ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 妖言神隠し
- 日時: 2011/01/21 20:58
- 名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)
小説書くのあんま慣れてないですけど、とりあえずよろしくお願いしまっす!
登場人物(カタカナ表記とかあんま気にしないでください)
・キキ (衣子 琦々/ころもね きき) 男
・ハナタ (密角 羽生/みつの はなた) 男
・ミツル (織女 光鶴/おりめ みつる) 男
・ヒズミ (比澄 昏旅/ひずみ くろろ) 男
・ミギメ (科倉 右目/しなくら みぎめ) 女
・入枝 美萩/いりえ みはぎ 男
・権ノ門 彩那/ごんのど あやな 男
・篠塚 由丹生/しのづか ゆにう 男
・知花 爪乃/ちか そうの 女
本編
>>3>>4
関係ない話…①
>>5>>8
関係ない話…②(これは読まない方がいいです
>>9
関係ない話…③
>>13
関係ない話…④
>>16
- Re: 妖言神隠し − 過激に不愉快仲間たち ( No.1 )
- 日時: 2010/12/18 21:53
- 名前: 月音ララ (ID: 9QYDPo7T)
面白いです!
「なく」がおおい〜(笑)
頑張ってください^^
- Re: 妖言神隠し − 過激に不愉快仲間たち ( No.2 )
- 日時: 2010/12/18 21:57
- 名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)
りょーかいですっ!(敬礼
- Re: 妖言神隠し ( No.3 )
- 日時: 2010/12/19 00:10
- 名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)
* * *
【やのよび】
漢字表記にして【夜呼び】と語られる、知名度の低い都市伝説がある。
なんでも、どこぞの公立校のオカルトサークルが黒服を着て、雨乞いならぬ「夜乞い」をするんだとか。
過去に一度だけ、それに成功したという例があったらしいが、実のところ「皆既日食」と呼ばれるそれで、辺りが暗くなったのは夜乞いの効果ではなかったとのこと。
そして——
ある日、そのサークルの一人が消失した。
* * *
「——なんていう都市伝説があるのだけれど」
「結局のところ、知名度の低い伝説なんて、売れない作家のあとがきみたいなものだわ、くだらない」
- Re: 妖言神隠し ( No.4 )
- 日時: 2010/12/19 21:06
- 名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)
1.
誰だって。
誰の人生にだって。
そのときは、必ず来る。
* * *
目が覚めると、なぜだかブロック塀にもたれていた。
街灯の光が視界に入り、近くの自動販売機は「うぃんうぃん」などという音を放っている。
……なんだろうか。
少年はそう思いつつも身体を起こし、どうしてこうなったのか記憶を巡らせる。
「あー、確かカブトムシをタランドゥスツヤオオクワガタと間違える小学生と出くわして……あー、これ去年のだ……。え〜と…………」
なんだったろうか、オガサワラチビヒョウタンヒゲナガゾウムシと雌雄を決して……あー、これDS発売した年のだ。
呟きながら歩いていると、随分と見慣れた通りに出た。
いくつかの店が並んでいて、それぞれの店からとても暖かい光が漏れている。
コンビニ。
パン屋。
マッサージ屋。
弁当屋。
おもちゃ屋。
寿司屋。
「おぉ……懐かしいー」
この通りで何度走ったことだろう。
この通りで何度転んだことだろう。
この通りで何度笑ったことだろう。
この通りで何度泣いたことだろう。
——と、そんな風にふざけた感傷に浸っていて、ようやく気づいた。
この通りのコンビニは駐車場がない、そう苦情があって、もう何年も前からペットショップに改装したのである。しかしそのペットショップも開店前に転け、外装がピンク色のペンキに塗られたままペットショップとしての機能も発揮することなく、いまやテナント募集中なのである。
そして、パン屋は不景気だのなんだので、一昨年に閉店したばかり。とてもじゃないがまたパン屋を始めたなんて噂は聞いたことがない。
マッサージ屋は、贔屓にしていた客こと老人たちがピークを過ぎて殆ど入院、または他界され、若い客など全く来ないことから破綻。いまはちょっとした電気屋みたいなものとなっていて、店前に「新製品!」の便座が並んでいた。
弁当屋に到っては「蟻屋」などという、アリ一匹を二円で売る謎の店となっていた始末。その頃ふざけてアリを一匹買ってみたが、別に面白くもなんともなかったので、そのアリを交差点に放り投げていた。残酷な年頃だったのである。
そして、おもちゃ屋。
少年が保育園を卒業する前に閉店してしまい、シャッターが閉まったまま、新しい店になるでもなく土地を売ったような風でもなく、ただただそこにあるだけだ。
唯一残っているのは寿司屋くらいのものだが、そろそろ潰れるだろうと巷で騒がれている。
——だから、ありえないのだ。
とうの昔に潰れた店などが、いまこうして営業していることに。
昔と何一つ変わりない、ときどき見るあの廃れた光景が、懐かしく鮮やかに目の前に彩られている。
信じられない。タイムスリップでもしたのではなかろうか。
いや、それこそありえないことだろうと心中を巡らせる。
……ボクはどうしてここにいるっ?
……ここまで来るのに、自転車でも三十分はかかるし、そもそも近々テストがあって。
……なんでボク、夜道で倒れてたんだっ?
……落ち着け、まず落ち着け。とりあえず「夢だった」なんて可能性は捨てるべきだ。
そう願った者の末路は惨いし。
思いながら、少年はとりあえずと、懐かしのおもちゃ屋に入ってみることにした。
そこには思い出を。
そこには懐かしを。
そこには楽しみを。
たくさんたくさん残してきて、いまなおそれは健在なのだから。
* * *
少年——衣子琦々(ころもねきき)、キキは、こうしてある「物語」に巻き込まれた。
他人が勝手に盛り上がり、
他人が勝手に活躍し、
他人が勝手に大団円を迎える、
そんな茶番劇に、巻き込まれたのである。
しかし、登場人物その①であるキキにも、見せ場らしい見せ場は存在した。
* * *
誰だって。
誰の人生にだって。
そのときは、必ず来る。
荒唐無稽にも、
大胆不敵にも、
意味不明にも——
それは、あなたに訪れる。
- Re: 妖言神隠し ( No.5 )
- 日時: 2010/12/19 14:55
- 名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)
関係ない話…①
* * *
「新入部員だぁ?」
ものすごく不服そうに、入枝美萩(いりえみはぎ)なる少年は憤慨した。
見かけは中学生そこそこといったところだが——しかし、その幼げな顔に不似合いな三白眼が妙にアンバランスな高校二年生である。
美萩なんて、字面的に女みたいな名前をつけられたことはさておき。
美萩がものすごく不服そうに、とても嫌そうに言葉を口にした。
「えー、めんどくさいよぉー。ユーくん、適当にあしらっといてくれない?」
「いや、でも来ちまうし」
「えー」
美萩はさらに嫌そうに言うが、ユーくんと呼ばれた男子部員は腹を括れと言わんばかりに仏頂面なだけだった。釣り目なのでどことなく怖い。
しかし、慣れているのか美萩は動じずに机の上に顎を乗せた。
「あー、本当めんどくさいな。……でぇ、その新入部員様は何人なわけ? いつ来るの? てか仮入まだでしょお? あー、ポケモン図鑑をチートなしで全部埋めるくらいめんどくさいな……」
回りくどいが、要するに億劫だと口にする。
「情けねェなァ、オレなんかちゃんと全部揃えたぜ?」
「知らないよ、そんなこと……」
机に顔を伏せて、美萩はその新入部員が来るまで寝ることにした。
私立猫女学園(しりつねこめのがくえん)。
何かと学費の安い私立としてその名を轟かせており、かついくつかの賞やコンクールなどを冠しているという、聞こえだけはいい私立学校である。
元は女子高らしく、共学にしたいまでもなお女子生徒の割合が多い。
偏差値は下の上といったところか。学力が僅かでもある程度は入学できるあたりに属する。
私服制なので、校内は統一感のないものとなるのが殆どだが、一部の生徒はなんちゃって制服——いわゆる制服風にデザインされた服——着ている者もおり、しかしそうでない者は少しでも目立とうと、または目立たないようにと服装に気をつけているのが大半だ。
そして、そんな微妙な高校生活二年目に突入したのが、美萩率いる部員の面々である。
「……つか、新入部員遅くなくなくなくなくない?」
数分寝て、美萩の開口一番の台詞はそれだった。
「あァ? まァ、そりゃそうだろうな。今年の一年に上崎(かみさき)いるじゃん? その上崎担任のクラスで三人、違うクラスで一人なんだ。さっきの質問も答えると、計四人だな」
「……カミナシかあ」
呟いて、美萩は上崎教師にカミナシなんてあだ名をつけたのは自分だと思い出す。
その教師の名は上崎善造(かみなしぜんぞう)という。古典を担当している。
ハゲているから髪がない。故にカミナシ。そのまんまである。
全国にどれだけカミナシというあだ名をつけられた教師がいるのかは計り知れないが——この私立猫女学園でカミナシといえば、上崎善造に該当する。
基本的、気さくないい教師として生徒たちからは慕われているが、ホームルーム時に長々と注意などを言うことが玉に瑕で、そういうところさえなければと生徒の殆どが思っている。
「カミナシの喋りって長いからなあ……。えと、じゃあ違うクラスの子は? そろそろ来てもおかしくないと思うんだけど——てか名前は? その四人」
「……入枝、お前部長だろ? そんくらい知ってろよ」
「はんっ、何をユーくん風情が偉そうに。部長ってーのは何もしないのに偉そうだから、部長なの。ユーくんこんど桜新町行ってきなよ、妖怪いっぱいいるから」
「わけわかんない話にシフトすんな! てゆうかアレだ。オレも正直あんま知らねェ。知ってんのは——その違うクラスのやつは図書室に寄って来る、ってェことくれェだな」
「ふぅん……」
——どうせ面白半分か何かだろうな。あー、めんどくさい。
美萩は欠伸をしながら、もう一眠りと机に顔を伏せた。
——それにしても、注意とか長ったらしい先生ってどうも盗作臭いな……。
思いつつ、寝慣れた机で美萩は眠りに落ちていったのである。
「けっ、よく眠るぜ」
ユーくん——篠塚由丹生(しのづかゆにう)は言いながら、他の部員に話しかけた。
「アヤさんよォ、こいつどう思う?」
「馬鹿だな」
全くこいつには呆れると、アヤさんと言われた“男子”部員は答えた。
重苦しい雰囲気に包まれた部員——権ノ門彩那(ごんのどあやな)。なぜか学ランを着ていて「番長」とでも言わんばかりのオーラを纏っている。
美萩や由丹生より一つ年上で、その歳相応以上の威圧を感じるのは気のせいか、近くを飛んでいたハエが急に息絶えたという「なんじゃそりゃ」な、そんな類の噂が後を絶えない不幸な男子生徒だ。
なんでも、義務教育時代になんらかのトラブルがあり、それでこうして一年送れて学業に取り組んでいるのだとか。言うまでもなく「先輩」というのは禁句に登録されている。
某アニメ風に言うなら「ガキ大将」のポジションらしいが、由丹生からしてみればそのポジションは美萩に他ならない。
——あのデカイ態度は、ジャイアンズのキャプテンに向いてるぜ。
だが、多数決でそれはないと決まった。
もっというと、由丹生のポジションは「骨川」とのこと。
じゃあ入枝のポジションてどこだよ、と由丹生が訊くと「猫型ロボット」と部員が満場一致で答えた。もっとも、こうも寝るなら「眼鏡の除き魔」でもいいのかもしれないと由丹生は思う今日この頃だが。
「……つか、新入部員遅くなくなくなくなくない?」
——また起きたか。
由丹生を含む部員の面々は、呆れ半分にそう思った。
この掲示板は過去ログ化されています。