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- 失われたメモリー
- 日時: 2011/01/15 17:17
- 名前: 雛 ◆AVspTqbABs (ID: mkPN1TDx)
この掲示板で初の小説カキコです!
下手ですがよろしくお願いします!
主な登場人物
倉橋 薫音(くらはし かのん) 交通事故にあってしまって、右腕が動かなくなってしまった13歳の少女。親は香音が小さいときに、樹は薫音をかばった際に死亡しているので、孤児院に預けられた。
倉橋 樹 (くらはし いつき) 薫音の兄。15歳で、薫音が車に轢かれそうになったときにかばった際、命を落としてしまった。
姫野 雪(ひめの ゆき) 孤児院長の娘。孤児を見下している、とてもいじわるな14歳。しかし、薫音には何故か優しい。
牧風 鈴音(まきかぜ すずね) 6歳のころから孤児院にいる13歳の少女。薫音と仲良くなる。雪を恨んでいる。
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- Re: 失われたメモリー ( No.2 )
- 日時: 2011/01/15 17:40
- 名前: 雛 ◆AVspTqbABs (ID: mkPN1TDx)
第一話
「残念ながら、あなたのお兄さんは即死です」
わたしの胸にぐさっと突き刺さった言葉。わたしは何も言えなかった。お父さんとお母さんが死んだときは、そんな感情はまだ分からなかった。だからちっとも悲しくなかった。
「あなたの右腕も、動けない状態にあります」
「……ありがとうございました」
わたしは病院がお願いしてくれた、孤児院へと預けられることになった。
「こんにちは。あなたが倉橋薫音さんね。わたしは孤児院長の姫野胡桃です。」
「よろしくお願いします。」
「こっちが娘の雪よ。」
「姫野雪って言います。よろしくね、薫音ちゃん」
「よろしく」
雪に案内された部屋には、もう一人、少女がいた。
「今日から一緒の部屋に入ることになった倉橋薫音ちゃんっていうの。いろいろ案内とかしてあげなさいよね。」
「あなたに指図される覚えはないわ。」
「はいはい。じゃあね!」
雪はおもいきりドアをバタンと閉めた。
わたしはしばらく喋らなかった。お兄ちゃんのことを考えていた。
もう二度と戻らないお兄ちゃん。失われた未来のメモリー。過去のメモリーより、未来のメモリーを奪われるほうがよっぽど辛いだろう、と薫音は思った。
「あの、よろしくね」
少女が口を開いた。
「よろしく」
「わたし、牧風鈴音っていいます。6歳のときからここにいるんだ。」
「ふぅん……」
わたしは鈴音の話をぼんやりと聞きながら、お兄ちゃんと過ごした大切なメモリーの引き出しを開けていた。
- Re: 失われたメモリー ( No.3 )
- 日時: 2011/01/15 18:23
- 名前: チロル ◆iPIAnVtKco (ID: S3B.uKn6)
はじめまして^^
読ませてもらいました
可哀想ですね(´;ω;`)
展開楽しみにしてますね〜
- Re: 失われたメモリー ( No.4 )
- 日時: 2011/01/18 18:52
- 名前: 雛 ◆AVspTqbABs (ID: mkPN1TDx)
>>3チロル様
ありがとうございます♪
頑張って書くのでよろしくお願いします!
4歳の時。重い病気にかかって病院に入院したわたし。お兄ちゃんは毎日お見舞いに来てくれた。わたしの大好きなアップルパイを持ってきてくれて—。
『お兄ちゃんが焼いたアップルパイ、おいしー!』
『ありがとうな。』
退院のお祝いには、特大アップルパイを焼いてくれた。幸せだったなぁ……。
6歳。小学校に入学して、お兄ちゃんと学校に行くことができたとき、どれほど嬉しかったことか。
そして、13歳。中学校に入学。最近お兄ちゃんに反抗してばかりだったわたしは、酷く後悔した。
お兄ちゃんはもう帰ってこない。何でわたしはお兄ちゃんに反抗していたんだろう。わたしって本当に駄目だ……。
「あの……。」
ずっとうつむいていた薫音に鈴音は話しかけた。薫音はびっくりして、鈴音のほうを見ると、鈴音は少しびくっとした。
「ごめんね」
「ううん。わたしこそ、びっくりしちゃって、ごめんね。」
「うん。鈴音、ちゃんは何でこの施設に入ったの?」
「あぁ……。捨てられちゃったの。本当は男の子が欲しかったんだけど、期待はずれだったんだって。性格も男の子っぽくしようとしたらしいんだけど、女の子っぽいからあきれて捨てたらしいよ。」
鈴音は薫音に一通の手紙を渡した。
『お前はいらない。
お前は本来生まれてくることのない人間だ』
オマエハウマレテキテハイケナカッタ。ソンザイスルリユウハナイ。
大嫌いだった父親に言われた言葉だ。お前は生まれてきてはいけなかった。存在する理由はない—。
その言葉が理由で両親は喧嘩して、ある日、突然事故にあって死んだ。
「まったく、有り得ないよね。仕方ないもんね……」
「わたしなんて……。両親がいらない喧嘩をしなければこの施設に来ていないわ。お兄ちゃんだって死ななかったかもしれない。」
「そうだね……。施設かぁ……。色々、あったなぁ。」
鈴音は施設に来てからの生活を話してくれた。
- Re: 失われたメモリー ( No.5 )
- 日時: 2011/02/05 14:22
- 名前: 雛 ◆AVspTqbABs (ID: w9hamx8g)
わたしは普通の女の子だった。普通に学校にいって、授業を受けて、友達を遊んで、平凡な生活を送っていた。だけどある日、お父さんが仕事に失敗して、会社が倒産してしまったんだ。
わたしはまだ6歳で、学費も払えなくなってしまって……。そのことをきっかけに、わたしは施設に預けられた。
きっと迎えにくるから、いい子にしているんだよって……。お母さんは言ってくれたのに。迎えに来るどころか、会いに来てくれなかった。
そのうえ、歳が上に上がっていくにつれて、上級年として扱われ、人数も少なく、ういていた。
話す友達なんていない。あの平凡な毎日が愛しかった。だからあなたが来てくれたときはすっごく嬉しかった。
だって、わたしの友達の、胡桃ちゃんに似ていたから。いつも一緒にいたなあ。宿題はいつも図書館でやって……。
出来るなら、あの頃の生活に戻りたい。何か自分の中で大事なものが一つ、無くなるとしても—。
- Re: 失われたメモリー ( No.6 )
- 日時: 2011/02/10 19:08
- 名前: 雛 ◆AVspTqbABs (ID: w9hamx8g)
第二話
鈴音の顔は絶望をはるかに超えた、というような顔だった。
「わたしは、生きている価値なんてないんだよ、薫音ちゃん。親に必要とされていなかったんだもん……」
「そんなことないよ!わたしだって、家族の誰一人いない。だけど、鈴音ちゃんは家族がいるじゃない……」
「会わないほうがいいよ、家族なんて!誰もいらない!だから薫音ちゃんがうらやましいよ!」
鈴音が壊れた。薫音は家族は兄だけだったから、親のことは全く知らいのだが、鈴音が苦しむ気持ちは薫音にも分かった。ただ、家族構成が違うだけだ。
「鈴音ちゃん。落ち着いて聞いて欲しいの。大丈夫?」
鈴音ははっと上を向いて、それからこっくりと頷いた。薫音は頷き返して、しゃべりはじめた。
「鈴音ちゃんの気持ちはよく分かった。辛かったよね。それはわたしにも分かるよ。だって、わたしもお兄ちゃんを亡くしたから。鈴音ちゃんは家族に捨てられちゃったんだよね。分かるよ、その辛い気持ち。
ねえ、鈴音ちゃん。家族を知っているより、家族を知らないほうが辛いのよ。それの違いだけだと思うの。まあ、あくまでわたしの考えだけどね。わたしも鈴音ちゃんも、同じ。」
「……ごめん、ありがとう。」
鈴音は大空を見上げて、息を思いっきり吸った。
「わたしには……青空は、眩しすぎるな」
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