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黄昏ルージュの恋人
日時: 2010/07/28 14:43
名前: 泡沫 ゆあ (ID: 7rIzYjoN)

こんにちは!泡沫 ゆあです!
二次創作の方でも小説を書かせていただいています(*^_^*)
コメント大歓迎ですのでどうぞよろしくお願いします!!

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Re: 黄昏ルージュの恋人 ( No.1 )
日時: 2010/07/28 15:21
名前: 泡沫 ゆあ (ID: 7rIzYjoN)

第零話;太陽が燃えるその時刻。


オレンジ色が世界を照らす時間。
人々は待ち人のところへと帰っていく。
それは至極当然の行為。
人間の脳に初めからある本能。
・・・・・・ある一部の人間を除いて。
「世界が燃えている・・・・・・・・美しい、の?」
深紅の髪が、夕風に浚われて優雅に靡く。
髪よりも深いあかい瞳は、世界の情景を映しとった。
「・・・・・・わからない、わからないよ・・・・・・そんな、こと・・・・」
表情一つ変えないその声は、鈴のように転がっていく。
美しい容姿を携えた少女は、世界から切り離された存在。
絶望と嘆きが産んだ、哀しき子供。
「・・・・僕は、どこに帰ればいいの・・・・・?」
宝石のような輝きを放つ瞳を、瞼の奥に隠してしまう。
「・・・・・・・僕は、誰・・・?」
太陽が燃えたその時刻、哀しい声が世界に響いた。

Re: 黄昏ルージュの恋人 ( No.2 )
日時: 2010/07/28 22:50
名前: 泡沫 ゆあ (ID: h9T9UkU2)

第一話;炎のような出会い


「あ、瑠々歌るるか。今日はもう帰るの?」
学校は授業の終わりを告げるチャイムを鳴らし、生徒達は部活に勤しみに行く。
そんな生徒達のなか、一人校門の外へと向かう者が居た。
栗色の髪を左右に分けて結ぶ、普通の女の子。
「うん!今日お父さん仕事で帰り遅くなるって言ってたから。
 歌留多かるた歌琉葉かるはの面倒見ないといけないしね!」
笑顔でそう言い、友達に手を振り駆けて行った。
「・・・・瑠々歌、えらいよね」
「うん。お母さんいなくて、双子の妹の面倒見てるんだもんね」
「まだ13歳なのにね、私達みたいに遊べないのが可哀想・・・」
瑠々歌と呼ばれた少女に向けられた感情は、同情か、憐みか。



「大変、もうこんな時間!!買い物してたら遅くなっちゃったよ」
手に中身の詰まった大きなビニール袋をもって、早足で家へと急ぐ。
家の近くの河原まで来たところで、いつもと違う光景を目にした。
「・・・・?」
白い着物を着ていて、頭にも白い布のようなものを被っている。
その白い布の下からは、深紅の髪が見えた。
『綺麗な子・・・・・外国の人かな・・・・・・』
瑠々歌がそう思い、声をかけてみる。
「あの、どうかしましたか・・・・・・?」
その声に気がついたのか、ゆっくりとこちらを振り向く人物。
「・・・・・・!!」
息を、呑んだ。
その人物は、この世の全ての美しさを取り込んだかのように美しかったからだ。

Re: 黄昏ルージュの恋人 ( No.3 )
日時: 2010/07/28 23:55
名前: 泡沫 ゆあ (ID: h9T9UkU2)

第二話;誰も知らない君のこと


「・・・・・・何か、用?」
容姿よりもずっと幼い声に驚きつつも、瑠々歌は話を始める。
「あ、あの・・・・ぇと・・・・・大丈夫、ですか?」
しどろもどろしながらも、少女にそう言うと、無表情のまま少女は言った。
「・・・・何が、大丈夫なの・・・・・・・・」
「・・・・え?・・・・・・」
冷たい風が、二人の間を通っていく。
「僕は、何も知らない・・・・・何も、わからない・・・・。
 そんな僕の、何が、何処が大丈夫なの・・・・・?」
表情は変わらないものの、問いかけられた声には疑念と焦燥の色が取れた。
そんな少女を安心させようと思ったそのとき。
「きゃっ・・・・・」
強い風が吹いた。
「びっくりしたぁ・・・・・・・っ!!」
瑠々歌が顔を上げると、少女が被っていた白い布は川の方へ飛んで行き流れて行った。
障害物が無くなり、少女の顔が全て見えた。
その頭には・・・・・。
『ね、猫耳・・・・?!』
赤い猫の耳のようなものが付いていた。
「・・・・そ、それ・・・・・」
瑠々歌が恐る恐る尋ねると、少女はまた、無表情のまま答える。
「・・・・・・これ、髪の毛・・・。耳、じゃ、ないよ・・・・?」
少女は耳(?)をもふもふと触る。
『・・・・か、可愛いっ!!!!!!!』
瑠々歌の庇護欲に火がついた瞬間であった。
「私、瑠々歌っていうの!!もし、困ってるなら・・・・家に来る?」
なんて・・・・。という瑠々歌をじっと見つめ、そして小さく頷く少女。
「・・・・うん、行く・・・・・・・。あなた、は、良い人・・・・多分」
そう言いながら瑠々歌の手を握ってくる少女。
「あ、ねえ、貴方の名前は?なんていうの?」
「・・・・・僕・・・・・・・・・・・?」
少女は少しの間を置き、小さく告げる。
「僕は・・・・・・<黄昏>・・・」
それはまるで、太陽が沈みかけている今の時刻を指しているようであった。




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