ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Are you detective?
日時: 2010/08/22 14:04
名前: 獏 ◆jOx0pAVPUA (ID: tuG0e6yh)

はい、ども!! 獏です。
知ってる方も知ってない方もヨロシク。

現在更新㊥の作品がガス欠状態の為、
しばらく此方の小説を中心に進めていこうかなァと思っています。

前作を読んでくださっていた皆様、
本当に申し訳ないです(´x`;;
ネタが集まり次第、前作も更新開始しますんで
気長にお待ちくだせぃ。

【Detective】・・・探偵、の意味です。
まァ、つまりこの駄作は探偵物語になる予定です。
普通の探偵ではありませんがね(フフッ

では、
Are you detective?
  お楽しみください——

◆Are you detective? contents◆
Opening...   >>01

#01  >>02  廃墟
#02  >>03  現場調査
#03  >>04  真実①
#04  >>05  真実②
#05  >>06  先輩と新たな事件
#06  >>07  ゲーム①
#07  >>08  ゲーム②

◆Visitor◆
シュルル様
◆News◆

今日はご訪問、ありがとうございました。

また、
お会いできる日を楽しみにしていますね。

では Good Bay...

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Re: Are you detective? ( No.1 )
日時: 2010/07/30 22:44
名前: 獏 ◆jOx0pAVPUA (ID: mXej9PvR)

Opening...

1992年12月27日午前2時
雪が降り積もる、そんな日に彼は産まれた。

出産予定日より二ヶ月も早い陣痛
通常出産では危ないと考えた当時の担当医師は
帝王切開での出産を決めた。

出血量が激しく、
子供を取り出しすと共に母親は絶命。
産まれた子供も産声を上げようとはしない。

母子共に死亡してしまった、
そう悲しげに目を細める医師や看護師達。

しかしそれは一人の看護師の言葉によってかき消される。


「先生……。この子、心臓が動いています!!」


確かに聞こえる鼓動と規則的に膨らむ胸。
産声を上げないその子供は確かに生きていた。

喜びの声が上がるが
薄く開かれた子供の瞳を見た者達は静かに息を呑んだ。




「紅い……瞳……」




紅く揺れる子供の右目。
それはあまりに不気味で、
子供を抱く看護師の腕が震える。

産声も上げず
ただ紅い瞳で世界を見つめる。

それが


 栢世 名残    の始まり——

Re: Are you detective? ( No.2 )
日時: 2010/08/02 09:35
名前: 獏 ◆jOx0pAVPUA (ID: mXej9PvR)

#01 廃墟

東京都内某廃ホテル

「ちょっと。マジでここ入るの?」
「怖すぎ。私、帰ろうかな……」
四人の若い男女が廃ホテル前に集まっている。
一人の男が携帯を取り出し何やら検索し始めた。
「あ、これこれ。見ろよ」
男が見せたのは恐怖体験を集めたサイト。
「東京都内の廃墟となった○○ホテルに昔射殺された強盗達の霊が出るらしい。
その霊達はホテルに入った者達を殺しているらしい……だってさ」
男が笑顔でそんな話をするものだから、他の三人はそれに怖がりホテル内に入るのを嫌がる。
「もう、帰らない? そんな話聞いてからここ入るなんて私……嫌よ」
もう涙目になりつつある女性。
男は頭を掻いて溜息を落とした。

「分かったよ。じゃぁ、俺が今から一人で行って安全か確かめてくるから。俺が最上階の窓から手ぇ振ったら来いよ?」
それなら、と残った男女三人は頷いた。
男は怖がる様子もなしにホテル内へ入っていった。

それから数十分時間が過ぎた。
「ねぇ、そろそろ時間的にも最上階着いてるんじゃない?」
「だよな……。遅くね?」
何時になっても最上階から男の手は見えない。
不安になった三人はホテル内に入ろうと決心した、その時だった。


「ギャァァアァァッ!!」


辺りに響く男の悲鳴。
それは確かにさっきまで一緒にいた友の声で。
三人の不安と恐怖は最高潮を迎えていた。
「こ、これ……アイツの声、だ……」
顔面蒼白の三人の足は小刻みに震え出している。
男の悲鳴がピタッと止まった。

女の頬を伝う生温かい液体。
「な、に……これ?」
恐る恐るソレに触れる。
指先に付いたのは、真っ赤な“血”だった。
「なん、で。血が?」
見上げた先にあったもの、
それは

顔面が崩れ、血だらけになった男の姿。

「イ、イヤァァアァ!!」
女の悲鳴と共に目の前に迫る友の死体。
死体の落ちた嫌な音が耳を貫く。
流れる血は足元まで濡らし、瞳孔の開ききった目が三人を睨みつけた。
恐怖で震えた足は全く動かず、三人はその場で固まる。
痙攣する男の体、目から流れるのは涙と血。
そして、男の口から発せられた一つの叫びが三人を震わせた。


「お前ら全員、呪い殺してやる!!」


動くはずのない口がそう言い続ける。
三人は震える足を無理やり動かし来た道を走り戻る。
「ヤベェよ!! 本気でヤベェ!!」
「だから行きたくないって言ったのに!!」
車に乗り込み、アクセルを強く踏んだ。
走り出した車のミラーに映る男の姿。
誰もが恐怖で顔を歪めた。

「もう“アイツ”に頼るしかない……」

男の小さな呟き。
「アイツ?」



「そう。アイツ……早稲田大、一年“栢世 名残”」


Re: Are you detective? ( No.3 )
日時: 2010/08/03 11:40
名前: 獏 ◆jOx0pAVPUA (ID: mXej9PvR)

#02 現場調査

早稲田大学、オカルト研究会室。
ここは別名、暇人の溜まり場という名を持つ。
栢世 名残(カワセ ナゴリ)はその暇人の溜まり場にあるソファーで仮眠の時間を過ごしていた。
しかし寝ようにも東京の暑さではその行動は無駄となる。
暑過ぎて寝れないのである。
汗で頬に張り付いた黒髪が余計に名残を苛立たせていた。
右目に付けられた眼帯に汗が染み込む。

「暑過ぎる。冷たいお茶が飲みたい。出来ればお〜○お茶が飲みたい」
呟いてもお茶が歩いてくるわけはない。
仕方なく近くのコンビニへ向かおうとソファーから立ち上がった。
その刹那、
激しい音と共に流れ込んでくる人間。
その騒がしい光景に眉を寄せる。

「た、助けてくれ……」

今自分の目の前で助けを請う人物に名残は見覚えがある。
いつも何かしか事件を起こし、その度に自分を頼る。
この暑く苛立たしい時期に最も見たくない人物。
同期生の木枯 泰斗(コガラシ タイト)だった。
「……泰斗、今度は何だ?」
とりあえずソファーに座らせ落ち着かせる。
「あのさ、最近噂になってる廃ホテル、分かるか?」
廃ホテル。
その単語を聞いた瞬間、名残の目がカッと見開かれ泰斗を睨む。
「お前はまた、そんな所へ行ったのか!! 馬鹿が!!」
額に青筋を浮かべ、怒鳴る名残。
その姿は鬼神のようだった。
「ち、違ぇよ。今回は俺主催じゃねぇって」
慌てて首を横に振りそう言い繕う。
「俺の、結構古いダチでさ……。ソイツが久しぶりに昔の仲間で肝試しでもしようって言い出して」
冷たい目のまま話を聞く名残。
泰斗はその視線にビクビクしながらも話し続けた。
「んで、女友達がビビッちまったから、ソイツが一人で中に入ってたんだけどよ——」
その後、泰斗は冷たい視線の中全てを話した。

「そうか、お前の馬鹿さと学習能力のなさはよぉく分かった。帰れ。もう帰って寝ろ」
俺も寝る、と一言捨て吐き、名残はソファーに寝転がった。

「お〜○お茶、缶三十本入り一箱」

ピクッと反応した名残の様子に泰斗は笑みを浮かべた。
「もし今回助けてくれたら、だけどな」
ニヤニヤと笑みを浮かべる泰斗にしてやられたと言わんばかりの悔し顔の名残。
「チッ……。約束は守れよ」
「おう!!」

◇◆◇◆

「で、ここがその廃ホテルか」
想像していただこう。
よく夏にテレビでやるホラー特集番組の廃墟。
錆びた扉に腐りかけた木。
そして重い空気。
いかにも幽霊出ますよな雰囲気が溢れている。
「こんな場所に自ら寄るお前らの気持ちが分からん」
ちらりと視線を泰斗に向ければ彼の背後にいた女性二人と目が合った。
「今回だけだ。俺が協力するのは。今後こういう場所に立ち寄るな」
そう言い捨てて廃ホテル内へ足を進めた。

「泰斗ぉ。アンタの友達めっちゃイケメンじゃん」
金髪のロングヘアーの女性がそう泰斗に耳打ちする。
「うんうん。なんかクールって感じ?」
茶髪のポニーテールの女性は頬を染めながら頷いた。
泰斗もそれをまるで自分の自慢かのように聞いていた。

「はぐれてお前らの死んだ友人に殺されても文句言うなよ」

「はい……」
三人の声が綺麗に重なった。
黙々と歩き続ける名残。
「おい、名残。どこ行くんだよ」
「黙って歩いとけ。死ぬぞ」
名残はそう言って足を早めた。
「……今からお前の友人が死んだ、最上階に行くんだよ」
少し悲しそうな目をした名残。
その意味が分からない泰斗は首を傾げていた。

「……お前らは、強盗犯なんかじゃなかったのにな」

小さく呟かれた名残の言葉は闇に包まれ消えた。
いつの間にか外されていた眼帯の下の紅い瞳が悲しそうに歪み揺れた。


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