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殺人鬼のお嫁様。
日時: 2010/12/28 09:56
名前: ちっぱー (ID: O/vit.nk)

 初めまして、ちっぱーです。
 これまでノートに書いていたものを、投稿してみようと思います。

 アドバイスなど、お願いしますね。


登場人物

輝牙・朔夜(ひかるが・さくや)
赤染・満月(あかぞめ・みつき)
空谷・彩香(そらたに・さやか)

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Re: 殺人鬼のお婿様。 ( No.4 )
日時: 2010/12/26 10:23
名前: ちっぱー (ID: O/vit.nk)

 あ、あのナツさんですかっ!!
 コメントありがとうございます!
 ナツって呼んじゃって良いんですか!
 タメはOKです!

 これから書くよ!(もう丁寧語終了)

Re: 殺人鬼のお婿様。 ( No.5 )
日時: 2010/12/26 10:46
名前: ちっぱー (ID: O/vit.nk)

第三話

 俺は、十歳から前の記憶がなかった。
 いわゆる、記憶喪失という奴だ。

 この手の甲の傷も、目が覚めたらできていた。

 名前すらも、忘却していた。
 記憶もなく、自分も心の中にはいなかった。

 だからこその、朔夜。
「朔」というのは、新月という意味だ。

 新月から、いつか満月になれたら。
 そう思って、つけられた名前。


 その名付け親とは、縁を切ってしまったけれど——、



「輝牙君、輝牙君」



 一番最初に目に入ったのは、清潔な白い天井だった。
 そして、次に目に入ったのは、保健室の先生。

「あー……」

 必死で記憶を探る。

「目、覚めた? 朝、急に倒れたらしいじゃない」
「急に? 朝……、何だっけ」

 キーワードが、頭の中に霧散する。
 そして、収斂(しゅうれん)し、収束していった。

 朝の映像が、頭の中で再生される。

「あー……」

 もう一度唸る。

「……そういや、赤染は……?」
「赤染さん? あの子なら——「時雨!」

 時雨って誰さ?
 そう思ったとき、首が絞まっていた。


 なぜなら、赤染満月が俺に抱きついてきていたからだ。


「…………」
「…………」
「?」

 三人の無言(赤染のは類似品だが)が交錯する。

「あの、さ……これは何なわけ?」
「何って?」
「時雨、とか、抱きついてきたりとか」
「え? 時雨でしょ? 時雨じゃないの? え!?」
「人違いじゃねえか……」

 俺は、呆れてがっくりと項垂れる。

「でも、この手の傷! 時雨と一緒じゃん」
「だーかーらー、時雨ってのは誰だ?」
「時雨は時雨だよ。あたしの婚約者っていうのかな?」
「そんな大事な奴を見間違えるのかよ……」

 こんな会話をしていたら、いつの間にか保健の先生はいなくなっていた。そりゃそうだろう。


「もお! 人違いでも見間違いでもないっつーのっっ!!」


 刹那。
 一瞬。

 赤染の、大振りのナイフが、俺の頬をかすめていた。
 つう、と血が流れる。



 その血が真っ白のシーツに垂れ落ち、静かに赤に染まっていった。


 





 

Re: 殺人鬼のお婿様。 ( No.6 )
日時: 2010/12/26 21:22
名前: ナツ (ID: pnP4WqN3)

なんかドキドキする〜♪
(いきなりタメ口ごめ〜ん!)
続き、楽しみにしてるよ〜!

Re: 殺人鬼のお婿様。 ( No.7 )
日時: 2010/12/27 08:51
名前: ちっぱー (ID: O/vit.nk)

>ナツ(呼び捨てで……)
 ありがとう!
 シリアスの要素に、たっぷりラブコメ入れたかったんだよね。
 続きは書くよっ!!
 なんか、急にタメでごめん……(汗)。

Re: 殺人鬼のお婿様。 ( No.8 )
日時: 2010/12/27 09:14
名前: ちっぱー (ID: O/vit.nk)

第四話

 俺は、頬を伝う血と、シーツに広がっていく血と——赤染を見比べた。

「……あはは、驚いたって顔してる」
「——あ? お前、ナイフなんか持ってんのか? しかも、かなりでかいやつ……」

 護身用だったら、防犯ブザーとか、催涙スプレーとかでいい筈だ。

「知ってるでしょ? っていうか、覚えてる? って方が正しいか。私の殺人衝動について」
「殺人衝動?」
「時雨、本当に覚えてないの? すっとぼけないでさあ……」
「いや、俺さ。十歳から前の記憶がないんだよな。お前が手がかりにしたっていうこの傷だって、目が覚めたらあった、みたいな感じだし。その時雨、っていうのも、記憶を失う以前のことは、一つも覚えてねえ」

 俺が、首をゆるゆると振りながら説明すると、赤染は、少し悲しそうな、寂しそうな、そしてちょっと嬉しそうな——矛盾を含んだ表情を浮かべた。

「ああ、そっか……だから、『あの日』のことも覚えてないのか……そうだよね、覚えてたら、きっと時雨には殺されちゃうよ……」

 赤染は、ブツブツと俯いたまま、呟く。

「あ? 何ブツブツ言ってんだ?」
「なんでもないよ。じゃあ、それより」

 赤染は、顔を上げて、俺に向き直った。

「説明しなきゃ……いけないな。私のこと、過去のこと」
「はぁ……赤の他人のつもりだったんだがな」
「昔の時雨はね、私の恋人だった」
「ぶほっ!!」

 吹いた。
 いや、すっげえ美人ではあるけど! 十歳以前からモテてそうだけど! なんでこんな気味の悪い奴と俺が付き合うんだ!

「あ、嘘だけど」
「嘘かよ」

 思いっきりツッコんでしまった。
 そりゃあそうだろう。

「すごく、仲の良い親友だったんだよ。それで、ずっと遊んでた」
「ふうん……それで?」
「だけど、二人には大きな壁があった」
「壁ぇ?」
「そう」

 そこで赤染は、少しの間を空けた。
 俺は、頬の傷が固まってきていることに気付いた。

 そして、口を開く。

「……私には、殺人衝動があったっていうことだよ」
「あ、そういえば……さっきも聞いたな、それ。要は、人を殺そうとする衝動的な感じのアレか?」
「そう」
「それって、生まれつきだったわけか?」
「いや、違うよ」
「昔の時雨には、話したんだけどね」


 そう前置きして、赤染は自分の「殺人衝動」について語り始めた。
 


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