすぐ放たれた。
少年は目を閉じ、肩の高さくらいまでスッと手をあげた。向ってくる光線に掌をむけて。
それは一瞬のことのはずなのに、緩慢な動作だった。
そして光線は少年の額はもちろん手に触れることもかなわずに、見えない壁にぶつかったかのように、少年の右手の少し手前で雲散霧消した。
少年はゆっくりとベンチから立ち上がると、ふぅ、とまた溜息をついた。
- Re: 夕陽 ( No.3 )
- 日時: 2010/06/20 11:54
- 名前: 水島 結衣 (ID: nc8kSI9v)
「で、お前ら何?」
黒い人影は固まって動かなかった。まだ魔法銃をかまえている。効かないとわかっただろうに。答えがないので、何か言いたいことはあるか、と問うてみる。
でもやはり身動き一つしなかった。表情は、目深に被ったフードのせいで窺い知れない。もしかしたら、身が竦んでいるのか?恐怖で?
さあ、そろそろ俺の番だ。
深く息を吸い込む。
風がぴたりと止んだ。
「大いなる力を持つ万物の精霊よ、我の願いを聞き給え。非力な人の子に偉大なそのお力を貸し給え。光の使徒よ、我を傷つけんとする愚かな魂へ永久の休息を与えよ」
少年の声は透き通り、まるで歌うようだった。でもその目に感情はない。
たちまち眩いばかりの白い光が五人を包みこみ、一人残らず消し去った。茂みとベンチの間。そこにはもう人の跡形はなく、残ったのはただ静寂だけ。
「・・・・・・good bye」
また、独りになった。
- Re: 夕陽 ( No.4 )
- 日時: 2010/06/21 19:29
- 名前: 水島 結衣 (ID: nc8kSI9v)
「お兄ちゃん?」
はっとした。
後ろを振り向くと小学生くらいの男の子が立っていた。
マズイ、見られたかもしれない。あの明るさだ。近隣なら屋内でも気づいたかもしれない。早く立ち去ろうと思っていたのに。
「ぼく、こんな時間にどうしたんだい? お子さまはそろそろおうちに帰る時間じゃないの」
俺はぽんぽんと男の子の頭に手をのせる。そうすると男の子は目を丸くした。
「お、お子さまじゃないよ! もう六年生だもん。最高学年だよ。休み時間にね、一年生と一緒に遊んであげたりするんだから」
ぷーっと頬を膨らませて必死に訴えるさまは年齢以上に子供っぽくて、微笑ましかった。
「はいはい、わかった、わかった。で、お前はなんでこんな時間に一人でここに来たわけ」
公園の時計は5時をさしていた。
「友達の家に行った帰りなんだ」男の子は公園の外の道路脇に止まった赤い自転車を見た。「まっすぐ家に向かってた。でもそうしたら、お兄ちゃんが・・・・・・」
「俺?」
やっぱり見られてたか。
- Re: 夕陽 (*初投稿! ( No.5 )
- 日時: 2010/07/18 22:17
- 名前: 水島 結衣 (ID: FsSzscyg)
「うん。気になってさ。珍しい格好してるから」
ん?俺の服装は無地の黒Tシャツにジーパン。これは特におかしくないだろう。・・・・・・ああ、なるほど。髪と目の色が目立ったか。薄いブロンドと、青の瞳。どこからどうみても普通の日本人には見えまい。
「でも、お兄ちゃん日本語喋るんだね、びっくりした」
「・・・・・・まあな」
実際には日本語もといったほうが正確かもしれないが。
「それと」
男の子は少しためらいがちに言った。
「なんだかとっても寂しそうな顔して立ってたから。ひとりで何やってるんだろうって」
そして、男の子は顔を上げて俺の目をじっと見つめた。
「悩みはひとりで抱え込んじゃだめだよ! 誰かに相談しないと!」
「・・・・・・は?」
男の子は斜めがけした黒いポシェットの中身をごそごそとさぐり、黄色いカードをとりだした。
「これさ、あげるよ。今のところ、ぼくそんなに悩みないし、聞いてくれる友達もお父さんもお母さんもいるからさ。だから、誰かにあげようと思ってたんだ」
それを受け取り、俺は思わず噴いた。
「な、なにがおかしいんだよ」
そんな俺を小学生はさも不審そうに見た。
- Re: 夕陽 (*初投稿! ( No.6 )
- 日時: 2010/08/07 23:41
- 名前: 水島 結衣 (ID: bP2agIo1)
「いや、だって……」
黄色いカードには『こども電話相談センター』と書かれていた。電話番号と、『きみのなやみなんでもきくよ。ひみつはぜったいまもります』という文句。きっと学校で配られたものだろう。
ちらと男の子を見ると目は真剣そのもので、それがまたおかしくて笑ってしまう。
俺は目をつぶって数回深呼吸し、どうにか笑いを噛み殺した。
「はぁー……っ。笑ってごめんな。ありがとう、お前はいい子だな」
俺はまた男の子の頭に手をのせた。
「役に立てた?」
「……気遣いには感謝するよ。アリガトウ」
俺の棒読み口調に男の子は、少しだけ不満そうな顔をしてから、安心したように笑った。
でも別に悩んではいない、と俺が言いかけたところで、男の子が公園の時計を見て「あ!」と叫んだ。
「やばい! 五時すぎてる」
男の子は慌てて俺から離れて、走りだしたが10mほど進んで立ち止まると振り返った。
「ぼくの名前は橋元紫月! 悩みがあるなら、ぼくに相談しにきてもいいからね」
それだけいうと、お母さんに怒られる、夕ご飯抜きにされる、家に入れてもらえない、とかいろいろ叫びながらすぐにまた走り出した。
そしてバイバイ青い目のお兄ちゃん!と元気に手を振ると自転車を猛スピードで漕いでいった。
だから悩みなんてないって。言いたい放題言いやがって。
「気をつけろよ」
いとも簡単に五人を消し去った。俺はれっきとした殺人者。
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