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青春バイバイ(一応バトル物だったりします)
日時: 2011/02/18 17:10
名前: ヌアッフ (ID: 12T.pym5)

まぁ、くつろいでください。

コメント大歓迎です。

登場人物。

山上一路 
15歳。
この物語の主人公。
趣味。読書。

やや大人びた所がある。どちらかというと静かなほう。
慎重主義という名のビビリ。

山上秋房(やまがみあきふさ)

39歳。

一路の父。ちょっと性格が飛んでる。

山上千恵(やまがみちえ)

34歳。

一路の母。とてもとても優しい人。

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Re: 青春バイバイ ( No.6 )
日時: 2011/02/19 14:42
名前: ヌアッフ (ID: 12T.pym5)

 回想{昔起きてた事} 途中

丸い頭。丸い目。口は無く、首も無い。腕は地面につきそうなほど長く、手が無い。その代わりに腕の先端は鋭くとがっている。そして胴と足がある。
猫背気味の姿勢で、腕をだらりとたらしてる。
さらに驚くべきはその体全体。
立体化した文字の塊。それが相手の体だ。
立体化した文字が人の形を作り上げている。
何なんだこいつは。
相手の頭についている白くて丸い二つの目がこちらを見ている。そしてこちらへ向かって歩いてくる。

のさり…。のさり…。のさり…。

ゆっくりとではあるが、こちらへ歩いてくる。
逃げないと。いや、無理だ。背中の傷のせいで立っているのでやっとだ。
ヤバイ、このままだと間違いなく殺される。でも逃げられない。
嫌だ!まだ生きたい!!!こんな人生の終わり方嫌だ!!まだ生きたい!俺はまだ生きたいんだ!!!!!

カチャン。

「?」

ふと気づくと左手が持ち柄の青い刀の鞘を強く握っていた。

ヒュン!

風を切る音。相手は鞭のような腕を振り上げる。そして、振り下ろす

ガチャン!!!!

とっさの判断で刀の鞘で相手の攻撃を受け止めた。
何故だろう?体が動く。背中の傷の痛みをあまり感じない。力がたぎる。今なら逃げられる………逃げる?どこからか湧き上がる勇気がそれを許さない。体が勝手に刀の柄を握っていた。

ヒュン!

それと同時に相手がまた腕を振り上げる。

「させるか!!」

すかさず刀を鞘から抜く。

ズバッ!!

横に一閃。相手を斬りつけた。
相手はのけぞった。俺はその隙に斬りまくる。とにかく斬る!斬る!斬る!
相手はまだ倒れる様子を見せない。それでもまだ斬り続ける。

 そしてとうとう相手がよろめいた。
刀を両手で握り、バットを振る要領でフルスイング!

ズバンッ!!!!

相手は斜めに傾いたまま動きが一瞬ピタっと止まり、一気に体が霧となって消えた。

 
 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」

倒した。相手を倒した。何がどうなってるのか全く分からないが、相手を倒すことが出来た。
敵は跡形も無く消えた。

 敵が消えた場所に白い玉が落ちていた。手に取ろうとしゃがむ。だけどそこで全身の力が抜けた。ドサっと倒れこむ。
そうか、体はもう限界なのか。
意識がだんだん薄れていって………

Re: 青春バイバイ(一応バトル物だったりします) ( No.7 )
日時: 2011/02/19 14:44
名前: ヌアッフ (ID: 12T.pym5)

回想 {昔起きてた事} 途中

 気がついたとき、真っ先に感じたのは薬品のにおいだった。目を開けてみると白い天井があった。
今自分はベッドに仰向けで寝ていた。
ここはどこだろう。確か気を失う前は…何してたんだっけ?
思い出しながら起き上がろうとした。

「イッ!!…」

背中に激痛が走り、起き上がれなかった。結局またベッドに倒れこむ。

 痛みで思い出した。昨日変な奴と戦ったんだっけ。急に出てきた刀を使って倒して。それで白い玉が出てきてそれを拾おうとして気を失った。
こんな感じかな?
首だけ動かして回りを見てみるが、白いカーテンで仕切られてて詳しく分からない。でも場所は分かる。多分病院だ。多分だけど。

 何故だろう?自分でも驚くほど落ち着いている。あんなに衝撃的な事を思い出したというのに。
きっと、自分は助かったのだろう。助かったという安堵感が自分の気持ちを落ち着けているのだろう。

 
 シャーー

急にカーテンが開いた。カーテンを開けた若い看護婦さんと目が合った。

「あ、目が覚めたんですね。気分はどうですか?」

「背中が痛いことを除けばなんとも無いです。」

受け答えをすると看護婦さんは少し驚いたような表情になった。

「とても落ち着いてらっしゃるんですね。」

「自分でも驚いてます。」

「ちょっと待っててください。先生を呼んできます。」

そう言うと看護婦さんは行ってしまった。

 5分くらいして、看護婦さんと先生が来た。
先生はベッドの近くにあった椅子に座った。

「やぁ、気分はどうだい?」

「まぁまぁです。」

二回も同じ事を言うのが嫌なので、適当に流した。

「えっと、君の体の事なんだけどね。背中は、まだ痛むかい?」

「動かせば痛いですが、そっとしておけば問題ありません。」

俺が何か言うたびに看護婦さんがサラサラと何かを書く。カルテってやつかな?

「そうかそうか。」

「俺の背中は今どうなってるんですか?」

「やっぱり気になる?」

「そりゃ自分の体の事ですから。」

「傷の規模は右肩から腰の左側にかけてまで。今は縫合したから大丈夫だけど、ここに運び込まれた段階では傷口はパックリ開いてた。正直驚いたよ。」

背中パックリやられた状態で立ち上がってあんな事したのか……すごいな、俺。

「そうそう、重要なこと忘れてた。君の名前は?」

「山上一路です。」

「住所と電話番号分かる?」

こいつ、馬鹿にしてんのか?

「はい。」

住所を言った。それを近くにいた看護婦さんが書き留める。

「じゃあ私、保護者の方に連絡入れてきます。」

「ああ、頼むよ。」

そして看護婦さんは病室から出て行った。

 先生は看護婦さんが出て行くのを確認すると、また質問してきた。

「ここからは僕の個人的な質問だから答えたくないのならそれで構わない。」

先生が顔を少し近づけてヒソヒソ声で話し始める。

「何があったんだい?」

怪訝そうな顔をして尋ねてきた。そりゃそうか。気になるよな。さて、どう答えたものか。

「……誰かに、襲われたんです。」

嘘をつく事にした。本当の事を話したら精神科にまわされかねない。

「誰か?」

「はい。よく顔を見てなかったものですから。」

先生がハッとした表情になる

「あ、もしかして思い出すのも怖い?」

お、これはチャンスだ。

「はい。」

なるべく辛そうに言った。すると先生は慌てて

「ご、ごめんね。つい気になっちゃって。」

「い、いえ。」

何か嘘つくのって冷や冷やするな。

「実はね、警察の人が話を聞きたいって言ってるんだよ。まだ休みたい?無理はしなくていいんだよ?」

引け目を感じてるのか先生がやけに優しい。

「いえ、話すくらいなら大丈夫です。」

面倒事は先に片付けておきたい。

「そ、そうかい?じゃあ連絡しておくから。」

そう言うと、先生も病室を出て行った。

 一難去ってまた一難。多分あいつを倒すときに使った刀の事とかも聞かれるだろうな。どうしたものか………。

Re: 青春バイバイ(一応バトル物だったりします) ( No.8 )
日時: 2011/02/19 14:49
名前: ヌアッフ (ID: 12T.pym5)

回想 {昔起きてた事} 途中

あの後警察の人が来た。
襲ってきた相手の容姿や、そのときの状況等を詳しく聞いて来た。自転車は何故壊れた?などの返答に困る部分は「よく、覚えてないんです。」って言ってごまかした。

 刀の事は聞かれなかった。一切触れられなかった。逆にこちらから聞いてしまい。怪訝そうな顔をされた。白い玉の話も出なかった。現場には刀も白い玉も無かったそうだ。

そのすぐ後に汗だくの親が来て大変だった。俺の無事を確認するや否やその場に倒れこみ。起き上がったと思ったら父の質問攻めにあい、自分って愛されているって事を実感した。

 なんやかんやで三ヶ月経った。
ようやく傷が感知した。
病院にいる間は勉強したりして過ごした。たまに入院してる子供と遊んだりもした。
入院してる間毎晩あの不快感を感じたけど、それはしばらくしたら消えて、襲われたりとかも無かった。

 退院したときに気づいたのだが、自分が入院していた大型の総合病院。実は自分が住んでいるところからだいぶ距離があった。自分の今住んでいる所には小さな診療所しかなく、大怪我を負っていた俺の傷を治すには小さすぎるという事でそこに移されたのこと。

 警察の人とかの取り調べも大体終わった。当たり前だがいまだ犯人は捕まってない。

 そして場面は家に帰った日の晩になる。

 久々の我が家だ。そして今自分はすこし埃をかぶった自分の部屋にいた。だけど気持ちは全く安らいでなかった。

 感じるのだ、あの気配を。あいつらはまだたくさんいる。好き勝手に動き回っている。
不快感以前にものすごい恐怖を感じていた。
なんでこの辺に住んでいる人は平気なんだろう?父と母も何故平気な顔をしていられるのだろう。あんな化け物がうろうろしているのに。
もしかして誰にも見えていないのか?自分にしか見えていないのか?見えないにしろ何故襲われない?何故俺は襲われた?自転車でぶつかったから?いや、何故自転車でぶつかれた?襲われるまでの二ヶ月間は何故無事だった?何故急に気配を感じ取れるようになった?そもそもあれは何だ?
疑問が頭の中で渦を巻く。何故?何故?何故?
分からない。いくら考えても答えが出る気がしない。

 その時、頭の中でひらめいた事があった。
あいつらを倒してしまえば良いのではないか?急に頭にその考えが浮かんだ。
推測に過ぎないけど、俺はあいつらと遭遇すると襲われる。そうゆう何かを持っているんだと思う。あの時襲われた理由が思い浮かばない。自転車でぶつかった時、相手は微動だにしてなかった。ダメージを負った気配は無かった。なのに襲われた。
だから、きっと次も襲われる。もしかしたら家に来るかもしれない。寝込みを襲われるかもしれない。そうなったらお終いだ。家族に迷惑をかける事にもなる。

 俺は、一度あいつを倒している。一度出来たんだ。次もきっと出来る。ばかげてるかもしれないけど、殺らなきゃ殺られるんだ。なら、殺るしかない。自分が生きるために。

 しかし、そこで重大なことに気づく。やつを倒した刀が無い。自転車でぶつかってダメージが無かったのに、刀で斬ったらダメージがあった。きっと特別な刀なんだと思う。
それが手元に無いと戦えない。多分、俺が襲われた場所にも無い。警察の人が見てないのだ、多分無いのだろう。だとしたらどこに?まさか誰かが持ち去った?


 「………まさか。」

あの時刀は急に出てきた。そう、生きたいと望むと出てきた。あの時俺は力を望んだ。この先も生きられる力を。つまり、望むと出てきた。

「いやいやさすがにそんな都合よく出てきたりは……」

出て来い。そう念じてみた。

カチャン。

あのときの刀が出てきた。あの時のようにまた左手で鞘を握っていた。

「…出てきちゃった……」

まぁ望んだわけだけど。確かに念じたけど。本当に出てくるとは……
消えろ。次はこう念じた。

フッ

刀は消えた。

「消えた……マジで?」

出て来い。消えろ。出て来い。消えろ。
念じるたびに出てきたり消えたりする。便利だ。
何なのこの刀?もしくは俺の能力?どっちでもいいけど。

 さて、刀は出てきた。勇気も沸いてくる。力も漲る。刀を出してる今なら何でも出来そうだ。
よし、早速行こう。あいつらを倒しに行こう。考える必要は無い。臆するな。………なんかキャラ変わってない?

 そして俺は、親に外へ行くのがばれないように窓から出る事にした。

「とうっ!!」

思い切って窓から飛び出た。隣の家の屋根に着地する。
思ったとおりだった。身体能力が大幅に向上している。

 あいつ(怪物)を倒したとき、重傷を負っていたのにもかかわらずあそこまで動けた事を思い出したのだ。そこで、もしかしたら体が強くなったのかもしれないと、そう推測した。

「よし、いっちょやってみますか。」

気合を入れなおし、一番近い気配のところへと向かった。

Re: 青春バイバイ(一応バトル物だったりします) ( No.9 )
日時: 2011/02/19 14:54
名前: ヌアッフ (ID: 12T.pym5)

誤字脱字等は気づき次第直しますが、何分至らない点もありますので教えて頂けると助かります。

また、時々ストーリーが気に入らなくなったり不自然な点を見つけたりした際に、少し修正したりする事があります。

Re: 青春バイバイ(一応バトル物だったりします) ( No.10 )
日時: 2011/03/05 17:49
名前: ヌアッフ (ID: 12T.pym5)

回想{昔起きてた事} 途中

 「おらぁっ!!」

刀を縦に振り下ろす。

ズパン

猿みたいな怪物は縦に真っ二つになった。すると猿みたいなやつは一瞬動きをピタっと止めて消えた。
よし、今日はこれぐらいにして帰ろう。明日も学校がある。いい加減に寝ないと。

 あれから一年が経っていた。俺は中二になった。

 今ではあいつらを倒すのにもすっかり慣れ、あまり傷を負わなくなった。傷跡はたくさん残ってる。そのせいで、プールや海。銭湯に行った時の周りの視線が痛かった。
いくつもの強敵と戦い。修羅場も越えてきた。最初の頃感じていた恐怖も無くなり。体も大分逞しくなった。今では(大きさが)中型の相手が十体いても対処できる。それぐらいの技量が身についた。
気持ち悪いぐらい溜まった白い玉は袋に詰めて庭に埋めた。

 自分の周りの環境も大分変わった。

 ド田舎である事は変わらないけど、ここに住む人達は変わった。
気性が穏やかになり、皆イライラしなくなった。
学校ではイジメ等が消え、近所の人は今では愛想良く挨拶してくれるようになった。隣人のおじさんにいたっては、今までの自分の行動を謝りに来て、さらには家の前の掃除をしてくれたりするようになった。

 ここに住む人たちが急に穏やかになった。理由は俺が怪物を討伐しているからだと思う。ここに住む人達の急激な心境に変化とは考えにくい。

 環境が一変して、いろんなことが上手くいき始めた。学校は楽しいし、怪物の数も大分減った。ここに来たときの半分以下ぐらいにはなっていた。

 あいつらと戦っている時に人に見つかったこともあった。
その時は怪物そっちのけで一旦隠れる。俺のことは見えて、怪物は見えないらしい。それと、怪物は普通の人は襲わないみたいだ。結構前に知った。理屈は分からないけど。

 夜中に人と会ったせいで「夜中に町を歩いてると刀を持った男に追いかけられる」と、いう尾ひれを伴った噂が流れた。
噂の中心人物になった気分は不思議と良かった。だが、その噂を聞いた警官が、俺が初めて怪物に襲われた時にでっち上げた通り魔だと勘違いし、本庁から警察が来たりしたのは参った。そして、たまたま夜中に出かけ、たまたま趣味でナイフを持っていた関係の無い人が捕まった。申し訳ない気分になった。

 まだ分からない事はたくさんある。しかし、調べる手立てが無いのだ。
怪物と戦っているうちに、自分の能力と怪物に興味がわいた。心に余裕が持てるようになったからだと思う。
だから、趣旨が変わってしまうけれど、それを調べるためにもこれからも戦っていこうと思う。

 これが過去にあったことだ。

回想 {昔起きてた事} 終わり

序章終わり


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