ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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白銀神騎アルファリーゼ
日時: 2011/01/10 23:05
名前: 深山羊 (ID: S.vQGXD5)

初めましての方は初めまして、知ってる方はこんにちは。
深山羊みやまひつじです。

今回はシリアス(多分)な現代ファンタジーを書かせていただきます。
ちなみにタイトルの読みは「白銀神騎はくぎんしんきアルファリーゼ」です。略し方とかご自由にお願いします。良いのがあったらそれを全面的に使うかも……。
多少暴力的な表現やグロっぽいこともするかも知れないのでシリアス・ダークの方で書かせていただきます。
全体的な流れとして、タイトル通り神騎と呼ばれる動く無人鎧「アルファリーゼ」が戦いそして未来をつかもうとするお話です(きっとおそらくそう多分)。

これとは別に「Walking」という作品も書いておりますのでよろしければそちらもどうぞ、これとは違う雰囲気の物語となっております。

よければ感想やアドバイス、一応酷評とかも大好きです(Mじゃないよ?)
少しでも面白いと感じていただけたらちょろっとで良いので感想を頂けたらなんて思ってます。

色々グダグダ書いてても仕方ないのでこの辺でまえがき(?)を終わります。
深山羊でした。

それではごゆっくりと本編をお楽しみください。

追伸。
友人に前タイトルの「アルファード」を見て「ん?おんなじ名前の車なかったっけ」と言われ検索するとありました。なんてコッタイ、という訳で急遽タイトル変更となったしだいです。
余計な事をしてくれたな友人Aよ……。


【語群】
天城都市新渡《てんじょうとしあらと》
那緒《なお》
那緒敍昂学園《なおじょこうがくえん》
同調者《どうちょうしゃ》
神騎《しんき》
天上位階《てんじょういかい》
セネシグ《せねしぐ》
次元石《じげんせき》
異次元世界《いじげんせかい》
方舟計画《はこぶねけいかく》

【名前】
霧蛇 鴉《きりみ からす》
アルファリーゼ《あるふぁりーぜ》
鈴野 紗枝《すずの さえ》
上瑠 華《あるり はな》

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 序章 起動と始まりと天城都市 ( No.1 )
日時: 2011/01/12 00:12
名前: 深山羊 (ID: /w7jENjD)

 序章 起動と始まりと天城都市


『間もなく那緒空港に到着します、シートベルトをして———』
 着陸時の飛行機内のアナウンスが流れる、たった三十分程度のフライトで到着したのはついこの間完成した天城都市新渡の那緒と呼ばれる首都の空港。
 空を飛んできたというのに窓から見える景色は依然雲の上。
 第一天城都市新渡、数年前に発見された石油などとの概念から外れた新エネルギーのおかげで作ることのできた空に浮かぶ都市。
 ここまで近づいてこの後その大地に立とうというのに実感がないのは飛行機が滑走路に到着し減速していくからである、まったくもって地上となんら変わりのない着陸。
 飛行機はその後も減速やがて止まりシートベルトを外さないでくださいというマークの点灯が消え完全に停止、周りの一般客もそれぞれの荷物を持ち歩き始める。
 その中に混じり道なりに歩く、廊下のガラス窓から見える外の景色は不思議なもので滑走路が無くなって少しするとその先は空、雲の海が広がっている。
 さまざまな期待と不安の入り混じる中、今日から始まるのだ、天城都市新渡の那緒にある「那緒敍昴学園」での学園生活が———


    ◆


 薄暗い倉庫の様な部屋。そこに白衣を纏い眼鏡をかけた赤髪の女性が立っている、そしてその眼の前には二つの鎧。赤と黒を中心とした狼を模様した鎧と白と銀を中心とした鷹の様なデザインの鎧。
 その二つの鎧の内白色の方に白衣の女性は手を入れた。中は空洞ではない、それは見た目が鎧なだけで中身は全くの別物。機械とは違うが似たようなものではある。
 すると白い鎧はガクンッと動いた。次の瞬間白い鎧のヘルメットの間から青白い光が輝く。
『α-F01...起動準備開始。各部動作確認。———クリア。次元転送式確認。———クリア。自立思考回路確認。———クリア。以下全機能確認。———クリア。全機能オールクリア、α-F01、アルファリーゼ起動』
 アルファリーゼと名付けられている白い鎧は地面に両足で立ち辺りをキョロキョロしている。
「アルフ」
 白衣の女性はアルファリーゼをそう呼んだ。
「貴女は?」
 アルフは何も分から無いのかそう聞き返した。
「貴女を作ったもの。母親と思ってもいい」
「そうでしたか」
 彼女を見下ろすほど背の高いアルフは片膝をつき彼女に視線を合わせた
「基本的なことは貴女には入っている。あとは自分で考えなさい、行き先はここともう一つしかないのだから」
「了解しました」
 アルフは立ち上がると右手を上に掲げその手をまっすぐ下す。その手の動きで出来たのは線、その線は真中から左右に広がりを見せ両端の細い楕円形となり、そこにアルフは何の迷いもなく倒れこむように入り姿を消し、その刹那に楕円は消え去った。
「さて、次はあっちね」
 赤の鎧も同じようにしたいのだがこっちにはすでに同調者がいる。今はただメンテナンスという理由のみでここに置かれているだけ。アルフはなんとか同調者がいない状態で送り出せたが一抹の不安は拭えない。それでも希望となりうるのならそれを行わない道理はない。
「任せたわよ。アルフ」
 そう言い残し倉庫を後にした。

第一章 白銀と自己紹介と潰し合い ( No.2 )
日時: 2011/01/12 00:17
名前: 深山羊 (ID: /w7jENjD)

 第一章 白銀と自己紹介と潰し合い


 2012年なんたら文明では今年人類が滅亡するとか何とか言っていたが現実は違った。それどころか人類は空に土地を開拓に成功することとなり、その年の一月一日。政府からの御達しがあった、その前の年から言われていたことだがランダムに大学生未満小学生以上の子供がいる家族または本人には空の都市「新渡」への移住権が認められる。
 そんな中そんな宝くじの様なものに当たった俺は祖父母の薦めで空へと上がることにした。
 新渡は世界最大の学園都市となった訳だ。簡単な話が年齢層の低い者ばかりが暮らす学園生の町ということになる。何ともおかしな話ではあるが悪くないことの方が多いだろうと思う。
 幸か不幸か、めでたく新渡の学園の合格試験にも通り、今年の四月、そう今日の朝入学式がある訳なのだが———
「鴉。朝食の用意が出来たぞ」
 眼が覚めて顔を洗い、歯を磨き、着替えを終えてからリビングに向かうとそれは居た。
 どう考えても日本人離れした長い銀髪の女性が目玉焼きとベーコンを乗せた白い皿を机に置いている最中だった。
「お、お前は誰だ?」
 恐る恐る声を出した。
「忘れたのか?アルファリーゼ、アルフと呼べばいい」
 さらりと名乗り朝食の載った机の椅子に着く。
「いやそういう意味じゃない」
「ん。ではどういうことだ?」
 本当に意味がわからないといった顔をした。
「いや、まあ。とりあえず、飯食べてから話そうか」
「そうだな」
 どうやら昨日のアレは夢なんかじゃなく現実……。
 完全に日常と化してきていたこの世界にまた非日常が現われた。


     ◆


 新渡に着いてたから三日が立つ。春休みも今日が最後、今日の内にこの町に慣れておこうとそう思い、遅いながらも昼の一時に寮を出て町へと向かった。寮は町からそんなに遠くはないところにある。学園は徒歩十分以内、駅までは約七分。街中までは歩いて十分ほど。
 寮を出て桜が満開の道を通り抜ける途中、花弁が舞い落ちて肩や髪に乗ってくるそれを手で払いのけながら進む。街に出るまでに人と多くすれ違った。見た目は同い年や少し年下と年上。学生程度の年齢の男女達、きっと同じ寮生か。
 もしかしたら今後中の良くなる者もいるかもしれないが今はまだ赤の他人、気にすることもなく桜の通りを抜けて街に。
 街中は活気だっていて、店も多く今年出来たとは思えない大盛況。むしろ今年出来たからなのかもしれないが。
 とりわけ人の少ない店を覗いてみるが歪なファッションをした店員や客しか居ない。新ジャンルのファッションなのかもしれないがどうもそういうものには疎い。というかファッションに気を使う必要はない、どうせ休日と放課後しか着ない服なんだなんなら一日ジャージでも問題ない訳で。
 人が多い街中を縫うようにして歩き比較的人の少ない本屋へと足を踏み入れ、この町のガイドブックを手にして支払いを済ませる。その際新刊を確認したが特にめぼしいものはなく、雑誌も特に買うものはなかった。
 ガイドブックを片手に様々なところを歩きまわり地形を足で覚える。少し街を外れると途中で建設中断になっている建造物が幾つも立ち並ぶ区域を見つけた。ガイドブックには特に記入はなくただ建築中としか書いていない。ちなみに完成したらここも大通りの一つになる予定だそうだ。
 来た道を引き返し、三時過ぎ。歩き疲れたのでまたもや比較的に人の少ない喫茶店に入りアイスコーヒーを頼んだ。他にも何か注文してもいいのだがいかんせん店員は忙しそうでなんとなく遠慮がちになってしまう。
 すぐアイスコーヒーが運ばれてきた、店員は愛想よく、ごゆっくりどうぞ。と言ってくれたがアイスコーヒー一杯で何時間も粘られたらたまったもんじゃないだろうに。
 ガムシロップを入れてストローでかき混ぜると氷がガラスにぶつかり独特の音を奏でる。一息付いてからストローに口を付け、喉を鳴らし飲み干していく。
 まだまだ日は高いがほとんど空の上と変わりがないため日が暮れるのは陸より早く五時過ぎには日が落ちる。
 結局、街に出てその土地に慣れる為に歩き周り途中、色々なところに立ち寄ったりもした。その手には数日分の食糧とこの辺の地図の載っている雑誌の入った本屋の袋。
「日が暮れてきたな……」
 空はもう真っ赤に染まりもう十数分後には暗闇が町を包むだろう。それでも町の明かりは絶えないであろうが帰宅するには良い時間だ。寮まではここから大体半刻ほど、両手に荷物を提げながら寮までの帰路についた。
 題名も覚えていない歌を曖昧に歌いながら上機嫌に足を動かしていた、空はすでに真っ暗、夜空には星と月が輝き放ち月明かりが顔を照らしいてた。
 次の瞬間だった。


「そこだぁぁぁぁぁぁ!!」


 夜中に似合わない叫び声が後ろから聞こえた。その声とともに緑色に輝く線が俺の耳元を掠め、暗闇に吸い込まれるように飛んでいく、遅れて耳に痛みが走った。
「いっ!」
 後ろを振り返ると、見知らぬ女の子(多分同年代くらいだろう)と、共にその場に全くもって似合わない緑色をした鎧がこっちに向けて矢を構えていた。
 距離は大体5mほどだろう、次は外さない。眼の前の彼女の視線がそういった眼つきだ。無論その隣にいる緑の鎧も同じような意思が窺える。
 状況の理解は出来たがなぜこんなところに鎧なんていう非現実的な物が弓を構えて俺を狙っているのかが理解不能だった。
 その刹那の思考の間に鎧からは緑の細い矢がこちらに向かって放たれた。パシュンと音を立てて弓から弾かれた矢は虚空の闇の中を真っ直ぐに俺に向かって飛んでくる。


 ———ああ、これは死ぬな。


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