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鬼紅葉 完結しました
日時: 2010/12/09 07:12
名前: るりぃ ◆wh4261y8c6 (ID: TWKNIdJ1)

初めましてこんにちは、るりぃと申します。

この小説はヤンデレヒロインによる恋愛小説です。
グロ苦手な方・恋愛小説嫌いな方はプラウザバックしてください。

※此処の小説はけして上手ではありません。
私の小説を見て不快に思ったりするかもしれません
下手なのは私が一番分かっております。
コレを読んで尚見てくださる方は、まことにありがとうございます。
下手ですが精一杯書いております。
どうか貴方に気に入っていただけることを心より祈っております。

—————目次

・一章 >>1
・二章 >>2 >>3 >>4
・三章 >>5
・四章 >>7
・五章 >>9
・六章 >>10
・最終章 >>11

———————

イメージソング 『紅一葉』 >>8

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Re: 鬼紅葉 ( No.2 )
日時: 2010/10/19 16:30
名前: るりぃ ◆wh4261y8c6 (ID: j4gPq5EO)

弐章

朝起きて、近くの川に水を汲みにいった。
そうしたら、川原に人間が流れ着いていた。
恐る恐る近付いて見ると、まだ、息があるみたいだった。
その人は蒼と黒の忍装束を着て。
漆黒の闇のような髪をしていて。
怪我をしてるみたいだった。

『見なかったことにしよう。』

最初に脳裏に浮かんだのは、その言葉。
だけど、私が放っておいたら、きっとこのヒトは死ぬ。
このあたりは私以外の人間なんて住んでいないし。
滅多に人も通らない。

ほんの気紛れだった。

そうとしか思えない。

私が、ヒトを救うなんて。

忍は、家に連れ帰る事にした。
重かったけど、なんとか死なせずに家まで運べた。
怪我の程度は酷くて。
意識もないみたい。
きっと、敵にやられて川にでも落ちたんだろう。
家においていた薬や包帯で応急処置を済ませる。

医者に診せないと駄目かしら…。





医者に診せるのは、やめた。
理由は簡単だ。
このヒトのために、私が会いたくもない医者に会う理由がない。
とりあえずそれなりに手当てできたし。
どうにもならなくなったら、医者を呼んだって遅くはないし。
大体、このヒトが此処にいる事自体が間違いだ。
どうにもならなかったら、棄てればいいんだ。
どうせ、死にかけているんだから。
怪我と、川の水で冷えたせいだろうか、熱が下がらない。
どうせすることもないし。
側にいて、額に当てる手ぬぐいを何度も取り替えてあげた。
このヒトはいい。
物を言わない。
私を見つめない。
このままずっと、息をし続けるだけのヒトであればいいのに。
そうすれば私も安心して、人間に触れられるのに。
名前は、なんていうんだろう。

忍の隣に寝そべりながらそんな事を考える。

格好からして、戦用の忍だ。
武器も持っていたし。

だから余計、身分を証明するものなんて持っていない。

同い年、くらいかな。

寝息を聞いていたら、私も眠くなったので昼寝することにした。
忍は、顔も端整だし。
物言わぬ、人形のようで。

少しだけ、ヒトを飼うのが楽しくなってきた。

ねぇ、今度名前をつけてあげる。
だから、目覚めないでね。





本格的に、このヒトを飼う事に決めた。
目覚めたら…その時はわからないけど。
今のこのヒトはとても気に入っているから。

このヒトは、私が居なければ死んでしまうのだ。
つまりは、私がこのヒトの全てを掌握しているという事になる。

支配、しているということになる。

ヒトを支配する。
それがこれほどに素晴らしいとは思わなかった。
普通のヒトなら、私が支配するなんて到底出来ないけれど。

このヒトは違う。

怪我人で、物も言わぬ。
私より弱者のこのヒト。

それならば私にも支配できる。
いや、現時点において、私しかこのヒトを支配できないんだ。

それが、たまらなく楽しかった。

奥の部屋から、今はもう居ない父親の着物を引っ張り出して、着替えさせてあげた。
傷を出来るだけ刺激しないように。

そっと。

最近負ったものとは違う、古傷もこのヒトには刻まれていた。
どんな風にして負ったのだろう。
痛かったのだろうか。
そんな事を考えながら、指先で傷跡をなぞった。

本当は、そんな事どうでもいい。

このヒトの声なんて聞きたくない。

目も見たくない。

ずっと、私より弱者でいて。

私の支配できる、ヒトでいて。

Re: 鬼紅葉 ( No.3 )
日時: 2010/10/20 20:24
名前: るりぃ ◆wh4261y8c6 (ID: UiZuvylZ)

今日は、麓に降りて作りためていた織物を売った。
いつものように問屋に行って。
出来るだけ会話をしないように。
笑顔を浮かべた店員らしき娘に

「鬼紅さんの織物は評判がいいですよ。」

と言われたが、私は頷くしかできなかった。
必要な道具を補充して。
ヒトのために薬や包帯も。
そうして私は逃げるように家に帰った。
早く。
早く帰りたくて。
走って帰った。
家に上がると、まずヒトを確かめる。
起きた形跡はない。
相変わらず、ただ息をしているだけ。
ヒトの腕にそっと抱きついた。
そうすると心が落ち着いて、怖い事なんて忘れてしまえそうだった。
ねえ、聞いて?
今日はとても怖かったの。
やっぱり、あなた以外の人間は怖い。
ずっとこうして、二人きりでいられたらいいね。
囁いても、返事はない。
それでいい。
返事なんか要らない。
ヒトが来て、もう六日。
怪我の具合も段々良くなっている気がする。
もともと回復力が強いのかしら。

どうしよう…

このまま順調に回復してしまったら、ヒトが目覚めてしまう。
熱ももう引いてしまったし。
骨折は治っていないからまだ動けないとしても。
目覚めて、怖い人だったら?
ううん。
怖いに決まっている。
物を言う人間だもの。
目を開く人間だもの。

どうしよう。

どうしよう。

いっそこのヒトが、骸ならよかったのに。
救ったことが悔やまれてならない。





殺してしまおう。

そう思った。
このヒトが骸ならいい。
骸なら骸なら そばにおいても怖くない。
いつ目覚めるかなんて恐れる事もない。
ヒトの体を跨いで、膝で立った。
上下する喉に、手を当てて。
力を込めようとしたら、このヒトの唇が動いた。

「矛盾、してるんじゃないのか?」

驚いて、飛び退いて。
そのまま家を飛び出した。
初めて聞いたヒトの声。
聞きたくなかったヒトの声。

かき消すように。

かき消すように。

私は唯、獣のように。

月に向かって 吼えた。

Re: 鬼紅葉 ( No.4 )
日時: 2010/10/24 09:18
名前: るりぃ ◆wh4261y8c6 (ID: M6A02lhT)

家に帰っても、ヒトが目覚めたという現実は変わらなかった。
恐る恐る様子を伺う私に、ヒトは薄く笑いかけて。
ヒトが動くたびに、恐ろしくて。
心が悲鳴を上げた。

「そんなに怖がるな。…俺を助けてくれたのは、お前自身だろう?」

私は首を強く横に振った。
否定、じゃない。
間違った、という意味で。

「参ったな。…怖がる事ないだろう? 俺はまだお前の世話なしじゃ動けない。武器なら、お前に全部取り上げられた。敵意もない。何がそんなに怖いんだ?」

「…生きているから…。」

「え?」

「生きているから怖いッ!」


金切り声で、叫んだ。
ヒトは少し目を丸くしてから、困ったように笑う。


「矛盾、してるね。」

「何故目覚めたの…。目覚めなくてよかったのに…。お人形でいてくれればよかったのに…。」


呟き、震える私を構うのをヒトは諦めたのか、少し笑って目を閉じた。
腕に触れて、安らいだ時の事を思い出して、私は部屋の隅で泣いた。
もう、あの安らぎはどこにもない。
どこを探しても、ない。
ヒトが再び、眠りにつかない限り。

「ああ、忘れていた。」

急に発した声に私が飛び上がると、ヒトはくすくすと笑った。

「俺の名前は翔。お前は?」

「……。」

「名前くらい教えてくれ。飼い主。」

「飼い主…。」

その言葉に反応すると、翔は体が痛むのかぎこちなく腕を動かし、私に差し伸べる。

「残念ながら、今の俺はお前なしじゃ生きられない。お前に飼われない限り、な。」

「……翔……。」

「名前、教えてくれるか?」

震える指先で、掠る程度に触れた指先は。
温かかった。

「……鬼紅。」

私が名前を言うと、翔は私に優しく微笑んだ。

「今の俺の飼い主として、よろしく頼むぞ。」

翔は、私なしでは生きられないんだ。
怪我人で、私より弱者の翔。
現時点において私しか翔を支配できない。
そう考えると、私はうれしくなって、少しだけ、笑った。

Re: 鬼紅葉 ( No.5 )
日時: 2010/11/18 14:29
名前: 桜音ルリ ◆sakura.bdc (ID: 5bYoqzku)
参照: 桜音ルリ=るりぃ

参章

今日は、ひたすら機を織った。
隣じゃ翔が寝ているし…。
視界に入るとどうしても怯えてしまうから。
気配だけでも怖い。
それなのに、翔は私を呼びつける。
恐る恐る顔を覗かせると、いつもにっこり笑って。

「呼んでみただけだ。」

なんて言う。
私が触れるのを怖がるから、世話をしなきゃいけないときは寝た振りをしている。
私は敏感だから、気付いてしまうけど、普通なら気付かないだろう。
これは…「優しさ」というものなのかな。
私を案じて、寝たふりなんてするのかな。
翔の傷は思ったより深い。
動けるようになるまで、まだしばらくかかるだろう。
それまでは、私が彼の飼い主。
治った時の事を考えたら、今棄てるのが一番いいんだろうと、解ってはいる。
でも、世話をしたせいで情でも移ったのか…。
あの温もりが忘れられなくて、棄てられない。
ねぇ、貴方は本当に怖くない人なの?
私を蔑まないでいてくれる?
私に、温もりだけ与えてくれる?
恐る恐る、医者を呼ばなくていいのかと聞いたら、佐助は首を横に振った。
何故かと問う私に、翔は笑って。

「鬼紅は、生きてるものが怖いんのだろう?」

そう言った。
自分の為を思えば、医者を呼ぶ方がずっといいはずなのに。
私の為に、彼は医者は要らないという。
だけど、心を許しちゃいけない。
だって人間は嘘をつく。
特に、こういう優しそうに見えて強かな男には気をつけなきゃならない。
私の為と言うけど、医者に診られたら都合が悪いのかもしれないじゃないか。
部屋の隅から黙って見守っていると、翔はくすくすと笑った。

「もし薬が要るなら、俺の荷物の中によく効く軟膏がある。」

「荷物……どこにあるか聞かないのね。売り飛ばしたかもしれないじゃない。勝手に使っているかもしれないじゃない。」

「でも、してないんだろう?」

「……。」

「何処にあったって、今の俺には関係ない。鬼紅の好きにすればいい。」

信じちゃだめだ。
どんなに優しくても。
人は、裏切る。

翔が目覚めたことで、困ったことが増えた。
体を拭いてあげるのだって、やりにくいし。
だけど…我ながらよくやっていると思う。
最初ほど、彼の事も恐れなくなったし。
世話だって、ちゃんと出来てるつもり。
それが解るから、彼は時折こちらを見て、笑うのかな。
怖いから、離れていたい。
でも、姿が見えないとなんだか肌寒い。
翔が、目覚めたとき。
初めて言った台詞を思い出して、呟いてみた。

「矛盾…してる。」

そう。
私は、矛盾している。

「一人でどうやって暮らしているんだ?」

そう、翔が聞くから。
織物や面を見せてあげた。

「大したものだな。俺はそんなに詳しくないが。いい腕をしていると思うぞ。」

私はそれに、何も答えなかった。
だけど。
問屋に褒められたときは、恐ろしいだけだったのに。何だろう、この感じは。

『嬉しい』?
『誇らしい』?

それよりずっと、温かいもの。

「あなたは、今まで何をしていたの?」

今日は、私が聞いてみた。
聞いてから、我ながらどうでもいいことを聞いたと後悔した。
そんなことを知ったって、仕方がない。
翔は、優しく笑いながら。

「忍だ。それ以上は教えられない。」

そう言った。
その言葉が、やけに寂しくて。
どうだっていい筈なのに。
知る必要もないはずなのに。

「教えてくれない」という事が…
どうしてこんなに不満なの?

もう、貴方のことなんて聞かない。
それに、私のことも、喋らない。
頬に触れた指の感触で、目が覚めた。
慌てて飛び起きて、部屋の隅に逃げた私に、翔は苦笑いを残して。
少し痛そうに手を元の位置に戻す。
いつの間にか…彼の隣で転寝してたみたいだ。

「起こすつもりはなかったのだがな。随分可愛い寝顔だったから、見てるだけじゃ勿体無く。つい。」

「次……触ったら、殺すわよ……。」

「そんなに怒る事か?」

「忘れたの!? 私は貴方の飼い主よ! 貴方は私がいなきゃ生きていく事すらできないの!! 私が居て初めて存在できる自分を、もっと自覚したらどうなの!? 私の言う事は絶対なのよ!!」

「……わかった。もうしない。悪かった。」

翔は、嫌な顔一つせずに、ただ笑った。
怒鳴らなきゃ、居られなかった。
声を張り上げないと、保てないと思った。
自分を。理性を。
知らぬ間に触れられた事が、どうしてこんなにも恐ろしいのか、私には解らないけれど。
小さな私の心臓が、今にも絞め殺されそうなのは確かだった。
怖い。
怖い。
貴方は、やっぱり怖い人。
私の中に、踏み入らないで。
もうこれ以上、距離を縮めてはいけない…。
貴方を、私の中に許したら。
また、「恐ろしい事」が起きてしまうのだから。

Re: 鬼紅葉 ( No.6 )
日時: 2010/11/18 21:12
名前: doctor・plasm ◆0927958126 (ID: S1CkG5af)
参照: http://名前をドクター・プラズマ博士にしました

戦国の世に生きるが新しくなりました

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