ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 記憶の果てに見えるもの
- 日時: 2010/09/19 12:11
- 名前: 巳津奈 (ID: lBLhZkyQ)
初めましてこんにちは^^
巳津奈といいます。
ド初心者ですが、頑張ってのんびりと更新しようと思っています。
温かい目で見てやってください;
さて、ここからは注意です!!必ず読んでいただくよう、よろしくお願いします。
・荒らしは厳禁。スレッド内での喧嘩、無関係な宣伝等もやめてください。
・この小説では、病名などが出てきますが、これは巳津奈が勝手に考えたものであって、実際に存在するわけではありません。
・この小説に登場する人物、団体は架空のものです。
よろしいでしょうか?
ではお進みください!!
*オーリーキャーラー!!募集!!*
ちょい早いかもしれませんが、キャラを募集します!!
戦える人でもフツーの村人でもOK!
—————募集用紙—————
名前&苗字:(和名ならフリガナも)
性別:(♂or♀)
年齢:(5〜50歳くらいまで)
容姿:(髪型や服装、目の色など※美化はしないでください)
性格:(なるべく個性的に(笑)
備考:(主人公との人間関係など)
この小説に対するコメント:(空白でもOKです。罵倒などはやめてください)
——ありがとうございました!!——
()は消してもかまいません^^
- Re: 記憶の果てに見えるもの ( No.3 )
- 日時: 2010/09/18 19:08
- 名前: 巳津奈 ◆jUeIaTa9XQ (ID: lBLhZkyQ)
葵那様
コメントありがとうございます!!><
これから更新を頑張っていきます^^
是非、応援よろしくおねがいします*^^*
- Re: 記憶の果てに見えるもの ( No.4 )
- 日時: 2010/09/18 19:51
- 名前: 巳津奈 ◆jUeIaTa9XQ (ID: lBLhZkyQ)
その恐ろしい病の感染停止から10年後。
街は活気を取り戻していた。
『イフルタウン』
客寄せのために励む店の者。
笑顔で汗を流す若者達。
元気に外を駆け回る子供達……。
その中である若者が、物腰の柔らかそうな老人と話をしていた。
「世話んなったな。じいさん」
「いやいや。こちらこそ楽しかったよ」
青年の言葉に、老人は笑顔で答える。
青く短い髪に、青い目。背中に剣のような武器を背負うその青年は、見た目からして10代後半に見える。
「しっかしじいさんも人がいいねぇ。こんな何者かもわかんねー怪しい男を何の疑いもなく居座らせてくれるなんてね」
「はっは。ワシも目は曇っておらん。君のような素直そうな子を放っておくわけにはいかんだろう」
「嬉しい事言ってくれるねぇ。でもビックリしたろ?急に川から流れてきたんだもんな、オレ」
青年は老人に笑みを向ける。
その笑みに、老人も笑いを返した。
「腰が抜けるかと思ったわい。最近の若者は元気がいいのう」
「ま、そこはノーコメントだ。……じゃ、そろそろ行くか」
「ほう、もうそんな時間か」と、老人は驚いた顔で時計を見た。
「名残惜しいのう……クレイ君が来てから5年……こんな薄汚い老人じゃが……どうかこの5年間を忘れんでくれ」
「ははっ。何言ってんだよ」
「オレはアンタの事……“二度と”忘れない。約束する」
老人は彼の言葉に目を見開く。
だがすぐに穏やかな表情を取り戻した。
「そう言ってもらえると嬉しいのう」
「本当のこと言ったまでさ。じゃーなじいさん。本当の家族みたいで楽しかった。長生きしろよ」
「ああ、君もな」
「ルーディの奴にもよろしく伝えといてくれ」
青年は振り向かずに手だけを振り、人々で賑わう真っ直ぐ続く大きな道を歩いていった。
「いってしもうたか……」
「じいちゃん」
青年の背中をじっと見つめる老人の背後から、柔らかそうな茶色い髪をした少年が顔を出す。
「ルーディ……?何故ここに」
「何故って……孫が祖父のところに訪ねちゃいけないっていうの」
ルーディと呼ばれたその少年は、ゆっくりと老人の横に並び、同じく遠ざかっていく青年の背中を見つめた。
「行っちゃったんだ。もう少し話とかしたかったのにな」
「お前は家が違うせいで、たまにしか会えんかったからのう……」
老人は苦笑を浮かべる。
「……気づいてたんじゃないの?」
ルーディは真剣な顔で口を開く。
「何の事じゃ」
「クレーディア・レッドムーン。彼はクレイって名乗ってたけど……これがきっと本名だよ。じいちゃんも知ってるはずでしょ?」
「十年前の……“あの病”の犠牲にされた男だよ」
「……時代とは……残酷じゃな」
完全に青年の姿が見えなくなっても、老人はその道をぼんやりと見つめていた。
- Re: 記憶の果てに見えるもの ( No.5 )
- 日時: 2010/09/18 20:25
- 名前: 巳津奈 ◆jUeIaTa9XQ (ID: lBLhZkyQ)
十年前の出来事……。
この時代を生きる者ならば、誰もが同じことを思い出すだろう。
ある病の感染騒動。
感染系高機能記憶障害
通称“ゲドラ”の大流行。
死にも至る恐ろしい病であった。
きっかけは100年前に起きた大地震。
それを合図にするかのように、全てを恐怖の底へと突き落とした。
そのときの科学技術では解明できない、原因不明のウイルス。
病の流行は、アッという間に世界を恐怖で包んでいった。
その100年後。
発展した科学技術で、ついにその病の原因を掴んだのだ。
地下深くに発生していた、大量の放射能“ゲドラバーナー”。
それが大地震の地割れによって地下から漏れていたというのだ。
人々はガスマスクなどで身を守りながらもその場を修復。
その修復中にゲドラに感染し、命を落とした者もいた。
そしてその5年後に、修復は終了した。
しかし問題は残っていた。
修復中にもそのゲドラバーナーは放出され、所々に大量に漂っていたのだ。
今の技術ならば、その量のバーナーでも、地中に戻す事は可能。
だがそれには、修復した割れた地面を再び掘り返さなければならない。
これではきりが無いのだ。
そこである学者が考えついてしまったのだ。
人間がやることとは思えない残酷な方法を
———1人の人間に集めればいい———
- Re: 記憶の果てに見えるもの ( No.6 )
- 日時: 2010/09/18 23:59
- 名前: 巳津奈 ◆jUeIaTa9XQ (ID: lBLhZkyQ)
ゲドラにはある特徴があった。
感染したら見たものを決して忘れない。
それと“もう一つ”
“人から人へは感染しない”
感染した人間の大半は、豚や野うさぎや鶏など、動物から移るか、直接バーナーを浴びて感染する者ばかり(人間から動物に感染する事も無い)。
つまりその漂っているバーナーを、“一人の人間に集めれば”感染は治まると考えたのだ。
そしてその一人の人間に選ばれたのは彼
当時まだ3歳であった少年
名を“クレーディア・レッドムーン”
準備はすぐに開始された。
泣きながら反対する母親を無理やり“黙らせた”。
そしてまだ物心もついていない彼に、全ての放射能を集めたのだ。
そして半年後……
実験は成功した
否
成功“してしまった”
実験が開始された前に感染していた者は全員死に、感染していた動物は全て殺された
まさに“人が人でなくなっていた瞬間”であった
自分が何をされたのか分からぬまま
少年は不幸のどん底に突き落とされた
ある実験室に閉じ込められ
少年は死を期待されるという日々だった
その二年後
彼は実験室を抜け出してしまった
まだ幼かった彼の、母親の恋しさからだった
ゲドラに感染しているせいか、家への帰り道は鮮明だった。
もう一度母に会える喜びと期待に胸を躍らせ、家の扉を開く。
そこには……
鼻につく不快な臭い
ボロボロな室内の所々についている黒いシミ
横たわる亡骸
幼少たる少年でもすぐに理解できた
もう母は……同じ空の下にいなかった
- Re: 記憶の果てに見えるもの ( No.7 )
- 日時: 2010/09/19 00:04
- 名前: 巳津奈 ◆jUeIaTa9XQ (ID: lBLhZkyQ)
「それからのクレーディア・レッドムーンの居場所はおろか、生死さえ分からない。実験とはいえあの量のウイルスを体に入れられたんだ。てっきり死んでたのかと思ったけど」
「…………」
ルーディは、老人に問いかけるように続ける。
「あの記憶力。そしてじいちゃんに言ってたあの言葉。ただの人間とは思えなかったし」
「……」
「……どうしてあのまんま行かせちゃったのさ」
老人の目線は変わらぬまま。
「政府にクレーディアの情報さえ売れば、莫大な資金が貰えるの知ってるよね?あの男をこのまま居させて売るってことも……」
「ルーディ」
目線こそは変わらなかった。
だが老人は、これまでより力強い声で言った。
「あの子は悪くない。悪いのは……生まれた時代じゃ」
「……」
「あのときは皆、どうかしていた。人としての心が無い。だからこそ……クレイ君はあの時代の“被害者”になった」
「っ……」
「この話は終わりじゃ。さあ、早く畑の方に——」
「あー!!おじいちゃんだー!!」
老人が家に戻ろうとすると、数人の幼い子供が老人に駆け寄った。
「やあ、よく来たのう。さあおいで、飴をあげよう」
「わーい!!おじいちゃんありがとう!!」
「ありがとうっ!!」
「…………」
ルーディはしばらく彼等を見つめていた。
「わしらは彼に感謝せねばならん」
「こんなに素晴らしい生涯を送らせてもらったんじゃ。これで悔いなくいつでも死ねる」
青く澄んだ空の下——
美しい羽根を持つアゲハチョウが幸せを願うように舞っていた
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