ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- エヴァニエルと指紋
- 日時: 2011/02/11 13:48
- 名前: いつみ (ID: OeXJRIuY)
今から42年前のイギリス。
ロンドンの北部に、ある一人の男が居た。
彼の名は、『エヴァニエル・ハリケーン』。
過去にいくつもの難事件を解決してきた名探偵だ。
しかし、彼はある日、謎の失踪をとげた。
妻のマーリーと、幼い子供を残して————。
現代日本。
北海道の北部に、ある一人の少女が居た。
彼女の名は、『高塚紗代(たかつかさよ)』。
一見、どこにでも居る普通の中学生だ。
しかし、彼女にはある秘密があった。
それは、探偵並みの推理力。
その凄さは、現代のエヴァニエルと呼ばれるほどだ。
そう、彼女こそが、エヴァニエルの推理力を受け継いだ小さな名探偵である。
1、エヴァニエルの子孫
私、高塚紗代。帰宅部に入ってる中学2年生。
私の父は、単独転勤で、イギリスのロンドンに居る。
母は、地元の歯科医院に勤めている。
私は本社がイギリスにある探偵会社に勤めている。なぜ私が探偵会社に勤めているかと言うと・・。
私がこの探偵会社に勤め始めたのは、今から5年前。私が9歳の時だった。小学校からの帰り道。夕方なのに、酔っ払い同士が喧嘩しているのを私は目撃した。黙って横を通ろうとした時、ガン!
にぶい音を立てて、酔っ払いが投げたかばんが私の頭に直撃した。
普通なら頭を抑えるほど痛いはずなのに、なぜか痛みを全く感じなかった。不思議に思った私は、建物の影に移動してかばんを開けてみた。
カチ、カチ・・。音がする。色んな色の線が、機械から伸びている。
もしかして、これは・・。私は、昨日の夜にテレビで見たドラマの一部を思い出した。ドラマの主人公は、爆破タイマーを手に持っていた。
もし、今の自分が、主人公と同じ物を持っていたら・・・。その後は想像しなくても分かった。私はとっさにそれを遠くに投げた瞬間、
ドッカーーン!!爆発した音が聞こえた。
- Re: エヴァニエルと指紋 ( No.5 )
- 日時: 2011/02/20 16:51
- 名前: いつみ (ID: OeXJRIuY)
和史には、何か引っかかっていた。——なぜ、ここまで、日本のマネをするのだろうか?———。「お兄ちゃん?」ありすが和史に声をかけた。「大丈夫?これから、ハピネス様に会いに行くけど・・。」「あ、うん。大丈夫だよ。」和史がありすにそう言うと、ありすは満足そうにうなずいた。「この先です。」ハピネスの部下が言って戸を開けた。そこには、ハピネスが座っていた。「やあ、待ってたよ。さ、座りなさい。ブロス、下がってよろしい。」二人をここまで連れてきてくれたのは、ブロスという人らしい。「はっ」と言ってブロスが下がろうとした時、「あ、ありがとうございました!」ありすがいきなり立ち上がってブロスにお礼を言った。みんな、口をあんぐりとあけてありすを見ている。我にかえったのか、ありすが顔を赤くして座った。「はっはっ。」ハピネスが大声で笑った。今度は、ハピネスを見た。「あ。いや、すまない。ちょっと、面白かったもんで。」「面白い?」ハピネスの言葉にありすが首をかしげる。「ああ。今まで、何十人もの来客を見てきたが、ブロスに礼を言う者はありすがはじめてじゃ。」「どうして?道案内してくれたんだもの。お礼を言うのは当たり前でしょ。」そう言うありすの顔は少し不機嫌そうだった。自分の中の常識を笑われたからかもしれない。和史はありすに言った。「ありす、お礼を言うのも、時と場合によるんだ。」「ふーん・・。」ありすは興味がなさそうに言った。
「ところでハピネス様、どうして、この王宮はこんなに日本の物と似ているのですか?」ありすは気がころっと変わったように、ハピネスにたずねた。「ふむ。おぬしらも、やはりそれが知りたいか。」「知りたいです!」ありすは叫んだ。「教えてやろう。時はさかのぼり、5年前になる。私はその当時、34歳だった。ちょうど、日本に居る父から連絡があった。『日本の町はとても美しい。お前も来てみよ。』という内容だった。私は言われた通り、日本にやってきた。そして、その町並みに驚いた。我が国には絶対にない物が、この国にはあった。私は国に帰ってさっそくこの王宮を作るよう命じた。しかし、作るには、莫大な費用がかかった。そこで考えたのが「修復」という作業だった。このおかげで、スムーズに計画は進んだ。それで、現在までいたるという訳だ。二人も、いつかは日本に行ってみるといい。」「あの、ご存知でしょうか?」ありすが話し終わったハピネスにおそるおそる聞いた。「何をだ?」「私達二人、母親が日本人なんですけど・・。」ハピネスは、目を大きく見開いた。
- Re: エヴァニエルと指紋 ( No.6 )
- 日時: 2011/02/20 16:54
- 名前: いつみ (ID: OeXJRIuY)
今の時代、ハーフは」珍しいからだ。
- Re: エヴァニエルと指紋 ( No.7 )
- 日時: 2011/02/27 14:35
- 名前: いつみ (ID: ECnKrVhy)
「その、お母さんの名前は?」ハピネスが聞いてきた。もう二人とも子供じゃないんだから、お母さんなんて言わないでほしい——。和史は思ったが言わないでおいた。「母の名前は、高塚天音と言います。」ありすが答えた。「高塚というと・・あの日本舞踊で有名な高塚か・・」「え!?」和史とありすは同時に叫んだ。そんな事、母の口から聞いた事がなかったからだ。「おや?その反応は、お母さんから聞いていないのか?」ハピネスは言葉の割には、あまり驚いていないようだ。「母と知り会いなんですか?」和史は聞いた。「数年前まではな。」「じゃあ、今は知り合いじゃないんですか?」ありすがたずねた。「ああ。縁を切った。」「どうしてですか?」和史は不思議そうな顔をしていた。「色々あってな・・。」「ふ〜ん。」ありすはつまらなさそうに言った。「ところで、何で僕達を呼んだんですか?」「あ。そうじゃった。忘れておった。実は二人に頼みがあってな。日本の戦国時代に行ってきてほしいのじゃ。もちろん、お礼ははずむ。」「は?」和史はすっときょうな声を出した。「どーやって?」ありすも訳が分からないという顔をしている。「マシーンでじゃ。」「本当?楽しそう!私、そういうの夢だったんだよねーー。」ありすはぴょんぴょん飛び跳ねてる。「まさか。ありす、ふざけて言ってるに決まってるじゃないか。」和史はあきれた顔で言った。「いいや。わしは本気だぞ。」ハピネスは言った。この人、時々標準語で話したりする。
- Re: エヴァニエルと指紋 ( No.8 )
- 日時: 2011/02/27 17:17
- 名前: いつみ (ID: ECnKrVhy)
「私、絶対行きます!!」ありすは行く気まんまんだ。和史はとうとう承諾した。「僕も行こう。」「やった〜〜〜!」ありすが叫びながらくるくる回って踊っている。「よし。そうと決まれば・・・行ってこい!あと、これに乗ってけ!!」そう言って、ハピネスがブロスに用意させたのは四角いボックスだった。「これに乗ればいいんですね?」和史はブロスに聞いた。「ええ。乗ってしばらくの間、目を閉じてください。」機械みたいな声でブロスは答えた。「あたしから乗るね。」ありすがそう言って乗った。和史もその後に続いて乗った。ウイィィィン———。という音をたててボックスは発動した。次の瞬間、目の前が真っ暗になった。「ありす!?」和史は叫んだ。「お兄ちゃん!?どこ?」二人でおどおどしているうちに、目の前は明るくなっていった。また音をたてて屋根が開いた。「ここは?」ありすがボックスから出てきて言った。ボックスは音一つたてないで消えた。「何だお主らーー!!」そのとき背後から怒鳴り声が聞こえてきた。家来みたいな格好をしている。「なんだろ?」ありすはきょとんとしているが、和史には状況が読めた。ここはどこかの城の敷地内だ。この城の家来達は、和史達二人を部外者として怒鳴ったのだ。ここに居ては捕まる————。そう直感した和史は、ありすの手を引いて逃げようとした。だがもう遅かった。家来達に囲まれていたのだ。「一緒に来てもらおう。」家来の一人が和史の手を引いた。どうやら殺すつもりらしい。ありすもようやく状況が読めたのか顔が青ざめている。和史ら二人は先を歩く家来達の後を着いていった。
「なぜ、城の中に入れた?」家来が聞いてくる。まさかボックスで来たなんて言えないので、和史は口からでまかせを言った。「町を歩いていたら、急に変な男が近づいてきて粉を飲まされたんです。多分、睡眠粉かと・・。それで、気が付いたらここにいたんです。」「分かった。今からお主ら二人には、切腹してもらう。」家来の一人が言った。「早くしろ。」そう言われて、小刀を渡された。ありすは必死に祈った。救世主よ、現れてください!次の瞬間、戸が乱暴に開けられて、一人の女の子が入ってきた。「何をしておる!」「姫様!」どうやらえらい人らしい。「説明せよ。」女の子は静かに言った。「城に部外者が居たので切腹させようかと・・・。」「ばか者!!!」女の子はものすごい勢いで怒鳴った。「そんな簡単に、人の命を無駄にしてどうする?」「え・・えっと・・」家来達はしどろもどろだ。「部外者にせよ、人の命の重さは変わらぬ!!」そう言うと、女の子は二人に近寄ってきた。「大丈夫か?」「は、はい・・。」和史は答えた。「そなたら、名はなんと申す?」「和史と言います。こっちは妹の・・」「ありすです!!」ありすが大きな声で叫んだ。「そうか。私は、織田信長の姪、江と申す?」
「織田信長の姪!!??」和史とありすは同時に叫んだ。ただ者ではないと思っていたが、まさか、あの天下統一を成し遂げた織田信長の姪だったとは・・———。和史は信じられなかった。「私の部屋まで案内しよう。」江はそう言って立ち上がった。二人は後に続く。
きれいな部屋だった。花がいけてあった。あれは、スターチスだろう。
「これから私はお昼なのだが・・二人も一緒に来るか?」和史が返事をする前に、ありすが元気よく「はい!!」と言った。
目の前にはおいしそうなご飯が置いてあった。江が料理人に言って二人分作らせたのだ。江の右横に、二人の女性がこっちを不思議そうに見ながら、江に聞いた。「江、右に居る二人は誰じゃ?」真ん中の人が言った。「私の友達じゃ。和史とありすと言う。」二人はそろって会釈した。「ふーん。」真ん中の人は言った。江が二人に小声で教えてくれる。「真ん中にいるのが初と言って、1番左に居るのが茶々と言う。二人とも、私の姉じゃ。」
- Re: エヴァニエルと指紋 ( No.9 )
- 日時: 2011/03/13 10:06
- 名前: いつみ (ID: ECnKrVhy)
「キレイ・・。」和史は思わずつぶやいてしまった。「何が?」ありすが少し怒った顔で和史に聞いた。我に返った和史は、「な、何でもないよ。」と言った。「江、その二人は誰じゃ?」その時、江の右斜め前に座って居る女性が言った。「母上。私の友人です。といっても、さっき会ったばかりなのですが・・。」二人は、またもそろって会釈した。「名はなんと申す?」「和史です。」「ありすです。」二人は言った。「そなたら、どこから来たのじゃ?」この質問には、答えられない。未来から来たなんて、真顔でも言えない。言っても、笑い飛ばされるだけだ。二人が黙ってしまうと、「忘れたのか?まあいい。私の名は、市と申す。この3姉妹の母じゃ。ところで、次の質問だが、そなたらの髪は、どうして金髪が混じっているのじゃ?」昔の人が、金髪という言葉を知っているのに驚いた。和史は驚きながら、質問に答えた。「ハーフなんです。」「はーふ?」まるで、異国の言葉を聞いたかのように、首をかしげながら、江達3姉妹と、その母、市は聞いてきた。まあ、首をかしげるのも無理はない。この時代に、ハーフの人などいないのだから。「ハーフというのは、簡単に言うと、混血です。僕達は、日本人と、イギリス人の混血なんです。だから、日本語もイギリス語も話せます。」「すごい・・・。」江がつぶやいた。「すごくありませんよ。だって、江さまは、あの織田信長公の姪ですし、信長さまにいけない事を言ったら、わざわざ謝りに行くし、明智光秀の所へ自ら人質に行くし・・。とにかくあなたの方がすごいお方です!」ありすが長々と言った。「そなたら、なぜ私が光秀殿の所へ人質として行った事を知っておるのじゃ?」江が聞いてきた。しまった。ありすも口を押さえている。「そなたら、悪い奴の子供じゃないな?」初も聞いてくる。二人はしょうがないと言う顔で話し始めた。「隠しててすみません。でも、悪い奴の子供ではありませんので、ご安心を。本当は、分かっていたのです。自分達が、どこから来たのか。」「どこなのじゃ?」「信じてくれますか?笑わないと約束してください。」「約束する。」市が言った。「未来です。」「み、未来!?」驚いたようだ。「ええ。未来です。それも、何百年も先の。だから、あなた達4人の人生もすべて知っています。」「占い師みたいだな。」茶々が言う。「なあ、私の人生話してくれないか?」江が聞いてきた。
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