ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 王女の面影 〜Lost princess〜
- 日時: 2010/09/20 18:04
- 名前: 紅薔薇 (ID: 4jdelmOD)
●。*〜。*○〜●。*〜。○*〜●。*〜
La princesse qui a disparu
初めまして。紅薔薇と申します。
シリアス・ダークといってもほぼ冒険ファンタジーですから、暗い話ではない?と思います。
騎士団の少年が他国の侵略のさなか消えてしまった王女を捜し、海賊とともに旅をする話ですが、彼の行く手にはさまざまな阻むものが現れます。
長編になる予定です。
お暇な時、読んでいただけたら嬉しいです。
第一章 船長と少年 >>1
呪いの島 >>2
呪いの島2 >>3
忍び寄る影 >>4
忍び寄る影2 >>5
甦る涙 >>8
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- Re: 王女の面影 〜Lost princess〜 ( No.6 )
- 日時: 2010/09/14 22:16
- 名前: 葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: NRAsdfzb)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
面白いですね*
更新待ってます。
- ありがとうございます ( No.7 )
- 日時: 2010/09/17 19:53
- 名前: 紅薔薇 (ID: 4jdelmOD)
お返事が遅れて申し訳ございません。
気に入って頂けたようでとても嬉しいです。
よろしくお願いします!
- 甦る涙 2 ( No.8 )
- 日時: 2010/09/20 18:05
- 名前: 紅薔薇 (ID: 4jdelmOD)
ハルトは喉の渇きに耐えかねて、木漏れ日の下で立ち止まった。すでに髪の毛はぐっしょりと濡れている。ハルトは腰に下げていた水袋を口に押し込んだ。
生ぬるい水が喉をつたってゆくが、今の彼にはそんなことはどうでもよかった。水だったらなんでも良かった。ハルトは一気に飲み干すと、手の甲で口元をぬぐった。 「暑い……」
ハルトはゆっくりと腰掛けた。ぐっしょりとした背中に固い木がくっつのは、あまり気持ちの良いものではなかった。そばに落ちていたクリコの実を食べ、ハルトはため息をついた。
「一体、天犬はどこにいるんだ」
もう天犬を探して数日は過ぎただろうか。だがそれだけ希望が消えようとも、彼の決意が揺るぐことはなかった。
ハルトはゆっくりと地図を見下ろした。今はクルール山のふもとのクラリスカ森林にいる。近くに湖らしきものはない。池すらない。あるのは無限に続く木達と、残酷なまでの暑さと喉の渇きだった。
クルール山は見かけは美しいが、行ってみると恐ろしい寒さがまっているとベルナに言われた。彼は子供のころクレナ島の近くのペスタリカ島にいたというから、本当のことなんだろうとハルトは信じ、防寒用具を多数もってきたが、今は見るだけでも暑苦しくなってくる。
「今日はもう帰るか……」
ハルトは苦しそうに空を見上げ、瞳を閉じた。汗がじわりと目にしみこんでくる。ぎらつく太陽のほてりも残る。彼はゆっくりと深呼吸をした。
*
途中、急に雨が降り出しハルトは急いで岩の下へ駆けていった。雨は一向にやまず、ますますひどくなるばかりだ。太陽がいなくなったのは嬉しいが、蒸し暑さが代わりに彼を襲ってきた。
もはや汗と雨が区別がつかなくなっている。ハルトはあまりの気持ち悪さにブルッと体を震わした。
「ラスターは僕を待っているかな…」
ハルトは岩の下に寝転がりながら、船長の顔を思い浮かべた。雨音とともに彼の横顔が甦る。少しばかり懐かしさを感じたハルトは静かに目を閉じた。
*
ふいにハルトは目を覚ました。
彼は雨がやんだのを知り、そっと岩の下から這い出た。驚いたことに、周り一面が鮮やかな花畑になっていた。まるで魔法のようだと感じながら、ハルトは一歩踏み出した。その時、誰かに腕をつかまれた。
「ハルト」
懐かしいその声に、彼はゆっくりと振り返った。そして、ハッと息を呑んだ。そこには、前の夢に現れた美しい少女が立っていた。前までは子供らしさがあったのに、もうすでに彼女はハルトと同じくらいの背になっていた。きらめく金髪も腰ぐらいまでにのび、頬も薔薇色に染まっていた。彼女は恥ずかしそうに微笑んだ。
「やっと会えたね。ハルト。貴方、とても……」
ハルトはすべてを忘れて少女を抱擁した。あの時と同じだ。夢の中で彼女を抱いた時のぬくもりと。ハルトは心に染み込んでくる温かい感情に思わず涙を流した。
いつのまにか、少女も涙を流していた。
「とても……。とても、美しいわ」
ハルトは優しく呟いた。
「君もだ……。どんなに君を捜していたか」
彼が体を離し、少女に向かって微笑むと、少女は急に怯えたような表情になった。そして、急に俯いてしまった。ハルトは驚いて笑顔をくずした。
「……ごめんなさい。本当に。私、今はこの世界でしか………」
彼女の一言で、花たちが一斉に黒くしおれていった。空は闇色に変わり、灰色の雲が重くたれこめていた。花たちの代わりに、するどい荊のしげみが、いつのまにか二人を囲っていた。ハルトは思わず後ずさりした。すると、彼は少女が消えかかっているのに気付いた。
少女は一筋の涙を流し、弱々しい手つきでハルトに抱きついた。そして、蚊の鳴くような声で囁いた。
「…私……あな…た……に」
ハルトは消えかかる彼女を懸命に抱きしめていたが、彼女は最後まで言い終わらずに、消えてしまった。
「ア…アリアナ……!!!!アリアナ!」
ハルトは、哀しみを抱き、虚しい叫びと共に闇の中を落ちていった。
- Re: 王女の面影 〜Lost princess〜 ( No.9 )
- 日時: 2010/09/17 20:59
- 名前: ラズリ ◆0Co7TLOMuU (ID: 7K.EniuH)
こんばんは。
小説読ませて頂きました。
表現とか、上手ですね。
台詞が最初に書いてあるのが、いいです。
頑張ってください。
- Re: 王女の面影 〜Lost princess〜 ( No.10 )
- 日時: 2010/09/17 21:37
- 名前: 紅薔薇 (ID: 4jdelmOD)
もう来てくださったんですね!
有難うございます。
なんだかダラダラと長い文ですみません。
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