ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- バット×ランキング
- 日時: 2010/12/15 17:34
- 名前: にあ ◆XgAEzfsW8U (ID: 2tJjIFjC)
午前12:00にされる
『発表』。
5名の最下位者の発表。
今日の死者の発表。
この国に貢献出来ない…
要領の悪い…
周囲から必要とされていない…
そんな人間は『イラナイ』。
イラナイ人間をどうするか??
当たり前。イラナイものは
『捨てる』でしょ??『消去』するでしょ??
人間だろうとそれは変わらないんだ。
- Re: バット×ランキング ( No.2 )
- 日時: 2010/12/15 17:37
- 名前: にあ ◆XgAEzfsW8U (ID: 2tJjIFjC)
——…10年前。私が6歳だった時、この国は膨大な問題を抱えていた。増え過ぎた人口…下がって行く学力。悪化するばかりの景気…
誰もが諦めかけていた頃、政府はこの数多くの問題の解決策として
【下位者消去制度】
というのを作った。それは…凄く恐ろしいものだった。
国民一人一人の身体の何処かにチップを埋め込み、そのチップの中に組み込まれているプログラムによってその人間一人一人にランキングを付けた。そのランキングで下位5名に入ってしまった人達は『居ても意味が無い人間』と見なされ殺処分される。
そしてそれは午前12:00に発表される。それは携帯であったりテレビであったりパソコンであったりするが確実に発表は行われる。
…つまり先ほど読み上げられた5名は今日中に政府の役人によって殺させる。
…何て、何て残酷なんだろう。…そして3年前、私の妹…絵梨は下位宣告をされ、気が狂った男に襲われた。誰もが羨ましがる美貌が仇となった。
…それ以来、絵梨は自分の部屋に引きこもってしまった。
…私は絵梨を責める気は無い。只、一つ不安な事がある。政府が下位5名に指定する基準が
『国に貢献しているか』
なのだ。引きこもって…俗に言うニート状態の絵梨はいつ下位宣告を受けてもおかしく無い。数年前まで絵梨と同じ状況…ニートだった人達は働いているか、下位宣告を受けもうこの世にはいないらしい。
今は重犯罪を犯す手前の人間が優先的に対象になっていたりするらしいが…。
「ハァ…。」
24時間。あと24時間は絵梨は安全だ。きっと…。きっと大丈夫。絵梨は…宣告を受けたりしない…。
- Re: バット×ランキング ( No.3 )
- 日時: 2010/12/15 18:04
- 名前: にあ ◆XgAEzfsW8U (ID: 2tJjIFjC)
絵梨部屋の隣の自分の部屋に入る。
「…勉強…しなきゃ。」
宣告を受けたくない。死にたくない。…この国の国民はそう思い、日々勉強や仕事に励む。
「え…と。」
参考書をパラパラと開く。…毎晩毎晩勉強しているのになかなか成績が上がらない。
「…ッ」
自分の答案用紙を見て唇をギュッと噛みしめた。78点。普通なら良い点みたいだけど…。この位の点数では安心できない。県内で一番良い高校に入ったら不安が無くなると思ったけど…そんな事は無かった。むしろ、レベルの高い勉強に恐怖すら感じた。
「…えぇっと。確か…古文は…」
シャーペンを動かしながら参考書とノートを交互に見つめ、脳をフル回転させる。
…これだけで勉強が出来るようになるって不思議。
……どれくらい勉強をしただろう??小さく伸びをして時計を見ると時計の針は3時をさしていた。
「わわっ!!もう寝なきゃっ!学校で寝たりしたら成績がぁ…っ」
慌ててベッドに潜りこむと泥のような眠気が襲ってきた。私はその眠気に逆らう事無く目を閉じる。…そして、暗闇に身を任す。
———ピピピピピッ!!!
———ピピピピピッ!!!
電子音で目を覚ますと自分が3時間しか寝ていないのを実感する。瞼と身体が重い。…その身体を無理やり動かしてリビングまで下りていくといつもと変わらない、誰もいないリビングの窓から小鳥のさえずりが聞こえた。
私達の両親は2年前に旅行に行ったきり行方不明になっている。…それでも良い。私には…私には絵梨がいるから、大丈夫。
リビングのソファの上に放置していた制服は跡が付いてクシャクシャだったけど気にせずに着た。そしてトーストを2枚、オーブンに入れて油の敷いてあるフライパンに火をつけ、卵を入れ、グチャグチャにかき混ぜる。…数分後スクランブルエッグに変わった卵をこんがりと焼きめのついたトーストを2枚の皿に分け入れる。
【To...絵梨
今日はトーストとスクランブルエッグです♪
私の得意料理(*`・ω・)b
Σあッ!!
『スクランブルエッグが得意料理とか』って言う
ツッコミは止めてねっ(*>Д<)人
それじゃあ学校、行ってくるね。何かあったら
携帯か学校に連絡頂戴ね♪
by...絵美香】
2つある皿の一つに入っている料理を食べながら手紙を書くと手を付けていない料理の前に置き、カバンを持って家を出る。
「…いってきますっ」
- Re: バット×ランキング ( No.4 )
- 日時: 2010/12/16 18:19
- 名前: にあ ◆XgAEzfsW8U (ID: 2tJjIFjC)
「…絵美香ぁっ♪おはよぉっ」
家を出た私は親友の沙織と一緒に学校へ向かう。
「沙織、おはよっ!!…私、今日3時間しか寝て無いから授業中寝ちゃうかも〜」
「ハハッ♪絵美香は成績良いから寝ても平気じゃない??」
「えぇ〜??成績何て良くないよぉ…っ」
他愛の無い会話をしている私達を南亜三高校に通っている女生徒が睨みつけてきた。
「…何アイツ。」
沙織はあからさまに嫌な顔をした。…確かに、何もしていないのに睨まれたら誰だって不快感を覚える。
「しょうがないじゃん。南亜三なんて偏差値低いだけじゃん。…いつ宣告が下されるか分かんないから不安なんだよ。」
わざとその女生徒に聞こえるくらいの声で言った私って性格悪い。…でも良いの。それが事実なんだから。誰もとめなんてしないしね。
「…ッ」
その女生徒は軽く俯きながら足早に私達の前から姿を消した。ひざ丈の短いスカートに時代遅れのルーズソックス。茶色に染め上げている髪の毛はツヤが無く、いかにも無理してるって感じ。濃いメイクもスッピンがブスだって象徴してる。…多分、今の女生徒は『負け組』だと思う。
「ねぇ、私…さ。この下位者消去制度って凄く良いものだと思うの。」
沙織の発言に耳を疑った。
- Re: バット×ランキング ( No.5 )
- 日時: 2010/12/16 18:41
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
こんばんわー、ポアロンと申しますー。
素敵な文章力ですね、羨ましい。
それにしても恐いですね、【下位者消化制度】って。もしそんな制度が私達の国にあったら私なんて今頃この場存在してませんよ←
では更新頑張ってくださいねぇ★
- Re: バット×ランキング ( No.6 )
- 日時: 2010/12/16 18:48
- 名前: ラン (ID: nrzyoCaD)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
バクマン。のアレですか???
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