ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 「危険空域」 —オリキャラ募集中—
- 日時: 2010/09/19 06:45
- 名前: agu (ID: zr1kEil0)
ま た つ く っ ち ま っ た。
すいません、本当にすいません。
謝罪いたします、本当に申し訳ない。
でも頑張ります((
いや、本当に最近スランプなんですよ。
スパイも群青も書く気にならなくて……
そしたらもっと単純な世界観で、爽快な物語を書きたいなァーと思いまして。
結果は「空の物語」
つまり戦闘機を駆り、ドックファイトを繰り広げるんです。
これは良いかなと思いました、
後、空さんの小説とジャンルは被っております。
この場を借りて謝罪を。
ついでに戦闘機の種類はレシプロ。
今のジェット型ではなくプロぺラです。
*
>>1 オリキャラ用紙
*
【航空傭兵】
>>3 「リメンエン・ジュヴァイル」
>>6 「フランコ・オーエン」
>>12 「エリー・サーティス」
【国軍所属】
>>9 「柏原 志雄」
>>11 「ヨウタロウ・ウミノ」
*
一話>>2
二話>>5
三話>>8
四話>>14
【国について】
この世界は架空の、つまり異世界ですので実際にある国は色々と形を変えて登場します。
*
「アメリカン・ニューコンチネンタル」
リアルで言うアメリカの事です。
世間的にはアメリカとして知られています。
「イギリス・ブリテン連合」
英国、イギリスの事です。
世間的にはイギリスとかブリテンなどで知られています。
ほあた☆とかやる人はいません、念の為。
「プロイセン・ワイマール同盟」
ドイツです。ええ。
世間的にはプロイセンとかワイマールとかで知られています。
「シェルブール共和国」
フランスの事です。
世間的にはシェルブールとかそのまんま東です。
「モスクワ・コサック連邦」
ロシアの事です。
世間的にはモスクワとかコサックとかそのまんm(ry
「日本大東亜帝国」
ジャパンです。
世間的には日本とそn(ry
*
代表的な大国たち。
これはあくまでモデルです。
地球とアヴァロン大陸はもちろん地形が違いますから、
名前がたまたま同じもしくは似ていただけです。
……信じてくれってたら!
- Re: 「危険空域」 —オリキャラ募集中— ( No.14 )
- 日時: 2010/09/17 19:04
- 名前: agu (ID: zr1kEil0)
ここは宿舎のロビー。俺達は現在カードに興じている。
休息は大事だ、俺達は自由の子らだが、だからと云っていつまでもあの空にはいられない。
精神があの大空を求めていたって、身体がそれに付いていってはくれないのだ。
「ストレート」
ふと、聞こえた声。
テーブルを見てみるとオーエンが広げたカードが見える。
ああ、確かにストレートだよ。クソッタレ。
「負けたよ、ダンディ」
マークは降参だという風に両手を挙げた。
俺の役は3カード。残念ながらこれで終いだな。
ポイッとカードをテーブルに投げ捨てる。さァ、敗者を笑えばいいさ。
「3カード、あんたの勝ちだ」
オーエンは肩を竦めると、微笑しながらマークと俺の金を奪い去っていきやがった。畜生。
そんな不幸な時には更なる不幸が重なるもんだ。
俺がゲーム中に飲もうとテーブルに置いてあったマグカップに、ピシッという音ともに亀裂が入った。
嗚呼、神よ。貴方様は随分と悪趣味なご性格をしてらっしゃる様で。
マークは静かにくつくつと笑っている。野郎、そういうのが一番頭にクルんだよ。
オーエンは……少し不安げな青ざめた顔で俺を、いや俺のマグカップを見つめていた。なんだ?
「<ブルース>、どうした?」
あえて名前ではなくTACネームでオーエンを呼ぶ。
コイツのこんな顔を見たのは、あのラインラント沖の激戦以来だ。
俺が質問すると、オーエンはその不安げな表情をすぐにくるりと変えて、いつもの不適な微笑に戻った。
「いや、な。俺の国では“そういうのは”昔から不吉の象徴だって言われてもんでな。ちょっと警戒しちまっただけだ」
「おいおい、こんな亀裂が何だ。そんな迷信にいちいちビビるなんてオーエン、お前本当にあの“コンドル軍団”出身者かァ?」
コンドル軍団、あの“東部内戦”で大活躍した戦闘機部隊だ。
30人の正規兵と12人の航空傭兵を有したこの部隊は正に縦横無尽に空を舞い、蝿を叩き落とすが如く敵機を蹴散らしていったらしい。
「抜かせ、今度お前の前でシェルブール空軍お得意の曲芸飛行でもやってやろうか?」
「それは勘弁願いたいね。なァ、<ブレイズ>」
「俺に振るんじゃねえよ、<カウフマン>」
こういうバカ話は出撃前や戦友を失った時の不安、悲しみを和らげてくれる。
俺は別に信心深くも無いし、神様なんてそこら辺のクソと同じぐらい興味が無い。
だが、不吉だなんだというこんなくだらない話でも、飛行機乗り達の心に不安を植えつけるのは充分だ。
そういう精神的なものでダウンする奴もいるし、実際それで墜ちた奴もいる。
オーエンには正直、まだ死んで欲しくは無い。まだ貸した金も返してもらってないしな。
そんな事を俺の脳味噌が思考していた時、宿舎内に設置されたスピーカーから、半ばやけっぱちにも思える重々しい声が轟く。
『全パイロットに告ぐ!至急ブリーフィングルームへ集合せよ!繰り返す!全パイロットに告ぐ!至急ブリーフィングルームへ集合せよ!」
この放送の途中から、基地には“第2種戦闘配置”を知らせるサイレンが鳴り響いていた。
飛行ロッカーに走るパイロット達で宿舎内は慌しくなる。
無論、俺達もマークがテーブルを蹴っ飛ばしたのを合図に、ロッカーに走った。
自分のネームプレートが貼られたロッカーを開けると、手早く飛行服と飛行帽を着用する。
そのままの勢いで他のパイロット達と共に、ブリーフィングルーム、作戦会議室に直行した。
邪魔な障害物にはひと蹴り食らわし、それぞれの役目を果たす為に走り回る整備員や防空隊員達から頑張ってこいよのと励ましの言葉を受けながら、やっと目的地に到着する。
目の前の扉を開ける。ここからは紳士的に、だ。
他のパイロット達とは一緒にならずに、俺達航空傭兵は最後部の席に座る。
今日は運が良い、隣には女の子だ。その顔を確認するべく、俺は目を走らせた。
藍色のポニーテール。<ローズガール>だ。俺は軽く口笛を吹くと、彼女に話しかける。
「やぁ、あの日以来だね。<ローズガール>」
ローズガールはこちらをチラッと見ると、渋々と口を開いた。
「……ええ、そうですね。<カウフマン>」
相変わらず無愛想だな。笑えばさぞ可愛いだろうに……
まぁ、いい。そっちがそういう態度なら少々強引な手で行かせてもらう。
「TACネームが分かった所だし、さてさて本名でも教え合おうじゃないか。俺はトモヤ・ガーランド。君は?」
彼女がそれに疑問を呈する前に、あるいはすぐにあしらわれない様に俺は早口で名前を言った。
俺の予想が正しければ、ローズガールは断れないはずだ。
案の定、彼女は反論を挟もうとする前に早口で言われてしまったので、開きかけていた口を閉じるしかなくなった。
ニヤニヤと笑う俺に溜息を吐きながら、何処か呆れた口調で俺の要求に答えてくれる。
「はぁ……貴方はまったく……私はリメンエン、リメンエン・ジュヴァイル」
「ヒュウ、エキゾチックな良い名前だ。西方民族の血でも入ってるのかな?」
「知りません、父はプロイセン人ですし、母はイギリス人です」
「ふ〜ん、それにしては何というか、随分鮮やかな藍色の髪だと思ってさ。プロイセンにもイギリスにも、そういう髪色は珍しいよ」
「そうですか……担当官が来られましたよ、前を向かれては?」
フフン、幾らかお近づきになれたかな?
本名が聞けたんだから大きな一歩、そう信じたい。
ついで担当官は頑固一徹アーサー・へミングウェイ中佐だった。
彼はテキパキと動き、大きなホワイトボードにこれまた巨大な地図を貼り付ける。
そして中佐は説明を開始した。
「本日、ヒトフタマルマル時、エイーザル高原にて味方偵察機が敵航空部隊を発見した。編成は少なくとも大型爆撃機が3機、護衛戦闘機が14機存在すると思われる。今の所、敵航空部隊は針路をここ、ウェイキング飛行場に向けている。狙いは明らかだ、我々の住処を爆撃し航空優勢を奪うつもりだろう……諸君らの任務はこの爆撃機だ。このデカブツは腹に大きな爆弾を抱えている、動きは鈍いぞ。弾丸をどてっぱらにかましてやれ……出撃だ!」
その言葉と共にパイロット達が示し合わせたかの様に一斉に立ち上がった。彼らは一つしかない扉に早足で向かう。
相変わらず無駄な台詞は一切無いな。こちらとしても大助かり————
座り心地が悪い椅子から立ち上がる。さぁ、ペイバックタイムだぜ。
- Re: 「危険空域」 —オリキャラ募集中— ( No.15 )
- 日時: 2010/09/19 13:28
- 名前: agu (ID: zr1kEil0)
死と自由が同一視された時、その文明は加速度的に周囲を巻き込みながら滅亡していく。
ブリテンの哲学者、チャールズ・ニューマンの言葉だ。
何故こんな言葉が急に出てきたのかは分からない。
ただ、この蒼穹の中に舞う、所詮小鳥たちでしかない私達は何か履き違えている。そう感じるのだ。
門外漢であると断じる訳ではない、それは違う。ただ、小さい頃夢見た『飛ぶ』とはどういう事だったろうかと。
それを追い求めて、私は空軍に入ったのだから、そろそろ誰かから返答があっても良いのではないかと思う。
「・・・・大・・・大尉………大尉!」
ハッとその声に気づかせられる。無線から大きな濁声を晒しているのは熊谷中尉だろう。
私は急いで無線機を手に取ると、彼に対して返答を開始した。
「中尉、どうした。何か見つけたか?」
「どうしたもこうしたもありませんや、さっきから何回も呼びかけているのに返答は一切無し。心の臓が止まっちまったのかと」
彼のその物言いに、半ば呆れた様な感情を読み取る事が出来た。
……どうも最近こういう事が多い様だ、自分でも自覚しているのだがどうにも出来そうに無い。
まだこんな歳から痴呆病には罹りたくないものだが、さてさてどうして。
「すまんな、熊谷中尉。どうも脳味噌が言う事を聞いてくれんのだ」
「がははは、下手に哲学だの文学だのの知識を頭に詰め込むからですぜ。俺達にとっちゃ、墜とすか墜とされるか。それだけでしょう?」
「おいおい、そんな事言うなら君は一年中そのコックピットで暮らし、ずっと空の事を考えているつもりか?……大した空戦狂だな」
「地上は窮屈、俺達ちゃ空の子」
そう言って無線を切った熊谷中尉。
思えば、彼とは訓練校時代から一緒だった———
いかん、いかん。このままではまた熊谷中尉に怒鳴られてしまうな。
私は操縦桿を固く握ると、強くひたすらに強く、操縦席を覆う天蓋の外に広がる雲を仰ぎ見た。
まるで飛行船の様な形をしているのも、更にして大蛇を彷彿とさせる物まである。
空は良い。
「全機、お喋りの時間はお終いだ。もうすぐ“ク‐233”地区に到着する。警戒を怠るなよ」
編隊長である狭間中佐の声が聞こえてくる。
彼はとても優秀なパイロットだ————少なくとも私の知っている限りでは。
「了解」
素っ気ない返事を返すと、まぁ他の機も似たようなものだが、私は自分の感覚を研ぎ澄ました。
まだ墜ちる訳にはいかない。まだ生きていたい。まだこの大空を飛んでいたい。
敵さんには悪いが、高原の土になって貰うとするか。
*
空は良い、最高だ。
穹窿の中に踊り雲海を突破する俺達、航空傭兵の故郷。
死に場所を決めることが出来るのならば、俺は一瞬も迷わずこの大空を指すだろう。
要するに、空に笑い、空に怒り、空に泣く。これが俺の人生の全てであって欲しいと言う事さ。
そしてもうすぐだ。俺達の家を爆撃しようとする、不届き者どもを叩き落すのは———
「ヘイ、バディ!“お客”を目視した。あの入道雲に沿う様に飛行してやがる」
マークの声が無線機から俺の耳へ届く。
正面の入道雲、キャノピー越しに“それ”を凝視する……確かに黒い点がいくつか不規則に並んでいた。
「良く発見できたな、褒めてやるよ……さて、裏のウスノロ共に言伝をお願いするぜ。<ローズガール>」
「分かりました………それとあまり気安く声を掛けないでください、<カウフマン>」
彼女は航空傭兵専用に設けられた回線を切ると、味方編隊長機の周波数に向けて通信を行った。
相変わらずキツイ女性だが、またそこが良いんだ……勘違いされない様に言っておくが、俺はマゾじゃないからな。
リエンメンの上品な声が、編隊長のグリッソム少佐に現在の状況を伝えている。
少佐は2、3返答して無線を切った。クソッ、何か話してるのは分かるんだが、俺の機体はそこまで無線設備が整っちゃいない。
雑音混じりにしか聞こえないのはまったくもって不便だ。基地に帰投したら、取り替えようか?……そんな金は何処にも無いぜ、貧乏は辛い。
「編隊長の命令です————このまま前進し、敵航空部隊を強襲。その後、味方戦闘機部隊と共同して事に当たれと」
「それなら俺が先頭に行かせて貰う。最近は護衛任務ばっかりで、暴れたりなかったところなんでな」
「ああ、好きにしてくれ。<ブルース>。俺じゃ今回は役不足だ」
「心にも無い事を平気で言えるお前を尊敬するよ。<ブレイズ>」
こんな軽口を叩いていても、しっかりと分かる。全員の興奮、そして恐怖。
だからこそ信用できる。だからこそ愛着が沸く。だからこそ憎しみが沸く。
さぁさぁ。今の俺たちは鷹だ。獲物を狙い済まし、好機を待っている。
<ブルース>のエル・フォークが俺達を追い越していく。
さて、こちらもだ。レバーを倒し、機器を操作。頭はアドレナリンで一杯になり、戦闘状態に切り替わる。
雲が段々と近づく。黒い点はもはや点ではなく、ちゃんとした飛行機なのだと認識できる位までになった。
機銃のボタンに親指を掛ける、周りの喧騒は何も聞こえない。
交戦規定はただ一つ————
生き残れ。
- Re: 「危険空域」 —オリキャラ募集中— ( No.16 )
- 日時: 2010/09/20 23:06
- 名前: agu (ID: zr1kEil0)
雲の隙間で、何かが光る。
この瞬間、勘の良い者はすぐに機体を反転させたが、まだ経験が浅い新人や、発見が遅れた者達は何も出来なかった。
光から少し遅れて、幾つかの戦闘機に機銃弾が突き刺さる。
志雄は周囲の味方機から火が挙がるのを見るや、すぐさま僚機に指示を出した。
「敵襲!全機散開せよ!」
彼自身も操縦桿を動かし、巧みに回避運動に移る。
(まずは攻撃を避けなければ……近くの雲の中へ退散するとしよう)
志雄は自らの搭乗する九七式戦闘機を直ぐ近くにある入道雲に突入させる。仄かに薄暗いその内部で、彼はまた機体を反転させた。
操縦桿を強く倒し、引っ張る、すると機体は上手い具合に左に旋回し、護衛対象の待つ天海へとその針路を戻す。
そして、彼の機体が勢い良く雲から突き抜けた。
志雄はすぐさま周囲に目を巡らす、索敵の遅れは命取りとなるからだ。
味方機は大分その数を減らし、守るべき四発爆撃機「富嶽二式」の内、一機はその翼から火が噴出している。
相手はどうやらかなりのやり手のようだ————志雄は自分の心が滾るのを感じる。
(やはりうだうだ言っていても、俺は戦闘機乗りなのだな)
彼は不謹慎と思いながらもその笑みを止める事が出来なかった。
敵機は凄まじいスピードで旋回や急降下、挙句の果てにはもはやアクロバット飛行にしか見えない機動を取るなど、やりたい放題だ。
味方機はその動きについて行く事が出来ず、いつの間にか後ろを取られているという有様。
一刻の、猶予もない。
「私一人で何が出来るか、是非に試してみようと思う」
志雄は無線に向けて、そう一人ごちる。すぐさま無線から返答が帰ってきた。
「大尉殿!!蝿どもをさっさと追っ払ってください!ケツがむず痒くてしかたねえや」
熊谷中尉の下品だが、何処か余裕を感じさせる声に、彼は浮かべている笑みを一層深くする。
志雄の口はすでに三日月型になっている、それは見たものに“死”を連想させる物であった。
彼の唇から“詩”が紡がれる。
「進みては死ぬは この身の誉れ いざ玉と砕けよ」
「鉄獅子がいわんや 英雄の空は一切の拒絶を受け入れぬ」
「篤く敬神の誠を捧げ 克く尽忠の大儀に徹し」
「不自由は常なるを 身を持するに冷厳」
“変幻自在の英雄”は今は無き戦友から付けられたその名の重みに答えるべく、操縦桿を改めて強く、強く握る。
彼の視界はすでに敵しか捕らえていない。狂気と理性の狭間にはある種の高揚作用があるのかもしれなかった。
「大空に散るのも悪くない」
何時か呟いたその言葉が、確かに頭の中でリピートされた。
- Re: 「危険空域」 —オリキャラ募集中— ( No.17 )
- 日時: 2010/09/20 23:13
- 名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: Da9K.gCv)
おお・・・志雄かっけえ・・・。
私なんぞのキャラを使っていただき、ありがとうございます。
- Re: 「危険空域」 —オリキャラ募集中— ( No.18 )
- 日時: 2010/09/20 23:21
- 名前: agu (ID: zr1kEil0)
>>17
いえいえ、大尉は唯一の日本空軍所属ですから。強くなるってもんですよ。
旧式の戦闘機で最新式の欧州の白人連中に立ち向かう大尉。
これから、日本空軍の意地を見せ付けますよ。
この掲示板は過去ログ化されています。