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記憶の果てに見えるもの
日時: 2010/09/19 12:11
名前: 巳津奈 (ID: lBLhZkyQ)

初めましてこんにちは^^
巳津奈みつなといいます。
ド初心者ですが、頑張ってのんびりと更新しようと思っています。
温かい目で見てやってください;

さて、ここからは注意です!!必ず読んでいただくよう、よろしくお願いします。


・荒らしは厳禁。スレッド内での喧嘩、無関係な宣伝等もやめてください。
・この小説では、病名などが出てきますが、これは巳津奈が勝手に考えたものであって、実際に存在するわけではありません。
・この小説に登場する人物、団体は架空のものです。



よろしいでしょうか?
ではお進みください!!



*オーリーキャーラー!!募集!!*

ちょい早いかもしれませんが、キャラを募集します!!
戦える人でもフツーの村人でもOK!


—————募集用紙—————

名前&苗字:(和名ならフリガナも)
性別:(♂or♀)
年齢:(5〜50歳くらいまで)
容姿:(髪型や服装、目の色など※美化はしないでください)
性格:(なるべく個性的に(笑)
備考:(主人公との人間関係など)
この小説に対するコメント:(空白でもOKです。罵倒などはやめてください)

——ありがとうございました!!——


()は消してもかまいません^^

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Re: 記憶の果てに見えるもの ( No.8 )
日時: 2010/09/19 00:49
名前: 巳津奈 ◆jUeIaTa9XQ (ID: lBLhZkyQ)

「いやー、結構、楽しかったなー」

青年、クレーディア・レッドムーンことクレイが、街を外れた林を歩いていた。


「うーん……しっかし随分と……」




「お前にしては長居をし過ぎたな」





「む」

クレイの真横から、女の声が聞こえた。
見ると、勾玉を首にぶら下げた白い小さな犬が、クレイの肩にちょこんと乗っかっていた。


「リッダ」

「ただ飯に5年間もありつけたのはありがたかったがな」

「……それ、神従獣のいう台詞かよ」


リッダと呼ばれたその犬は、欠伸を一つして続けた。


「フン。神に仕えるだけが私の役目ではない。私だって腹は減る」

「よっくゆーよ」


堂々としたリッダの言葉に、クレイは呆れ気味に溜め息を吐いた。


「それにしてもいい人たちだったなー、あのじいさん達。多分、オレらの正体に気づいてて住ませてくれたっぽいし」

「……そうだな」

「オレもあのじいさんみたいに長生きしてーな。こんな体だ。無理かもしんねーけど」

「何を言っている。あんな馬鹿みたいな量のゲドラバーナーを体に閉じ込めといて、馬鹿みたいにもう10年も生きているではないか。お前のその馬鹿みたいに図太い精神を持ってすれば、あと100年は生きられるのではないか?」

「馬鹿は余計だ」

「だが忘れるなよ」

「ん」

「ゲドラは“人の精神を喰って”人を殺す。お前が人の感情を持ったが最後。……ゲドラに喰われてお前は死ぬ」








「お前に感情を持つことは許されない。もしお前が他人に対し同情や私情を持ったとき……迷い無く私がお前を殺す。……それが私の役目だからな」



「……ははっ」


ゲドラに感染した人間の最期。

それは理性を失った獣のように闇に堕ち、

悪魔のように全てを傷付けようとする

感染はせずとも、それで命を落とした人間は何人もいたという。


「お前は特に、尋常では無いほどのバーナーを体に宿している。お前が心を持ったばかりに、どんな犠牲を払うか分からない。だから私が何の犠牲も出さぬよう、楽に殺してやるから安心してよいぞ」

「はは……笑えない」

Re: 記憶の果てに見えるもの ( No.9 )
日時: 2010/09/19 11:23
名前: 巳津奈 ◆jUeIaTa9XQ (ID: lBLhZkyQ)

「———!!」

「—————!!!」


「……ん」

暫く林の中を歩いていたクレイとリッダ。
鳥の声や、葉のすれた音に混じり、違和感を覚える音が聞こえる。



「なあリッダ。何か聞こえね?」

「ふむ」


これは間違いなく人の声だ。
数人の男の怒声。そして一人は女の声。
女の声は酷く怯えているようだった。


「行くぞ、リッダ」

「お前、私の話を聞いていたか?お前は——」

「オレに迷惑!!うるさくて敵いやしねー」

「……はぁ」




「こ……これは質に出すものなんです……!!だからっ……渡すわけには……っ」

「うるせぇクソアマ!!命が惜しけりゃ、その布っきれよこしやがれ!!」

「いやっ……!!」


女は、一つの袋を抱えた腕に力を込める。


「テメェ……殺されてぇらしいな」

「っ……!!」


男が懐から銃を抜く。


「ひっ……!!」


「俺たち山賊に逆らった罰だ。あばよ」


引き金に指をかけた。女は涙を浮かべて目を伏せる。
と、その瞬間。


「とうすっ!!」


———バキッ!!———


「ハガッ!!」

何かが男の顔にめり込んだ。
これは間違いなく……人の足。

男は気を失い、体を地面に叩きつけた。


「っ……!?」

「だっ……誰だテメェ!!」


綺麗に着地したその青年はクレイだった。


「誰だテメェは!!と聞かれったらー。何てね」

「女子相手に随分と物騒な物を出すのだな。まったく。この国の将来が心配だ」


気絶した男をさらに踏みつけるクレイ。
結構ヒドイな。


「あははー、ヒドイ顔ー」

「餓鬼が……こんなことして唯で済むと思ってんのか?」

「んー」


周りに居た男達の声で、クレイは顔を上げる。
見回すと、サーベルを構えた男らが、クレイを囲って睨みつけていた。


「おいおーい。最近の山賊は怖いねぇ。子供相手にそこまでするかい?オレ一応、か弱い青少年なんだけど」

「か弱い青少年は山賊の顔面に飛び蹴りなどせんと思うが」

「テメッ。余計な事言うなよリッダ」

「にっ……逃げてください!!このまんまここに居たら……殺されっ……!!」

「やーだね」

「なっ……」

「ざっと10人くらいか……これじゃー唯では済みそうに無いけどね」


背負っていた大剣を、面倒そうに構える。
その大剣にはぐるぐると古びた包帯が巻いてあり、刃は見えない。


「……!!おいクレイ」

「大丈夫だよ。殺しはしない」

「殺れ!!」


一人の男の掛け声を合図に、林は修羅場と化した。

Re: 記憶の果てに見えるもの ( No.10 )
日時: 2010/09/19 11:48
名前: 巳津奈 ◆jUeIaTa9XQ (ID: lBLhZkyQ)

———ドゴォ!!———


鈍い音が響いたかと思うと、今度は人の倒れる音。
そして林を沈黙が襲う。全てが終わったようだった。


「……!!」

「ほーらね。唯では済まないって言ったでしょ。……
あんたらが」


大剣を収め、呆れ顔で溜め息を吐くクレイ。
ついさっきまで威勢よく襲い掛かってきた男らは、様々な場所に傷を作りながら倒れていた。


「まったく……そういう貴様こそボロボロではないか。腕が鈍っているぞ」

「ちょっと平和ボケしすぎたかねぇ……気ぃつけるか」

「あ……あの!!」

「んー」


しばらく唖然としていた少女が、慌ててクレイに声をかけた。


「た……助けていただいて……ありがとうございました!!わ……私……何も出来なくて……」

「構わん。この馬鹿が勝手にやった事だ」

「馬鹿いうな」

「あの……」

「あーいいよお礼なら。三泊四日三食おやつつきならありがたいけど。今、家無いからさ」

「本音が駄々漏れなんだが」

「い……家……ないんですか?」

「え?」


彼女の驚いたような問いかけに、リッダは不審そうな声をあげる。


「なら……構いません。助けていただいたお礼として……」

「え。マジ」

「あ、でも……二食おやつぬきですけど……」

「(さっきの条件、本気だと思っているのか……?)構わん。泊めていただけるだけありがたい」


「えー!?」と、嫌そうな声を上げようとしたクレイの顔を後ろ足で蹴飛ばし、リッダは深々と辞儀をした。


「お前。名は?」

「あ……私はリンと申します」

「そうか。リン。世話になる」

「オレはどっちかっていうとおやつはあった方が……」

「貴様はいい加減、殺すぞ」


リッダが毒を吐くと、リンは「あ!!」と思い出したように声を漏らした。


「何だ」

「犬が……喋った」

「「今さらかよ」」

Re: 記憶の果てに見えるもの ( No.11 )
日時: 2010/09/19 13:01
名前: 巳津奈 ◆jUeIaTa9XQ (ID: lBLhZkyQ)

「クレイさんと……リッダさんですね」

「おう」


クレイたちは林の中を歩き続ける。


「それにしても……こんな林の中に家などあるのか?女子の住む家にしてはずいぶんと危険だな」

「そーそ。またあんな山賊に絡まれて面倒なことになるぜ?」

「目立たない場所にあるので……用心棒もいるし」

「用心棒」

「あ、着きました。ここです」


リンの指差す方向を見る。
すると……。


「……ボロい」

「貴様は喋るな!!……すまんな。不躾なことを言って」

「ふふ……」


リンは苦笑し、家に近づき裏へ回った。
開いたままの戸。そのせいで家の中は丸見えだった。


「随分と無用心だな」

「ただいま!!ポチ!!」

「ポチ?(さっき言ってた用心棒……犬か何かか?)」


クレイも同じく裏へ回ると……。


「グルルルルル……!!」

「「…………!!」」

「ごめんね!!お腹空いたよね!!すぐ綱を解くから!!」


クレイたちが絶句する中、リンが涼しい顔で接しているのは……。


……巨大なクマ。


「(……何の冗談だアレは)」

「(ていうかポチて。クマの名前がポチて)」

「……よしっ解けた!!いってらっしゃい!!」

「グルル……」


リンがクマの首にかかっていた縄を解くと、そのポチと呼ばれたクマはどこかへ歩いていってしまった。


「今日は何獲ってきてくれるかな……この前は鮭だったっけ」

「……なあ。あれが用心棒?」

「あ、はい!!熊のポチです!!小さい頃からずっと一緒で……可愛いでしょう?よく自分の餌を獲るついでに、夕飯も持ってきてくれるんです」

「……あんた自身がアレの餌にならないことを祈るよ」

「え?何の話ですか?」

「…………」



陽はもう沈みかけていた

Re: 記憶の果てに見えるもの ( No.12 )
日時: 2010/09/19 21:36
名前: 巳津奈 ◆jUeIaTa9XQ (ID: lBLhZkyQ)

「ど、どうぞ!!かけてください!!何も有りませんけど……ゆっくりしてくださいね!!」

「悪いね。じゃ、遠慮なく」


家の中央にあるテーブルの椅子にかければ、ギィ……と鈍い音がした。


「しっかしこんな街外れの林の奥で、女の子一人がねぇ……よく暮らしていけんな」

「ポチのおかげで食料にも困りませんし……危険なこともありません」

「ふーん……」

「クレイ」


ずっとクレイの肩に乗っていたリッダは、ふと机に飛び乗った。


「お前も食料を探して来い。どうせ暇だろう」

「あ?何でだよめんどくせー。あのクマに任せりゃ……」

「働かざる者食うべからずだ。とっとと行ってこい」

「……ったく」


面倒そうに肩を叩き、クレイは部屋を後にした。


「あ……!!この先に川があります!!」


リンがクレイに向かって叫ぶと、クレイは振り向かぬまま手をヒラヒラと振った。


「心配です……迷ったりしないかな……」

「平気だ。アイツは見た目は馬鹿だが、道は忘れん」

「はあ……そうならいいですけど……」


しばらくの沈黙に包まれるが、先に口を開いたのはリッダだった。


「お前……両親は」

「……亡くなりました。10年ほど前に」

「……!!まさか……ゲドラ感染者か」

「はい……」


俯いたリンの表情は笑っていたが、その目は悲しみを帯びていた。


「私が五歳のときです。感染した一ヵ月後に……この家で」

「(……五歳……)」


リンの言葉で、リッダの頭にクレイの顔が浮かんだ。
クレイが母親の死に出会ったのも丁度そのときだった。


「たまに……分からなくなります。私は生きてて……どうして母と父が死んでいるんだろうって……」

「……」

「この十年間……ずっと一人ぼっちでした。周りに人もいない。生きていく目的も目標も無い。もう……疲れちゃったなって……」

「……」


リッダはただ、リンの言葉に黙って耳を傾ける。


「あ……すみません!!何か……暗いことを言ってしまって……」

「……クレーディア・レッドムーンを知っているか?」

「えっ……」


リッダの突然の質問に、リンは一瞬言葉を詰まらせる。


「勿論です。十年前……実験に選ばれた男の子」

「その男はまだ生きている」

「……!!」


リンは目を見開いた。


「知り合いから聞いた話でな。男は実験の後、お前と同じで母親の死を見てしまった」

「……!!そんな……ゲドラにかかった状態で……!!」

「普通の人間なら、見たとたんに神経を食われて死んでいるか、その前に自分で命を絶つかだ。当然だ。そのことを“一生忘れる事ができない”のだからな」

「っ……」

「だがな、その男は人としての全てを捨てた。そして生きる事を決めたんだ」

「人としての……全て……」

「何故だか分かるか?」









「自分が生きている事に意味があると……信じて疑わない馬鹿だからだ」








「………!!」


リンは小さく息を飲んだ。


「まったく気持ちの悪い男だよ。餓鬼のころからそんな重たい物を背負って生きてきた。ずっと一人で。ずっと正体を隠して」

「…………」

「……まあお前がどう思うかはお前の勝手だ。そろそろあの馬鹿が戻ってくるころ———」



「だぁぁあ!!それオレの!!オレの魚だってば!!」

「グルルルル……ガァアアア!!」

「あぁあん!?やるってか!?やろうってのかい!?」

「グルァアアァァア!!」

「いだだだだァァア!!分かった!!オレが悪かった!!髪引っ張んのやめて!!つーかクマのくせに陰湿だなお前!!」

「…………」

「……ちょっとは静かにできんのか」


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