ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- パンドラノハコ
- 日時: 2010/07/10 11:49
- 名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: tXtJgBFl)
こんにちは!
今回はホラー系に挑戦です!
頑張るので、よろしくお願いします
《(・・`)三(´・・)》
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- Re: パンドラノハコ ( No.3 )
- 日時: 2010/08/31 14:32
- 名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: tXtJgBFl)
「『パンドラの希望』・・・かぁ」
家に帰ってからも、ずっとそのことが頭から離れない。
楽しそうにその話をしていたサチの笑顔が、脳裏を掠めた。
「やって・・・みようかな」
机の上に無造作に置かれた、薄いピンクの携帯をゆっくりと開く。いつの間にか日は落ちて、薄暗くなった部屋の中で、それはぼんやりと光を灯す。
カチカチとボタンを押して、あっという間にパンドラのサイトが開いた。
「・・・あ」
そして見つけた、それ。
スタートのボタンを押そうとする、手が震えた。
だんだん恐怖が押し寄せてくる。
チャララン ラララ〜
「わっ!」
瞬間、携帯が震えた。聴きなれたメロディが流れる。
着信は・・・「サチ」。
チャララン ララリ〜
ほっと安堵の溜め息を落とし、速くなった鼓動を落ち着かせながら、マキは電話に出た。
「もしもし。サチ、どうしたの?」
安心したら、声も明るくなった。
「・・・サチ?」
なのに、聞こえてきたのはサチの声じゃなく。
「もしもし、マキちゃん」
「おばさん・・・?」
サチの、お母さんの声だった。
- Re: パンドラノハコ ( No.4 )
- 日時: 2010/08/31 15:00
- 名前: 黄泉廼 狂骨 ◆Kt9rX9qdaU (ID: SLr1s4QH)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
気になるー
- Re: パンドラノハコ ( No.5 )
- 日時: 2010/08/31 16:57
- 名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: tXtJgBFl)
こんにちは。
コメありがとうございます!
早く更新できるように頑張るので、読んでいただけると嬉しいです^^
- Re: パンドラノハコ ( No.6 )
- 日時: 2010/08/31 17:23
- 名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: tXtJgBFl)
「マキちゃん、落ち着いてきいて」
おばさんは、そう前置きするとできるだけ静かに、普通の声で話し始めた。
「サチ、マキちゃんの家にお邪魔してないでしょ?」
「・・・はい、来てません」
「やっぱり・・。実は、サチがいなくなったの」
おばさんは発したその言葉が、何度もこだました。
不思議と、驚きの感情はなかった。もしかしたら、心のどこかでこうなってしまう事を予想していたのかもしれない。
しばらくの沈黙の後、おばさんはゆっくりと話し始めた。
「私、携帯サイトのことはよく分からないんだけど、今流行っているサイトがあるんでしょ?」
「・・・パンドラの・・・ことですか・・?」
瞬間、背筋が凍りついた。寒くなんてないはずなのに、体が震えた。
もしかして、もしかして、もしかして・・・
学校で、楽しそうに『パンドラの希望』の話をしていたサチを思い出す。
「そうそう、パンドラ」
おばさんは、少し間を置いて話し始めた。
「実はサチがね、いなくなる直前に変なことを言っていたの」
「変なこと・・・?」
「そう。『パンドラの希望』をやってみる、もしかしたら帰ってこられないかもしれない、って」
サチは元々、噂や伝説など、そういった類の話を信じるタイプではなかった。それどころか、「確かめてみよう」なんて言い出す始末。
今回の事も、それが大きかった。
頭の中でぐるぐると考えていたら、おばさんの声で現実に引き戻された。
「ねぇマキちゃん、何か知らない?」
「あの、実は・・・」
全て話そう、おばさんに。隠して1人で抱え込んでも何も出来ないのだから。
話しおえる頃には、通話時間は40分以上になっていた。
「そんな噂が・・・サチは、その噂を確かめようとしたのね」
「でも・・・その噂が本当だとしても、おかしいです」
「どうして?」
「だって、人間が携帯ゲームの世界に入ってしまうなんて、科学的根拠がないじゃないですか。常識的に考えて、そんなことが起こるはずがないんです」
必死になって、現実から逃げようとした。
こんなの全部夢で、嘘で、きっとただの冗談に決まってる。サチは悪戯好きだから、おばさんに手伝わせて、こんな事してるに決まってるんだ。
それ以外になにがある______?
不意に、受話器の向こうから音楽が聞こえた。
あ、これ知ってる。ディズニーの、「星に願いを」だ。
「あら、もうこんな時間だ!ごめんなさい、あとで時間があるときにもう1度かけてもいい?」
「あ、それなら私がおばさんの家に行きますよ。今度の土曜日、空いてます?」
暗い考えの自分を吹っ切るために、できるだけ明るく言った。
「ええ、大丈夫。それじゃ、悪いけどお願いね」
そういって電話は切れた。ほとんど同時に充電も切れた。
- Re: パンドラノハコ ( No.7 )
- 日時: 2010/09/01 17:01
- 名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: tXtJgBFl)
翌日、やっぱりサチは学校にも来なかった。
それどころか、携帯のメールも着信も「なし」。
「はぁ」
重い体を引き引きずるように、携帯の画面を見つめたまま席を立ったマキは、もう一度溜め息をついた。
「だから言ったじゃない。やめときなさい、って」
声のほうに顔を上げると、そこに立っていたのは前川さんだった。
「・・・前川さん」
マキは、自分の視界がだんだんぼやけて、歪んでいくのが分かった。
「ねぇ、どうしてあの噂が本物だって知ってたの?どうして忠告なんかしてくれたの?」
マキは、昼休みの教室で喚いた。
だってマキは、何も出来なかったから。それが、ただの八つ当たりであることくらい分かっていた。なのに、マキは喚き続けた。
「何でよ!もっとちゃんとサチを納得させて止めてくれたら、サチは・・サチはっ!!」
でも、前川さんはそんなマキの事を分かっていたのかもしれない。だからこそ、冷静にこう言い放った。
「ちゃんと忠告したじゃない。私はどうなっても知らないわよ、ってね」
「・・・ぅ・・あぁぁ・・っ・・」
やり場のない怒りを、苦しみを、憎しみを、何処に向ければいいのか知らないマキは、ただ感情を殺して泣いた。
ひたすら泣いて、感情を閉じ込めた。
心の奥底に。
そう、ずっとずっと、深い闇の中に____。
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