ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 俺は、好きだったよ?
- 日時: 2010/07/01 12:14
- 名前: あいみん (ID: LoNNmS79)
俺はさ、自分を責めたよ?
どうして生まれてしまったんだって。
きっと、姉ちゃんも俺を恨んでるんだよね?
俺が生まれてしまったから、母さんが死んだんだし。
絶対、許してもらえないよね?
でも……それでも俺は
———————姉ちゃんのこと、好きだったよ?
初めまして!初心者の小説書きのあいみんです!!
心の広い方限定でお読みくださいませっ☆
(荒らしはお帰りくださいませ)
- Re: 俺は、好きだったよ? ( No.9 )
- 日時: 2010/07/04 10:15
- 名前: あいみん (ID: KoVjVisw)
2絆〔古びた写真〕
目を開ける。どうやら泣きすぎで疲れ、寝ていたらしい。
時計を確認。あれから30分ほど時間がたっている。
……まだ飯できてないのか。いや、出来ているかもしれない。ただ…呼ばれてないだけかも…。
「姉ちゃん。ご飯できた?」
声は返ってこない。もともと、小さめの声で言ったのだ。聞こえてなくてもおかしくはない。
でも、もしこの声で気づいてくれたら……そんな期待を込めて、聞いた。
「ったく。バカだな俺も」
ぐしゃぐしゃと頭をかいて、ベッドから立ち上がる。その時だった。
ベッドの隣に置いてある、本棚から一枚の小さな紙が落ちたのだ。正確には……紙じゃなくて写真?
古びた写真を拾い上げて、一瞬息が詰まった。
「……っ!これ……姉ちゃんが、笑ってる……?」
小さい姉ちゃんが、お腹の大きい母さんと笑っている写真。おそらく、三歳程度だろう。
俺にはあんなに冷たい姉ちゃんが、幸せそうに笑っている。胸が、苦しくなった。
「姉ちゃんっ!」
写真を部屋に置き、姉ちゃんのもとへ駆け寄った。
一瞬驚いていたが、それでも、フライパンをふる手は止めなかった。
「もうご飯できるから。遅くなって悪かっ……」
「そんなことどうでもいい!なぁ姉ちゃん答えてくれ!姉ちゃんは、俺のこと嫌いだよな?恨んでるよな!?」
フライパンをふる手が止まった。あまり見せない、困ったような顔をしていた。
いきなり大声で怒鳴って、悪いと思ってる。でも、それを確認した上でどうしても言いたいことがあった。
姉ちゃんは目を合わせずに、小さく口をひらいた。
「……そうね」
ズキッと、心が痛んだ。
その痛みを振り払い、真っ直ぐ姉ちゃんを見つめる。思えば、こんなにちゃんと話したことなかったな。
俺が何かを質問しても、全然答えてくれなくて……必要最低限のことしか話さなかった。
「姉ちゃん。俺、姉ちゃんに笑ってほしい。俺が生まれる前……母さんがいたときみたいに笑ってほしい」
その言葉を伝えるのが、苦しかった。
- Re: 俺は、好きだったよ? ( No.10 )
- 日時: 2010/07/04 10:24
- 名前: りん ◆mTqouqsI7s (ID: 0lEaUB5k)
- 参照: 雑談掲示板では「みさき」です☆
悲しいです・・・。
お姉さん笑ってくれないかな〜^^
更新待ってます!
- Re: 俺は、好きだったよ? ( No.11 )
- 日時: 2010/07/04 12:05
- 名前: モカ (ID: 2awtZA.D)
プロローグで悲しくなりました(/_;)
お姉さん笑ってくれるといいですね(・_・;)
応援してます!
- Re: 俺は、好きだったよ? ( No.12 )
- 日時: 2010/08/10 09:50
- 名前: あいみん (ID: LoNNmS79)
『コメ返信』
>りん様
悲しまないでください^^;ちょっと待ってティッシュどこかに…
大丈夫ですよ!笑わせます!!
更新頑張りますね♪
>モカ様
ちょ!プロローグでですか!?
あわわわ…泣・か・な・い・で・!ください!
応援ありがとうございます^^頑張ります
- Re: 俺は、好きだったよ? ( No.13 )
- 日時: 2010/08/10 14:56
- 名前: あいみん (ID: 0KA0zeB4)
3絆〔でも、それでも〕
空気が重い。全身の力が抜けたみたいに、体が動かない。
姉ちゃんは、冷たい目で俺を見た。
「バカじゃないの」
セリフの一部であるかのように、感情のまったくこもっていない言葉。
それでも、目を合わせてくれたから嬉しかった。
「私は勇大が生まれる前からこんな感じよ」
名前を呼んでくれたという喜びと、嘘をつかれた悲しみで胸の奥が苦しくなる。
なぁ姉ちゃん。俺は知ってるんだよ?姉ちゃんがすっごく嬉しそうに笑っていたこと。知ってるんだよ?なぁ。
どうして嘘なんかつくんだよ。
「……写真の姉ちゃんは笑ってたよ。すごく嬉しそうに」
「写真……?」
「俺の部屋から、母さんと姉ちゃんが笑ってる写真が出てきたんだ。まだ、俺がお腹の中にいた頃の」
声が震えた。だってあの写真は、俺が生まれなければ生きていたはずの母さんと姉ちゃんの写真。罪悪感に押し潰されそうになった。
一瞬驚いた顔をした姉ちゃんは、沢山の野菜が盛られた皿を俺に渡した。
「これ、机に運んで」
泣きそうな声。俺が、そうさせた。
ごめん……ごめんな姉ちゃん。でも、それでも俺は……姉ちゃんに笑ってほしいんだ。そんな、悲しい顔をさせたいわけじゃないんだ。
渡された皿を受け取らずに、姉ちゃんをじっと見据える。
「写真、見たくないの?」
「別に」
「嘘だ。だって姉ちゃん悲しい顔してる」
「いいから。これ運んでよ」
「俺は!姉ちゃんの笑顔が見たいんだ。写真見たら、笑うこと思い出してくれるんじゃないかと思って」
「………」
「……なんで黙るんだよ。見たいなら見たいって言えばいいだろ」
自分でもやりすぎだって思う。そっとしておくのが、一番いいに決まってる。
手に持っていた皿を置いて、姉ちゃんは言葉を繋げた。うつむいてしまっていて、顔が見えない。
「だって……」
弱弱しい声。震える肩。自分が姉ちゃんを傷つけてるという事実が、刃になり突き刺さる。
姉ちゃんの頬をつたって何かが落ちた。
「だって……思い出すじゃない。楽しかったこともケンカしたことも。もういないってわかってる。でも、それでも……また遊べたらなって、期待しちゃうじゃない」
——————姉ちゃんは、泣いていた。
違う。俺が泣かせた。俺が、自分のことしか考えなかったから。
姉ちゃんがどんな気持ちで耐えてたか、わかってあげられなかったから。
俺は……姉ちゃんの笑顔が見たいと言った。けど、その先に待っていたものは何だった?
俺の横を通り過ぎ、泣きながら自分の部屋へ戻る姉ちゃんに、かける言葉なんてなかった。
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