ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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+。*+。*+。*水鏡に映る月の光+。*+。*+ お知らせ♪
日時: 2011/02/05 12:08
名前: ユフィ (ID: Y8UB0pqT)

皆さんはじめまして♪ユフィと申します。
駄作ではありますが、よろしくお願いします。
※あまりシリアスっぽくないかもですが、まぁ、よろしくお願いします

お知らせ >>37

HP >>24

人物紹介  >>2

プロローグ  >>9

第一話 揺らめく月明かりのもとで
 >>11 >>18

第二話 深い影は夜闇にうつる
 >>28 >>29

第三話 玉響にひびく玲瓏の如く
 >>30 >>35 >>36


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Re: +。*+。*+。*水鏡に映る月の光+。*+。*+ ( No.35 )
日時: 2011/02/03 18:10
名前: ユフィ ◆xPNP670Gfo (ID: Y8UB0pqT)
参照: http://m-pe.tv/u/page.php?uid

雪が、ふっていた。あの時も。
ひらひらと舞う白い花のような雪は淡く、儚く、そして優しくて。
大好きだった。

「兄さん!」

はしゃいだ声で自分を呼ぶこの、声。

「冬香(ふゆか)・・・いったいどうし・・・」

バフッ!!

顔に冷たいものがあたる。それはさらさらとしてそれがなんなのかはすぐに分かった。
雪だ。
しばらく唖然として目をまるくしていた自分の表情にこらえられなくなった冬香、と呼ばれた幼い少女は次第に頬を紅潮させて吹き出した。

「あははは!!兄さんったらおもしろい!」

そして第二の雪球を作るべくさくさくと雪の上を歩いて両手で雪をかき集める。

「いつのまに・・・」

今まで全く気づかなかった。そして

「冬香・・・」
「ん?・・・・!?」

バフッ!

振り返った冬香に自分の作った雪球を投げる。
見事に的中して自分でも自画自賛してしまった。

「ははは!油断してると危ないぞ?」

面白半分でくっくっと笑っているとまた雪球が飛んでくる。
すると、それをひょいっとよけたはずみでバランスを崩して転倒した。

そんな情景を優しく微笑みながら見ていた女性がいた。
この女性こそが自分とこの目の前ではしゃぎ回ってる妹の大好きな母親で。

幸せだった。

ずっと続くと、思っていた。

あの日がくるまでは・・・



Re: +。*+。*+。*水鏡に映る月の光+。*+。*+ ( No.36 )
日時: 2011/02/03 22:26
名前: ユフィ ◆xPNP670Gfo (ID: Y8UB0pqT)
参照: http://m-pe.tv/u/page.php?uid

あの日の事件がきっかけでその大切な存在が。守らなければいけない人が命を落とした。
守れなかった。いや、守るどころかこんな目にあわせたのは誰だ。
自分だ。自分のせいだ。

あれからずっと自身を憎んだ。自分でこの身を剣で貫こうとした。

でも・・・

何度も聞こえてくる。あの娘の声が。だめだと。今にも泣きそうな声が。
そうして結局何も変わらなかった。

それから・・・




「今に至ったわけだよ・・・」
「ん?・・・なんか言ったか?」
「別に・・・」

あれからもう六年も経ってしまった。自分は何もせずに、こうやってのんびり生きてきた。

「ん?あれ慧斗と紅羅じゃないの?」
「うわっ!びっくりした〜・・・ちょっとあんまり大きい声ださないでよ響羅!聞こえちゃうでしょ!!」

がさがさと竹やぶに身を隠しているつもりの二人がこちらの様子を伺っている。
あまりにもばればれなので慧斗はつい吹き出した。
その様子を見た紅羅はむしょうにうれしくなって笑みえを浮かべる。

「ばれてるよ、六花。・・・に響羅も」

びくりと二人の肩がはねる。仕方なく竹やぶから出た六花と響羅はうつむく。

「ごめん・・・」
「いやいや、りっちゃんが俺に興味を示すとはねww」
「はあ!?ち、違う!!たまたまこっちに妖がきたから、追いかけてたの!」
「はははww照れるな照れるなww」
「照れてないっ!!」

いつもどおりの展開になって紅羅は盛大なため息をつく。
響羅も苦笑を浮かべる。

「そういえば慧斗、さっきあたしのこと六花って・・・」
「そうだったか?」
「あのさ、お取り込み中申し訳ないんだが・・・さっき言ってた妖ってあれか?」
「「え?」」

はっと後ろを振り返ると、牛くらいのおおきさはあるであろう妖が威嚇(いかく)しながらこちらを睨み続けている。
その妖からは濃い血の匂いがしていた。

「あの妖・・・人間食ったのか・・・」
「そうみたいよ・・・はぁ面倒くさい」

ひとつため息をついた六花は腰に差しておいた刀に手をかけて一気に引き抜いた。

「とぉぉぉぉりゃゃゃゃ!!!」

すばやく間合いをつめて妖の体を一刀両断する。
妖は断末魔の絶叫をあげて血飛沫をあげた。
すると、すぐに灰となってさらさらと崩れ落ちた。

「え?」

おかしい。普通、刀で切れば骸がのこるはず。なのに、今目の前で跡形もなく消え去った。
刹那。
一瞬にしてその妖の灰が黒いぬめぬめした触手のようにするする伸びて六花の足に巻きついた。

Re: +。*+。*+。*水鏡に映る月の光+。*+。*+ ( No.37 )
日時: 2011/02/03 22:38
名前: ユフィ ◆xPNP670Gfo (ID: Y8UB0pqT)
参照: http://m-pe.tv/u/page.php?uid

はい。まだテスト勉強中にもかかわらず更新してしまいましたorz

参照も100をこえたところで、皆さんに人気キャラランキング!!

あなたが好きな登場人物をぜひ投票してね☆

まだ三話にもかかわらずなんて無謀な・・・!!

なんてツッコミは横へ置いといて・・・

☆ルール☆

あなたが好きなキャラ一人に一票だけお願いします♪

例>>
慧斗に一票!

これでよしww

あと、感想なども記入していただければユフィが飛び上がって喜びますww
気軽に入れていただければと思います。よろしくおねがいします♪

Re: +。*+。*+。*水鏡に映る月の光+。*+。*+ お知らせ♪ ( No.38 )
日時: 2011/02/13 00:22
名前: ユフィ ◆xPNP670Gfo (ID: PCp3bZQ1)

第四話 影に踊るは月あかり

「…………!?」

足に巻き付いたままの黒い触手は、次の瞬間、勢いよく上に抱えあげられ六花はなすすべもなく宙づりになった。

「このっ………!!」

渾身の力で手に持っていた刀をふるう。
…………が、

「……………っ!!」

いきなりもう一本の触手が伸びてきて今度は、刀を持った六花の手に巻きついた。
手から刀が滑り落ちる。

「六花!!」

声を荒げて慧斗も腰にさした刀を引きぬ抜く。そして、その黒い触手に切りかかった。
すると、切ったところから赤いものが噴出する。その赤いものを浴びながら次々と触手を断ち切っていく。
しかし、切っても切っても再生して元に戻ってしまう。

「なんだ………この化け物……」

響羅と紅羅も攻撃を続ける。なのに、一向に変化が無い。
瞬間、背後の竹やぶから低く、不気味な男の声が闇に響いた。

「ほぅ……この娘、貴様の大切なものか……」

ばっと振り向いた慧斗と紅羅は絶句した。そして、慧斗の青色の瞳が音をたてて割れた。

「な…………」

声が出ない。声をあげることを忘れてしまったかのように。唇が動かない。
心臓がバクバクとうるさいくらいに鳴る。

「貴様………!!」

間合いを詰めて紅羅が槍を召喚する。
しかしそれは男の剣にあっさりかえされてしまう。

「慧斗、何をしている!!」

響羅の声ではっと我にかえった慧斗は一つかぶりをふって刃印を組む。

「臨兵闘者皆陣列敗前……邪気、悪鬼、傲伏!!」

一気に手を払い落とすと甚大な霊気がほとばしった。
すると、触手は内側から光が差し、次の瞬間血飛沫と共に肉片が飛び散った。
そして、そのまま転落する六花を慧斗は受け止めた。

「……ぁ……」

まばたきをして周りを見渡した六花はそのとき、自分を支えている慧斗の腕が痛いほど強く己の腕に食い込んでいることに気がついた。

「い、痛い……慧斗、おろし……て……」

六花は目をみはる。あまり抑揚のない彼の瞳が大きく揺れて、見開かれている。
そして、ガクガクと体が震えて……

「慧……斗?」

そっと呼びかけても返事がない。
焦点の合わない瞳が一点を見つめて揺れる。
そして、糸が切れた人形のようにどさりとその場に倒れた。
そのとき彼はかすかに意識の片隅で自分の名を必死で呼ぶ六花の声が確かに聞いた。

一方、男と対峙していた紅羅は次々と攻撃を仕掛けていく。だが、それは全ていとも簡単にかわされていく。

「貴様っ!一体何を……!」

したたか右肩を負傷した紅羅は顔を歪めて問うた。
しかし、男は何も答えない。代わりに唇をにぃっと笑みの形に変える。

「………そろそろ刻限か……」
「んだと……!?」

刹那、男の背から漆黒の翼が大きく広がった。
そして、空へ飛翔し、そのまま忽然と姿を消した。

「紅羅!!」
「響羅………」
「今の男は………」

ひらりと木の上から音もなく飛び降りた紅羅は、声を押し殺して呟いた。



「あの男は、慧斗の家族を殺した」


Re: +。*+。*+。*水鏡に映る月の光+。*+。*+ お知らせ♪ ( No.39 )
日時: 2011/02/13 21:12
名前: ユフィ ◆xPNP670Gfo (ID: PCp3bZQ1)


「あの男は、慧斗の家族を殺した」
「………!?」

そう。あの男は、慧斗の………

「………何があったの?」
「今は話せない。慧斗から直接聞け」

彼にしては珍しく表情に険をにじませ、手のひらを握りしめている。そこからは爪が肌に食い込んで、赤い雫が滴っていた。

「慧斗っ!」

六花の声に振り返った紅羅と響羅は急いでそばに駆け寄る。
血の気のない顔は真っ青で、微動だにしない。

「ど、どうしよう………」
「とりあえず、邸に運ぶ。それからだ」

紅羅が慧斗をそのまま担ぐ。だらりとたれ下がった腕はまるで死人のようだった。
怖い。いつもの慧斗がいない。きゅっと唇をひきむすんだ六花は彼の腕をそっと握った。それは冷たくて、血が通っているようには思えなかった。
何も知らない。私に何が出来る?
その心境を読んだ二人の式神は一度顔を見合わせて瞼を落とした。


「…………っ!?」

邸に帰ると、雪那は絶句して手を口元にあてた。

「何があったの!?」
「少し、話がある」

相変わらず険しい表情のまま紅羅は雪那を連れて部屋を後にした。
そっと布団の上に慧斗を寝かした六花は困惑したように周りをきょろきょろしていた。

「六花………」

すっかり冷静さを失った六花をなだめるようにして背中をさすった響羅はじっと慧斗を見据えて顔をしかめた。


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