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オッドアイの魔術師*
日時: 2010/09/08 21:07
名前: 四羅 ◆Z8aKIge5VY (ID: 8I/v6BBu)

はじめまして、こんにちは^^
四羅シラという者です





この話は、ファンタジアな世界観の物語です。
魔法とか普通に出てきます。魔物とか普通に出てきます。グロも少々でてきます、気を付けてくださいm(_ _)m


†注意
・更新不定期orz
・誤字脱字注意
・グロ表現少々?
・スレ主は表現力+注意力が欠けている
・スレ主は受験生のくせに日本語をあまり知らない
・以上。「ンなもん無理や」という方は戻るを連打した方が←

色々スイマセン…orz


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Re: オッドアイの魔術師* ( No.1 )
日時: 2010/08/29 18:58
名前: 四羅 ◆Z8aKIge5VY (ID: 8I/v6BBu)

1章†




昼下がりの喫茶店

漆黒を連想させる黒髪に、右目黒、左目紅のオッドアイの瞳———その青年は、そこからボンヤリと外の景色を眺めながら、テーブルの上に置いてあった紅茶に手を伸ばした。
昼だというのに、外には誰一人出歩く者はいない。と、言うのも…今日の晩に開催される“流星祭”の用意で皆外に出歩く暇など無いからだ。そして俺も決して悠長に茶など飲んでいる場合ではないのだが、今日は俺にとって最後の茶になるかもしれないから、どうせなら飲んでおこうと此処に立ち寄ったまでだ。


「———…美味しい、やっぱりここの紅茶は格別だな…。今日が最後になるとは————少し惜しい」


そして最後の一滴まで飲み干すと、俺は満足そうに笑みを浮かべた。かと思うと今度は寂しそうに少し自虐的に笑った。

「…どうしたんですか、エドワードさん。嫌な事でもあったんですか?」
と、そんな所へその喫茶店の店員が、心配そうに俺の顔を覗き込んだ。長くしなやかな黒髪をなびかせ、翡翠色の瞳をした彼女。彼女はここの常連である俺に、よく気を配ってくれている店員さんだ。そして、それと同時にこの喫茶店のオーナーでもある。


この喫茶店は『白鳥の湖』という小さな店で、従業員も少人数だが…隠れた名所して親しまれている。

無論、ここも夜の祭りの準備があるのだが、俺が無理に頼みこんで、十五分だけ店を開けてもらった。迷惑だと分っていても、どうしても最後に飲んでおきたかったのだ。俺がここにくるのが最後になるというのを、彼女は知らない。いや、それを知る者が俺以外にいてはならないのだ。

「…お気遣いありがとう、ミシェルさん。でも、私はこの通り大丈夫ですよ?」
俺は、完璧なまでの作り笑いを浮かべ、彼女に微笑みかけてみた。しかし、彼女は「そんな事ありませんよ、エドワードさん」と、自然に笑い返してきた。

——俺の造った笑顔とは裏腹に、自然にこぼれる彼女の笑顔。それを見ていると、何故か少し心が痛む。その笑みも、もう見る事はおそらくないのだろう。
俺はそんな思いを胸の中へしまい、さて、と言いながら席を立った。

「さて、そろそろ退室させていただきますね。態々ありがとうございました、ご迷惑をおかけしてすいません。いつもながら美味しかったです」

「いえいえ、貴方の頼みなら仕方ないですよ。またいらしてくださいね、エドワードさん」
———でも、もう来る事は無いんだよな。俺は、貴女に本当の名前さえ名乗った事も無いのに…何故貴女はこんな俺にそんな笑顔を向ける事ができる?

俺は、最後に呼ばれた名前を心の中で繰り返し、心の中で自虐的に笑った。しかし、彼女との別れ際の表情は、またしても完璧なまでの笑顔。そんなはずの作り笑いであったが、何となく自分のその笑みが崩れている事に気が付いた俺は、パッと彼女から顔を背け、喫茶店を後にした。





『流星祭』———神聖な星の神を祭る、国一番の大きな催し。
“魔法水晶”と呼ばれる石を天に捧げ、同時に“永遠の平和”を願う儀式でもある。満月の夜に行われるこの祭りは、国中から人間が集まるので、厳重な警備が施されている。“魔法水晶”には、強力な魔法のシールドが張られており、絶対に一般人が手を触れる事の出来ぬ品物だともいえる。

それもそのはず、その“魔法水晶”は永遠とも呼ばれるほどの、膨大な魔力が宿っているからだ。

——それを手に入れようとせん輩も少なくは無いのだが、警備に『国一の剣使い』と呼ばれる人物も立ち会っている。そして、約100人ほどの警備員が円を描くように“魔法水晶”の周りを取り囲んでいる。さらにそれを囲むように今度は150人がそれを覆うように取り囲んでいるので、儀式の途中で誰かがその石を盗もうとせんのなら、総勢250人+1人に確実に取り押さえられる結果となるだろう。確実に正攻法で手に入れる事などできないのだ。

ある年には、警備員に扮した輩が、5年かけて石を狙ったそうだが———それでも、石に近づくことさえできぬまま御用となったと聞く。毎年必ずその石を盗もうとする輩は何百人といるのだが、全て失敗に終わる。数で勝負しても、すべて魔法で取り押さえられてしまう。警備に当たる人間は、一般人の持つ魔力の何十倍の魔力を持つ者しかなることができないので、当たり前の結果だと言えばそうなる。



俺は、街の中央広場である会場にやってきた。流石に夜の用意の為飾り立てや警備員の配置で、あちこち忙しなく人が行き交っていた。そう言えばぽつぽつ外に出てくる人の数が多くなった。観光客もそうなのだが、ようやく夜店の準備が整ったらしく、今度は外に出て屋台の準備をし始めていたようだ。

俺はそんな光景を目の端で見つめると、今度は中央の催しの会場準備をしているのを見て、己の決意を再び固めた。そうだ、“魔法水晶”は俺等が守なればならない。


———俺たち…いや、“俺”が石を守る。これは俺の絶対的な使命だ。


俺は鋭い眼つきでそれらを一瞥して、そしてその場から去ろうと後退した。しかし、その直後思いもよらない人物に声をかけられる事となる。

「———おい、お前…そこで何をしている?」

————…ッ!?
振り返り相手の顔を見た瞬間、俺は一瞬動きを止めた。“レオン・s・フェレス”…国一の剣使い、その男が訝しげな顔をしながら俺の目の前に立っていたのだ。何故この男が今ココに?警備である夜には姿を見た事はあるが…昼間からまさか出くわすとは思わなかった。しかし、俺でも今までに話したことも無ければ、近づく事さえなかった男だ。

「———国一の剣使い、レオン・s・フェレス様とお見受けしますが…何故に貴殿が今ここに?何時もなら警備の時刻によりいらっしゃるではありませんか」
俺は、至って冷静にそう彼に尋ねた。すると彼は表情を変え「あぁ、何だ警備の者か」と言いながらも、油断の無い瞳で俺を見た。
「実は今年は少し…警備の事情が変わったそうでな。それを聞かされ今、俺もここに出向いた訳だ。———お前も知らされているだろう?」

「ええ、もちろんです。ついに“奴”から届いた訳ですね、“予告状”が…」


怪盗・レイス———有名な大泥棒もとい怪盗だ。予告状の通り颯爽と現れ、風の様に去っていく、まるで幽霊のような怪盗だ。おまけに、魔法を高度に操作し、まったく尻尾を見せない一匹狼などと言われているが、果たして本当に単独行動なのかさえつかめていないらしい。


「———厳重な警備が必要だ、お前も気を抜くなよ」
「えぇ、無論です」
俺はそう言うと、一礼した。そしてレオンが去った後、俺もその場から去った。



“———さて、夜は忙しくなりそうだ。”



改めてそう気を引き締め、目的地へと向かった。

Re: オッドアイの魔術師*第一章 ( No.2 )
日時: 2010/08/30 07:48
名前: 四羅 ◆Z8aKIge5VY (ID: 8I/v6BBu)


目的地と言っても、それは自分の借家だった。今日でこの家ともおそらくオサラバだろうが、何となく愛着があったのであまり離れたくなかったが…仕方がない。
「服、服…あった」
俺は着ていた服を無造作にベッドに投げ、代わりに壁にかかっていた服を手に取った。そして上着も。上着は着ずに、今は手に持っているだけだ。俺は服を着替えると、こう呟いた。


「Fake/out,“return”=all__,,.(嘘は終わり全て元に戻る)」


その瞬間、
黒い何かが部屋を一瞬にして覆った。黒い靄…と言えばいいのだろうか、その靄が部屋を覆った瞬間、『全て元に戻った』。俺が来る前の様に、片付いた小奇麗な部屋に戻ったのだ。


これは、俺が使う魔法の一種で、全てを“偽り、嘘”にして、事実を否定する魔法。
…“幻覚魔法”に類似したものだと思えばいい。


———時刻、4時32分。
あと30分もしないうちに、“流星祭”が始まる。そして“魔法水晶”の儀式は8時。国の一大イベントと言われる祭りなだけあり、さっきまで殆ど誰もいなかった街に人々が集い始め、店には明かりが付き始めた。あと10分もすれば、街中に人があふれ返るほどの人数となってしまう。

「さて…じゃあ俺もそろそろ出るか。“準備”をしないと、な」

祭りに集う人数は、10万人以上と推定されている。その中をかきわけて移動するのは面倒くさい、人がまだ少ないうちに動くのが吉だろう。
俺は独り言をポツリと呟くと、部屋の中を一瞥して扉を開け、その場を後にした。




外に出てみると、さっきとはまるで別の世界が広がっていた。
さっきまで人などほぼいなかったはずなのに、今では最早街は人、人、人で埋め尽くされている。もう少し早く出とけばよかったと、後悔しながら俺は街を歩いていた。

「————それにしても、“流星祭”ってこんなに人が集まるもんなんだな…」

俺は、ふとすれ違う人々を見ながらそう思った。実は、俺はこの流星祭は初めて参加する。というのも、俺はこの街に来て一年も経っていないのだ。なので、知り合いと言えば…喫茶店、『白鳥の湖』のオーナーであるミシェルさんくらいだ。他にも何人か顔見知り入るが——親しげに話すのは彼女くらいだ。

だが、できたら誰とも関わりたくなどなかった。ここに来た時から、今日のこの日俺はココを去ると分っていた。いや、それ以上に関わりたくない理由があった。そう、俺は————…

——と、そこまで考えて止めた。これ以上考えると、感情に流されそうだ。今日の動きに支障をきたす可能性がある、変な事は極力考えない方がいい。

俺は自嘲気味に笑い、近くの開いているベンチに腰掛けた。気が付けば、もう時刻はもうすぐ6時。早いものだ、もう日が暮れて来た。


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