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- Turandot -トゥーランドット-
- 日時: 2010/12/25 20:07
- 名前: 徒然草 (ID: sMZBR2Q8)
↓ストーリー
神ノ奏者とは、この世の全ての能力を司る力を持つ者のこと。大きく分けて、クラウン——炎・風・霧・雷・雪、とワイズリー——時間・人格・召還・五感・実体の力。
クラウンとワイズリーは、互いに対の能力であり、クラウンは代々神ノ奏者の守護として、1000年前に起きたワイズリーの反逆からワイズリーとの戦を何度も行った。
以上のものは、その力を持つ者が死ねば次の適合者へと移り変わる。神ノ奏者も例外ではない。
時を経て、ワイズリーに対抗すべく、ほぼクラウンで構成されたエスパーダという集団と、ワイズリーで構成されたジェネシスで対立する。
↓登場人物
時村 幹人
神ノ奏者。真面目と言う文字を具現化したような性格。そのため、感情にいたっては無関心であり、非科学的なことにも無関心である。
池崎 千尋
幹人のクラスメイトで親友。エスパーダの一人。
笠原 一真
幹人のクラスメイトで親友。風の力を司るクラウン。エスパーダの一人。
スピリット・レイゼル
霧を司るクラウン。神ノ奏者である幹人に興味を持つ。
桜井 小春
幹人のクラスメイト。かなりのマイペース。
ギルバート・ヴァイザー
炎を司るクラウン。エスパーダのリーダー。
本庄 暖希
エスパーダの一人。雷を司るクラウン。幹人の学校の不良軍団の頭。
折原 蓮
エスパーダの一人。幹人の学校の風紀委員長。
倉木 八重
雪を司るクラウン。エスパーダの一人。
辻村 晃平
エスパーダの一人。幹人の学校の地理の先生。
アカツキ
ジェネシスのリーダー。五感の力を司る。
ミナヅキ
ジェネシスの一人。時間を司る。
フミヅキ
ジェネシスの一人。召還を司る。
カンナヅキ
ジェネシスの一人。人格を司る。
サツキ
ジェネシスの一人。実体を司る。
- Re: Turandot -トゥーランドット- ( No.1 )
- 日時: 2010/12/25 20:52
- 名前: 徒然草 (ID: sMZBR2Q8)
「真面目」と言う言葉を具現化したような性格——時村幹人はよく人からそういう第一印象を持たれる。別に嫌ではない。だって本当のことだから。自分だってそう思う。この性格は異常なんだ。
「オッス!幹人。お前って本当時間通りに学校に来るよなぁ。」
教室に入ると、真っ先にクラスメイトの笠原一真が話しかけてくる。
「はよ、幹人。」
続いてクラスメイトの池崎千尋が話しかけてくる。
俺はこんな異常な性格をしているのに、話しかけてくれる。多分二人も異常なんだ。いや。———確かおばあちゃんが言ってたっけ。この世に普通の人間なんかいないって。みんな特別なんだって。
異常よりも特別のほうが響きがいい。俺も特別なんだろうか。異常よりも特別のほうがいいけど、俺の場合はダメなのかな。
でも、そんなことを願う前にやることがある。
「おはよう、カズ、千尋。」
異常な俺に挨拶した特別な二人への挨拶だ。
「春眠暁を覚えず。ハイ、次の文を口語訳に直せ、岡田。」
授業は、真剣に聞いている、つもり。
まあ、そのおかげでテストの点も良い方だ。
こつん。
頭に何かが当たった。紙飛行機だ。こんなことをするのはカズにきまっている。予想通り、カズはこっちを見てピースしていた。
紙飛行機を広げてみる。
【今度の日曜日、空いてる?空いてたら、お前んちで遊ぼ。】
俺はカズに向かって×サインをした。
自慢じゃないけど、俺はクラスメイトを自分の家に招待したことが無い。カズはそれを知っているのに何度もこういう手紙をよこす。そのたびに俺は×サインを何度やったのだろう。
「オイ、笠原!次の文を訳せ!」
「え?あ、スイマセーン、聞いてませんでしたぁ。」
どっと笑い声が教室中から飛び交う。
カズも頭をかいて笑っている。
みんな、笑っている。
俺はどうして笑わないんだろうな。
寂しくなんか無い。いつものことだし、興味ない。
これでいい。そう思っていたのに。
そう思っていたのに・・・。
パリーーーーーン!!!
窓ガラスの割れる音。
教室が静まる。
出てきたのは全身黒ずくめの男。口にはタバコがくわえられている。
皆が凝視している中、黒ずくめの男は、ずんずん歩いてくる。正確に言えば、俺のところに。
むんずっ
襟首をつかまえられ、片腕の腕力だけで身体を持ち上げられる。すごい腕力だ、と感心しつつ自分の状況を整理する。
黒ずくめの男はそのままUターンし、窓から降りる。4階から降りて大丈夫かな、と思ったら近くの屋根に着地した。そのまま走って逃走する黒ずくめの男。
自分の状況を整理する。
一言で言うと拉致られた。
なるほど、拉致られたのか。
- 時村幹人 ( No.2 )
- 日時: 2010/12/25 20:54
- 名前: 師走 (ID: sMZBR2Q8)
「真面目」と言う言葉を具現化したような性格——時村幹人はよく人からそういう第一印象を持たれる。別に嫌ではない。だって本当のことだから。自分だってそう思う。この性格は異常なんだ。
「オッス!幹人。お前って本当時間通りに学校に来るよなぁ。」
教室に入ると、真っ先にクラスメイトの笠原一真が話しかけてくる。
「はよ、幹人。」
続いてクラスメイトの池崎千尋が話しかけてくる。
俺はこんな異常な性格をしているのに、話しかけてくれる。多分二人も異常なんだ。いや。———確かおばあちゃんが言ってたっけ。この世に普通の人間なんかいないって。みんな特別なんだって。
異常よりも特別のほうが響きがいい。俺も特別なんだろうか。異常よりも特別のほうがいいけど、俺の場合はダメなのかな。
でも、そんなことを願う前にやることがある。
「おはよう、カズ、千尋。」
異常な俺に挨拶した特別な二人への挨拶だ。
「春眠暁を覚えず。ハイ、次の文を口語訳に直せ、岡田。」
授業は、真剣に聞いている、つもり。
まあ、そのおかげでテストの点も良い方だ。
こつん。
頭に何かが当たった。紙飛行機だ。こんなことをするのはカズにきまっている。予想通り、カズはこっちを見てピースしていた。
紙飛行機を広げてみる。
【今度の日曜日、空いてる?空いてたら、お前んちで遊ぼ。】
俺はカズに向かって×サインをした。
自慢じゃないけど、俺はクラスメイトを自分の家に招待したことが無い。カズはそれを知っているのに何度もこういう手紙をよこす。そのたびに俺は×サインを何度やったのだろう。
「オイ、笠原!次の文を訳せ!」
「え?あ、スイマセーン、聞いてませんでしたぁ。」
どっと笑い声が教室中から飛び交う。
カズも頭をかいて笑っている。
みんな、笑っている。
俺はどうして笑わないんだろうな。
寂しくなんか無い。いつものことだし、興味ない。
これでいい。そう思っていたのに。
そう思っていたのに・・・。
パリーーーーーン!!!
窓ガラスの割れる音。
教室が静まる。
出てきたのは全身黒ずくめの男。口にはタバコがくわえられている。
皆が凝視している中、黒ずくめの男は、ずんずん歩いてくる。正確に言えば、俺のところに。
むんずっ
襟首をつかまえられ、片腕の腕力だけで身体を持ち上げられる。すごい腕力だ、と感心しつつ自分の状況を整理する。
黒ずくめの男はそのままUターンし、窓から降りる。4階から降りて大丈夫かな、と思ったら近くの屋根に着地した。そのまま走って逃走する黒ずくめの男。
自分の状況を整理する。
一言で言うと拉致られた。
なるほど、拉致られたのか。
- 拉致 ( No.3 )
- 日時: 2010/12/25 22:33
- 名前: 師走 (ID: sMZBR2Q8)
「オイ。」
俺を拉致している黒ずくめの男が口を開いた。
「なんですか?」
知らない人なので、一応敬語で対応した。
「なんで叫んで助けを呼んだり、抵抗したりしねぇんだ。」
「・・・やったほうがいいですか?」
そういえば、小学校で「知らない人に捕まったら大声で叫ぶ」というのを教わった気がする。
確かに今、知らない人に捕まっている。でも屋根の上で大声で叫んでも、誰が助けに来るんだろう。というより、この黒ずくめの男の異動スピードが異常に速い気がするのは気のせいだろうか。
「変な野郎だ。」
「よく言われますが、あなたには言われたくないんですけど。」
この人は俺と違って自覚していないのだろうか。
「時村・・・幹人だっけ?パッとしねぇ名前だな。」
あれ。自己紹介したっけ。それとも知り合いだったのかな。
「あの、すいません、どこかでお会いしましたっけ。」
「ったくノーテンキな奴だな。だったら叫ばねぇのかなんて言うわけねぇだろ。」
ああ、そっか。
話が続かなくなってしまった。
何を言えばいいのだろう。
「・・・俺に何か用ですか?」
「・・・だったら?」
だったら?しまった、そこまで考えていなかった。
「・・・とりあえず、襟首はなしてください。さっきから苦しかったんで。・・・えーっと、良かったら止まって話しませんか?」
「・・・・・。」
黒ずくめの男は無言で手を離した。
パッと話されたのでしりもちをつく。ああ、痛いな。
「本当に、変な野郎だ。こんな状況でもそんなこと言ってられんのかよ。」
また言われてしまった。まあ、事実だからどうしようもないんだが。
黒ずくめの男は、タバコを落として足で踏みつける。人の屋根の上っていうことに気づいていないのだろうか。こういうのを勝手という。
そして新しいタバコを箱から出して口にくわえる。ポケットからライターを取り出して火をつける。フーっと、煙を吐き出す。よくある光景が、いつもよりスローモーションに見えた。
「まあ、簡単に言えば、お前に用は無ぇ。用があんのは———お前ん中の力だ。」
・・・俺の中の力?変な人だな。
- 神ノ奏者 ( No.4 )
- 日時: 2010/12/25 22:45
- 名前: 師走 (ID: sMZBR2Q8)
一通り男の話を聞くと、俺は神ノ奏者らしい。
神ノ奏者とはこの世の全ての能力を司る者。
この世の能力とはクラウン——炎・霧・風・雷・雪。ワイズリー——時間・人格・実体・召還・五感の力。
1000年前にワイズリーは反逆を起こし、クラウンは神ノ奏者の守護神として、ワイズリーと敵対した。
1000年たった今までもクラウンは「エスパーダ」という集団で、ワイズリーは「ジェネシス」という集団で、敵対しているそうだ。
つまり神ノ奏者である俺は、ワイズリーに狙われている。
「・・・で、いいんですよね?」
「そうだ。」
何故いちいちこの男の言葉を復唱しなくてはならならないんだろう。
というより、この男はよほどのメルヘンな人だ。いい大人がこんなんでいいのだろうか。これが俗に言う二次元か。
「オイ。今度俺をバカにしたら再起不能にしてやるぞ。」
よく分かったな、と感心しつつ、男の目が本気なので肩をすくめた。
「・・・じゃあ、あなたはワイズリーですか?」
すると男はニヤリと笑った。
「どっちに見える?」
ああ、めんどくさい。
どっちとは、さっき言ったクラウンとワイズリーだろう。
「じゃ、ワイズリーで。」
男は悠々とタバコの煙を吐く。
「お前、この話信じてないだろ。」
よく分かったな、とまたまた感心する。
いや、当たり前か。第一この話を信じてあげるほど俺は親切じゃないし。
- 違和感 ( No.5 )
- 日時: 2010/12/25 22:55
- 名前: 師走 (ID: sMZBR2Q8)
「!おっと、今日はここまでだ。また来る。」
「・・・・・・。」
男はそう言って、立ち去った。まるで嵐のような男だ。
また来る、と男は言っていた。もう二度と来ないでほしい。めんどくさいから。
ため息をついて、襟元を直す。
さて、下ではこの屋根の家の人が大声で叫んでいる。なんて説明しようか。
「幹人!!」
聞き覚えのある声がした。まさかと思って後ろを振り向く。
カズと千尋だ。
この二人も屋根の上を使って移動してきたみたいだ。
「大丈夫だったか!?」
「いきなり連れて行かれたからびっくりしたな・・・。」
どうして追いかけてきたのだろう。
「なんで来たの?」
気付けば口にしていた。
そんな自分に少し驚きつつも二人を見る。
「なんでって・・・お前がっ・・・」
カズが目をそらした。
「・・・心配だったからだよ。」
そんなカズをフォローするように千尋が言った。
違和感があった。
どうでもいいことだけど、違和感が。
二人をじっと見る。
そしてその違和感は、確信となった。
「さあ、戻ろう。先生たちも心配してる。」
千尋が手を差し出してきた。
俺はその手を横目に見て、もう一度千尋に視線を戻す。
「何を隠しているの?」
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