ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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お月様の図書館
日時: 2011/02/15 21:12
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: 1.Bbg0di)

どうも、初めまして又はこんにちは。九龍と申します。
はい、又前回の小説で挫折しました(苦笑)
はい、笑い事じゃありませんね。
今回もまた、短編集をかこうと思います。
生温かい目で見守っていてください。


ここで、注意です。
僕が嫌いな人は、全速力で逃げてください。あと、スプラッタ表現が苦手な人も、逃げた方がいいです。
チェーンメール、荒らしはお断りです。
僕は文才あるかどうかわかりません。ですが、とりあえずは頑張って書きます。

……これでも、「仕方ない、残ってやるか」と思った人は、これからどうぞよろしくお願いします。


目次

挨拶>>1
『赤いあじさい』>>3
『盗みは犯罪だから』>>5



当館に足を運んでくださった御客人

しずく様、ヴィッカ様、神宮寺 奏様

Page:1 2



Re: お月様の図書館 ( No.1 )
日時: 2011/02/12 12:29
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: gyX.9WMH)

初めまして、いや、どうもこんにちは、ですかね?
私はこの図書館の従業員を務めております、九龍と申します。
私と、他の図書館であった事のある方もいるでしょう。
その御客様は、またおこしいただき、ありがとうございます。

……さて、と。

今回も、私はこの図書館で本を読み聞かせる仕事につきました。
この図書館にいると、どうも落ちつきましてね。温かい太陽の光がいつも差し込んでいて、日中はとてもいい気持ちですよ。
つい、眠ってしまいたくなるくらい……。
ですが、あいにく、この図書館は夜しか開いていないのでね。
夜は、月の白い光が、図書館を照らします。
窓際に飾ってある花は月の光を受け、幻想的に輝く。あぁ、何と美しいのでしょう。



さて、お客様、そろそろいつものように、本を読んで差し上げましょう。


短編集といっても、呼んでいる間に、うとうとしてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。
その時は、毛布をかけておきますね。
それと、テーブルに置いてあるココアとホットミルクは別に飲んでも構いませんよ。
……なんだか、ここまでくると、眠る前のおとぎ話を聞かせるような感じになってきますね。


さて、では、そろそろ話を始めましょう。
……今回は、この本を読んで差し上げましょう。

Re: 神様の図書館 ( No.2 )
日時: 2011/02/10 20:52
名前: しずく (ID: sluLeqWs)

初めまして^^
す・・ すごくミステリアスで面白そうです・・!!!
作者が図書館の従業員っていいですね・・!!
すごく関心が持てます!!ww
さて・・
どんな本を読んでくれるんでしょうか・・!

更新楽しみにしてます!
頑張ってください!

Re: 神様の図書館 ( No.3 )
日時: 2011/02/12 18:06
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: lEHXqtcI)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?599093

しとしとと、雨が降る夜のことでした。


少年は、真っ白な部屋にいました。
壁紙も、床も、机も、ベッドも、すべてがすべて真っ白な部屋で、少年は、窓の外を見つめていました。
雨が容赦なく、窓を打ち鳴らします。
少年は中腰になり、ベッドの上で窓ガラスに手をあて、そとを見ていました。


窓の外には、あじさいの花が綺麗に咲いているのが見えました。
青や紫の色のあじさいは、ただ、そこに、美しく咲いていました。
少年は、青いあじさいを見つめ、ほぅっとため息をつきました。


空を見上げると、灰色の雲に覆われた空が見えました。
少年は灰色の空が見えるところに、つぅっと指を滑らせます。
そして、水蒸気のついた窓ガラスに、細く長い指で、何かをかきます。
白い少年の指先は、すすぅー……っと窓ガラスの上を滑ります。

少年は窓ガラスから手を離し、ニコッと笑いました。
濡れた窓ガラスには、少年が先ほど描いたてるてるぼーずが見えます。
てるてるぼーずは、憂いに満ちた顔をしていて雨を呼んでいるかのような姿をしています。
顔は憂いに満ち、服は傘のような形をしているそのてるてるぼーずを眺め、少年は深くため息をつきました。


『———今年の梅雨は、あまり綺麗なあじさいが見れなかったなぁ』


少年の頭の中で、歌うような優しい声が響きます。
少年はベッドの近くにある、白いテーブルに手を伸ばしました。
白いテーブルに上には、白い写真立てと、青い折り紙で作ったあじさいが置いてありました。
少年は写真立てを手に取り、写真立ての中に入った写真をそうっと撫でました。


写真の中では黒髪の青年と、笑顔の少年が映っています。
少年は写真立てを窓の縁に立てかけ、やわらかく微笑みます。


「見てよ、兄さん。今年の梅雨は、あじさいが綺麗に咲いたよ」

少年は写真立てに顔を向け、黒髪の青年に微笑みかけます。
庭に咲いているあじさいを見ながら、少年は頬杖をつきました。

『———来年は、一緒に綺麗なあじさいを見れるといいね』


写真に写っている、黒髪の青年の言葉を思い出し、少年は俯きました。


今年は、あじさいが綺麗に咲いたよ。
ほら、梅雨の時期の綺麗なあじさい。兄さん、みたいって言ってたでしょう?
……一緒に見ようって、約束したのに。


「———なんで、僕を置いて行っちゃったの?」


少年は小さな声で、そう呟きました。
黒髪の青年はちょうど一年前、交通事故にあい、他界してしまいました。

少年の目の前で。


少年が急いで青年に駆け寄ると、青年は少年に笑いかけました。

『大丈夫。お前と一緒にあじさいを見るまで、死んだりは、しないから』


青年はそう言い、すすり泣く少年の手をそっと握りました。
車の運転手は、急いで助けを呼びに行きます。少年は運転手の背中を睨みつけ、歯ぎしりをしました。

『……あの人は、悪くないんだよ。俺が、あじさいに気を取られて、前も見ずに歩いていたから……』


青年は、かすれた声でそう言っていました。
青年の手は雨にぬれ、どんどん冷たくなります。
少年は泣きじゃくりながら、青年の手をきつく握りしめていました。
青年はそんな少年をなだめるように、少年の頭を、優しく撫でてやりました。






やっと助けが来たのは、一時間後でした。
その時には、青年の肌は、凍ったように冷たくなっていました。
少年は青年の手を握り、ずぶぬれになるのも気にしないで雨の中ですすり泣いていました。



「ねぇ、兄さん」

少年はあじさいを指差し、写真に語りかけます。

「見てよ、あのあじさいを。綺麗な赤いあじさいだよ」


少年が指差した先には、赤いあじさいがありました。
紫のあじさいの中に咲いた赤いあじさいは、雨を受け、生き生きと咲いています。
少年はくしゃりとした笑みを浮かべ、写真立てに語りかけます。


「兄さんはあじさいが好きだから、あじさいの下に骨を埋めたんだ。
 兄さんの好きなあじさいが、いつも見られる場所なら、兄さんも嬉しいかなって。
 そしたら、骨を埋めたところに咲いたあじさいが、赤くなったんだ。

 

 ねぇ、綺麗でしょ……?」


少年はそう言い、俯きました。
少年の頬を、一筋の熱い雫が伝い落ちました。
少年はベッドに倒れこみ、枕に顔をうずめ、すすり泣きます。


その声は、優しい雨の音に包まれ、だんだんと聞こえなくなっていきました。

Re: お月様の図書館 ( No.4 )
日時: 2011/02/12 15:27
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: i3DscJW2)

しずく様へ


初めまして。

面白そう、ですか。それはよかった。
私は一応従業員をしていますが、この図書館、私の他に従業員はいるのでしょうか……?
今夜は、赤いあじさいを読みましたが、お気に召しましたか?

では、次の読み聞かせまで、楽しみに待っていてくださると、嬉しいです。
またのおこしをおまちしております。

Re: お月様の図書館 ( No.5 )
日時: 2011/02/16 19:56
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: 0Flu7nov)

私の妹は、にこりと笑って、彼に手を振った。

「じゃあ、また明日」


また、明日、あいつが来るのか。

妹に手を振りかえしたのは『聖職者』と呼ばれる少年だ。
年は僕と同じくらいで、黒い髪を肩まで伸ばしている。服はいつも真っ黒な物を着ていて、首には十字架のネックレスをかけている。
愛想の良さそうな笑顔と、心地のよい、歌うような声を持つ彼は、色々な人に愛された。
この監獄の中で一番優しく慈悲深い彼は、この監獄で神父として働いていた。

ここは、僕が管理している監獄。十三番目の監獄だ。
いつもは『肉屋』と『弁当屋』の兄妹が、ここの囚人に食事を配っていたのだが、今日はあの二人がいなかった。
そのことを思い出したのは、ほんの十分前のことだった。


そのことを思い出し、ここに来てみたら『聖職者』と私の妹である『服屋』がいたのだ。
服屋は、私と同じ金色の髪の少女だ。金色の髪は肩まで伸ばしていて、目は私と同じ、青い空の色だ。
服は、群青色のワンピースを着ている。
それは『おまわりさん』である私のまねなのだろうか?

私は、この監獄では『おまわりさん』と呼ばれていた。
この監獄の全体のことを管理し、何か違反をしたものがいれば処罰する。
それが、私の仕事だ。


「あ、お兄様!」

妹が私に気がつき、私の方へ駆け寄ってきた。
私は無邪気な妹を見て、やわらかく微笑んだ。

「お兄様、聞いて。今日は、聖職者様が歌を聞かせてくれたの」

妹はうっとりとした表情でそう言い、ピンク色がさした頬に、白い手をあてた。

「囚人達も、聖職者様の歌に聞き入っていたの。いつも悲しそうだったのに、いまは、とても元気になっているの」

妹はそう言って、愛らしい微笑みを浮かべる。
いつもなら、その愛らしい微笑みを見ると、幸せになったものだが、今日は違った。
妹の微笑みを見て、胸に湧いてきたものは、身を焦がすような嫉妬の感情だった。

この笑顔は、私に向けられている物ではない。きっと、聖職者に向けられた笑みなのだ。
そんな考えが、頭の中で反響する。
私はその声を聞かないようにして、妹の頭を撫でた。

「そうかい、よかったね」


私はそう言って、わきあがる感情を胸の奥に押し込め、妹の頭を撫でた。


———『聖職者』に、こんな感情を覚えるなんて、どうかしているのだろうか。



私はそう思い、頭を抱え、監獄の中にある、一つの椅子に腰かけた。
嫉妬は醜い。
そう言う人達の心が、今、解った気がした。
確かに、今自分の中からわきあがってきた感情は、綺麗とはいえないものだった。
なんだか気分が悪くなったので、その日は、早めに床に入ることにした。






次の日に、私は『聖職者』のところへ行った。
昨日、囚人達の相手をしてくれたので、感謝の気持ちを伝えようと、教会まで歩いて行ったのだ。
教会まで歩いて行くと、鮮やかな色ガラスが見えてきた。
私は駆け足で教会へ行き、色ガラス越しに教会の中を覗いてみた。


『聖職者』は、マリア像の前の席に腰かけていた。
私はそれを見つけて、教会の入り口まで行こうとした。



だが、『聖職者』の隣にいる人を見て、私はいったん、その足を止めた。

『聖職者』の隣には、茶髪の女性が立っていた。
女性も真っ黒な服を着ていて、胸元の銀色の十字架がきらりと光っている。
茶髪の女性と『聖職者』は、何やら親しそうに話していた。


———二人の邪魔をしては、悪いだろうか。


そう思い、帰ろうと一歩後ろへ下がったときに、私はその場に縫いとめられた。


茶髪の女性が、聖職者を抱きしめ、耳元で何かをささやいた。
そして、その後、聖職者の額に桜色の唇を近付けたのだ。


———なんだ、あの女は。

私はその先を見たくなくて、目をつぶったが、その後のことを想像し、ギリッと歯ぎしりをした。
妹が好意を寄せている『聖職者』を、彼女もまた、愛しているのだろうか?


前の私なら、『聖職者』は誰にでも愛される人だからと、あきらめもついたはずだった。
だが、昨日のことで苛立っていた私は、そうはいかなかった。
妹の好きな者を横取りする女がいるということが、とても頭に来たのだ。
その感情は、昨日のようには抑えられず、私の手は、自然と、腰のベルトに刺していた、刀へとのびて行った。

あぁ、そうだ。
あの女がいなくなれば、『聖職者』は、妹といてくれるはずだ。


私はそう思い、にたりと笑った。
銀色の刀に、私のゆがんだ顔が映った。とても、とても、醜い顔だった。
あの女の首も、処刑人達のように、すっぱりとはねてしまおう。
大丈夫、私は『おまわりさん』だ。法律に逆らった者や、違反をしたものは、処罰してもいいのだ。
だから、私は誰にも攻められることはない。






だって、あの女は妹の大切な人を盗もうとしたのだから。
『盗み』は、犯罪なんだから———。


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