ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- クロイロエンジェル
- 日時: 2010/08/30 18:55
- 名前: 波 (ID: 7GPkHSud)
どうも^^
このシリアス・ダークの投稿は初めてとなります。
どうぞ温かい目でご覧ください。
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- 第一章 黒い少女 ( No.5 )
- 日時: 2010/09/02 20:04
- 名前: 波 (ID: 7GPkHSud)
恩は返す。
リノはそんなことばかりを考えていた。
あの箱菓子クッキーはレアモノで
結構高価なのだ。
それを食べさせてくれたケンイチの恩に報いるためにリノはある場所に来ていた。
そこは・・・・・
《ヤクザ ●●●組》
リノは勘によって
近くのヤクザの本拠地に来ていた。
かなり有名らしい。
「よっ・・・・!」
リノは高い塀を飛び越えて中へ侵入した。
すると思いきり警戒音が鳴った。
ビー!! ビー!! ビー!!
しかしリノはそれにかまわず建物を《素手》で上っていく。
明らかに目立つ黒い服装はすぐにバレた。
ヤクザの人間が外に出てきて
リノに銃を発砲する。
しかしリノには何一つ当たらず
必ずと言っていいほど
リノのそばに当たった。
建物は穴だらけである。
さすがはヤクザの本拠地だった。
ビルっぽい・・・。
5階あった。
リノは涼しい顔をして上っていく。
すると最上階に
他の部屋とは違う窓があった。
中から白いレースのカーテンがあり
女性用の部屋だった。
リノはベルトに装着しているものを装備する。
それは紛れもなく銃だった。
金の装飾がしてあった。
リノは片手で壁につかまりながら
窓を銃で撃った。
パリーンという音がする。
リノは部屋の中へ侵入した。
「————誰?」
中には白いワンピースの女の人がいた。
リノは確信した。
目元があの人に似ている・・・。
「アヤカさんですか?ケンイチさんの妹さんの・・・。」
「・・・・!!はい・・・。」
驚いているらしく
顔が青くなっていった。
「何か用なんですか?こんなに派手にしてしまって・・・。」
アヤカはガラスが割られた窓を見る。
「少し荒療治でしたね。でもいいんです。正面玄関からは絶対に入れてもらえないでしょう?」
「・・・・・それにしても、あなた・・・いくつ?」
アヤカはリノをマジマジと見つめた。
どう見ても15歳ぐらいだろう。
「16です。」
「まぁ若い。私は19よ。」
「知ってます。ケンイチさんから聞きました。」
リノはアヤカの手を握る。
「帰ろうとは思いませんか?」
「帰るって?」
「お兄さん、ケンイチさんのところです。」
するとアヤカは何か迷っていた。
「こんなところから逃げられるわけないじゃない。ヤクザよ、ヤクザ。」
「私が逃がします。」
リノは銃を見せびらかした。
「・・・・・そう。」
するとアヤカは部屋の扉を開けた。
「もう少しでヤクザの幹部達がここに来るわ。一緒に逃げましょう?」
リノは黙ってうなずいた。
そしてアヤカが先に行って何個目かの角を曲がったとき
大勢のヤクザがいるのを見た。
「きゃっ!ヤクザがたくさんいるわ!」
アヤカは叫んだ。
するとヤクザ達は一斉にこちらを見た。
そして一斉に銃をかまえた。
「そちらの娘はなんだ、アヤカ。」
一番前にいた男がアヤカに聞いた。
そこそこ偉い人だろう。
「あ・・・えと・・・・・・。」
アヤカの声が段々小さくなった。
ヤクザはチッと舌打ちをした。
「アヤカ!てめぇ、裏切ったな!」
「うっ・・・・・!!」
アヤカはその場にしゃがみこんだ。
目には涙がたまっている。
「だが、もしも・・・・その娘を大人しくこちらに渡したら許してやる。どうだ?」
「・・・・あ・・・あ・・・・・。」
するとアヤカは震えた手で
リノの手をつかんだ。
「ごめんね・・・・・。」
アヤカはそう言ってリノをヤクザ達の方に突き出そうとした。
「無理しなくてもいいよ。」
リノの異様にに低い声が
建物に響いた。
- 第一章 黒い少女 ( No.6 )
- 日時: 2010/09/02 20:32
- 名前: 波 (ID: 7GPkHSud)
「・・・・・え?」
アヤカは驚いたようにリノを見る。
その目にはもう涙はたまっていなかった。
「最初から演技ですよね?アヤカさん、ヤクザの皆さん。」
「な、なんで・・・・?」
リノはため息を吐き
ベルトから銃を素早い動作で抜き
周りに乱射した。
周りのヤクザ達は倒れる。
「安心してください。これはゴム弾です。」
アヤカは顔面蒼白でリノに軽蔑の視線を送っていた。
リノはアヤカの手をまた握った。
「最初からおかしかったんです。あの時、あなたが部屋の扉を開けたときから・・・・。」
「何が・・・言いたいの?」
「普通、逃がしたくない人には外から鍵をかけようとします。しかしアヤカさんは容易にその部屋を出てしまった。
そして案内。ここに無理やり連れてこられたにしては道を知りすぎてます。・・・・・わざと、たくさんヤクザがいるところに案内しましたね?」
リノが淡々と喋っているのに対し
アヤカは静かに笑みをこぼした。
「うん、そうだよ。・・・私はここに望んで来たわ。」
ケンイチに似た温かい瞳が
醜く歪んだ。
「もううんざりだったの。家もない。金もない。休息もない・・・。すべてから解放されたかった。でも生きるために指に切り傷はできるし、肩や腰も痛くしたわ。」
「それでこっちの世界に?」
「ええ、まあ・・・。きっかけは私が働いていた店に来ていたヤクザ達だった。私の手を見るなり、言ったわ。『こっちの世界の方が楽に金が手に入るぞ。』って。・・・私は同意したわ。そして仲間になった仲間に演技をしてもらい、私は晴れてこっちの仲間入り。」
美しく整った顔からとは思えないほどの
醜い考えが外に出た。
「たくさん話しちゃった・・・。
でも、あなたももうすぐ死ねる・・・。」
アヤカとリノの周りに新しい幹部達が集まってきた。
その向こうには明らかに身なりの違う男がいた。
「あれが私を見出してくれた男の人よ。・・・・見てよ、これ。」
アヤカは左手の薬指を出した。
大きなダイヤの指輪がそこにはあった。
「これ、何カラットだと思う?ふふふ。私、あの人と結婚するのよ。もう貧しい思いなんかしなくてもいいの。」
リノは冷たい目でアヤカを見据えた。
「あの人はあなたのことを心配してましたよ。」
するとアヤカは《我関せず》といった表情で口を開いた。
「私にはいてもいなくてもどうでもいい存在だわ。」
ダダァン!!!!!!!!!!
大きな銃声が響いた。
新しいヤクザもすべて倒れていた。
立っているのは
リノと
アヤカだけだった。
アヤカは倒れた後ろの男に駆け寄る。
「大丈夫!!?」
しかし気絶していた。
「なんなの・・・・。なんなのよぉ・・・あんたは。」
アヤカは化物を見るような目でリノを見た。
リノは虫を見るような目でアヤカを見た。
「あなたはあの人に会う資格もない。」
そしてリノはベルトから二丁目の銃を取り出した。
銀の装飾だった。
リノは試し打ちにその辺の壁を撃った。
ダァン!!!!!!
壁に穴が開いた。
どうやら実弾らしい。
「やめて・・・お願い・・・・・・。
兄にも・・・ちゃんと会うから・・・・・。」
そしてリノは銃を装填した。
「あなたには会う資格がないって今言ったでしょう?」
そしてアヤカの額に銃口を向ける。
「嫌・・・・・嫌ぁあ!!!!!!」
ダァン!!!!!!
ドサッ・・・・・・!!!
後にこの●●●組が襲われたという事件は
新聞の記事に載り、ニュースにもなった。
負傷者30人以上。
死亡者は・・・・・・・
1人・・・。
- 第一章 黒い少女 ( No.7 )
- 日時: 2010/09/04 22:35
- 名前: 波 (ID: 7GPkHSud)
「————おい!速く運べ!通行人の邪魔になるぞ!」
リノにとって見覚えのある場所。
運ばれていく変わり果てた見覚えのある人物。
それをただの通行障害物とみなして
適当に運ぶ人々・・・。
「ケンイチさん・・・・・。」
人々の話によると
ホームレス狩りがここにも来たらしい。
チラリと見えたケンイチさんの顔は
殴られたことによる赤みと
死んだことによる青白さがあった。
リノはケンイチが住んでいた公園の片隅に行ってみた。
しかし何も残されてはいなかった。
すべて掃除されたらしい。
「すみません・・・。
謝るの、間に合いませんでした・・・。」
リノはその場に座り込んでしまった。
「お礼するの、遅れたし、
謝るの、遅れたし、
後、妹さん・・・・アヤカさんを殺してしまいました・・・。
あなたはそんな妹でも会いたいと思われますか?
死にそうになって・・・脅されて・・・・
初めて兄に話すと言う妹でも・・・・・・・・・・・。」
リノは空を仰いだ。
「ねぇ、ケンイチさん・・・・・。
親とか兄弟って・・・
そういうのを許すんですか???
私には理解できません。」
そしてリノは立った。
「お幸せに。ケンイチさん。
そしてアヤカさん。・・・あの世でも、愛されますように・・・。」
- 第二章 氷の華 ( No.8 )
- 日時: 2010/09/04 22:53
- 名前: 波 (ID: 7GPkHSud)
「————くそっ、また繋がんねぇ・・・・。」
電気の付いていない部屋から男の声がする。
「あいつ、俺だけ通信拒否してんじゃねぇか?」
そして男はポケットに通信機らしき物をしまう。
「大丈夫よ。そんなに心配?」
次は女の人の声だった。
女は通信機を少し押して耳に当てる。
ピーッ・・・ガガッ・・・・!
「私のも繋がらないわ。多分壊れてるのね。」
「どうすんだよ。これは携帯代わりだろ?連絡できねぇじゃん。」
「そんなに心配なの?いい加減にその親馬鹿ぶりを直しなさいよ。あの子だってもう16よ。」
「いや・・・そろそろあいつも反抗期だからな。通信拒否にしてたら本当に心配で・・・。」
「あんたと年の差8つじゃない。そう変わらないわよ。」
男はうなった。
「くそ・・・・リノめ・・・・・・・。」
- Re: クロイロエンジェル ( No.9 )
- 日時: 2010/09/04 23:11
- 名前: シュルル ◆RMw3.cMGUE (ID: dBCG1FA1)
- 参照: http://kaki-kaki.daa.jp/bbs_s/view.html?1295342
面白いですね
あと 小説へのコメントありがとうございます♪
更新待ってます^^
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