ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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嫌だ嫌だ嫌、いや…嫌だ、嫌、  
日時: 2010/11/01 23:48
名前: なる (ID: nxPXMTJg)

こんにちは なるです(誰だよw
シリアス小説をしたためるのは初めてなので色々おかしい所もありますが、そこは多目に見て貰えると嬉しいでつw
さて、登場人物を紹介致しましょうか
                   
 宵谷 ひなた (よいたに ひなた)
この物語の主人公。昔いじめられていたせいか、他人から攻撃されると自我を無くす。
普段は真面目な中2男子。
パソコンが大好きで、チャットの世界ではかなり尊敬されている。
一人称は「僕」
チャットでの名前は「レン」
                   
 宵谷 かなた (よいたに かなた)
ひなたの双子の弟。気が強く、性格も荒っぽいが、尊敬した人物や兄には優しい一面もある。
普段は部活動に入り、バドミントン部のキャプテンとして優れた成績を残している中2男子。
兄と同じく趣味はパソコン。
一人称は「俺」
                   
チャットルームのメンバー
                   
黒猫@ 毒舌な女子。オタク趣味を持っている。
さなだむしw 通称「さなちゃん」。社交的な雰囲気で周囲からの信頼も厚い。
咲坂 ふらりと現れてふらりと姿を消す、性別と年齢不詳の謎の人物。
                   
多いですかね?でもみんな重要な人物なんで頑張って覚えてくだされww

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Re: この世界で僕は    ( No.2 )
日時: 2010/10/30 22:26
名前: なる (ID: nxPXMTJg)

これは派手に転んだんだろうな…そう思った僕は、傷口に塗り込む軟膏と湿布、ガーゼなどを素早く取り出した。
「いつ転んだ?」
「放課後。走ってたら踏み外した。」
「ふーん…保健室は行ってないみたいだね。」
その間にも手早く傷口に処置を施すと、かなたは痛みからか「ひっ、」などと小さくうめいた。
「全く…無理するんだから…さて、今日の晩御飯は何がいい?」
「…何でもいい。」
「じゃあ魚焼きにでもしよっか。」
「やだ。」
「何でもよくないじゃんかー」
そんなたわいもない会話をしていると、電話のコールが鳴った。
「ちょっとかなた、出てくれない?」
「あいよ。」
かなたに取り次ぎを頼むと、文句一つ言わずに電話に出てくれた。
こういうとこだけは素直なのになーなんてどうでもいい事を考えていると、かなたが受話器を持ってやってきた。
コードレスタイプの電話なので、持ち運びが可能なのだ。
「母さん。」
「ん、ありがと…もしもし?」
『あ、もしもしひなたー?』
「うん。」
『お母さんねー、今日帰れそうにないんだー』
「うん。」
『でさ、ちょっと大変かもしれないけど、かなたと二人で留守番しててくれない?』
「うん、分かった。」
『頼むよ、特にかなたは何やらかすか分かったもんじゃないから』
受話器の向こうから、あはははと楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
その柔らかな声色に安心した僕は、二言三言母さんと言葉を交わすと電話を切った。
「何て?」
「母さん今日は帰ってこれないって。」
「今日は、じゃなくて今日も、だろ。」
かなたは「じゃあ先に風呂入ってっから飯の準備よろしくー」などと右手をひらつかせると、そそくさとリビングを後にしてしまった。
僕も晩御飯の準備をする為にキッチンへ向かおうと踏み出したその時。
「あ、そうだ。」
再びリビングの扉が開いた。
そこから首だけをひょっこり出した状態で、かなたがこちらを見つめている。
「あ、のさ、これ…ありがとな。」
そう言ってかなたが指差したのは、僕が手当てをして包帯を巻かれた膝だった。

Re: この世界で僕は    ( No.3 )
日時: 2010/10/31 12:53
名前: なる (ID: nxPXMTJg)

そんなこんなで晩御飯を食べ終え、片付けを済ませてから二階へ上がる。
かなたは、既に自分の部屋に閉じこもって宿題をしているようだった。
手持ちぶさたになってしまった僕は、いつもの特定席に座るとパソコンを開いた。
シャットダウンせずにスリープ状態にしておいたお蔭で、ウィンドウズは素早く再開することができたが、一度落ちてしまったチャットには再び入室するしかなかったので、仕方なくお気に入りを開いた。
ゲームの攻略サイトや動画サイトが並ぶその隙間に、お気に入りのチャットルームが一つ。
僕のパソコンは、あいにく最新のソフトウェアなどをダウンロードしている訳でもないので、ページを開くまでに恐ろしく時間がかかった。
それでも何とかチャットに入室し、「ただいま」と発言する。
すると、先に入室していたさなちゃんと黒猫、それに恐らく新参者であろう「kyouta」とやらが挨拶を返してくれた。
もちろん、咲坂もいるっちゃあいるが、挨拶なんて返してくれるはずもなく、僕は一人その名前を睨んだ。
「レン、新しいメンバーや!」
さなちゃんが努めて明るい口調でそう言い放つ。
「kyoutaっちゅーねん、宜しくしてやってな^ ^」
「初めまして、kyoutaです。」
何だかかしこまったその言い方に、僕はすぐに心を許してしまった。
まぁチャットルールでは初対面の相手に敬語を使うのは常識だが。
僕が「宜しくね、タメでいいよ?」と発言すると、そいつは緊張の糸がほどけたように「ありがとなー^ ^」と返してきた。
その後、咲坂を抜いた全員で近況を報告しあったり、さなちゃんって一体幾つなのかを予想したり、すごくどうでもいいことで突っ込み合ったりした。
ふと気付けば、時計の針は午後10:00をまわっていた。
「テスト勉強がある」との理由でさなちゃんが落ち、それに引き続いて黒猫も「ログ絵の投稿を今日中に済ませておきたい」と言い残すと退室してしまった。
残されたのは僕とkyouta、咲坂の3人だ。
相変わらず咲坂は無言、kyoutaの方も何と発言してよいのやら困っているようだった。
「取り敢えず放置」と打ち、チャットのページを開いたまま動画サイトへ移動した。
二人っきりにしちゃって悪かったかなぁ…なんて罪悪感に駆られていると、ページのトップに面白そうな動画を発見して、その罪悪感はあっという間に薄れてしまった。
関連動画を開いては笑い、またその関連動画に釣られてページを移動し、それを延々と繰り返していると、バタンと荒々しく扉が開く音がした。
父さんだ。
とたたたた、と慌てたような足音が迫ってくる。
部屋の扉が開き、顔を真っ青にしたかなたが飛び込んできた。
その目には怯えたような色が混じっている。
「あ、…あ、と、さんがっ……父さんが…っ」
息を乱しながら必死で言葉を紡ごうとするかなたをベッドに座らせ、落ち着いて、と声を掛ける。
「いや…いやだっ、や、…いやっ…」
狂ったように嫌だ嫌だと叫び続けるかなたの頬に、そっと手を添える。
かなたは一瞬だけビクッと体を震わせたが、段々と落ち着きを取り戻してきて、何とか会話が出来るようになった。
「父さんが…帰っ、て、きた…」
「うん…」
「ひなたは怖くないのか…?」
「怖いよ。けど、かなたの方がもっと怖い思いをしたんだから、僕の「こわい」なんて大したものじゃないよ。」
そう弁解すると、かなたは尚も釈然としない様子で「そうか…」と呟いた。
かなたは過去に、父親から暴力を受けていた。
大酒飲みで乱暴な父親は、ささいな事ですぐにかんしゃくを起こし、母親や子供たちに手を上げていた。
罵声が飛び交う室内、何かが割れる音。
父さんの怒鳴り声、母さんの泣き顔、物が散乱したリビングに立ち尽くす僕たち。
結局その喧嘩は2日間にわたり、当然関係のない僕たちも巻き込まれた。
一日目はまだ、激しい口喧嘩や父さんの一人暴れで済んだものの、二日目は想像を絶するような悲惨さだった。
その日僕は、テストの成績があまり良くなかったために居残りで補習を受けていた。
それが幸いしたのかどうなのか、僕自身が受けるダメージは最小限で済んだ。
何故なら
学校が早く終わったかなたが、僕の代わりに虐待されていたからだ。
家に入るなり、僕は異様な雰囲気を感じ取った。
しん、と静まり返った家の中。
けほっ、と小さな咳が聞こえ、僕はすぐさまリビングのドアを開け放った。
「かな…た…」
そこに横たわっていたのは、無惨にも服を引き裂かれ、頭部から生臭い血を流しているかなた本人だった。
かなたは僕の存在に気付くと、無理やり作った笑顔で「おかえり…」と言葉を発した。

Re: この世界で僕は    ( No.4 )
日時: 2010/10/31 13:45
名前: なる (ID: nxPXMTJg)

「かなたっ!いま…いま救急車呼ぶからっ…!」
僕は慌てふためきながらも、震える指先で119番を押した。
間もなく救急車が到着し、ぐったりとしたかなたが運びこまれる。
救急隊の人から事情を訊かれたが、何せその場にいなかった僕だから、説明のしようがない。
とりあえず「父親に暴力を受けた」とだけ告げると、担架に乗せられて苦しそうにしているかなたの傍へ歩み寄った。
「かなた…痛い…?」
「ん、ひなた…大丈夫…」
そう言って笑いかけようとするかなたの笑顔がやけに痛々しくて、僕は目を逸らした。
病院に着き、一通りの処置はしてもらった。
頭部に傷がついていたため脳神経への影響が心配されたが、幸い脳に支障はなく、命の別状もなかった。
ほっと一安心し、寝ているかなたの顔を上から覗き込む。
「かなた、ごめんね…」
どうしてかなたが虐待されたのかは、考えなくても見当が付いていた。
父さんの暴行はいつもそうだ。
自分が気にくわない相手に、手当たり次第暴れまくる。
今日の場合は、かなたしか家にいなかったこと、僕の帰宅時間がいつもより遅かったこと、昨日の今日でイライラが収まっていなかった父さんがいたことの条件が見事に一致してしまい、父さんが虐待に走ってしまったのだ。
いつもヘマばかりするのは僕で、頭も悪いし、運動も苦手。
そんな僕のことを「できそこない」と呼び、暴行していたのは父さん。
だから今日だって、「また補習か、このできそこないが」と罵られ、殴られるはずだった…それなのに。
僕より先に帰ってきていたかなたが僕の身代わり…いわゆるサンドバッグ代わりにされてしまった。
もの凄い罪悪感と、徒労感にみまわれた。
かなたが虐待された後、父さんの行方は分からなくなった。
きっと、児童虐待で警察にでも通報されたら面倒だと思ったのだろう。
つくづく勝手な父親に、僕は殺意すら覚えた。
かなたはすぅすぅと安らかな寝息をたてて眠っている。
僕はそんなかなたの傍で小さく泣き声を上げた。
  と、そのような過去があってから、かなたは父親という存在が完全にトラウマになってしまった。
母さんが父さんと別居しようとしないのにも甚だ疑問だが、そこには大人の事情が絡んできているらしいので触れないようにしている。
かなたは目を閉じて荒くなった呼吸を整えていた。
階下では父さんが何かを探しているらしく、ガタンガタンと引き出しを探る音がする。
「畜生…あのクソ女め、どこに隠しやがった…」
ここからでも聞こえる大きな声。
その声に、かなたの目が大きく見開かれた。
かたかたと体が震え出し、「ぁ…あ、ぁ…」とうわ言のようにうめく。
「くそ…二階か…?」
だんっだんっ、と大きな音をたてて階段を上ってくる父さん。
かなたが、「ひっ…」と息を詰まらせた。
その体を優しく抱きしめてやると、かなたの尋常じゃないほどの鼓動が聞こえてきた。
近づいてくる足音。部屋には鍵が掛かっていないため、もし開けられでもしたら一巻の終わりだ。
「や、ひっ…ぅ、っく、」
声にならない声を出して、ポロポロと涙を流すかなた。
その背中を軽くさすってやると、「ひなたぁ…」と甘えたような声を出してきた。
普段なら想像もできないほどに弱々しくなってしまったかなた。
めったに泣かないかなたが、整った顔をくしゃくしゃにして泣いている。
余程怖いのだろう、いつもなら「頼りない」と言って笑われてしまう僕の体に、きゅっと手をまわして抱きついていた。
足音が途絶えた。
何事かと耳を澄ますと、「確か仏壇にあったな…」などという独り言が聞こえてきた。
それと共に遠ざかっていく足音。
全身の力が抜けるようだった。

Re: 嫌だ嫌だ嫌、いや…嫌だ、嫌、   ( No.5 )
日時: 2010/11/01 23:49
名前: なる (ID: nxPXMTJg)

スレタイ変えたんでついでに上げっ

Re: 嫌だ嫌だ嫌、いや…嫌だ、嫌、   ( No.6 )
日時: 2010/12/20 20:26
名前: 友美 (ID: ZfyRgElQ)

昔のヤツ見てると、結構面白ぃのぁるんだネ。。
続きがなぃのが残念↓


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