ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 恋と死の境界線
- 日時: 2010/06/26 17:02
- 名前: 相生 ゆうこ ◆pn5.bJo696 (ID: jd0mxmk6)
2作目の小説です。
今回は、前作とは違い「悲しい恋愛」を書いてみました。
皆さんの心に残る作品になったら幸いです。
- Re: 恋と死の境界線 ( No.7 )
- 日時: 2010/06/28 16:22
- 名前: 相生 ゆうこ ◆pn5.bJo696 (ID: jGJG5YB/)
・・・マモに会えるのなら、死んでも構わない。
私はマモを愛している。
———もう、2年も経ったけど…私はマモが好き。
早希は思う。今日こそ死のう、と。マモに会いにいこう、と。
早希は、一番の友達…篠原灯璃に電話を掛ける。
(灯璃は親友だし・・・最後ぐらい、サヨナラ言わなきゃ。)
『はい、篠原です。』
灯璃の声。いつもの、優しい灯璃の声。
早希「灯璃。あ、あのね…」
『ん、その声は・・・早希!どしたの急に。』
明るくて元気な灯璃の声。この声も、もうすぐ聴けなくなってしまうのか。
早希「私ね、今日・・・」
『何よ、かしこまっちゃって。』
早希「私、今日・・・」
この後の言葉が出ない。<死ぬ>、その言葉が口に出せない。
『ははぁ、早希ぃ〜またマモちゃんが恋しくなっちゃったか?』
相変わらず惚気た灯璃の声を聴きながら、早希は考える。
何で言えないのだろう。私は死ぬのが怖いのか・・・この意気地無し。
そうやって自分を責め続ける。早希はいつもそうだ。
そして早希は決意する。
早希「…灯璃、今までアリガト。私、今日死ぬから。」
『は?早希、何言って…』
早希「私、マモと会いたい。だから死ぬ。」
…言えた。灯璃に、本当のこと言えた。
早希の言葉を聞いた灯璃は、いきなり態度を変えた。
『ふ〜ん。で?何。何の用?』
早希「え…?私、今日、死…」
『死ねばいいじゃん。勝手に、黙って死ねばいいじゃん。』
・・・・・灯璃は怒ってるの?
早希「灯璃?何怒って…」
『アンタは所詮、ただの弱虫だったんだね。』
早希「灯璃?そんな事、」
『いいのかよ。』
早希「え?」
『真守が死んだ原因知らないまま死んでいいのかよ!』
………マモの死因?
確かに解らない。でも…
早希「でも、解らないんじゃ仕方ないんじゃ…」
『アンタが調べるの。』
早希「へ…?」
『早希が!解き明かすの!』
私が…?マモの死因を・・・?
『そのぐらい調べなよ。愛してるんだったら。』
早希「…」
早希は、何を言えばいいのかわからない。
そんな事出来るわけ無い。
『死ぬんだったら…』
灯璃は言う。この先、早希がすべき事を。
『真守の死因、解き明かしてから死にな。』
- Re: 恋と死の境界線 ( No.8 )
- 日時: 2010/06/28 17:46
- 名前: 花札 (ID: rBw6RsXX)
なんかすごく考えさせられますね・・・。
心にジーンときます。
更新まってます♪
- Re: 恋と死の境界線 ( No.9 )
- 日時: 2010/06/28 18:28
- 名前: 相生 ゆうこ ◆pn5.bJo696 (ID: jGJG5YB/)
>花札さん
読んで頂けて光栄です。
私的には、この小説の主人公は、
実は、早希だけじゃないというのが一番のポイントです。
亡くなってしまったマモのエピソードも収録予定です。
これからも、ご愛読宜しくお願いいたします^^
- Re: 恋と死の境界線 ( No.10 )
- 日時: 2010/06/30 22:34
- 名前: 相生 ゆうこ ◆pn5.bJo696 (ID: NzSRvas.)
『真守の死因、解き明かしてから死にな。』
早希「・・・解き明かすって、どうやって…」
『そんぐらい自分で考えなよ。』
早希「…わかった。私、マモの死因を解き明かしてから自殺する。」
早希は決意した。真守の死因がわかったら死のう、と。
それまでは、全身全霊…真守の為に・・・
『…早希。』
早希「ありがとう灯璃。私、頑張るから。」
『うん、アタシも応援する。』
早希は電話を切った。
そして考える。
さて、どうしようか。
早希「まずは…マモの幼馴染みのゆぅちゃんの所に。」
藤城由宇架。早希と真守の恋を誰よりも応援してくれた。
由宇架は真守の幼馴染みで、真守の色々な事を知っている。
早希「ゆぅちゃん家に行かなきゃ。」
早希は走り出した。一刻も早く、真守の死因を知りたくて。
・・・それは、ただ単に早希が…すぐに自殺したいと思っているだけではなかった。
(マモ、マモ、マモ…!)
早希は真守の笑顔を思い出す。
潮風のように爽やかで…とても晴れやかな、あの笑顔。
それを思い出す度に…早希は真守に会いたくなる。
早希「私っ…マモの死因がわかったら死ぬんだよね…」
早希は走りながら言う。
早希「私…マモに会いたいけど…本当に死んでいいのかな。」
涙が零れてくる。不安な気持ちになる。
(あれ・・・?私、死ぬのが怖いのかな…)
早希は、死を決意したはずだった。しかも自分から。
色々な気持ちが交差する。心の底が悲鳴をあげる。
でも、早希は思う。自分で決めた運命は、変更せずに最後まで、と。
だから、死から逃げない。逃げたくない。
真守の為に。自分の為に。
・・・もう、灯璃に「ただの弱虫」だなんて言わせない。絶対に解き明かしてみせる。絶対に・・・
早希は、由宇架の家に着く。チャイムを鳴らす。
(ピンポーン・・・)
家の中から、由宇架の声がする。
『ちょっと…ま、待ってね〜』
どうやら、由宇架は人を迎え入れる準備が出来ていなかったらしい。
慌てている。余程、見せたくないものがあるのだろうか。
1、2分待っていると、由宇架が笑顔で出てきた。
由宇架「んあ、サッキーじゃん!!いいよ〜入って。」
早希「ありがとう・・・」
由宇架の家に入る。ソファに座って落ち着く。
由宇架「どうしたの、そんなに息切れして。」
早希「走ってきたの…ハァ、ハァ・・・」
由宇架「走ってきた、って・・・よっぽど重大な用事なんだねぇ!」
早希「違うの、マモの・・・」
由宇架「何?マモちゃんの何?!・・・スリーサイズ?」
早希「ち、違うっ!!!」
由宇架は大笑いしている。のんきだなぁ、と早希は思う。
由宇架「スリーサイズじゃないわけ?チェ、つまんねぇ〜」
早希「もう!ゆぅちゃんったら!!」
由宇架「ハハハ。んで?マモがどうしたって?
あ、もう死んでるから『どうした』は無いか。動いてないしね〜」
早希「マモの死因を知りたいの。」
由宇架「え?死因・・・かぁ・・・」
早希「ゆぅちゃんなら知ってるでしょ?!マモの幼馴染みだし!」
由宇架「・・・・・しーらーなーい。」
早希「え?知らないの?」
由宇架「知らないよ。そんなの。だってどうでもいいじゃん。」
(・・・そうか。ゆぅちゃんにとって…マモの死なんかどうでもいいんだ。)
早希は考える。
確かに、マモは少し変わっていて・・・みんなに嫌われてたかな。
特に・・・灯璃とか、神木田くんに。
でも、佑途は・・・マモの親友だったよね。
思い出が、走馬灯のように・・・脳内を駆け抜けていく。
・・・そして、早希の目から…涙が零れ落ちた。
(・・・・・マモに会いたいよ…。)
- Re: 恋と死の境界線 ( No.11 )
- 日時: 2010/07/07 18:59
- 名前: 相生 ゆうこ ◆pn5.bJo696 (ID: NzSRvas.)
早希の瞳から涙が出ているのに気がついた由宇架は心配そうに言う。
由宇架「え?サッキー…?どうしたの!?」
早希「ううん、何でもない。マモの事、思い出しちゃって。」
由宇架「そっか。・・・でも、なんでいきなり真守の死因を?」
早希は、灯璃との電話の内容を全て話した。
由宇架は『死ぬ』という言葉を聞いた途端、顔色を変えた。
由宇架「ねぇサッキー・・・死んじゃダメだよ?」
早希「どうして・・・?」
由宇架「もし、真守の死因が分かったって…絶対に死んじゃダメ。」
早希「それはできない。私は決めたから。」
不安気に手を握ってくる由宇架を見ながら、早希は思う。
(由宇架に何がわかるの・・・?)
早希の気持ち、思い、真守への愛…
それらは、由宇架に分かるはずのない事。
自分を一番知っているのは、自分自身だけなのだから。
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